堀川惠子のレビュー一覧

  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    堀川惠子(1969年~)は、広島県に生まれ、10年に亘る広島テレビ放送での報道記者・ディレクターのキャリアを持つ、ドキュメンタリーディレクター、ノンフィクション作家。『死刑の基準~『永山裁判』が遺したもの』で講談社ノンフィクション賞(2010年)、本作品で大宅壮一ノンフィクション賞(2016年)を受賞している。本書は2015年に単行本が出版され、2018年文庫化。
    本書は、広島の原爆供養塔に纏わる佐伯敏子さんの生涯と、その意思を継いで自らが携わった被爆者の遺骨を肉親に届ける活動を通して、著者が見、聞き、感じたことを綴ったノンフィクションである。
    佐伯敏子さんは、1919年広島市に生まれ、自らも

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    2018年08月13日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    ネタバレ

    読みながらふと、終戦から自分が生まれるまでよりも長い年月を私は生きてきたのか、と気づき、戦争ってつい最近のことなんだなとひしひし感じ、ずーーーっとキリキリお腹が痛い読書時間だった。父親が生まれたのなんてまだGHQ占領下だものなぁ。
    著者の緻密な取材には頭が下がるばかり。自分が生まれるたった数十年前の出来事なのに、知らないことだらけ。それなのに、戦争を知らない世代からあれよあれよと「憲法改正」だの「抑止力としての核兵器」だのいう声が出てくることに、うすら寒いものを感じずにはいられない。抑止力としての核兵器とか寝ぼけたこと言ってる方々は、自分でこの広島や長崎の地獄を味わう覚悟があるのか?と問いたい

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    2018年08月10日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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     広島の平和記念公園は設計者の丹下健三氏の思想から、原爆ドームを悲劇と平和の象徴として中心に据えることを意図してつくられており、訪れた人が平和の祈りを捧げる目線の先にドームがくるように周辺施設は配置された。


     しかしその原爆ドームから少し離れた場所に原爆供養塔という、原爆の犠牲になった七万柱の遺骨が安置されていることは、あまり知られていない。
     広島や原爆に関する本は少なからず読んできたと思っていた自分も、原爆供養塔というものがあることを初めて知った。見た目は巨大な土饅頭で、一見してもなんだかわからない。古墳と説明されても納得しそうな外観だ。

     昭和33年のある日、被爆者のある女性が平和

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    2018年07月26日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

    購入済み

    上質なミステリーのようです

    世の中に「死刑」の是非をめぐる論争は数多ありますが、この本はそうした枠を超えて、読むものに命の大切さや人を裁くことの難しさを訴えていると思います。堀川惠子さんの作品は4作目ですが、どの本も取材が行き届き、著者の切なさや温かい心が込められています。これからもどんどん書いてください!

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    2018年05月21日
  • 教誨師

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    教誨師という、死刑囚と向き合う「仕事」。

    ただ単なる1人の僧侶と死刑囚たちのドキュメンタリーではなく、生きるとはなにか、死ぬとはなんなのかを強烈に問いかけてくる。

    私は個人的には、死刑は必要だと感じている。
    凶悪犯罪の抑制力として、また死刑という罰でしか償えないその罪の重さに対して。

    しかし、その刑を執行するためにどれだけの人達が辛い思いをしているのか。
    死刑を「人殺し」と表現する普相。


    「外」の世界を生きる私たちには、過去も未来もない。ただ今を生きる。
    懸命に生きる。

    私はそれができているだろうか。

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    2025年11月16日
  • 暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ

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    ネタバレ

    スローガンと方針だけで中味が伴わず、兵士たちや軍所属も認められない船員たちのことも知らずに推し進められた戦争の愚かさ、最前線を知る司令官たちの意見も届かず…虚しさばかり感じた。
    そして、地政的にも歴史的にも陸軍輸送や宇品の日清戦争からの流れを知り、点でしか戦争のことを知らなかったことに驚いた。
    日本にとって太平洋戦争は失敗ばかりであり、それでも優秀な人材はいた…でも、やっぱりこの敗戦で学んだことは、もっともっと世界に伝えることこそ日本がやるべきことなのに…と思わざるを得ない。
    ノンフィクションだからこそ、痛烈だった。

