堀川惠子のレビュー一覧

  • 教誨師

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    死刑囚に寄り添うこと。死が確定した人間に救いはあるのか。憎悪や狂いはマスコミの餌食として消費されるが被害者や加害者の悲しみを和らぐ術はどこにあるのか。この本に出会わなければ教誨について知る事も無かっただろうし、生きることの重みを知ることができた。

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    2025年04月30日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    1966年に強盗殺人を犯し死刑判決を受けた長谷川武の生い立ちから最期までを裁判記録や関係者の証言、そして長谷川が検事や弁護士に送った手紙から追っていくノンフィクション。

    死刑制度の存続の是非について考えていて(被害者側に立って考えがちで、どちらかと言えば賛成派ではあるものの)、その一環で手に取った本。

    かなり昔の事件で記録も少なく、なぜ大きな罪を犯すまでに追い詰められたのか詳細までは分からなかったものの、本来は大人しい性格で、反省し判決を受け入れつつも、生きたいと望むことが手紙を通して伝わってきて心を揺さぶられた。

    当時は刑務所で鳥を飼うことが許されていたようで、小さな命を守ることを通し

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    2024年12月31日
  • 教誨師

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    死刑囚に向き合う教誨師という仕事。先輩教誨師篠田龍雄の後任として28歳で、教誨師の道を歩み始めた浄土真宗の僧侶渡邊普相氏の日誌とインタビューをまとめた(と一言で済ますのは気が引ける内容だが)ものである。大変な仕事だというのは、相手が死刑囚だということだけでも、想像して余りある。自分が死んだ後に発表してくれ、という固い約束。ほとんど誰も口にしなかった、死刑の現場、言いたくないこと、思い出したくないこと、苦しくてたまらないことまで、吐露してくれた渡邊氏に心から敬意を表したい。そして、それを勇気を持って綴った、作者堀川恵子氏にも感謝だ。

    まず、思うことは、死刑の現実について、隠されすぎだということ

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    2024年09月16日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    たまたまタイトルが気になって読んでみたらとても面白かった。人が人を裁くことと、その裁く対象にも人生がある人間であるって事を丹念な取材をベースに書いてた。事件としては特に目立つようなものではないのだけど、凄く良い調査報道だった。

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    2024年05月01日
  • 戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

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    広島出張の折、市の中心部にある平和大通りに、ひっそりと存在している、さくら隊の慰霊碑に気づき、この本を手に取りました。早稲田大学演劇博物館に眠っていた八田元夫の資料を読み解きつつ、改めて知る、あの時代、あの日の物語。初めて読み解かれる、様々な秘められた物語の多いことに吃驚、著者の取材力に★四つですね。

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    2024年04月13日
  • 教誨師

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    前半の具体的な死刑囚とのやりとりから中盤以降、老教誨師の苦悩に焦点が移る。アルコール依存症にまでなり、入院。死刑囚たちにそれを告白してから関係性が変わった云々。
    終盤の重さ、真剣さ、真摯さは、浄土真宗の僧侶との長きに渡る対話がなせるものか。
    良い本を読んだ。
    今の所、堀川惠子のドキュメンタリーに外れ無し。

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    2024年03月10日
  • 教誨師

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    50年もの間、死刑囚と対話を重ね、死刑執行に立ち会い続けた教誨師・渡邉普相。「自分が死んでから世に出す事」という約束のもと、語られた死刑の現場とその内実とは。


    刑務所で服役中の囚人に対して、過ちを悔い改め徳性を養うための道を説く「教誨師」を長く務めた僧侶、渡邉普相さんの人生と告白を書いた本。
    教誨師の目を通して書かれるのは、生死に対する無力感や人殺し(=死刑)の手伝いをしながら人を救う事に対しての苦悩。どんなに徳の高い宗教者やベテランの刑務官であったとしても、彼らもまた一人の人間であり、人の死に対して達観しきっているわけではないことを実感します。

    恥ずかしながら、今まで死刑制度について、

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    2023年10月11日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    素晴らしい労作。
    暁の宇品、を読み、堀川惠子さんのこの本を手にした。

    途中、沢山の方の話が続き、少し長いかな、とは思ったけども、この長さはこの本に必要だったとも思う。
    当人のイデオロギーや情緒に流されない硬い筆致で進む文章であるが故、尚更抑えた思いが読者の胸に届くと感じた。美しいテキストだと思う。

