パトリシア・ハイスミスのレビュー一覧

  • キャロル

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    映画版のビジュアルだけ見た状態で原作を読んだ。
    キャロル、ケイトブランシェットってはまり役すぎるだろ…。あまりにも「運命の女」が似合う。
    全く2人は変わってしまったけれど、でも、というラストが好きだった。

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    2022年12月31日
  • 太陽がいっぱい

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    これは完全犯罪と言えるのだろうか…
    トムの衝動的で突飛な殺人と、臆病なまでに練るに練られた計画的な偽装工作の連続。
    そして、あまりにも幸運すぎる逃亡劇とその最後。

    この作品では、事件自体の完全さというよりも、トム自身の感情の浮き沈みと、はたまた何があってもうまく立ち回る身のこなし、そして綻びをうまく拾っていく彼のスキル等々、“トム”という人間にスポットライトを当てることでこそ、主人公の魅力が表に現れ、非常に興味深く感じられる作品になっている気がする。

    誰かを演じることでしか(ここでは“ディッキーだが”)今の自分を保てない不安定とも言える精神状態、自分から墓穴を掘るような言動や行動に走りかね

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    2022年08月01日
  • サスペンス小説の書き方

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    村上春樹は、毎日机に向かって書く習慣をつけることだと言っていたような気がする。パトリシアハイスミスも似た感じのアドバイスを行なっている。執筆に適した環境が重要であること。執筆した部屋対しての圧倒的な感情。もちろん古い本なので、ゲラ刷に対しての修正が作家にどのようなコストを発生させるのか?とか、タイプライターとカーボン紙といった失われたテクノロジーのディテイルも出てくるのだが、パラグラフの構成や描き始め、全体のボリュームとその失敗、第二稿ではなにを行うべきなのか、などの技術は書くという行為にとって本質で変わりがないように思える。二子玉川の蔦屋にて購入。書店でなければこのような本には出会えない。コ

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    2022年05月07日
  • 太陽がいっぱい

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    ルネ・クレマンとアラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」は封切られた時に観た。映画全盛時代ゆえ鮮明に覚えている。テーマ音楽と明るい青い海とドロンの美貌が強烈な印象だった。

    マット・ディモンのリメイク「リプリー」はTVで観た。これはこれで「トム」と「ディッキー」の関係を同性愛的に色濃く描いていて陰影があった。マット・ディモンの雰囲気があずかりあるのかもしれない。

    パトリシア・ハイスミスの原作「太陽がいっぱい」を読んでまた異なった感想を持った。「トム」が「ディッキー」を殺すに到る心理が丁寧に描いてあり、犯罪の良し悪しでなく、わかってくるものがある。

    「トム」の不幸な生い立ちとあがいても上昇しな

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    2021年09月04日
  • 太陽がいっぱい

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    ネタバレ

    三人称で書かれているけど 気分は犯人目線なので
    すっかり犯人気分になり ハラハラしながら進んでいった。最後は予想外

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    2021年08月14日
  • 太陽がいっぱい

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    ネタバレ

    昔映画の『リプリー』を観たことがあったけどほとんど記憶がなかったので新鮮な気持ちで読めた。

    リプリーが二件の殺人を犯すまではとても面白く読めたけどそれ以降は少し冗長に感じたかな。
    追い込まれるスリルはあったけど。

    特にディッキーと仲良くなってから次第に憎悪に気持ちが流れていくあたりは圧巻だった。
    リプリーはどうしようもなく身勝手で運が良いだけの犯罪者だとはおもうけど、ディッキーの同性愛嫌悪の態度も読んでいて気分が悪かった。
    あんな態度をとられ続ければ辛くなって憎むのも当然だと思えた。
    だからといって殺すなんてのはどう考えても許されないことだけど。

    フレディが階段を引き返してくるときのハラ

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    2021年02月04日
  • キャロル

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    パトリシア・ハイスミスはミステリーの作家さんだというイメージが強かったのですが、恋愛小説も書いたのですね。
    描かれている人々の生活ぶりが自分の住む世界とあまりにかけ離れていすぎて現実感が薄かった。現在よりも比べ物にならないくらい同性の恋愛への偏見の酷さを考えると希望のある終わり方。
    幸福感の描写がとても美しい。
    「テレーズの中で幸福感が緑の蔓のように広がり、細い巻きひげを伸ばして全身に花を咲かせていく。…」
    読みながら主人公の恍惚に私も一緒になって陶酔した。