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    2025年09月27日
  • 透析を止めた日

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    私は慢性腎臓病患者です。まだ透析までは時間があると信じてます。かつて、何も知らずに、配偶者には、腎不全になっても透析はせずに死にたいと、伝えましたが、本書を読んで、そんな簡単な話ではないと知りました。自分は末期の苦しみに耐えることが出来るのか不安です。腎臓病患者も緩和ケアを受けられる日が来ることを願います。

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    2025年09月14日
  • 透析を止めた日

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    堀川惠子の透析を止めた日「読んだ
    ノンフィクションで二部構成になっている
    一部は夫の透析との戦いで、二部は透析の実情を克明に語っている。
    中学からの友達も透析をしている。
    漠然と大変だろうとは思っていたが、こんなに大変だとは思わなかった。
    本書の中に透析の入り口は片側四車線の道路を走るようで出口は歩くのも困難なあぜ道を歩くようなものだと書いてあった。
    透析の大変さをよく表していると思った。
    癌と違って終末を迎えるような施設もないと言うことだ。
    家族もほんと大変だというのが良く分かった。

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    2025年09月14日
  • 教誨師

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    死刑囚につく主に宗教者たちの束ねていた浄土真宗のある僧侶のオーラルヒストリー。
    現在では守秘義務から表に出ないが各死刑囚へ寄り添い、寄り添うことが重要だが難しいことへの悩み、死刑になることへの複雑な感情を後世に伝えるという意味で世に出すことを自分の死後許可している。

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    2025年08月30日
  • 透析を止めた日

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    腎不全末期、血液透析患者のその先。
    私たちはどう死ねばいいか分からなかった…という一文が象徴的。
    夫への愛と喪失の悲しみと共に、社会的問題を投げかけた作品。
    医療の進歩と共に、腹膜透析という選択が出来るようになって来たのは救い。利益重視で血液透析しか道が無い…という状況が変わる事を祈りたい。

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    2025年08月26日
  • 透析を止めた日

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    親の死をきっかけに終活ノートを作り始めた。終末期については延命治療は避けたい、苦痛のみ取り去る緩和治療を望む、と記したが堀川氏の作品を読み緩和ケアはすべての病の終末期に適用されないのだと知った。いのちの終わりを苦痛を取り去り安らかに閉じていきたいという望みが叶わない医療とはだれのための医療なのだろう。医療は疾病を直すためだけでなく、終わりに向かう命を安らかに閉じるためにもその医療資源を振り向けてほしい。自分の健康と命を人任せにせず(そうできない意識レベルの方もいるのだが)、自分はどうしたいのかを健康な時から考えたい。堀川氏と林氏の苦しい日々から生まれた本作が今後のよりよい終末期医療の方向性に役

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    2025年08月22日
  • 暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ

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    田尻さんかっこいい。
    宇品に見に行かなければ。
    女子校の近くに畑。
    私立の教員。
    おねしょをしなくさせるにはヤモリ?を1匹まる焼きにして食べる??
    宇品で陸軍が船舶を采配。

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    2025年05月04日
  • 教誨師

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    死刑囚に寄り添うこと。死が確定した人間に救いはあるのか。憎悪や狂いはマスコミの餌食として消費されるが被害者や加害者の悲しみを和らぐ術はどこにあるのか。この本に出会わなければ教誨について知る事も無かっただろうし、生きることの重みを知ることができた。

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    2025年04月30日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    1966年に強盗殺人を犯し死刑判決を受けた長谷川武の生い立ちから最期までを裁判記録や関係者の証言、そして長谷川が検事や弁護士に送った手紙から追っていくノンフィクション。