    「哀しみも喜びもみな自分が作るの、人が作るんじゃない。自分のものの思い方で喜びも怒りも哀しみも生まれるし、争いも生まれる。じゃからこの年になってもね、自分との戦いなんよ。強くならんといけないね。強ければ相手に優しくできるでしょ。ひとりひとりの心が強くなれば、戦争だって起きんのよ。大切なのは力じゃ

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    2023年07月27日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    この記者の、取材対象への執念にはいつも驚かされる。
    検事の葛藤がよくわかった。
    昔の東京拘置所の寛容な対応や、教誨師の存在、立ち会った人たちによる処刑についての証言など興味深い。
    私自身はどちらかというと廃止かな、くらいで死刑に対して強い意見を持っているわけではない。
    ただ、本書は、長谷川武が死刑判決を受けた後に更生している様子を見せていたことを受けて「あんなふうに変わってくれたのに死刑執行してよかったのか」と葛藤するということが描かれているが、私は、そもそも長谷川武があんなに澄み切った気持ちになれたのは死刑判決を受けたからなのではないか?と感じた。
    生への諦念が生まれて初めて悟りを得たような

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    2023年04月17日
  • 教誨師

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    読みやすく、面白かった。

    死刑囚との対話を通して、死刑囚の人となりが理解できる一方で、彼らは死にゆく運命にある。死刑の描写も生々しく、辛いものがある。

    死刑は残虐であるという認識はあったが、それは死刑囚に対してだけではなく、死刑に関わる人々にとっても残虐である。国家は、権力によって人を殺すだけではなく、殺す人を作り出す。望んでなくとも、仕事として、人を殺さなくてはならない。死にゆく人を見届けなくてはならない。私自身に見えていなかった観点かもしれない。

    しかし、この本の中では、死刑囚の心情に近づくが、被害者の心情に近付くことはできない。死刑が残虐なのは分かったが、被害者にとって、その償い

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    2023年02月12日
  • 教誨師

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     昨年末に柚月裕子さんの『教誨』を読んで教誨師の仕事に関心をもち、本書を手にしました。
     読後、「よくぞ本書を世に送り出してくださった!」と、著者の堀川惠子さんには敬意を表する以外にありません。
     全く知らない異世界事実の重さに、圧倒されました。50年間にわたり、死刑囚と対話し刑の執行に立ち会った教誨師・渡邉普相。本書に記されているのは、ひとりの僧侶の目に映った「生と死」、そして「教誨師としての苦悩」の告白です。

     法治国家日本の「死刑制度」への疑問は、本書を読むほどに増します(個人的に死刑反対論者を公言するものではありません)。被害者遺族の心情も大切ですが、死刑廃止により凶悪犯罪の抑止力が

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    2023年02月02日
  • 教誨師

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    ネタバレ

    「この話は、わしが死んでから世に出して下さいの」
     
     教誨師という仕事をご存知だろうか。
     死刑囚と唯一自由に面会することを許された民間人。対話を重ね、最後はその死刑執行の場に立ち会う。報酬もなく、精神的にも肉体的にも過酷なボランティアである。
     生とは、死とは。
     法の裁きとはいえ、寿命がまだあるものに強制的に死を与える。
     これを「人殺し」と呼ばずして、何と呼ぶのか。
     約50年間 教誨師の職を担った渡邉普相(わたなべ ふそう)の遺書的作品である。

    ☆構成がえぐい
     ニュースだけでは伝わってこない死刑囚1人1人の性格を丹念に描き、教誨師との何気ないやりとりで読者を和ませ、親近感を覚え始

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    2022年10月25日
  • 教誨師

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    「死刑囚」という少しそそられる単語で「教誨師」が何かすらもイマイチ分からないまま読んでみたけど、地上波では堂々と語れない内容を遺言書として長きに渡る教誨師人生を公にした本作は、読み終わった後の重みが凄すぎた…

    自分の国の事なのに、死刑なんてドラマの中か、短期的に移り変わるニュースくらいでしか知らなかった無知な自分に対して、色々考えさせられました。自分が結論付けるにはあまりにも重すぎますが、かと言って考える事の放置は、自らの国(法律)の責任転移になると思います。自分らの知らぬうちに、知らない職種があり、知らぬ間に、世間が忘れてしまった事件の犯人を死刑に処する。これで一体誰が報われるというのでし

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    2022年10月24日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    星を四つとしたのは、広島に生まれ育った人間として、知らなければならなかった事を今初めて知ったことがいかに多かったことか、ということによる。

