パトリシア・ハイスミスのレビュー一覧

  • 死者と踊るリプリー

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    ネタバレ

    "天才犯罪者、最後の物語”

    リプリーの数々の悪が暴かれ、異常な日常が崩壊する様を
    目の当たりにできるのか、というわけではない。
    作者が亡くなったからシリーズが終わってしまった、
    というだけ。
    リプリーは過去の犯罪の暴露の危機(?)に
    『ジワジワ』『執拗に』追い回されて
    怯えたり焦ったりするかと思いきや、鬱陶しいと
    イラついたり、妙に興奮したり、解決するために
    助力とを準備したり、でも日常はあくまで平穏に
    普通の人として過ごしている。
    過去が暴かれることより、日常が乱されることの方が
    問題の様だ。
    純粋で、俗で、あまりに普通なマダム・アネット
    (癒し系)があってリプリーの危ういバラン

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    2018年10月16日
  • リプリーをまねた少年

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    少年はリプリーの何に共感したのか。リプリーは少年の何に共感したのか。それは自由の渇望か。
    本作のリプリーは悪事に手を染める、悪事に飛び込むのではなく、少年が悪に飲み込まれ溺れるのを救い出そうとしているように見える。
    少年が迎えた結末を考えると、リプリーが死と悪の狂気に陥らずにすんでいるのは、献身的で善良に見えるマダム・アネットと、悪に対してもおおらかで飲み込んでしまうエロイーズ、つまり母なる女性の存在なのかもしれない。

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    2018年08月27日
  • 贋作

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    ミステリーというのか犯罪小説というのか。
    悪事を働いて置きながら、自分本位な理屈で、解決方法として簡単に人を殺める。
    露見しそうな時にでも、逆に、隠しごとを誰かと共有できることすら、ギリギリのラインでどこか喜びを感じていたり、
    すべては自らの脚本、監督、主演による劇の一幕。
    生まれながらの悪党が覚醒したかのよう。

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    2018年07月31日
  • 見知らぬ乗客

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    同性愛的な空気、エディプスコンプレックス
    母親を女性の理想・幻想とする雰囲気もあるが、
    独善、偏執、執拗、鬼気、狂気
    勝手に過度な共感愛情愛着、歪み狂った感情を
    スマートに凶暴にあいてに流し込み、ぶつけ
    自身の破滅だけではなく、相手の破滅も
    愛ゆえに呼び込んでしまう、身勝手への不愉快さ。
    巻き込まれ、追い込まれ、抗いながらも
    狂気の世界に踏み込んで、泥沼から抜け出せず
    ズブズブと深みに入り込み、破滅へ向かう苦しさ。
    ラストは本当にこれまでの世界がボロボロと崩れ落ちて
    行くような感覚を覚えるが、
    どこで、どの時点で、どうすればよかったのかではなく、
    出会わなければよかった、出会ってしまった時点で

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    2018年02月06日
  • キャロル

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    ネタバレ

    女性が女性をあんなに好きになってしまう・・・
    分からないでもないけれど、イマイチ共感できない。
    男女間の恋愛とはやっぱり違うんだろうなとは思う。

    それでも最後までドキドキが止まらない。

    文章がきれいで(翻訳者のおかげで?)そういった偏見や嫌悪缶など持たずに読めた。
    私も10代のころならきっとこの本が人生のBEST10に入ったのかも。

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    2017年06月12日
  • 太陽がいっぱい

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    以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。

    有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talented Mr.Ripley(才能あるリプリー)」。このタイトルのままだったら、きっとあの映画は日本ではそんなに流行らなかっただろう。
    「太陽がいっぱい」、このタイトルは素敵だと思う。
    リプリーが憧れたディッキーの暮らすイタリアの太陽の眩しさと、ディッキーそのものが眩しく見えたリプリーの思いとが重なっており、実に見事だと思

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    2016年07月02日
  • アメリカの友人

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    リプリーシリーズ5部作中の3作目。
    リプリーの最後が気になって、途中をすっ飛ばして先に最終作を読んでしまったので、今回は3作目に戻ってゆっくり楽しむ。

    病気で余命が少ないジョナサンが、病院の検査結果を待つたびに感じる不安には、読んでいるこちらまで苦しくなる。
    病と生活苦を抱えるジョナサンと、何不自由なく優雅な生活を送るリプリーが対照的に描かれる。

