パトリシア・ハイスミスのレビュー一覧

  • 贋作

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    ネタバレ

    「太陽がいっぱい」に始まるトム・リプリーシリーズの第2作目。実はネットフリックスでリプリーを見てすごく良かったので、2作目からの小説スタート。リプリーは殺しのプロでもなんでもなく、課題解決のために努力邁進の末、結果的に死体が転がり、その尻ぬぐいで窮地に追い込まれるが、それを荒いメッシュのまま潜り抜ける感じ。不思議にリプリーから目が離せず読み切ってしまう。本作は、私が数年住んでいたフォンテーヌブローと隣町のムランの近くが舞台であり、とても懐かしく、個人的にとても楽しめる読書だった。

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    2025年12月18日
  • 太陽がいっぱい

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    金持ちの息子を連れ戻すよう頼まれるが、当人のイタリアでの自由な生活が羨ましくなり、なりすまそうと考える…というサスペンス。
    映画版も続編も気になる。

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    2025年09月28日
  • キャロル

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    1950年代でこの題材。かなりセンセーショナルだったろう。
    映画も良かったが、小説ではテレーズの心情がより繊細に綴られており、二人の情景が浮かんできた。
    ラストがとてもとても良かった。

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    2025年08月04日
  • キャロル

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    Carol
    By Patricia Highsmith, 1952

    ミステリー作家による恋愛小説。
    NYのクリスマス、少女は大人の女性と恋に落ちる。
    あてのない逃走劇。これは純粋な恋愛かそれとも少女が大人になるためのほろ苦い1ページか

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    2025年08月06日
  • 太陽がいっぱい

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    これは…正直アラン・ドロンよりマット・デイモンのほうがリプリーっぽさあるな。翻訳めちゃ読みやすかった。

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    2025年04月03日
  • サスペンス小説の書き方

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    シド・フィールドやブレイク・スナイダーのような方法論ではなく、もっと根本的な姿勢について書かれた本です。著者が最初にhowtoではないと書いた通りです。
    この本を通して、著者がどのような流れで本を書き上げているのかを知ることができます。サスペンス小説だけでなく、小説全般を書く上で必要な心構えの書かれた本です。

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    2024年09月03日
  • 太陽がいっぱい

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    破滅に向かってほしいのに、全然向かってくれない!彼が不安に思う未来に対してヨーロッパ描写の何と美しいことか!リプリーを応援してないはずなのに周囲の人の間抜けさにイライラさせられる!
    ただのヤバいやつをこんなに魅力的に見せられるとは!

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    2024年04月27日
  • キャロル

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    「太陽がいっぱい」を書いたパトリシア・ハイスミスが書いた女性同士の恋愛を書いた小説。19歳の主人公テレーズから見た魅力的な年上の女性キャロルとの恋愛模様が丁寧に描かれている。冷静な目で見ればキャロルなんてわがままで気まぐれで自分勝手でどこがいいかわからないけど、テレーズの目を通してみるととても魅力的な女性にうつるから不思議。作品が終わる頃には読者もテレーズと共にキャロルと恋に落ちているだろう。

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    2024年04月21日
  • キャロル

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    ネタバレ

    きっとテレーズにとって本当の初恋。
    だからこそキャロルしか見えないし、他のものに対して苛立ちが伴う。人を初めて苦しくなるほど愛するとはこういうことだったなぁと思い返したりした。
    2人が離れてからのほうが結構好きだったかな。
    冷静になって彼女をまた愛するの良かった

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    2024年01月15日
  • 見知らぬ乗客

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    ネタバレ

    『8つの完璧な殺人』を読むために読んだ。
    ハイスミス自体は、映画の「リプリー」「太陽がいっぱい」「アメリカの友人」「妻を殺したかった男」「底知れぬ愛の闇」「キャロル」は見てきたが、小説はこれが初めて。

    交換殺人というシチュエーションは面白かったが、ブルーノのほうに全然完全犯罪をする気がなく、隠す気はあるが、情緒不安定でとにかくイライラした。ガイのほうも、殺人について悩んで苦しんでいることにイライラした。心情表現にイライラさせられた。展開は進むけれど、ワクワクするような面白さは無かった。頑張って読んだ。
    しかし、読み終わってみると、まあ面白かったかなっていう印象。喉元過ぎればなんとやら。

    425Pのここが好き。
    「しかしあの連中がこの身を破滅させたところで、おれがつくった建築が壊されることはない。そう思うと、いままた自分の魂が肉体のみならず精神からも分離したかのような、奇妙でうら寂しい気持ちがこみあげた。」
    ガイの独白。自分が破滅しても、自分が作った建築物は壊れないことに寂しさを感じるのが面白い。一緒に壊れて欲しかったんだろうな。
    他の考え方をすると、建築に魂を捧げてるなら、その魂も壊れないことに寂しさを感じている?傷つかない自分が寂しいものだと感じている?

