三津田信三のレビュー一覧
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刀城言耶シリーズ長篇の中では登場人物が少なく、複雑な家系図を把握する必要もないので読みやすい作品です。更に早々に限られた人数で舞台となる島に渡ってしまうため、起こる事件や怪異も多くありません。それなより必然的にシリーズの中ではミステリ色の強い作品になっています。
また同じ理由で、ほぼ主人公の刀城言耶を中心で進むため混乱しないことに加え、彼の人柄もよくわかります。長くなるので詳しくは書きませんが、彼のある癖によって生じる笑いにつられて笑ってしまうのですが、誰も傷つかない笑いが心地いいです。
事件が起きた理由が弱いとのレビューもありますが、そういうことが有り得た時代であり、そういったことも含めた、 -
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★5 昔ながらの風変りな土着信仰・婚姻儀式が執り行われる中、不可解な殺人事件が発生し… #寿ぐ嫁首
■あらすじ
大学生の瞳星愛は友人の唄子に誘われ、彼女の実家で行われる婚礼の式典に参加することになる。唄子は山神様のお告げによって結婚することになり、さらに嫁首様の祟りを避けるための儀式を行う必要があった。
まもなく披露宴が開かれる折、嫁首様をまつる迷宮社の中で死体が発見される。さらに迷宮社で動物が殺害される見立て殺人事件にも発展していき…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろい! 完成度の高すぎですね、さすが三津田信三先生、参りました。
本作は代々の名家である皿来家の物語。昔ながら -
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怪民研シリーズ二弾。学友の婚礼の「付き添い嫁」を務めるため、盂蛇村の皿来家を訪れた瞳星愛。皿来家の屋敷神である「嫁首様」の祟りを恐れ、奇妙な慣例によって婚礼が執り行われる中で事件は起きた。迷宮での密室殺人、そして儀式めいた不吉な殺動物事件。これは人間の仕業なのか、それとも嫁首様の祟りなのか。じわじわとした恐怖も味わえるホラーミステリです。
辺鄙な村。いわくありげな一族。奇妙な風習と言い伝え。謎の数え歌。もうこれでもかって要素が揃っていて、とんでもないご馳走でした。それに加えて迷宮で得体の知れない何者かに迫られる情景が怖くて怖くて! もちろんこのシリーズはきちんとミステリとして解明されますが、や -
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作家三部作の三部目の今作ですが、一部目はホラー、二部目はミステリときて、三部目は怪談です。そして三部目は蛇棺葬と百蛇堂の2冊に分かれていているので、今作は前編的な位置づけになっています。なのでさすがに後編である百蛇堂よりは先に読んだ方が良いですが、一部目二部目は読んでいなくても問題ないと思います。とは言っても主要人物は共通ですし、一部目や二部目に触れる描写もありますので、一部目の “忌館 ホラー作家の棲む家” から順番に読むのは全然アリです。それを強く押さない理由は、結局氏の作品は定期的に読み直したくなるからです。
氏の作風であるホラーとミステリの融合というのは、解決したかしないか、解釈された -
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(下巻と共通の感想です)
三津田信三による「作家三部作」シリーズの二作目ですが、氏のホラーミステリの特徴が既に色濃く現れていると感じました。
ただ本作ではホラーとミステリが完全に融合はしておらず、ミステリ部分は結構しっかり本格ミステリしてるのが、氏の作品の中では逆に新鮮でした。それでも怪異が絡む場面では推理が二転三転する流れは、正に三津田信三作品だと嬉しくなります。
作品の説明にあるように、七篇の怪奇小説が収録された同人誌をもとに話が進むため、長編作品でありながら短編集のようなつくりになっています。かといって短編集に何となく繋がりを持たせたということはなく、しっかりとした長編作品です。なるべ