    誠実に生きてきたジョナサンと、平然と危険なことに手を染めるリプリーが並ぶと、リプリーはまるでプロの殺し屋のよう。
    そんな二人の間に生まれる奇妙な関係がなんともハイスミスらしい。

    1作目『太陽がいっぱい』では嫌悪感しかなかったリプリーだけど、読み

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    2026年08月22日
  • 太陽がいっぱい

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    ネタバレ

    キャロルに続いてのハイスミスの作品。
    これまた全然違った雰囲気なんだけど、翻訳物と忘れるほどの読みやすさ!
    ストーリーはテンポよく進むんだけど、なんで直ぐに罪を犯すんだ、理解できんぞって気持ちで読んでいた。
    ラストもこう言った作品には珍しいのでは??
    贋作も読むか悩む〜

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    2026年08月21日
  • キャロル

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    クリスマスに起きたサスペンスもの?と勝手に思っていたが全く違った。女性同士の恋愛の始まりから、抱えてる事情や葛藤が綿密に粛々と語られている話だった。現在は多様化や許容の土壌が一応あるが、昔は同性愛者は村八分にされて社会的に終わりとなる時代の中で書かれた小説という点が評価されるポイントなのかなと思った。

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    2026年08月17日
  • 見知らぬ乗客

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    「めくるめくストーリー展開でページを捲る手が止まらない〜!」を想像していたのだが、展開はゆっくりで目が釘付けになるようなヒヤヒヤアクションは少なめ。列車の中で取引が成立してから諸々の物語が始まるのかと思ったが、成立しないまま列車を降りてからのスタート。「そうはならんでしょう~え~?」というこじ付けっぽい流れで話が進むところや、主人公2人の内面にスポットが当たりすぎなところが私には物足りなかった。文章は読みやすい。

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    2026年05月31日
  • 太陽がいっぱい

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    もっと他に良い邦題タイトルがあっただろうと思う。
    イタリアでの晴天の下でヨットに乗ったり、酒を飲んだりする生活はとても明るくタイトルに相応しいが、あくまでこれは序章に過ぎない。

    放蕩息子の生活に嫉妬した主人公の生活に嫉妬した主人公が息子を殺害し、その息子に成りかわって生活をするというストーリーへと進んでいく。

    主人公が正義のために犯罪を犯したりする設定は割とあるが、単純に自分の欲のために殺人を犯すというのは珍しい気もする。

    後半からは他人へのなりすましがばれるかばれないかの瀬戸際にハラハラさせられる。果たしてばれずに逃げおおせることができるのか・・・

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    2026年02月08日
  • キャロル

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    クリスマスまでに読み切れて良かった。
    キャロルも指摘していたような、テレーズの視野の狭さとそれを通してしか人を理解しようとしない若さ、が気になりはしたけど後半の転換が好きでした。
    幸せな一夜が明けてこの情景の隅々までも永遠に忘れはしないだろうという感情、
    人を愛することの持続性への不安感、
    終わりを実感する前に今後あり得るはずだった思い出を想像する切なさ、
    ほんの始まりでしかなく ほんの短い間でしかなかったということ。それでも二人にとってはそれが真実であること。

    幸せになってほしいと思えるラストでした。

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    2025年12月23日
  • 太陽がいっぱい

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    アラン・ドロンの同名映画も知らず、そのリメイク版『リプリー』も知らず、海外文学が最近読みたいのと、版元が河出、カバーの絵のセンスから読もうと手に取った1冊。青く未熟で自意識過剰なトムの逃亡劇。なかなか良かったです。シリーズ化されてるらしいので続きを読みたい。

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    2025年11月19日
  • 贋作

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    『太陽がいっぱい』のリプリーに、続編があったなんて。前作から6年後を描いた第二作。

    舞台は前作の明るいイタリアから一転して、太陽の少ない冬のフランスへ。
    リプリーはフランスの大富豪の娘と結婚し、優雅な生活を手に入れた…はずなのに、またしても悪事に手を出し、天才画家の贋作販売をしている。

