あらすじ
簡単な殺しを引き受けてくれる人物を紹介してほしい。こう頼まれたトム・リプリーは、ある男の存在を思いつく。この男に死期が近いと信じこませたら……いまリプリーのゲームが始まる。名作の改訳新版。
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Posted by ブクログ
リプリーシリーズ5部作中の3作目。
リプリーの最後が気になって、途中をすっ飛ばして先に最終作を読んでしまったので、今回は3作目に戻ってゆっくり楽しむ。
病気で余命が少ないジョナサンが、病院の検査結果を待つたびに感じる不安には、読んでいるこちらまで苦しくなる。
病と生活苦を抱えるジョナサンと、何不自由なく優雅な生活を送るリプリーが対照的に描かれる。
誠実に生きてきたジョナサンと、平然と危険なことに手を染めるリプリーが並ぶと、リプリーはまるでプロの殺し屋のよう。
そんな二人の間に生まれる奇妙な関係がなんともハイスミスらしい。
1作目『太陽がいっぱい』では嫌悪感しかなかったリプリーだけど、読み進めるうちになぜか憎めなくなってくるのが本当に不思議。
このシリーズは、リプリーの優雅なフランスでの生活も楽しい。
家政婦マダム・アネットの美味しそうな料理を堪能し、絵を描いたり、ハープシコードを弾いたり、美人の奥さんやマダムにプレゼントをしたり。
昔の不幸な生い立ちからは考えられないほど、丁寧な生活を送っているリプリー。
もう十分に裕福で幸せを手に入れたはずなのに、なぜか自ら危ないことに足を踏み入れていくリプリー。
生まれ持ってのサイコパスなのか…。
原題は『Ripley's Game』で、原題のほうが合っている気がする。
残り1作なので、今度は少し間を空けて最後のリプリーを楽しもう。
Posted by ブクログ
太陽がいっぱいは、名前くらいは知ってるけど、実際の中身はよく知らない。と思う。
というわけで、続編として読むんではなく、単に新しい話として読ませていただいたわけで。
でもって、背表紙に書いてある、天才的犯罪者、というところも読んだうえで、判断させてもらうならば。
天才っていうか完全に行き当たりばったりの人生じゃないか。もしかしたらデビュー当時はそういう設定でうまくいってたかもしれんけども、今はもう往事の面影もなく、なんていうか単に勢いで生きてる感じで。普通に自分の家で殺しもやるわ、人んちでも何も考えずに殺すし、コナン君いなくてもどうにかなるっしょ、これ。
でも学ぶところがあるとすれば、ともかく勢いでも行動するのが大事ってことか。案ずるよりもなんとやら、というやつで、
それって地中海近辺の人っぽいイメージだけど、
著者によるとこのあたりの人は金にうるさいらしくて、4へぇ。
Posted by ブクログ
マフィアがらみの話なので暴力的な行動も多く、
死体もゴロゴロだが。。。
前の事件から、それほど間を置かず、こんな危険なことに
それも、自ら必要もないのに勝手に飛び込んで
より深く巻き込まれるなんて。
そもそも、きっかけは根拠の薄い猜疑心から出た
ほんのいたずらに近い『ゲーム』でしかなくて、
それなのに、他人を悪に引き込み、悩み苦しませ
人生や家庭を崩壊させ、負の暗い影を落とす。
ドロドロ粘り気を帯びて嫌悪感を覚えそうな物語だが、
うまく片づけたり、立ち回れた後等にリプリーが思わず
笑いだしたりするので、読者はいつの間にか
リプリーの世界観・人生観を自然に受け入れて、
リプリーの視点で世界を眺めてしまう。
登場人物だけではなく、読者もリプリーの世界に
引きずり込まれているのだ。