    ブルーノが海に落ちたシーンも好き。音が聞こえるや否や駆け出して、静止してくる相手もぶん殴って海に飛び込むガイ。
    464P~466P

    「「好きに行かせろ」ガイは低い声でいい、タバコに火をつけようとした。
    ついで、水音がきこえてきて、そのとたんガイはブルーノが船外に落ちたことを察しとった。ガイはだれも言葉を発しないうちから、操舵席をあとにしていた。」

    「おれの友人はどこに、おれの弟はどこにいる?」

    特にこの弟というのが良い。
    ブルーノは何度もガイに対して、あなたのことが好きなんだというが、ガイは答えなかった。けれども、ここでは友人で弟だと思っていることがわかる。
    めちゃくちゃ良かったな。

    オチに対しては、どうせたいしたことないだろうと思ったら、電話による盗聴でバレたのが面白かった。

    ガイが殺人に対して罪悪感に苦しむのがわからない。良心がありすぎる。
    罪と罰の主人公みたいだなと感じてたら、ドストエフスキーみたいだと評論家にも言われてたらしくて、なるほどな。



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    2023年12月08日
  • 贋作

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    ネタバレ

    『太陽がいっぱい』から6年後の話。

    リプリーはいまや自信もあり、贋作に関する仲間もいて、金持ちの妻や気の利く家政婦もいるという最高の身分になっていてびっくりした。

    前作より登場人物が増え、サスペンス色も強まって面白かった。
    殺人、自殺偽装、殺人未遂、生き埋め、自殺、死体を焼く…などの衝撃的な場面が散りばめられていて先が気になってどんどん読めたが、終盤は行ったり来たりする場面が多くすこし冗長に感じたかもしれない。

    警察はだいぶリプリーを疑ってはいたけど、もっと頑張れなかったか?という感じ…。
    当時だとネットとかもないから色々証明するの難しかったりするのかな?

    こんなにいろんな罪を犯しておいて、ディッキーについて話をふられたときが内心一番動揺してるのがよかった。
    ディッキーのいとこのクリスが出ててたのでなにか起きるか!?とおもったら、そこはたいして何もなかったのはちょっと拍子抜け。
    今後も出てきたりするのかな…?

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    2023年02月24日
  • キャロル

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    映画版のビジュアルだけ見た状態で原作を読んだ。
    キャロル、ケイトブランシェットってはまり役すぎるだろ…。あまりにも「運命の女」が似合う。
    全く2人は変わってしまったけれど、でも、というラストが好きだった。

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    2022年12月31日
  • 太陽がいっぱい

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    これは完全犯罪と言えるのだろうか…
    トムの衝動的で突飛な殺人と、臆病なまでに練るに練られた計画的な偽装工作の連続。
    そして、あまりにも幸運すぎる逃亡劇とその最後。

    この作品では、事件自体の完全さというよりも、トム自身の感情の浮き沈みと、はたまた何があってもうまく立ち回る身のこなし、そして綻びをうまく拾っていく彼のスキル等々、“トム”という人間にスポットライトを当てることでこそ、主人公の魅力が表に現れ、非常に興味深く感じられる作品になっている気がする。

    誰かを演じることでしか(ここでは“ディッキーだが”)今の自分を保てない不安定とも言える精神状態、自分から墓穴を掘るような言動や行動に走りかねない様子、そして上機嫌で楽天的と思いきや、自己嫌悪により何も手につかない、何も食べられないという繊細さ…ここまで心情がアップダウンの激しさが、軽快に、巧妙に描かれているのがおもしろい。

    トムは、どこか、何か、罪の意識とは別の事件にいるような気さえする。
    彼が本当に恐れているものとはなんなのか…警官か?死刑か?それとも?

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    2022年08月01日
  • サスペンス小説の書き方

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    村上春樹は、毎日机に向かって書く習慣をつけることだと言っていたような気がする。パトリシアハイスミスも似た感じのアドバイスを行なっている。執筆に適した環境が重要であること。執筆した部屋対しての圧倒的な感情。もちろん古い本なので、ゲラ刷に対しての修正が作家にどのようなコストを発生させるのか?とか、タイプライターとカーボン紙といった失われたテクノロジーのディテイルも出てくるのだが、パラグラフの構成や描き始め、全体のボリュームとその失敗、第二稿ではなにを行うべきなのか、などの技術は書くという行為にとって本質で変わりがないように思える。二子玉川の蔦屋にて購入。書店でなければこのような本には出会えない。コラボラティブフィルタリングでは無理なのだ。書店というメディアがなければ僕の読書遍歴は起こらない。歩くという身体的運動と視覚と触覚を使ったインタラクションこそが重要なのです。

