峯村健司のレビュー一覧
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中国共産党の成り立ちというか、毛沢東がでっち上げたものがどう変化しつつ現存しているかについてよくまとまっている対談であると思う。
とくに、鄧小平に比べて過小評価されている江沢民時代の党の変貌について一目置いているところは新鮮だった。
また、ナンバー2のいない「習近平超一強体制」における習近平に何かあったらどうなるのかリスクについて大きく扱っている。これも良い。
しかし、何よりスゴいのは、ファシズムでさえ、地主と労働者と資本家がいるのに、中国では共産党がすべてを支配していて、地主も労働者も資本家も存在しないという点である。改めてタイプしていてもクラクラする。
また、中国の超監視社会についてはよく -
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「敵を知る」為に読んだ。途中かなりつらかったが。それでも、「習近平のブレーン」の言葉を読めて良かったと思う。
ただ、
中国は平和的発展を堅持するが、発展は平和よりも尊い
中国は平和的台頭を堅持するが、台頭は平和よりも尊い
中国は平和的解決を堅持するが、主権は平和よりも尊い
中国は平和的統一を堅持するが、統一は平和よりも尊い
中国は平和的外交を堅持するが、中国外交の原則は平和よりも尊い
コレを真顔で言われてもつらい。大日本帝国の興亡を中国人は学ばないのかと。。。
台湾併合のために南北戦争を研究していると言われても、「ああ、あなた方とは150年ほど時差があるようですね」としか言い様がない。
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これは著者である峯村氏が監訳の『中国「軍事強国」への夢」の副読本として最適。
中国側からの視点である、劉明福氏の戦略的思考を読み解きながら、日本側の視点で捉えたものだ。
台湾有事のシナリオについては様々なところで論じられるようになってきているが、ここでのシミュレーションは防衛力(軍事力)での比較よりも政治的な判断によるもので、残念ながら現在の日本政府では、ここで書かれている通りに推移する可能性が高いと思われる。
また、本書の最も参考にすべきは第4章だろう。掛け声だけで、具体的には何も行動しない政治の結果として自衛隊員が、そして国民が大きなツケを払うことになるかもしれない。 -
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習近平のブレーンとされる劉明福国防大学教授(上級大佐)の著書。極めて鮮明に中国の発展観・国防観が明らかにされていて、(当然同意はできないが)率直で読んでいて気持ちが良い。ハイライトは第5章の「反台湾独立から祖国の完全統一へ」ということで、基本的には武力統一が出来て、台湾も米国も(日本も)抑止される強固な態勢を以て無血開城を目指している。その際、米国が反論し難いように、南北戦争における北部のスタンスを行動の指針に据えているところがとても興味深い。
全般的には、中国が目指すべき理想とそれに向けたナラティブが散りばめられていて実現可能性は未知数だが、このような長期目標を立てていることを念頭に置いて -
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まず著者が凄い軍人らしくて、会った人がみな強烈な印象を抱いている。高身長で姿勢もよく、メールの中身もぴちっとして時間も書かれ、待ち合わせではケータイをいじるでもなく時間に遅れることもない。威圧感があるように思いつつ、決して人の話を遮ったりせず、謙虚で質素らしい。
習近平の反腐敗や中国の夢とか、ブレーン的存在らしい。
中国では半分以上削除された原稿を、日本語に訳してエッセンスを抜き出したものとのことで、いかに世界最強の人民解放軍を作るかということ。2019年頃から中国の台湾政策が変わったと受け止められているが、その嚆矢とも言えるのが中国で削除された5章部分らしい。これはやはり出版して中国の政策が -
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【振り返ってみれば、私が中国にいた頃が、各地を縦横無尽に駆け巡ってルポができた最後の特派員の時代だったのかもしれない】(文中より引用)
文字どおりの「潜入」も含め、中国の隠された部分への取材を敢行した様子を綴った作品。党や軍の内実に肉薄しようと試みた貴重なルポルタージュとなっています。著者は、朝日新聞で中国総局員を務めた峯村健司。
とんでもない突撃取材の数々そのものだけでなく、わずか10年弱の間にこのような取材がほぼ一切できなくなるような状態になっているというのも驚き。現在の中国を知るという意味においてだけでなく、往時の中国の取材感を知る上でも貴重な作品と言えそうです。
取材ができないの -
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【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。
よくここまで取材したなというのが読後の第一印象。一般的な報道ではすくい取ることが難しい共産党の内幕の一端を暴いていく筆は本当に見事です。13億人を擁する大国ですが,ミクロを突き詰めていくとその輪郭までもが浮かび上がってくるものなのかと驚きの念を覚えました。
〜権力闘争こそが,中国共産党を永続させるための原動力なのではないか。〜
なんだかんだ言われますが,日 -
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朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。
毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられなかった。胡錦濤も江沢民の影響力を減じようとしたが逆に部下のスキャンダルにやられてしまった。それが習近平の就任につながる。
一方その間に有力者の腐敗が進んだことでそれをテコに習近平が、江沢民を支える基盤の力を削ぎ(腹心の有力者を追い落とす)、ダークホースから最も堅い権力基盤を固めるまで至った。