パトリシア・ハイスミスのレビュー一覧

  • キャロル

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    ハイスミスにとって本作は、イーヴリン・ウォーにとっての『ブライヅヘッドふたたび』みたいなものか。作家にとって異色作ということでも、同性愛を、はっきりと描くと、仄めかす程度の差はあれど、描いているという点で。静寂を感じた。ロードノヴェルの面はあるが、私立探偵との対決以外はこれといった事件は起きないし。テレーズが女優に惹かれる場面があるが、ということは、彼女はたまたま恋したキャロルが女性だったという訳ではなく、元々その傾向があって、それをキャロルが引き出したということ?キャロルはバイセクシャルかな。

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    2017年05月31日
  • キャロル

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    ネタバレ

    ハイスミスは、本格ミステリ、暗いミステリ、と思っていて読んでいなかったのだけれど、この作品はミステリではなくて恋愛モノ、ときいて、しかもものすごく評判がいいし、映画のほうの評判もすごくいいので読んでみたんだけど、評判どおり、すごくよかった。まったくミステリではなくて、文章も純文学っぽく、雰囲気があって、美しい。

    主人公テレーズがデパートの売り子っていうのはきいていたけど、舞台美術家志望ってきいたらもっと早く読んだかも。舞台の話がちょっと出てきたり、彼女がセットの模型つくったりしているのが楽しい。時代は1950年代、そのころのニューヨークのデパートや街の雰囲気、ふたりが旅するいろいろな街のホテ

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    2016年12月18日
  • キャロル

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    テレーズとキャロル、年齢や環境も異なる2人の女性の出会いと愛を描いた一作。
    芸術関連の夢を持ちつつ、そういった人におおそうな現実とのギャップで
    若さの割にややくたびれた印象のあるテレーズ。
    そして、そんな彼女と出会うキャロルも、
    上品な美しさと裏腹に、グラグラした夫婦関係に陰りが見えて…。

    ふたりの眩い煌きを感じる出会い、
    そして手紙を通して距離を縮めていく様子は、
    ふたりが同性ということを除いても特別な高揚感があります。
    キャロルとの出会いまでに灰色く濁った空気が漂っていたテレーズの日常だけに、その輝きは一層強い。


    しかしその後の、夫婦、男の誇りに振り回され、今一歩踏み出せない関係と、

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    2016年11月09日
  • 太陽がいっぱい

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    以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。

    有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talented Mr.Ripley(才能あるリプリー)」。このタイトルのままだったら、きっとあの映画は日本ではそんなに流行らなかっただろう。
    「太陽がいっぱい」、このタイトルは素敵だと思う。
    リプリーが憧れたディッキーの暮らすイタリアの太陽の眩しさと、ディッキーそのものが眩しく見えたリプリーの思いとが重なっており、実に見事だと思

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    2016年07月02日
  • 太陽がいっぱい

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    もっと他に良い邦題タイトルがあっただろうと思う。
    イタリアでの晴天の下でヨットに乗ったり、酒を飲んだりする生活はとても明るくタイトルに相応しいが、あくまでこれは序章に過ぎない。

    放蕩息子の生活に嫉妬した主人公の生活に嫉妬した主人公が息子を殺害し、その息子に成りかわって生活をするというストーリーへと進んでいく。

    主人公が正義のために犯罪を犯したりする設定は割とあるが、単純に自分の欲のために殺人を犯すというのは珍しい気もする。

    後半からは他人へのなりすましがばれるかばれないかの瀬戸際にハラハラさせられる。果たしてばれずに逃げおおせることができるのか・・・

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    2026年02月08日
  • キャロル

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    クリスマスまでに読み切れて良かった。
    キャロルも指摘していたような、テレーズの視野の狭さとそれを通してしか人を理解しようとしない若さ、が気になりはしたけど後半の転換が好きでした。
    幸せな一夜が明けてこの情景の隅々までも永遠に忘れはしないだろうという感情、
    人を愛することの持続性への不安感、
    終わりを実感する前に今後あり得るはずだった思い出を想像する切なさ、
    ほんの始まりでしかなく ほんの短い間でしかなかったということ。それでも二人にとってはそれが真実であること。

    幸せになってほしいと思えるラストでした。

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    2025年12月23日
  • 太陽がいっぱい

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    アラン・ドロンの同名映画も知らず、そのリメイク版『リプリー』も知らず、海外文学が最近読みたいのと、版元が河出、カバーの絵のセンスから読もうと手に取った1冊。青く未熟で自意識過剰なトムの逃亡劇。なかなか良かったです。シリーズ化されてるらしいので続きを読みたい。

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    2025年11月19日
  • 贋作

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    『太陽がいっぱい』のリプリーに、続編があったなんて。前作から6年後を描いた第二作。

