堀川惠子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1966年、強盗殺人の容疑で逮捕された22歳の長谷川武は、さしたる弁明もせず、半年後に死刑判決を受けた。
死刑を求刑した担当検事に手紙が届く。
著者は数少ない手がかりをもとに、
長谷川武という人物に迫っていきます。
裁判とは、死刑とはというテーマが描かれています。
他の方もレビューで書いている通り、
加害者側か被害者側で見るのかで、
思うことも見えてくることも違って、
そのなかで私自身はどう考えるのか?
を問われているような気持ちになりました。
最初は全てを諦めやけっぱちに見えていた彼が、
拘置所で日々を過ごす中で、
愛情を与える側の気持ち、
弱い者を慈しみ守ろうとする気持ち、
大切なものを守るために何かを犠牲にしなくてはいけないこと、
少しずつ気持ちや考え方に変化が見られるようになります。
特に執行前日に書いた手紙、
母親との別れの場面は、
胸が苦しくなりました。
「人生の明暗を分けるその境界線は非常に脆いもの」
判決を下す側も下される側も大きなものを背負う。
その前に審理は尽くしたのか。
人の命を裁くための十分な情報が揃っているのか。
読み終わった後は少し疲れましたが、
読んでよかったと思った一冊です。 -
購入済み
真宗の教誨師渡邊普相氏に対するインタビューによるノンフィクションです。
教誨師については、知っていましたが、死刑囚に対しての事例は初めてでした。死刑の存続に関する意見がありますが、死刑の執行の現実を知った上で、議論が必要と思いました。
仏教系でないキリスト教系の教誨師についての記載が殆どないことが残念です。 -
Posted by ブクログ
1966年に強盗殺人を犯し死刑判決を受けた長谷川武の生い立ちから最期までを裁判記録や関係者の証言、そして長谷川が検事や弁護士に送った手紙から追っていくノンフィクション。
死刑制度の存続の是非について考えていて(被害者側に立って考えがちで、どちらかと言えば賛成派ではあるものの)、その一環で手に取った本。
かなり昔の事件で記録も少なく、なぜ大きな罪を犯すまでに追い詰められたのか詳細までは分からなかったものの、本来は大人しい性格で、反省し判決を受け入れつつも、生きたいと望むことが手紙を通して伝わってきて心を揺さぶられた。
当時は刑務所で鳥を飼うことが許されていたようで、小さな命を守ることを通して命の尊さを理解していく過程にも心を打たれた。もっと早くにそのような機会があればと願うばかりだった。 -
Posted by ブクログ
死刑囚に向き合う教誨師という仕事。先輩教誨師篠田龍雄の後任として28歳で、教誨師の道を歩み始めた浄土真宗の僧侶渡邊普相氏の日誌とインタビューをまとめた(と一言で済ますのは気が引ける内容だが)ものである。大変な仕事だというのは、相手が死刑囚だということだけでも、想像して余りある。自分が死んだ後に発表してくれ、という固い約束。ほとんど誰も口にしなかった、死刑の現場、言いたくないこと、思い出したくないこと、苦しくてたまらないことまで、吐露してくれた渡邊氏に心から敬意を表したい。そして、それを勇気を持って綴った、作者堀川恵子氏にも感謝だ。
まず、思うことは、死刑の現実について、隠されすぎだということ。関係者の口は硬く、守秘義務ということもあり、闇の中に沈めるしかなかったが、やはり、国の名で、法律の名で、人殺しを(あえて渡邊氏と同じ表現を使うが)している以上、もっと公にすべきではないのか?簡単に「死刑にすればいい」というが、そこに至るまでに、何があるのか?死刑を前にした受刑者、死刑を執行する刑務官たち、立ち会う宗教者たち等に、どれほどの負担を強いているのか、国民は知るべきだと私は思う。それを知らずに死刑存続も廃止も語れないのではないか?と思う。向き合うのはつらい。だから隠す、のでは、死を穢れとして隠した、平安時代と変わらないとさえ思う。
登場する死刑囚一人一人、当然、生まれも育ちも違う。が、登場するほとんどが、親に捨てられたり、不遇な幼少時代を過ごしているものが多い。
事件は社会を映す。歯車がどこかで噛み合っていれば、殺人などという手段を取らずに済んだ人も多いのではないか?という気持ちも拭えなかった。 -
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素晴らしい労作。