    悲しみも喜びもみな自分が作る。人が作るんじゃない。自分のものの思い方で、喜びも怒りも哀しみも生まれるし、争いも生まれる。だから、自分との戦いなのだ。強くならないといけない。強ければ相手に優しくできる。ひとりひとりの心が強くなれば、戦争は起きない。大切なのは力じゃなくて、心なのだ。

    相手に仕返しをしようと思うのなら、強くなることだ。強くなれば、優しくできる。私はあなたと違って、あなたに辛く当たらない、私は強いから。だから、あなたにはめいいっぱい優しくする

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    2022年10月03日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    苦しい、苦しく切ない死刑囚の話だ。
    いつだって貧困やいじめはこのような悲しい事件を引き起こしてしまう。

    28歳で執行された長谷川武死刑囚
    貧しい生活の中で高級な腕時計をローンを組んで買っていた、贅沢すぎると怒られた時に自分はこの腕時計が欲しかったわけじゃない、いつも貧乏な生活で我慢ばかりして引け目を負って生きてきたけど、この高価な品を持っているだけでなぜか心が安らいだ、安心できたと。
    自分もみんなと同じ一人前の人間なんだと確認できたと。
    ただ、ただ普通でいたいだけだったのにと思うと胸が締め付けられる。

    最後の夜に食べたいと求めたラーメンとお寿司
    寝ずに書いた手紙たち、28歳の彼の魂が切ない

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    2022年06月26日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    夏が来ると 広島・長崎をテーマにした書籍に目が留まります。
    この本は
    「氏名や住所がわかっていながらなぜ無縁仏とされたのか?」
    という所から切り込んでいる内容でした。

    いまだに 引き取り手のいない遺骨が沢山あるという事。
    あの日 家族全員がなくなった為にそういう事もあるし、
    この本では 間違って 違う名前を記載されたとか
    人違いだったとか、海外からの方が日本語名で最後言ったので
    本名がわからずこの 供養塔に収められたままであるとか。

    戦後70年。
    もう 当時を知る人がいなくなってしまってきている今。
    私より若い方が こうして調べて本にしてくれた事は
    とても嬉しい。

    私の知らなかった 戦争

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    2022年05月20日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    社会の課題を見つめる新たな視点をもらえた。
    取材力が凄まじい。
    構成も素晴らしく、寝食を忘れて読んだ。

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    2021年08月05日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    この本の感想は難しい。
    いまから30年ほども前に死刑執行された長谷川を追っていく。長谷川が死刑判決後に検察官や弁護士、関係者に書いた手紙を元に進んでいく。その過程で被害者がひとりだけ、生活態度真面目なのになぜ死刑になったか裁判官達が珍しく覚えていない、とまるで誤って死刑になったかのような描写がされる。
    ここに強い違和感を感じる。被害者はたったひとり、だけどごく普通の主婦で、家に居る所を押し込み強盗にあった。発見者は小学生の娘。この本を被害者側から書いたら当然だが全く違う内容になっただろう。だって長谷川の犯行は冤罪ではなく、例えば防衛のためでもなく、生活のためでもない。贅沢な暮らしをしたいという

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    2016年02月16日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    加害者側からみるか被害者側からみるか…

    死刑囚が心から改心したとしても、どんなに被害者に対して謝罪の気持ちが芽生えても、殺された側はどう思うか…
    殺人の被害者は突然人生を終わらされるのだ。

    この作品は死刑囚を中心に描かれているので、私も読んでいて長谷川死刑囚に気持ちが揺るがされたが、でもやっぱりどんな苦しい生い立ちや家庭環境であっても人を殺めるということは絶対に許されないと思う。

    ただ裁判員裁判が始まり、どこか遠い出来事だった裁判というものが身近に感じ、「死刑」のみならず刑を下すという重要性には慎重に慎重を重ねなければならないと感じた。
    裁判官、検事、弁護士を仕事としている人間でも、それ

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    2026年03月23日
  • 教誨師

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    ネタバレ

    忘れることのない本になると思います。
    半世紀に渡り教誨師を勤め上げた渡邉さんには敬服いたします。

    死刑執行の場面は自然に手に汗が湧いてくるほど重い。
    死の直前のふるまい。緊迫する刑務官。読経の響き。

    ロープがギッシギシと音を立てる。

    加害者側の背景や死刑執行までの過程が描かれていくが、もしここに被害者のほうからの視点も織り交ぜながら描かれていれば私はどうしても死刑制度はありと答えてしまう…
    そもそも、死刑制度について賛成か否定か そんな話ではないくらい深い本でした。 

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    2022年11月23日