    舞台は前作の明るいイタリアから一転して、太陽の少ない冬のフランスへ。
    リプリーはフランスの大富豪の娘と結婚し、優雅な生活を手に入れた…はずなのに、またしても悪事に手を出し、天才画家の贋作販売をしている。

    え?なんでよ?せっかく憧れの生活を送れるようになったのに…。
    お金と幸せを手に入れても、リプリーの本質部分は全く変わってなかった。
    それにしても、またもや大富豪の娘に気に入られるとは、やっぱりその才能はすごい。

    「贋作を描こうとする努力が、最後には努力の域を脱し、その作品が第二の本性になるのではないだろう

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    2025年09月05日
  • 見知らぬ乗客

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    〈交換殺人〉の元祖といわれる作品。
    列車内で偶然出会った、富豪の息子ブルーノと建築家のガイ。
    「ぼくはあなたの奥さんを殺し、あなたはぼくの親父を殺す」とブルーノが提案するが…。

    交換殺人で完全犯罪を目論む本格ミステリーだと思っていたら、物語はどんどん違う方向へ進んでいった。
    解説によると、「自分がミステリ作家だと認識していなかったらしいハイスミスにとっては、それがトリックだという発想すらなかった可能性がある。」と書いてあって、本当そうだよね…と納得した。
    せっかく交換殺人という面白いトリックを思いついたのに、そこには焦点を当てていない。

    ここからはネタバレしてます。
    ご注意ください。


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    2024年12月26日
  • サスペンス小説の書き方

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    「第1章ではアクションの筋道を見せる」「行き詰まったときは大元に立ち返る」といった点や視点に関する話など、参考になる部分が多かった。筆者がどのようにストーリーを書き換える必要があったのか、という体験談には納得感があった。

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    2024年08月10日
  • 見知らぬ乗客

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    初めてのハイスミスである。ハイスミスと言えばアラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」である。
    テレビ放映された時に観て、ラストのシーンが秀逸過ぎて子供心に深く焼き付いた。
    いつかは、手に取って読んでみたい小説だとは思っていた
    今回、ピーター・スワンソンの「そしてミランダを殺す」を読んだ事で、この作品を手に取った。
    勝手に小説の内容をミステリーと思って読み始めたが、これはサスペンス小説だったため、思っていた感じでは無かった。
    他の方のレビューにも有るが、主人公二人の感情に着いて行けず、とても読みづらかった
    そして、主人公たちの考え方などに、とてもイライラさせられた
    善悪とは、生きるとはとか、まるで

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    2024年05月19日
  • 太陽がいっぱい

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     1955年作。
     1960年、ルネ・クレマン監督による、アラン・ドロン主演の映画が名作としてすこぶる有名で、「太陽がいっぱい Plein Soleil」というタイトルはこの映画によるもの。小説の原題は「才能あるリプリー氏」という、ちょっとつまらなそうなタイトルである。
     犯罪サスペンスもの、ということになる。全体の3分の1辺りで主人公トム・リプリーが殺人を犯して、そこからサスペンス風になる。が、私は何となくこの小説に没入できなかった。主人公の性格が曖昧でとりとめなく思われ、その心の動きに近づくことが難しかったせいだろう。
    「犯罪を犯したのちの、追い詰められる切迫感」は、もっとシンプルな描写の

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    2023年05月02日
  • キャロル

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    映画が高評価だったことを覚えていたので、原作を読んでみたくなり手に取りました。
    主人公のテレーズが好きになれませんでした。醜さをとても嫌うところ、不安定すぎるところ…。登場人物が好きになれなくても物語として面白ければ良いはずなんですが、私にはひっかかるところが多すぎたみたいで合わなかったです。
    映画で観るとまた印象が違いそうなので、そちらも観てみたいです。

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    2023年02月05日
  • 太陽がいっぱい

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    1960年にルネ・クレマン監督/アラン・ドロン主演で映画化(1999年「リプリー」として原作をほぼ忠実にリメイク)されたことにより、ハイスミスの最も有名な作品となった。1955年発表作だが、全編独特なトーンを持ち、時代を感じさせない。物語の舞台として、当時のローマ、カプリ、ベネツィアなどの名所を巡るため、観光ガイドとしても有用かもしれない。よく知られた粗筋は省略するが、先の映画とは随分と印象が違う。饒舌で冗長。犯罪小説と呼ぶには文学に偏り過ぎ、文学と称するには青臭い生硬さがある。

