堀川惠子のレビュー一覧

  • 戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇

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    偶然にも今年、東京・目黒の五百羅漢寺に行った。
    慰霊碑は目にしたが、不覚にもその時はこのことについて知らなかった。
    1945年8月6日、アメリカが広島に投下した原子爆弾で全滅した悲劇の移動劇団「桜隊」。被爆した場所こそ広島だが、その直前まで東京を拠点にしていた劇団だったため、東京に慰霊碑があるのだそう。
    その桜隊の演出家でありながら、運命のちょっとしたいたずらで原爆の惨禍を免れた(直後入市被爆してしまうが)演出家・八田元夫氏の視点から、戦時中演劇界を襲った検閲、投獄、拷問。そして原爆投下による広島の悲劇を描いたノンフィクション。

    すっかりファンになった、ノンフィクション作家・堀川惠子さんの圧

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    2025年12月16日
  • 教誨師

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    ネタバレ

    読み終わってからも、どう感想を書けばいいのか整理がつかずな内容だった。
    被害者遺族の感情に立つと、死刑囚のことはどうしたって許せない。
    けれど、人は、人との出会いで変わっていくもの。
    それをどう受け入れればいいのかわからなくなってしまった。

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    2025年12月13日
  • 透析を止めた日

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    ネタバレ

    透析患者を取り巻く状況ーーー例えば、透析に通うADLがなくなった時から社会的入院を余儀なくされるとか、寝たきりでも死ぬまで回し続けるのが一般的とか、透析を止めて安らかに逝く手段がないとか、そもそも腎不全は緩和ケアの対象外だとかーーーそういうことを私は全く知らなかった。
    著者と夫の日常の描写を通して、特にその最期の壮絶さを通して、著者の問題意識は痛いほど伝わってきた。夫の死後、献血に行ったら栄養失調と言われ、一気に白髪になり、などという記載もあったが、本当に苦しかっただろう。
    それでも本書の後半の冷静な取材は見事だった。現状を綴るだけでなく、明確に腹膜透析と在宅ケア社会資源という理想型を提言して

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    2025年12月08日
  • 透析を止めた日

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    腎臓の病気の治療法である人工透析を通して、生と死について、医療について深い示唆を与える本である。著者は、腎臓の難病によって人工透析しなければならない夫を看取る。しかし、衰弱して人工透析が受けられなくなった夫は、苦しみの中で亡くなった。なぜ、最後まで苦しまなければならなかったのか。まず、人工透析を受ける患者は緩和ケアを受けられない。そして、人工透析にも血液透析以外に腹膜透析という方法があることを知らせられない。緻密な取材で、乱暴に言えば金のなる木としか見られていない人工透析患者の現状を紹介し、患者の尊厳を守り安らかな最期を迎えられるようにするにはどうすればよいかを提言する。死の瞬間に尊厳があるの

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    2025年11月28日
  • 透析を止めた日

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    透析という言葉の裏に隠れている医療現場について学べる良書。
    さらに、患者中心主義に基づいた解決の糸口についても伝えてくれた。
    色々学べて読んでよかった!

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    2025年11月23日
  • 透析を止めた日

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    自分がいかに、人工透析について知らなかったか、それだけでなく偏見の目を持っていたのかに気付かされた。
    透析クリニックの前に、送迎の車が停まり、患者さんたちが乗り降りしているのを見ると、不摂生の結果、医療費の高騰、という言葉が頭をよぎることがあった。

    でも、透析を受ける(まわす、というらしい)というのは、その人の心にも身体にも大きなダメージがあること、家族の負担も大きいこと、そもそも透析を始める理由も様々であること。

    知らずに判断するのは良くない、とよく言われるけれど、まさにそう。


    さらに、「人工透析」が市場のシステムに組み込まれているのも悲しい現実だと思った。以前いった病院に「病ではな

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    2025年11月23日
  • 教誨師

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    すごい話だった…。“死刑”が法の上で許容されているこの日本は、いわば“殺人”を合法的に犯すことを黙認しているんだと気付かされた。自分から遠い話だった死刑制度の実態が、とても近くに感じた。今まで、重罪を犯した犯罪者が極刑に処されることに対して何も疑問を持たず、その執行が多くの人の苦しみの上に成り立っているなんて知らなかった。
    なんて制度だろう。誰も幸せになれない。
    どうしたらいいのか、今を生きている、無自覚にもこの制度の上で生きている私たちが考え続けないといけないんだと思った。