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    2022年05月07日
  • 太陽がいっぱい

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    ルネ・クレマンとアラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」は封切られた時に観た。映画全盛時代ゆえ鮮明に覚えている。テーマ音楽と明るい青い海とドロンの美貌が強烈な印象だった。

    マット・ディモンのリメイク「リプリー」はTVで観た。これはこれで「トム」と「ディッキー」の関係を同性愛的に色濃く描いていて陰影があった。マット・ディモンの雰囲気があずかりあるのかもしれない。

    パトリシア・ハイスミスの原作「太陽がいっぱい」を読んでまた異なった感想を持った。「トム」が「ディッキー」を殺すに到る心理が丁寧に描いてあり、犯罪の良し悪しでなく、わかってくるものがある。

    「トム」の不幸な生い立ちとあがいても上昇しない人生が、人は出自によってどうしても決まってくるという不条理をはねのけたくなった時、どういうことが起こるのか。他人の人生とを取り替えられるのか、夢のような変身は可能か。

    「トム」が雇われ友人として「ディッキー」をアメリカに連れ帰る役目よりも、優雅に暮らしている「ディッキー」のようになりたいと思った時、愛すればこそ同化出来ると濃く近づくが、それが同性愛的友情(同性愛ではない)になってもおかしくない。

    やはり原作は読んでみるものだ。パトリシア・ハイスミスのミステリータッチの中にも冷徹な人間観察が感動する。どうしようもない人間個の欲望の強さ、哀しさを呼び覚まされる。

    情景にイタリア、特にベネッツアの風景がたくさんあって懐かしい(観光したので)こんなに出てきたんだっけ?とあらためて驚いた。が、それもこの小説の象徴であり、強調する脇でもある。

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    2021年09月04日
  • 太陽がいっぱい

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    ネタバレ

    三人称で書かれているけど 気分は犯人目線なので
    すっかり犯人気分になり ハラハラしながら進んでいった。最後は予想外

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    2021年08月14日
  • 太陽がいっぱい

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    ネタバレ

    昔映画の『リプリー』を観たことがあったけどほとんど記憶がなかったので新鮮な気持ちで読めた。

    リプリーが二件の殺人を犯すまではとても面白く読めたけどそれ以降は少し冗長に感じたかな。
    追い込まれるスリルはあったけど。

    特にディッキーと仲良くなってから次第に憎悪に気持ちが流れていくあたりは圧巻だった。
    リプリーはどうしようもなく身勝手で運が良いだけの犯罪者だとはおもうけど、ディッキーの同性愛嫌悪の態度も読んでいて気分が悪かった。
    あんな態度をとられ続ければ辛くなって憎むのも当然だと思えた。
    だからといって殺すなんてのはどう考えても許されないことだけど。

    フレディが階段を引き返してくるときのハラハラ感もよかった。

    最後は映画とはちがって逃げきるので、好き嫌いがわかれそうなところではあるけど、これはこれで物語としては好きだな。

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    2021年02月04日
  • キャロル

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    パトリシア・ハイスミスはミステリーの作家さんだというイメージが強かったのですが、恋愛小説も書いたのですね。
    描かれている人々の生活ぶりが自分の住む世界とあまりにかけ離れていすぎて現実感が薄かった。現在よりも比べ物にならないくらい同性の恋愛への偏見の酷さを考えると希望のある終わり方。
    幸福感の描写がとても美しい。
    「テレーズの中で幸福感が緑の蔓のように広がり、細い巻きひげを伸ばして全身に花を咲かせていく。…」
    読みながら主人公の恍惚に私も一緒になって陶酔した。

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    2021年01月02日
  • 見知らぬ乗客

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    犯人捜しをする推理モノではなく、犯人のわかっている状態でこの先の展開が読めずに、息を詰めてページを繰るミステリー。心理状態や当時当地のようすが丁寧に描かれていく筆致で、ミステリ好きでなくとも楽しめる。

    時代がかった原作の文章や、舞台となっている時代の雰囲気をしっかり持ちながらも、古くさくない今風の翻訳でとても読みやすかった。

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    2020年10月25日
  • 太陽がいっぱい

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    ミステリー小説、という事前情報だけで読み進めた。
    主人公リプリーはクズと評されることも多いけれど、誰もが持っている側面の一つを演じているに過ぎないように思う。
    彼は偶然にも機会と、閃きがあった。
    きっとそれだけなのだ。
    そのように思う私もまた、クズの素質があるということなのだろうか。
    犯人視点の小説は久しぶりで、いつ捕まってしまうのか、いつ罪が露見するのか、最初から最後までドキドキが止まらなかった。

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    2020年04月15日