    主人公は、アメリカ人トム・リプリー25歳。幼い頃に両親を亡くし、守銭奴の叔母に育てられた。生い立ちは殆ど語らず、

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    2021年09月25日
  • 太陽がいっぱい

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    かつてはアラン・ドロン主演で映画になり大ヒットし、最近はマット・デイモンが主演してリメイク(題名は「リプリー」)された映画の原作。
    アメリカ人の青年トム・リプリーは家柄も地位も定職も持たず、薄汚れた部屋で、その月の部屋代にも事欠く生活をしていたが、友人のディッキー・グリーンリーフを連れて戻るようディッキーの父親に頼まれてヨーロッパに渡る。
    ディッキーの父親は造船会社を経営する資産家で、ディッキーはその御曹司。
    自分の生い立ちに比べて恵まれすぎているディッキー。トムは父親から渡された報酬が目当てでいたが、ディッキーに対する嫉妬心からか、ディッキーを殺してしまう。
    殺人の隠蔽のためにトムはディッキ

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    2020年11月01日
  • 見知らぬ乗客

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    ネタバレ

    交換殺人がメインテーマかと思いきや、ガイとブルーノの愛憎模様や葛藤などの心理描写がメインだった。

    勝手に殺人を犯した末に脅迫してくるブルーノをガイは憎しみつつも愛してると言ったりどんどん情緒が不安定になっていく様は読んでてこちらも不安な気持ちにさせる。

    ブルーノは一貫してガイに執着してたので(最後はアル中になって余計言動がひどくなったけど)わかりやすかったけど、ガイの気持ちは上がったり下がったり揺らぎすぎてて掴みづらかった。
    普通に生活してた人間がこういう風に追い詰められればこうなってしまうものなのかなとも思ったけど。

    ブルーノの最期は呆気なかったけどガイのしめかたは良かった。

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    2019年09月08日
  • アメリカの友人

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    太陽がいっぱいは、名前くらいは知ってるけど、実際の中身はよく知らない。と思う。
    というわけで、続編として読むんではなく、単に新しい話として読ませていただいたわけで。
    でもって、背表紙に書いてある、天才的犯罪者、というところも読んだうえで、判断させてもらうならば。
    天才っていうか完全に行き当たりばったりの人生じゃないか。もしかしたらデビュー当時はそういう設定でうまくいってたかもしれんけども、今はもう往事の面影もなく、なんていうか単に勢いで生きてる感じで。普通に自分の家で殺しもやるわ、人んちでも何も考えずに殺すし、コナン君いなくてもどうにかなるっしょ、これ。
    でも学ぶところがあるとすれば、ともかく

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    2019年04月22日
  • 見知らぬ乗客

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    読むのに3ヶ月かかった。登場人物の感情の動きが激しくてついていけない。相手を嫌いだと思ったら次には好きになったり…。読んでいて疲れるし感情移入できない。

    本書はブルーノという金持ちのドラ息子・アル中・ホモ・マザコンの悪魔がガイという男を洗脳し狂気に陥らせるサスペンス。ブルーノはサイコパスである。ガイ自身最後の最後でそう表現している。そのためブルーノ自身の心境を語ったページは全く理解できないしそんなブルーノに愛憎入り交じった感情をいだくガイも理解しがたい。

    これでブルーノが女だったら悪女に引き寄せられる男(ガイ)の感情だと理解もできるが、なぜこんなサイコパスの言いなりになって遠ざけられな

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    2019年02月07日
  • キャロル

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    人並みに嫉妬したり、恋に思い悩むテレーズが愛おしくなった。
    キャロルに対する評価が定まるのは、中盤以降。実はテレーズへの愛に溢れていて、そして人間臭いところがたまらない。

    愛すべき二人が車でアメリカ横断旅行(?)に出るって、すごく映画的と言うか、おしゃれだなと思ってしまった。

    単なる恋愛小説ではないのは、テレーズには男性のお相手がいて、キャロルには元夫と娘がいたことかもしれない。いわゆるLの世界的な「イケてるビアン達の都会ライフ」とは全く違うお話になっているw

    テレーズとキャロルの関係が監視されて、娘の親権争いに利用されるのは、ゲイとしては非常に苦しい気持ちになってしまった。
    子どもの幸

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    2019年01月27日
  • キャロル

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    パトリシアハイスミスの作品にはイヤミスというか丑の刻参りというか黒い憎悪を想像しがちですが、これは普通に恋愛物でした。舞台美術の仕事に進もうとしてる若い女性と、魅力的な主婦を巡る話。この二人が自分の気持ちに素直で後ろめたさを感じていない。
    さすがに会話などは洗練されてる。

    「古典になる条件って何だと思う?「時代を超越した業を描く物だと思います」「人は得てして別の方法で探した方がずっと見つけやすい物をセックスを通じて見つけようとする」

    かなり若い頃に書かれた作品のようだが、さすが巨匠になる人は違う。

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    2018年10月07日