上杉忠弘のレビュー一覧
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二丁目に古くから続く〈久坂寫眞館〉で働くことになった新米カメラマンの桂樹里。
店主の久坂重さんが写真を撮ると、なぜか奇妙なものが映り込んでしまうのです。
動画を撮ったことが原因で、二人はタイムスリップして過去の〈久坂寫眞館〉にきてしまい、しかもセイさんまで巻き込んで、昭和51年に起こった四丁目のアーケードが火事でなくなったという事件の真相を突き止めることに…。
タイムスリップという突拍子もない設定が、何とも心憎い演出です。
地主だった矢車家のお屋敷は、江戸時代からのとても立派な日本家屋で、セイさんの奥さんの志津さんは、気品あふれる素敵な奥様で、懐かしい昭和の時代の花咲小路商店街を見ることがで -
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「淳ちゃん、ご飯よ」
非番の日はいつもばあちゃんのその言葉で起こされる今回の主人公「赤坂淳刑事」
じいちゃんが作ってくれる美味しい朝ごはんを食べていると「今日は何か予定があるの?」とばあちゃんが尋ねる。これが、何かお願い事がある合図だ。
非番の日は、商店街で起きる不思議な出来事の相談を受け、紐解いていく。
事件でもない出来事を紐解くには、相談できる相手が必要で、ここに「花咲小路四丁目の聖人」で出てきた北斗くんや克己くん、奈緒ちゃんに亜弥ちゃん。そして、セイサンが登場する。
1つ1つの出来事は大事件ではなく小さな不思議や疑問なのだけど、紐解かれた答えには優しさや想いが強く描かれていた。
こ -
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今回の語り手は、奥さんのミミ子さんが一人で切り盛りしている〈バーバーひしおか〉で、住み込みで働いているせいらちゃん。
ふだんのんびりしている旦那さんの朱雀凌次郎さんには、実は美術界でも認められている鑑定士の才能があるのです。
愛想がよくてお喋り好きな旦那さんから語られる、美術品や骨董品にまつわるお話が興味深くて、一気に読めちゃいました。
この〈花咲小路商店街〉は、見た目も中身もほんとににユニークな人たちばかりが揃っていて、彼らの裏の顔を知るたびに楽しさがどんどん増していきます。
海外から突然帰ってきた一人息子の桔平さんがまた個性あふれる魅力的な青年で、〈バーバーひしおか〉の後継ぎを期待され -
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高校を卒業して、じいちゃんの残してくれた駐車場〈カーポート・ウィート〉の若社長になったすばるちゃんは、かわいい顔をした小柄な男の子。
天涯孤独の身となったすばるちゃんは、看板代わりの赤いシトロエンのバンで寝泊まりしています。
実はこのシトロエンには、ある秘密があるのですが…。
駐車場にやってくる色々な種類の車とともに思わぬ事件が発生して、すばるちゃんが個性豊かな〈花咲小路商店街〉の人たちと一緒に解決していきます。
人にはいろいろな人生があって、実は知らず知らずのうちに誰かに見守られていて、ひとりぼっちなんかじゃないんだよって教えてくれる、とても心温まるお話です。
〈花咲小路商店街〉の人たち -
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今回のお話の舞台は、三丁目にある〈喫茶ナイト〉
ナイトと言っても〈夜〉という意味の〈NIGHT〉ではなく、〈騎士〉の方の〈KNIGHT〉らしい。
深夜営業のお店〈喫茶ナイト〉には、DVDやVHSが棚いっぱいに置いてあって、時折出てくる映画のタイトルが、物語を先へ先へとつなぐ役割を果たしているようです。
今僕(堂本望)は、独特の渋い雰囲気の仁太叔父さんと2人で暮らしていて、店に訪れた人たちの、夜にならないと話せないような悩み事を、仁太叔父さんが見事に解決していきます。
前回にも登場したおなじみの商店街の人たちの協力もあって、次々と悩みは解決されるけれど、みんながいい人だから、何もかもを徹底的 -
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〈花咲小路商店街〉シリーズ第三弾。
今回の語り手は、〈花の店にらやま〉というお花屋さんを営んでいる花乃子さんの、12歳年下のいとこ井筒めいちゃん。
高校でいじめに遭っためいちゃんは、学校を辞めて〈花の店にらやま〉で住み込みで働くことに。
美人で優しい花乃子さんにはちょっと不思議なチカラがあって、柾さんと柊さんという双子の弟と一緒に花屋の仕事を手伝いながら、めいちゃんはこの〈花咲小路商店街〉にどんどん馴染んでいきます。
あちらこちらに恋の花が見え隠れしていて、花言葉もたくさんちりばめられてとても神秘的な雰囲気も。
前作にも出てきたミケさんは、花乃子さんの親友で、花乃子さん、ミケさんに加わっ -
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今回は、祖父母の営む〈和食処あかさか〉で同居することになった刑事、赤坂淳が主人公。
非番の日に限って、淳のところに商店街の騒動が舞い込み、なぜか奔走する羽目になってしまう、ほのぼのとしたミステリー。
〈たちばな荘〉で暮らすストリートミュージシャンの三家(通称ミケさん)という謎めいた女性が出てきて、不思議に思いながらも淳は少しずつミケさんに近づいていくのですが。
非番の日の朝の、ばあちゃんと淳とのやり取りがほっこりとして実に良いのです。
このシリーズは、毎回主人公が違っているけれど、前作に登場した北斗くんや、セイさん亜弥ちゃん親子にも会えるし、〈花咲小路商店街〉の人たちにますます愛着がわいてき -
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物語の舞台となる〈花咲小路商店街〉は、伝統と歴史と人情味のある、さびれかけた商店街。
英語塾を営む亜弥は、父と二人きりで暮らしている。
70歳になる父は、日本に帰化したイギリス人で、若い頃は美術品を中心とする伝説の大泥棒だった。
商店街に巻き起こる謎を解き明かし、大企業による買収話も独特の手法でものの見事に解決する英国紳士の父と、亜弥の幼なじみの克己と北斗の名コンビの活躍ぶりが、爽快で楽しい。
極悪人は一人も出てこないし、商店街の人たちを巻き込んでの大掛かりな仕掛けに圧倒されつつも、最後はハッピーエンドで幕が閉じられていて、ほのぼのと温かい気持ちになれます。