高山ちあきのレビュー一覧
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ネタバレ本当に怖いのは祟りをもたらすという「おひれさま」そのものか。
それとも「おひれさま」を盲信して何でも、本当に何でもやってしまう島の人たちか。
そもそも「おひれさま」の祟りは本物なのか。
因習に囚われた島と、その因習から脱出しようと足掻く若者たちの物語。
人魚である「おひれさま」は迷信の存在なのかなと思っていたら、作中にさらっと、実にさらっと実在のものとして出てきたので、結構驚いた。
驚いたと言えば、島の子供たち(といっても成人はしているが)の考え方が、因習からの脱却側に傾いていたことも。
因習の実像は語られるが、それで全てを説明された訳でもないし、問題が十全解決する訳でもない。
確かに若者たちは脱却を図った。
ただその結果が分かるのは、本編より後になりそうだ。
そもそも「おひれさま」が実在している点、「因習通り」惹かれあってしまった恋人たち、そして脱却前の結果だけを見るなら「因習通り」な点から考えると、簡単に逃れられないようにも思える。
主人公たちは自分たちで終わらせると確固たる意志でいるが、その未来を明確に語られていない以上、読み手側が好きに解釈できる仕様。
「おひれさま」の最後の行動も真逆の解釈が可能なので、読み手によって印象も解釈も変わる物語だと思う。
自分としては、無事の脱却を願うばかり。
犠牲になってしまった彼女が願った通りに。 -
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シリーズ第三弾。
異世界の湯屋〈高天原〉で下働きを続けている凛子。
ある日、人間界から来たという娘・七緒が凛子の元に預けられます。
彼女は死んだ恋人の子を身ごもっているのですが、それ以外の記憶を失っているとのこと。
そんな七緒を京之介は人間ではなく妖だと見抜きますが・・。
〈高天原〉に害をなそうとしていた黒幕が明かされ、京之介の過去や件の黒幕・入道との因縁、そして京之介の異母弟・天月の事など、これまでの伏線が一気に回収されていく展開でございました。
実は私、前巻まで一連の悪事の黒幕が京之介の弟では?と勝手に憶測していたのですが、蓋を開けると弟の天月は、ブラコンを拗らせた万年反抗期なヤツなだけで、ある意味入道にそそのかされて利用されていたような感じでした。
それにしても京之介と彼の母上の過去が悲しすぎです。
辛い幼少期を送ってきた苦労人の京之介・・・いつも涼し気な彼の背景の壮絶さに、"これは、是が非でも京之介に幸せになってもらわねば!"と思わずにいられなかった私です。
さて、京之介や彼の父を恨んでいる入道の卑劣な攻撃に〈高天原〉はピンチに陥りますが、思わぬ”切り札”のおかげで無事に乗り切ることができて、一件落着で何よりでした。
いやぁ、ハラハラしましたが、七緒さんのまさかの正体が"逆転"の鍵となりましたね。
そして、肝心の凛子と京之介の仲ですが、凛子が京之介への想いを自覚して、夫婦として彼の側にいることを決意するという、めでたしめでたしの甘々なラストでございました~。
そんな訳で大団円という感じで終わったこの巻。
これでシリーズ完結なのですかね?