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    2025年11月08日
  • 透析を止めた日

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    【概要】
    1部:著者の夫の生き様、死にゆく様と伴走する妻の闘病生活が描かれている。
    2部:日本の透析医療の現状。そして、透析患者であっても穏やかに最期を過ごすことができた人の紹介。

    【感想】
    旅立ちが近いことを自身で感じ、大切な人とのお別れや身辺整理を行なう中でもなお、肉体的な苦しみから解き放たれない様子がそのまま伝わってきて読んでいて本当に辛かった。日本の医療の限界や、近い将来自分と大切な人に訪れるかもしれない未来に絶望感さえ感じ、とんでもない虚無感に襲われた。透析患者が故に保険診療の絡みで緩和ケア病棟に入れず、望む緩和ケアを受けられないどころか、蔑ろにされているような孤独感を病院の中にい

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    2025年10月30日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    いつもながら堀川さんの著作は読みごたえがある。これまで読んだ裁判とか死刑囚がテーマではなく、この本は広島の原爆がテーマだけどもともと堀川さんは広島出身だそうでそれだけに真摯に取材を重ねた感がある。
    原爆投下そしてその後をたどるなかにさまざまな不条理が、やるせない思いにさせるものが描かれる。原爆を機に身内ですら疎遠になったり不仲になったり、原爆で亡くなった人の算定の覚束なさとか、供養塔に納められている人の情報が実は不確かだったりとか、本で深く触れられている佐伯敏子さんや著者が受けた行政の対応とか。平和を軸に誠実に公明正大に対応している気がしていた行政の被爆者対応、縁故者対応だって平和のイメージを

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    2025年09月15日
  • 教誨師

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    50年にわたって死刑囚と対話を重ねて刑の執行に立会いつづけた教誨師の僧侶の語りに基づくノンフィクション。興味本位で読み始めたが、死刑という刑事罰のあり方について考えさせられた。贖罪とは、犯罪者の人権とは、執行を決める人と立ち会う人の心のありようとは。執行の現場における生々しい描写も多く、「よってたかって人殺しをする」シーンをイメージすると読み進めるのも苦しかった。語り手や死刑囚、死刑執行に携わるすべての人に敬意や配慮が感じられて、取材が丁寧で信頼できると感じた。

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    2025年09月08日
  • 透析を止めた日

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    読んでる時に、その本にとらわれて、頭から離れないことがある。
    そんな本だった。

    人工透析には血液透析と腹膜透析があることを知りながらも、多くの患者はその違いを十分に説明されず、選択肢を持てないまま苦しみの中で亡くなっていく。
    その現実を突きつけられたとき、私は「知らされないこと」そのものが人を追い詰め、尊厳を奪うのだと痛感した。
    著者の夫もまた透析の果てにとても辛い最期を迎え、その体験が記者としての冷静な視点と重なり、文章に圧倒的な力を与えている。


    堀川さんの聡明で澄んだ言葉は、重く難しいテーマを驚くほどわかりやすく伝え、心に真っ直ぐ刺さってきた。

    読み進めることは辛くもあったが、その

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    2026年04月08日
  • 狼の義 新 犬養木堂伝

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    「狼の義 新犬養木堂伝」林新/堀川惠子

    犬養毅とその側近であった古島一雄、この二人の物語を読み終え、深い感慨に耽っている。今の程度の低すぎる候補者やすでに議員になっている人に是非読んでもらいたい本である。私欲を排し、国家の行末を真剣に考え、命を削る覚悟で政界を生きた犬養毅。壮絶な一生に学ぶべきものがあると思う。