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    2021年01月02日
  • 見知らぬ乗客

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    犯人捜しをする推理モノではなく、犯人のわかっている状態でこの先の展開が読めずに、息を詰めてページを繰るミステリー。心理状態や当時当地のようすが丁寧に描かれていく筆致で、ミステリ好きでなくとも楽しめる。

    時代がかった原作の文章や、舞台となっている時代の雰囲気をしっかり持ちながらも、古くさくない今風の翻訳でとても読みやすかった。

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    2020年10月25日
  • 太陽がいっぱい

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    ミステリー小説、という事前情報だけで読み進めた。
    主人公リプリーはクズと評されることも多いけれど、誰もが持っている側面の一つを演じているに過ぎないように思う。
    彼は偶然にも機会と、閃きがあった。
    きっとそれだけなのだ。
    そのように思う私もまた、クズの素質があるということなのだろうか。
    犯人視点の小説は久しぶりで、いつ捕まってしまうのか、いつ罪が露見するのか、最初から最後までドキドキが止まらなかった。

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    2020年04月15日
  • キャロル

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    ネタバレ

    レズビアンへの差別や社会風刺が、とかよりもまず、単純に恋愛ものとしてとても刺激的。
    物語は終始テレーズ視点で進むが、上品で魅力的で思わせぶりなキャロルの態度にはらはらさせられる。
    そして、そんなキャロルがついに囁く「私の天使」という言葉!
    テレーズが夢中になってしまうのもわけはない人物だと思わせられる。

    運命というものは存在するし、どこにも転がってる。ただ、何もかもを捨ててそれに飛び込む勇気が普通の人には無いんだと思う。でもこの「キャロル」のテレーズは、最後はきっとうまく飛び込めた。

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    2019年06月22日
  • 死者と踊るリプリー

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    ネタバレ

    "天才犯罪者、最後の物語”

    リプリーの数々の悪が暴かれ、異常な日常が崩壊する様を
    目の当たりにできるのか、というわけではない。
    作者が亡くなったからシリーズが終わってしまった、
    というだけ。
    リプリーは過去の犯罪の暴露の危機(?)に
    『ジワジワ』『執拗に』追い回されて
    怯えたり焦ったりするかと思いきや、鬱陶しいと
    イラついたり、妙に興奮したり、解決するために
    助力とを準備したり、でも日常はあくまで平穏に
    普通の人として過ごしている。
    過去が暴かれることより、日常が乱されることの方が
    問題の様だ。
    純粋で、俗で、あまりに普通なマダム・アネット
    (癒し系)があってリプリーの危ういバラン

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    2018年10月16日
  • リプリーをまねた少年

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    少年はリプリーの何に共感したのか。リプリーは少年の何に共感したのか。それは自由の渇望か。
    本作のリプリーは悪事に手を染める、悪事に飛び込むのではなく、少年が悪に飲み込まれ溺れるのを救い出そうとしているように見える。
    少年が迎えた結末を考えると、リプリーが死と悪の狂気に陥らずにすんでいるのは、献身的で善良に見えるマダム・アネットと、悪に対してもおおらかで飲み込んでしまうエロイーズ、つまり母なる女性の存在なのかもしれない。

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    2018年08月27日
  • 贋作

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    ミステリーというのか犯罪小説というのか。
    悪事を働いて置きながら、自分本位な理屈で、解決方法として簡単に人を殺める。
    露見しそうな時にでも、逆に、隠しごとを誰かと共有できることすら、ギリギリのラインでどこか喜びを感じていたり、
    すべては自らの脚本、監督、主演による劇の一幕。
    生まれながらの悪党が覚醒したかのよう。

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    2018年07月31日
  • 見知らぬ乗客

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    同性愛的な空気、エディプスコンプレックス
    母親を女性の理想・幻想とする雰囲気もあるが、
    独善、偏執、執拗、鬼気、狂気
    勝手に過度な共感愛情愛着、歪み狂った感情を
    スマートに凶暴にあいてに流し込み、ぶつけ
    自身の破滅だけではなく、相手の破滅も
    愛ゆえに呼び込んでしまう、身勝手への不愉快さ。
    巻き込まれ、追い込まれ、抗いながらも
    狂気の世界に踏み込んで、泥沼から抜け出せず
    ズブズブと深みに入り込み、破滅へ向かう苦しさ。
    ラストは本当にこれまでの世界がボロボロと崩れ落ちて
    行くような感覚を覚えるが、
    どこで、どの時点で、どうすればよかったのかではなく、
    出会わなければよかった、出会ってしまった時点で