できれば〈高天原〉の女将として活躍する凛子の姿も見たいので、番外編とか書いて頂ければ嬉しいです~。 -
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シリーズ第二弾。
人間界に戻り、ハーブ専門店で働き始めた凛子。
リフレッシュに訪れた箱根で温泉を満喫していると、異世界温泉郷の薬屋・卯月が現れ、狗神・京之介が窮地であることを告げられます。
凛子は京之介を救う為、またしても異世界の湯屋〈高天原〉に連れ戻されることに・・・。
再び〈高天原〉に舞い戻った凛子。
京之介がかけられた濡れ衣を晴らすことはできたものの、実はまだ彼との離婚は成立しておらず("里帰り"扱いだったらしい)、改めて手切れ金を貯める為〈高天原〉の下働きをする羽目に。
そんな中、人間界から何者かに攫われて温泉郷に迷い込んだ少年・翔太君が〈高天原〉に連れてこられ、凛子が預かることになります。
京之介の冤罪事件の裏に垣間見える〈高天原〉を陥れようとする企みに巻き込まれて、凛子自身も翔太君と共に悪党に攫われてしまったりと、危ない目にあいながらも、何だかんだで異世界温泉郷に馴染んでいる感じですよね。(〈高天原〉で働くあやかし達に"おかえり"と言われていたし)
そして、京之介が人間とのハーフだったことや、彼の首に巻かれている呪糸の件等・・彼のプライベートも少しずつ明らかになり、凛子も徐々に京之介に好意を抱き始めている模様です。
一方、前巻で凛子に助けられた、郷奉行所の与力・白虎の征良さんも凛子に"ホの字(古っ)"なようで・・・純情な征良さんの言動に、思わず口元が緩んでしまう私でした。
さて、今回の事件の"表向き"の悪党どもは捕縛されましたが、まだ別に"黒幕"がいるようですね。
こちらについては、結構わかりやすいフラグが立っていたので予測できちゃうのですが、恐らく京之介に関係する"あの人"(あ、「人」でなくて「妖」ですね・・)ではないか?と、目星をつけております。
凛子と京之介の仲がどうなるのか(あ、征良さんも頑張って!)、次巻の展開が楽しみです~。 -
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黄泉平坂にある不思議な温泉郷が舞台の、あやかしお仕事(?)エンタメ。
アルバイト先のハーブカフェに正社員として雇ってもらうはずが、とある事情で反故になってしまった凛子。
傷心を癒す為に訪れていた温泉旅館の露天風呂に入っていたところ、いつの間にかあやかしの世界に連れ込まれ、狗神・京之介と婚礼を挙げたことになっていて・・。
さて、知らん間に狗神の嫁にさせられた凛子は、人間界に戻る為の“手切れ金”(そこは金で解決なんですねw)を貯める為に、(勝手に)夫となった狗神の京之介が営む湯屋〈高天原〉で下働きをすることに・・という展開で、“人間が異世界の湯屋で働く”という設定は『〇と〇尋の〇隠し』を彷彿とさせるものがありますね。
で、湯屋で働くことになったものの、番頭の白峰さんをはじめ、周りのあやかし達は基本人間に対して冷ややかで、最初は完全アウェイな状況だった凛子ですが、持ち前のハーブの知識を活かして、湯屋の薬湯やハーブ湯を調合するようになり、何だかんだで活き活きと湯屋での仕事に取り組んでいる様が微笑ましいです。
凛子は人間界で結構辛い思いをしてきていてるので、異世界とはいえ、元々ハーブ(生薬)や温泉好きだった凛子にとって〈高天原〉での仕事は自分の好きな事を活かせる環境ではあるし、京之介さんも狗神だけどイケメンで基本優しい(時々、妖怪ならではの怖さを見せるけど)ので、敢えてしょっぱい人間界に戻らなくても良くね・・?なんて思ってしまうのですが、凛子的にはそうもいかないようでして。
後半は、凛子と共に“人間”の下働き仲間だった沙世さんの思わぬ行動で、切ない流れになったりと、“ほっこり”ばかりではないですが、湯屋での気持ちよさそうな薬湯の描写に、私も温泉でまったりしたくなりました。
京之介さんとの距離が近づくような、そうでもないような微妙さを保ったまま、ラストは何だかあっさり着地したなと思っていたら、どうやら続編が出ているようですね。(てかシリーズ化している?)
ということで、そちらも折を見て読んでみようと思います~。 -
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ネタバレ弟くんのことを探りに乗り込んだはずが(それに今住んでいるところの現状を訴えるのも追加)謎ばかりが増えていき、最終的には弟どころではない騒動に巻き込まれてしまい、それを解決するのに手一杯で、本来の件は解決しないまま終わってしまった印象。
弟くんの行方は?
母方の血筋の謎は?
そして、閻魔様を引きずりおろそうとしている勢力の正体は?
二人の恋愛未満な関係性もどうなるの?