    死刑制度の存続の是非について考えていて(被害者側に立って考えがちで、どちらかと言えば賛成派ではあるものの)、その一環で手に取った本。

    かなり昔の事件で記録も少なく、なぜ大きな罪を犯すまでに追い詰められたのか詳細までは分からなかったものの、本来は大人しい性格で、反省し判決を受け入れつつも、生きたいと望むことが手紙を通して伝わってきて心を揺さぶられた。

    当時は刑務所で鳥を飼うことが許されていたようで、小さな命を守ることを通し

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    2024年12月31日
  • 教誨師

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    死刑囚に向き合う教誨師という仕事。先輩教誨師篠田龍雄の後任として28歳で、教誨師の道を歩み始めた浄土真宗の僧侶渡邊普相氏の日誌とインタビューをまとめた(と一言で済ますのは気が引ける内容だが)ものである。大変な仕事だというのは、相手が死刑囚だということだけでも、想像して余りある。自分が死んだ後に発表してくれ、という固い約束。ほとんど誰も口にしなかった、死刑の現場、言いたくないこと、思い出したくないこと、苦しくてたまらないことまで、吐露してくれた渡邊氏に心から敬意を表したい。そして、それを勇気を持って綴った、作者堀川恵子氏にも感謝だ。

    まず、思うことは、死刑の現実について、隠されすぎだということ

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    2024年09月16日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    たまたまタイトルが気になって読んでみたらとても面白かった。人が人を裁くことと、その裁く対象にも人生がある人間であるって事を丹念な取材をベースに書いてた。事件としては特に目立つようなものではないのだけど、凄く良い調査報道だった。

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    2024年05月01日
  • 戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

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    広島出張の折、市の中心部にある平和大通りに、ひっそりと存在している、さくら隊の慰霊碑に気づき、この本を手に取りました。早稲田大学演劇博物館に眠っていた八田元夫の資料を読み解きつつ、改めて知る、あの時代、あの日の物語。初めて読み解かれる、様々な秘められた物語の多いことに吃驚、著者の取材力に★四つですね。

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    2024年04月13日
  • 教誨師

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    前半の具体的な死刑囚とのやりとりから中盤以降、老教誨師の苦悩に焦点が移る。アルコール依存症にまでなり、入院。死刑囚たちにそれを告白してから関係性が変わった云々。
    終盤の重さ、真剣さ、真摯さは、浄土真宗の僧侶との長きに渡る対話がなせるものか。
    良い本を読んだ。
    今の所、堀川惠子のドキュメンタリーに外れ無し。

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    2024年03月10日
  • 教誨師

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    50年もの間、死刑囚と対話を重ね、死刑執行に立ち会い続けた教誨師・渡邉普相。「自分が死んでから世に出す事」という約束のもと、語られた死刑の現場とその内実とは。


    刑務所で服役中の囚人に対して、過ちを悔い改め徳性を養うための道を説く「教誨師」を長く務めた僧侶、渡邉普相さんの人生と告白を書いた本。
    教誨師の目を通して書かれるのは、生死に対する無力感や人殺し(=死刑)の手伝いをしながら人を救う事に対しての苦悩。どんなに徳の高い宗教者やベテランの刑務官であったとしても、彼らもまた一人の人間であり、人の死に対して達観しきっているわけではないことを実感します。

    恥ずかしながら、今まで死刑制度について、

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    2023年10月11日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    素晴らしい労作。
    暁の宇品、を読み、堀川惠子さんのこの本を手にした。

    途中、沢山の方の話が続き、少し長いかな、とは思ったけども、この長さはこの本に必要だったとも思う。
    当人のイデオロギーや情緒に流されない硬い筆致で進む文章であるが故、尚更抑えた思いが読者の胸に届くと感じた。美しいテキストだと思う。

    「哀しみも喜びもみな自分が作るの、人が作るんじゃない。自分のものの思い方で喜びも怒りも哀しみも生まれるし、争いも生まれる。じゃからこの年になってもね、自分との戦いなんよ。強くならんといけないね。強ければ相手に優しくできるでしょ。ひとりひとりの心が強くなれば、戦争だって起きんのよ。大切なのは力じゃ

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    2023年07月27日