暁の宇品、を読み、堀川惠子さんのこの本を手にした。
途中、沢山の方の話が続き、少し長いかな、とは思ったけども、この長さはこの本に必要だったとも思う。
当人のイデオロギーや情緒に流されない硬い筆致で進む文章であるが故、尚更抑えた思いが読者の胸に届くと感じた。美しいテキストだと思う。
「哀しみも喜びもみな自分が作るの、人が作るんじゃない。自分のものの思い方で喜びも怒りも哀しみも生まれるし、争いも生まれる。じゃからこの年になってもね、自分との戦いなんよ。強くならんといけないね。強ければ相手に優しくできるでしょ。ひとりひとりの心が強くなれば、戦争だって起きんのよ。大切なのは力じゃなくて、心じゃからね。」p399 -
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この記者の、取材対象への執念にはいつも驚かされる。
検事の葛藤がよくわかった。
昔の東京拘置所の寛容な対応や、教誨師の存在、立ち会った人たちによる処刑についての証言など興味深い。
私自身はどちらかというと廃止かな、くらいで死刑に対して強い意見を持っているわけではない。
ただ、本書は、長谷川武が死刑判決を受けた後に更生している様子を見せていたことを受けて「あんなふうに変わってくれたのに死刑執行してよかったのか」と葛藤するということが描かれているが、私は、そもそも長谷川武があんなに澄み切った気持ちになれたのは死刑判決を受けたからなのではないか?と感じた。
生への諦念が生まれて初めて悟りを得たような心境になり、自分の罪と真摯に向き合えたのではないかなと。
たらればになってしまうし実際のところは分からないけど、難しいな。 -
Posted by ブクログ
星を四つとしたのは、広島に生まれ育った人間として、知らなければならなかった事を今初めて知ったことがいかに多かったことか、ということによる。
悲しみも喜びもみな自分が作る。人が作るんじゃない。自分のものの思い方で、喜びも怒りも哀しみも生まれるし、争いも生まれる。だから、自分との戦いなのだ。強くならないといけない。強ければ相手に優しくできる。ひとりひとりの心が強くなれば、戦争は起きない。大切なのは力じゃなくて、心なのだ。
相手に仕返しをしようと思うのなら、強くなることだ。強くなれば、優しくできる。私はあなたと違って、あなたに辛く当たらない、私は強いから。だから、あなたにはめいいっぱい優しくするのだ。優しくする事が、つまり仕返しなのだ。 -
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苦しい、苦しく切ない死刑囚の話だ。
いつだって貧困やいじめはこのような悲しい事件を引き起こしてしまう。
28歳で執行された長谷川武死刑囚
貧しい生活の中で高級な腕時計をローンを組んで買っていた、贅沢すぎると怒られた時に自分はこの腕時計が欲しかったわけじゃない、いつも貧乏な生活で我慢ばかりして引け目を負って生きてきたけど、この高価な品を持っているだけでなぜか心が安らいだ、安心できたと。
自分もみんなと同じ一人前の人間なんだと確認できたと。
ただ、ただ普通でいたいだけだったのにと思うと胸が締め付けられる。
最後の夜に食べたいと求めたラーメンとお寿司
寝ずに書いた手紙たち、28歳の彼の魂が切ない。
しかし、したことの罪は償わなければいけない現実に読んでいて苦しくなった。
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Posted by ブクログ
夏が来ると 広島・長崎をテーマにした書籍に目が留まります。
この本は
「氏名や住所がわかっていながらなぜ無縁仏とされたのか?」
という所から切り込んでいる内容でした。
いまだに 引き取り手のいない遺骨が沢山あるという事。
あの日 家族全員がなくなった為にそういう事もあるし、
この本では 間違って 違う名前を記載されたとか
人違いだったとか、海外からの方が日本語名で最後言ったので
本名がわからずこの 供養塔に収められたままであるとか。
戦後70年。
もう 当時を知る人がいなくなってしまってきている今。
私より若い方が こうして調べて本にしてくれた事は
とても嬉しい。
私の知らなかった 戦争末期から戦後の時代を教えてもらえた本でした。
多くの人に この本を読んでもらいたいと思いました。
戦争はもう二度としてはいけませんね。
どんな理由があっても・・・・・