パトリシア・ハイスミスのレビュー一覧
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ネタバレ昔映画の『リプリー』を観たことがあったけどほとんど記憶がなかったので新鮮な気持ちで読めた。
リプリーが二件の殺人を犯すまではとても面白く読めたけどそれ以降は少し冗長に感じたかな。
追い込まれるスリルはあったけど。
特にディッキーと仲良くなってから次第に憎悪に気持ちが流れていくあたりは圧巻だった。
リプリーはどうしようもなく身勝手で運が良いだけの犯罪者だとはおもうけど、ディッキーの同性愛嫌悪の態度も読んでいて気分が悪かった。
あんな態度をとられ続ければ辛くなって憎むのも当然だと思えた。
だからといって殺すなんてのはどう考えても許されないことだけど。
フレディが階段を引き返してくるときのハラ -
Posted by ブクログ
ネタバレ"天才犯罪者、最後の物語”
リプリーの数々の悪が暴かれ、異常な日常が崩壊する様を
目の当たりにできるのか、というわけではない。
作者が亡くなったからシリーズが終わってしまった、
というだけ。
リプリーは過去の犯罪の暴露の危機(?)に
『ジワジワ』『執拗に』追い回されて
怯えたり焦ったりするかと思いきや、鬱陶しいと
イラついたり、妙に興奮したり、解決するために
助力とを準備したり、でも日常はあくまで平穏に
普通の人として過ごしている。
過去が暴かれることより、日常が乱されることの方が
問題の様だ。
純粋で、俗で、あまりに普通なマダム・アネット
(癒し系)があってリプリーの危ういバラン -
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Posted by ブクログ
同性愛的な空気、エディプスコンプレックス
母親を女性の理想・幻想とする雰囲気もあるが、
独善、偏執、執拗、鬼気、狂気
勝手に過度な共感愛情愛着、歪み狂った感情を
スマートに凶暴にあいてに流し込み、ぶつけ
自身の破滅だけではなく、相手の破滅も
愛ゆえに呼び込んでしまう、身勝手への不愉快さ。
巻き込まれ、追い込まれ、抗いながらも
狂気の世界に踏み込んで、泥沼から抜け出せず
ズブズブと深みに入り込み、破滅へ向かう苦しさ。
ラストは本当にこれまでの世界がボロボロと崩れ落ちて
行くような感覚を覚えるが、
どこで、どの時点で、どうすればよかったのかではなく、
出会わなければよかった、出会ってしまった時点で -
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ネタバレハイスミスは、本格ミステリ、暗いミステリ、と思っていて読んでいなかったのだけれど、この作品はミステリではなくて恋愛モノ、ときいて、しかもものすごく評判がいいし、映画のほうの評判もすごくいいので読んでみたんだけど、評判どおり、すごくよかった。まったくミステリではなくて、文章も純文学っぽく、雰囲気があって、美しい。
主人公テレーズがデパートの売り子っていうのはきいていたけど、舞台美術家志望ってきいたらもっと早く読んだかも。舞台の話がちょっと出てきたり、彼女がセットの模型つくったりしているのが楽しい。時代は1950年代、そのころのニューヨークのデパートや街の雰囲気、ふたりが旅するいろいろな街のホテ -
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テレーズとキャロル、年齢や環境も異なる2人の女性の出会いと愛を描いた一作。
芸術関連の夢を持ちつつ、そういった人におおそうな現実とのギャップで
若さの割にややくたびれた印象のあるテレーズ。
そして、そんな彼女と出会うキャロルも、
上品な美しさと裏腹に、グラグラした夫婦関係に陰りが見えて…。
ふたりの眩い煌きを感じる出会い、
そして手紙を通して距離を縮めていく様子は、
ふたりが同性ということを除いても特別な高揚感があります。
キャロルとの出会いまでに灰色く濁った空気が漂っていたテレーズの日常だけに、その輝きは一層強い。
しかしその後の、夫婦、男の誇りに振り回され、今一歩踏み出せない関係と、 -
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以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。
有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talented Mr.Ripley(才能あるリプリー)」。このタイトルのままだったら、きっとあの映画は日本ではそんなに流行らなかっただろう。
「太陽がいっぱい」、このタイトルは素敵だと思う。
リプリーが憧れたディッキーの暮らすイタリアの太陽の眩しさと、ディッキーそのものが眩しく見えたリプリーの思いとが重なっており、実に見事だと思 -
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『太陽がいっぱい』のリプリーに、続編があったなんて。前作から6年後を描いた第二作。
舞台は前作の明るいイタリアから一転して、太陽の少ない冬のフランスへ。
リプリーはフランスの大富豪の娘と結婚し、優雅な生活を手に入れた…はずなのに、またしても悪事に手を出し、天才画家の贋作販売をしている。
え?なんでよ?せっかく憧れの生活を送れるようになったのに…。
お金と幸せを手に入れても、リプリーの本質部分は全く変わってなかった。
それにしても、またもや大富豪の娘に気に入られるとは、やっぱりその才能はすごい。
「贋作を描こうとする努力が、最後には努力の域を脱し、その作品が第二の本性になるのではないだろう -
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〈交換殺人〉の元祖といわれる作品。
列車内で偶然出会った、富豪の息子ブルーノと建築家のガイ。
「ぼくはあなたの奥さんを殺し、あなたはぼくの親父を殺す」とブルーノが提案するが…。
交換殺人で完全犯罪を目論む本格ミステリーだと思っていたら、物語はどんどん違う方向へ進んでいった。
解説によると、「自分がミステリ作家だと認識していなかったらしいハイスミスにとっては、それがトリックだという発想すらなかった可能性がある。」と書いてあって、本当そうだよね…と納得した。
せっかく交換殺人という面白いトリックを思いついたのに、そこには焦点を当てていない。
ここからはネタバレしてます。
ご注意ください。