    え?なんでよ?せっかく憧れの生活を送れるようになったのに…。
    お金と幸せを手に入れても、リプリーの本質部分は全く変わってなかった。
    それにしても、またもや大富豪の娘に気に入られるとは、やっぱりその才能はすごい。

    「贋作を描こうとする努力が、最後には努力の域を脱し、その作品が第二の本性になるのではないだろう

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    2025年09月05日
  • 見知らぬ乗客

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    〈交換殺人〉の元祖といわれる作品。
    列車内で偶然出会った、富豪の息子ブルーノと建築家のガイ。
    「ぼくはあなたの奥さんを殺し、あなたはぼくの親父を殺す」とブルーノが提案するが…。

    交換殺人で完全犯罪を目論む本格ミステリーだと思っていたら、物語はどんどん違う方向へ進んでいった。
    解説によると、「自分がミステリ作家だと認識していなかったらしいハイスミスにとっては、それがトリックだという発想すらなかった可能性がある。」と書いてあって、本当そうだよね…と納得した。
    せっかく交換殺人という面白いトリックを思いついたのに、そこには焦点を当てていない。

    ここからはネタバレしてます。
    ご注意ください。


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    2024年12月26日
  • サスペンス小説の書き方

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    「第1章ではアクションの筋道を見せる」「行き詰まったときは大元に立ち返る」といった点や視点に関する話など、参考になる部分が多かった。筆者がどのようにストーリーを書き換える必要があったのか、という体験談には納得感があった。

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    2024年08月10日
  • 見知らぬ乗客

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    初めてのハイスミスである。ハイスミスと言えばアラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」である。
    テレビ放映された時に観て、ラストのシーンが秀逸過ぎて子供心に深く焼き付いた。
    いつかは、手に取って読んでみたい小説だとは思っていた
    今回、ピーター・スワンソンの「そしてミランダを殺す」を読んだ事で、この作品を手に取った。
    勝手に小説の内容をミステリーと思って読み始めたが、これはサスペンス小説だったため、思っていた感じでは無かった。
    他の方のレビューにも有るが、主人公二人の感情に着いて行けず、とても読みづらかった
    そして、主人公たちの考え方などに、とてもイライラさせられた
    善悪とは、生きるとはとか、まるで

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    2024年05月19日
  • 太陽がいっぱい

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     1955年作。
     1960年、ルネ・クレマン監督による、アラン・ドロン主演の映画が名作としてすこぶる有名で、「太陽がいっぱい Plein Soleil」というタイトルはこの映画によるもの。小説の原題は「才能あるリプリー氏」という、ちょっとつまらなそうなタイトルである。
     犯罪サスペンスもの、ということになる。全体の3分の1辺りで主人公トム・リプリーが殺人を犯して、そこからサスペンス風になる。が、私は何となくこの小説に没入できなかった。主人公の性格が曖昧でとりとめなく思われ、その心の動きに近づくことが難しかったせいだろう。
    「犯罪を犯したのちの、追い詰められる切迫感」は、もっとシンプルな描写の

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    2023年05月02日
  • キャロル

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    映画が高評価だったことを覚えていたので、原作を読んでみたくなり手に取りました。
    主人公のテレーズが好きになれませんでした。醜さをとても嫌うところ、不安定すぎるところ…。登場人物が好きになれなくても物語として面白ければ良いはずなんですが、私にはひっかかるところが多すぎたみたいで合わなかったです。
    映画で観るとまた印象が違いそうなので、そちらも観てみたいです。

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    2023年02月05日
  • 太陽がいっぱい

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    1960年にルネ・クレマン監督/アラン・ドロン主演で映画化(1999年「リプリー」として原作をほぼ忠実にリメイク)されたことにより、ハイスミスの最も有名な作品となった。1955年発表作だが、全編独特なトーンを持ち、時代を感じさせない。物語の舞台として、当時のローマ、カプリ、ベネツィアなどの名所を巡るため、観光ガイドとしても有用かもしれない。よく知られた粗筋は省略するが、先の映画とは随分と印象が違う。饒舌で冗長。犯罪小説と呼ぶには文学に偏り過ぎ、文学と称するには青臭い生硬さがある。

    主人公は、アメリカ人トム・リプリー25歳。幼い頃に両親を亡くし、守銭奴の叔母に育てられた。生い立ちは殆ど語らず、

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    2021年09月25日