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    2018年02月06日
  • キャロル

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    ネタバレ

    女性が女性をあんなに好きになってしまう・・・
    分からないでもないけれど、イマイチ共感できない。
    男女間の恋愛とはやっぱり違うんだろうなとは思う。

    それでも最後までドキドキが止まらない。

    文章がきれいで(翻訳者のおかげで?)そういった偏見や嫌悪缶など持たずに読めた。
    私も10代のころならきっとこの本が人生のBEST10に入ったのかも。

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    2017年06月12日
  • キャロル

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    ハイスミスにとって本作は、イーヴリン・ウォーにとっての『ブライヅヘッドふたたび』みたいなものか。作家にとって異色作ということでも、同性愛を、はっきりと描くと、仄めかす程度の差はあれど、描いているという点で。静寂を感じた。ロードノヴェルの面はあるが、私立探偵との対決以外はこれといった事件は起きないし。テレーズが女優に惹かれる場面があるが、ということは、彼女はたまたま恋したキャロルが女性だったという訳ではなく、元々その傾向があって、それをキャロルが引き出したということ?キャロルはバイセクシャルかな。

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    2017年05月31日
  • キャロル

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    ネタバレ

    ハイスミスは、本格ミステリ、暗いミステリ、と思っていて読んでいなかったのだけれど、この作品はミステリではなくて恋愛モノ、ときいて、しかもものすごく評判がいいし、映画のほうの評判もすごくいいので読んでみたんだけど、評判どおり、すごくよかった。まったくミステリではなくて、文章も純文学っぽく、雰囲気があって、美しい。

    主人公テレーズがデパートの売り子っていうのはきいていたけど、舞台美術家志望ってきいたらもっと早く読んだかも。舞台の話がちょっと出てきたり、彼女がセットの模型つくったりしているのが楽しい。時代は1950年代、そのころのニューヨークのデパートや街の雰囲気、ふたりが旅するいろいろな街のホテ

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    2016年12月18日
  • キャロル

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    テレーズとキャロル、年齢や環境も異なる2人の女性の出会いと愛を描いた一作。
    芸術関連の夢を持ちつつ、そういった人におおそうな現実とのギャップで
    若さの割にややくたびれた印象のあるテレーズ。
    そして、そんな彼女と出会うキャロルも、
    上品な美しさと裏腹に、グラグラした夫婦関係に陰りが見えて…。

    ふたりの眩い煌きを感じる出会い、
    そして手紙を通して距離を縮めていく様子は、
    ふたりが同性ということを除いても特別な高揚感があります。
    キャロルとの出会いまでに灰色く濁った空気が漂っていたテレーズの日常だけに、その輝きは一層強い。


    しかしその後の、夫婦、男の誇りに振り回され、今一歩踏み出せない関係と、

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    2016年11月09日
  • 太陽がいっぱい

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    以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。

    有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talented Mr.Ripley(才能あるリプリー)」。このタイトルのままだったら、きっとあの映画は日本ではそんなに流行らなかっただろう。
    「太陽がいっぱい」、このタイトルは素敵だと思う。
    リプリーが憧れたディッキーの暮らすイタリアの太陽の眩しさと、ディッキーそのものが眩しく見えたリプリーの思いとが重なっており、実に見事だと思

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    2016年07月02日
  • キャロル

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    クリスマスまでに読み切れて良かった。
    キャロルも指摘していたような、テレーズの視野の狭さとそれを通してしか人を理解しようとしない若さ、が気になりはしたけど後半の転換が好きでした。
    幸せな一夜が明けてこの情景の隅々までも永遠に忘れはしないだろうという感情、
    人を愛することの持続性への不安感、
    終わりを実感する前に今後あり得るはずだった思い出を想像する切なさ、
    ほんの始まりでしかなく ほんの短い間でしかなかったということ。それでも二人にとってはそれが真実であること。

    幸せになってほしいと思えるラストでした。

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    2025年12月23日