    ・犬養毅が心から尊敬したのは福沢諭吉だけだった。

    ・犬養毅はいつも貧乏だった。年がら年中高利貸しに追いかけられていたが、それでも支援を求めてくる人には気前よくなんでも与えていた。

    ・犬養毅は護憲派の政党をひとつにまとめ、全員が胸に白バラをさして議会に入場して、藩閥政治の桂園時代

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    2025年07月16日
  • 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

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    毎朝の通勤電車の中で、ときおり涙ぐみながら読んだ。私たちが穏やかで変わり映えのしない日常を送るこの地の下には、たくさんの死が埋まっている。どうしてそれを忘れていられよう。

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    2025年06月19日
  • 透析を止めた日

    購入済み

    身につまされる

    身内を同じく見送ったものとして考えさせられた作品。 自分がこの病について不勉強でけして穏やかに看取れたとは言えず当時は分からなかったことが堀川さんによって解明された気がする。

    #共感する #深い

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    2025年06月11日
  • 暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ

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    歴史物は昔から好きで、明治から昭和にかけての本も読んできたが、敗戦の要因が今までとは違う角度から明解に書かれており、腹落ちできた。海軍物の小説は多く、陸軍はインパールなど印象が悪かったが、一部には有能なメンバーがいたことを知れたのはよかった。

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    2025年04月29日
  • 狼の義 新 犬養木堂伝

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    書評:命を懸けて、言葉を信じ抜いた人間の肖像
    ――『狼の義 新 犬養木堂伝』(角川ソフィア文庫)

    「話せばわかる」——その言葉の裏には、犬養毅という一人の政治家が、言論による政治、政党による民主主義を誰よりも強く望んでいた事実がある。本書『狼の義』は、五・一五事件で暗殺された総理大臣の伝記という枠を超え、「国家とは何か」「人は何のために生きるのか」を静かに、そして力強く問いかける。

    犬養毅は、藩閥による専制の時代にあって、国家と政府を明確に区別し、政府が国家に反すると判断すれば倒閣も辞さない。その一貫した信念は、時に政局において不可解にも映るが、彼の中では明確な論理が通っていた。国家の未来

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    2025年04月17日
  • 教誨師

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    すごかった。
    軽率にに死刑制度は賛成か、反対か、なんて答えられない。浄土真宗の悪人正機説、「善人が救われるのであるから、悪人であればなおさらだ」というフレーズが初めはよく分からなかったが、全部読み終わった後なんとなく理解した。
    遺族はもちろん、加害者も執行側も教誨師も、一人一人が重いものを背負っている感じがやりきれなかった。

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    2025年02月15日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    裁判によって「裁かれるのは誰か」。裁く人も裁かれる人も人生の重荷を背負っている。被告人のみならず、裁判に携わる関係者、そしてその仕組みのもとで暮らしている国民である自分も無関係ではない、と気づかされる。
    人生の明暗を分けるその境界線は非常に脆い、という言葉は、だからこそ常に相手の思いを聴く、相手の思いに馳せることが大事、ということにつながるのだと思った。

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    2025年01月19日
  • 裁かれた命 死刑囚から届いた手紙

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    1966年強盗殺人の容疑で逮捕された二二歳の長谷川武は、さしたる弁明もせず、半年後に死刑判決を受けた。
    長谷川は「自分が奪った他人の命は、たとえ自分の死をもってしても償い切れるものではない」と死刑を待つ間に気づいて手紙に書いていて、私はそのことに初めて気づいた。
    命は一つしかないからたとえ犯人が死刑によって自分の命を使っても、それは償いにならない。となると、死刑は必要なのか?という気持ちになる。
    遺族のために国家が犯人の命を奪うのも、本当に正しいのか?しかも、裁判員として自分が死刑に関わることがあるかも、ということがかなり怖くなった。

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    2024年12月24日
  • 教誨師

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    柚月裕子さんの「教誨」という作品の参考文献として挙がっていた本のひとつ。作者のあとがき、法科大学院の先生の解説までとても読み応えがある。
    印象に残ったフレーズが12もあって、文字起こしするのも一苦労。教養本として間違いなく読んでよかったと思えた作品でした。

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    2024年12月15日