ケヴィン・ケリーのレビュー一覧
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雑誌"Wired"の創刊編集長のケヴィン・ケリーによるテクノロジーの「進化論」。
テクノロジーの総体、システムを「テクニウム」と名付けて、それが生物の進化同様の動きをしていることを説明するにとどまらず、物質や宇宙の進化、生命の進化、そしてテクニウムの進化を一つの進化の大きな流れとしてとらえる。
ダーウィンの進化論にもとづきつつも、それ自体がある種の目的性というか、方向性をもっており、かならずしもランダムな変異と淘汰だけのものでないと論じている。
ここは、議論が分かれるところであろうが、著者は、神秘的なものではなくて、複雑系的な秩序が自己組織化し、一定の方向感をもって、 -
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テクノロジーの発展の背後に潜むテクニウムをこれまでの歴史の中核に据えて論じてある。テクニウムは自律した方向性を持っており、それにより長い目で見れば自己組織的に発展している。テクノロジーの発展は我々の進化と通底するものであり、これからテクノロジーはまさに何者になっていくのだ。
現代の主流の科学とはあいなれない部分のある理論であると思ったら。根源的なところから振り返ってみると、テクノロジーが独自の方向性を望んでいるというのもわからなくもないと思った。
テクノロジーの発展は人類全体に可能性のある可能性を提供できるという点で自分の目指す道かもしれない。 -
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ネタバレ2016年の本ながら今でも有用。備忘録的に目次解説残しておきます。
1.Becoming
2.Cognifying
3.Flowing
4.Screening
5.Accessing
6.Sharing
7.Filtering
8.Remixing
9.Interacting
10.Tracking
11.Questioning
12.Beginning
1. Becoming
地球をテクノロジーが覆い、止まることのないアップデートが永遠続くという意味において、ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)化する。テクノロジーは生命のように生態系を構成(=テクニウム空間)し -
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テクノロジーが生活にどう作用するか考えたい人におすすめ。
【概要】
●人工知能などのテクノロジーがこれから30年の間にどう作用するか、
不可避であるトレンドについて12の観点から提示
【感想】
●アイデアを生み出すための予備知識が増えた。
●特に、「FILTERING」「FLOWING」「COGNIFYING」の項目が参考になった。
●AIで何ができるかを考えることも重要だが、AIで何ができないかを考えることも重要である。
●「人間の経験」と「信用」は普遍的な価値であり、今後も変わることはないだろう。
信用が普遍的な価値であることは他の書物にも書かれていた。 -
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インターネットを起点とした、今後のテクノロジーの進む方向性が書かれている。
インターネットはだいぶ発達したように思えるが、まだまだ途上段階であり、今後個人の生体情報なども含めてさらに記録される情報が増大し、またそれを含めてあらゆる情報がネットワークを形成していく。
ネットに載せられた情報は無限にコピーされ、無料に近づいていく中で、個人の信用や、パーソナライズされた情報、プロダクトの価値が増していくという話が興味深かった。
個人的には、現代のテクノロジーの潮流をニュースなどから読み解くのが難しいため、世の中を俯瞰できるという意味でいい本だった。しかしながら自分の中ではまだまだ消化不良な部分が -
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テクノロジーの発展は、人間が恣意的に主導してきたものではなくテクノロジーそのものが内在的に自己組織化し、必然的に行われるものであるという刺激的な主張が展開される。
天文学的な確率でしか発生しない形質が別々の進化系統で同様に発生すること。
歴史を変えるような発明が、必ず同時多発的に同様の発明(と、一番手を主張する争い)と共に出現すること。
こういった事実を眺めていると、なるほどテクノロジーそのものに必然的な発展が織り込まれているという主張にも説得力を感じる。
アーミッシュが、むしろ通常の都市生活者よりもうまくテクノロジーと向き合っているというような話は著者のバックグラウンドによる偏りを感じる -
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・いまこの瞬間に始めるべきだ。いまこそが、未来の人々が振り返って、「あの頃に生きて戻れれば!」と言うときなのだ
・コミュニケーションテクノロジーはすべてをオンデマンドで動かそうとする力が働いている。そしてオンデマンドには、所有よりもアクセスへと向かう力が働いているのだ
・インタークラウドを動かす何百万ものサーバーの中で走る何億行ものコードがフィルターにフィルターを重ねることで、われわら自身を蒸留してその特異な部分を抽出し、個性を最適化してくれる
・テクノロジーの未来は、かなりの部分、新しいインタラクションをどう発見していくかにかかっている。これから30年の間に、きちんとインタラクションしないも -
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・消費者が突然こうして生産に関わりだすのは驚き。それは馬車と同様に遠い昔に滅んでいる。
・所有することは昔ほど重要ではなくなっている。その一方でアクセスすることは、かつてないほど重要になってきている。
・プロダクトは所有を促すものだが、サービスは所有する気をくじく-というのも所有という特権を伴う排他性、コントロール、責任といった足かせがサービスにはないから。
・自分にぴったりの五つ星の映画は一生に見切れないほどある。カッコいいウェブサイトも見て回る時間が足りないほどある。自分が好きだとわかっているものがもっと手元に届いてほしい。レコメンドエンジンとしてのフィルターが必要。 -
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ワイアードの創刊編集長ケヴィンケリー。彼が若い頃に途上国を旅したテクノロジーを排して生きるミニマリストだったとわw そういう時間を過ごしたからこそ、テクノロジーのありがたみをわかる。
ひどいアイデアに対する正しい反応は思考停止ではない。よりよいアイデアを思いつくことだ。何のアイデアもないより悪いアイデアがあったほうがいい。少なくともそれを修正すればいい。
禁止ではなく方向転換。禁止したり放棄するだけではうまくいかない。それより新しい働きを見つけた方がいい。テクノロジーの表現は一つではない。色々な初期値を持ちうる。政治的にも役割は複数ある。禁止するよりテクノロジーの方向性を変えてもっと共 -
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ザ・名言集。
500の言葉という事で、勇気づけてくれたり励ましてくれたりするような言葉の羅列。「どこかにあなたに響く名言があるはず」という狙いで、思惑通り、いくつか良い文章との出会いがある。これは恐らくコンディションや人によって異なるので、是非、良い言葉との出会いを求めながらページを捲ってみてはいかがだろうか。
そして私は例によって恥ずかしげもなく、一部の紹介という意味で「響いた言葉」を引用してみる。
ー あなたが誰かを許したのに相手が気づかなかったとしてもあなた自身が癒やされる。許すことは他人のためではない。それは自分への贈り物なのだ。
いつもモヤモヤしながら、口に出しもせず許したつ -
Posted by ブクログ
新書でインタビュースタイルなのであっと言う間に読めました。理想を言えばケヴィン・ケリー自身が時間をかけて執筆した本を読みたかったとは思うのですが、本書からもケリーの主張が良くわかるので、その意味では良書だと思いました。率直な印象を述べると、内容自体については60~70%共感したという感じではあったものの(これは読者によって大きく違うでしょう)、議論の進め方、読者の印象に残るような語り口は本当に秀逸だと思いました。
ケリーは5000日(約13年)という単位を一区切りに歴史を語りますが、これが記憶に残りやすい。いまから5000日前を振り返ると、SNSがよちよち歩きをし始めた時期であるという話をし