地獄の制度やら風景やら世界観の紹介にページ数が割かれて、序章的な話のように感じた。
もしくは読み切り漫画のような。
事件の取り敢えずの解決だけでなく、本来の目的や恋愛面で何かしらの決着が個人的には欲しかった。 -
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ネタバレ社食が美味しそうで楽しそうなのは羨ましい限り。
自分のところは、作中にも出てきた昔ながらの質より量より派なので、女性だと利用しづらい場所。
こういう社食は憧れである。
出てくるメニューも割と細やかに描写されているので、どのメニューも本当に美味しそうだった。
特に昔ながらのナポリタンは作中食べてみたいナンバーワンメニュー。
関わるエピソードも含めて、一番印象深い話。
恋はなかなか実らないものと、しみじみ思った。
杏子が再会を願っている「藤の君」が誰なのか。
社食に関わる騒動の最中でも、彼探しを諦めていない彼女である。
その割に、その恋愛フラグは最後まで立ったような立たないような、中途半端な感じになってしまうが。
頑なに社員証を出さないキャラがいるし、ある意味王道的な展開なので、「藤の君」が誰なのか想像はつく。
つくのだが、核心的なところまでは結局ツッコミを入れきれないまま終わってしまって、ちょっと物足りなかった。
恋愛話よりは、美味しい社食に関わるお仕事小説としての方に重きが置かれている、そんな感じがした。
それが証拠に、杏子の視点ばかりではなく、第三者の視点で進む場面もそれなりにある。
そこが面白くもあり、同時にもったいない部分でもあったと思う。
第三者の視点を入れるのなら、社食メンバーも多数いるのだから、彼らの誰かを主軸にして主人公交代制でも面白かったかも。 -
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ネタバレいやなことがあっても、お風呂に入ると癒される。卒業後に正社員となるはずだったハーブカフェを辞めることになり、心身を癒すために奥出雲の温泉を訪れていた凛子。
温泉に突然現れた着物を着た男に手首を掴まれたとたん、気がつくと不思議な温泉街で狗神と婚礼をあげたことになっていた。
人間の郷に戻るには手切れ金を貯めて離縁しなければならないと言われ、夫である狗神・京之介が営む湯屋で下働きをすることに。
様々なあやかしが訪れる湯屋・高天原で働き始めた凛子だが、周囲の妖は凛子に冷たくて。
お茶汲みの鬼娘、湯守頭の百爺、耳の尖った番頭。
ハーブの知識を活かして、百爺の下で薬湯を調合することになった凛子。
かなーりセンの出てくるアレを思い出してしまうけど、ハーブで作る薬湯を試したくなる。
杏仁霜とローズマリーのにごり湯、日本酒と蓬の湯。家でもできそう?
人間の郷への未練が起こす事件と、妖の残酷さ。
凛子を望んだはずの京之介の気持ちが読めないから、凛子と一緒に期待したり落ち込んだり。
ラストはちょっと肩透かしな感じだけど、続編があるようなので、次巻以降へ期待、かな。 -
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いなくなった父親、就職できない自分。
なかなかにハードな状況ですが、文具屋の店主によって
色々といい方向へ?
連続短編集で、最初は父親の万年筆について。
2話目は火災によって別々に暮らしている夫婦。
最後は、行方不明になっていた父親について。
子供の嘘は、どうしてばれてしまうのでしょう?
それほど親がきちんと見ている、という証拠かと。
わだかまっていたものが解れ、良かったね、ですが
背後に父親の不器用な優しさが見え隠れしていますw
地の特訓に付き合ってくれた時点で
いい父親、ではあると思いますが。
2話目は、バイト仲間の境遇。
やってきたお客さんと同じ状況なのに、見知らぬ他人。
そうそうこんな事なかろうに…と思っていたら。
座る席が埋まれば、自ずと残りがもしや、と思いますが
展開的に面白かったです。
貴金属を溶かすのには、かなり時間がかかるかと(笑)
そして最初から引っ張っていた、父親の失踪。
見つかったけれど…でしたが、この状態になった人は
こんな感じになってしまうのでしょうか?
漠然としか分かりませんが、確かに怖い。
それが知り合いなのか、知らない人なのか。
少しでもすがれる、分かる情報があるというのは
どれほど大事な事なのでしょう?
ここからやり直し、の裏事情が出てくるわけですが
そこに居てくれるだけで嬉しい、になったようです。
そして最大の謎である、店主の事。
先代店主の発言は、本当なのか痴呆なのか。
どちらに転んでも、かなり面白いですw