峯村健司のレビュー一覧
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【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。
よくここまで取材したなというのが読後の第一印象。一般的な報道ではすくい取ることが難しい共産党の内幕の一端を暴いていく筆は本当に見事です。13億人を擁する大国ですが,ミクロを突き詰めていくとその輪郭までもが浮かび上がってくるものなのかと驚きの念を覚えました。
〜権力闘争こそが,中国共産党を永続させるための原動力なのではないか。〜
なんだかんだ言われますが,日本の東アジア報道に極めて質の高いものがあるということを改めて思い起こさせてくれる一冊☆5つ -
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朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。
毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられなかった。胡錦濤も江沢民の影響力を減じようとしたが逆に部下のスキャンダルにやられてしまった。それが習近平の就任につながる。
一方その間に有力者の腐敗が進んだことでそれをテコに習近平が、江沢民を支える基盤の力を削ぎ(腹心の有力者を追い落とす)、ダークホースから最も堅い権力基盤を固めるまで至った。 -
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ロサンゼルス郊外にある中国高官の愛人村、習近平氏の娘が偽名でハーバード大学に留学していたというショッキングな内容から始まる。
社会主義国にありがちなトップによる富の集中は想定内であらるが、それが仮想敵国である米国内で行われていることに驚きを感じる。華僑の歴史を持っている中国としては、人の移住による中華思想実現を政策の一つとしているのかもしれない。
習近平氏が最も重要な儒家の一人として荀子を紹介しているという事実にも着目すべきだと思う。荀子は「人は生まれながらにして欲望を持っている」という「性悪説」の立場に立っていた。したがって習近平氏も荀子が訴えた「法による統治」を重視する可能性がある。
習近平氏がよく引用する荀子の書の一節は「君は舟なり、庶民は水なり、水は則ち舟を覆す」。隣の大国のトップがこの様な考えをもっていることを我々はもっと知るべきだと思う。人民を味方につけるために、反日感情を利用することは容易に想像がつく。大国である中国にしてみれは、日本は人民をコントロールする手札の一つに過ぎないということだろう。 -
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中国という国に、力強いリーダーが誕生するまでの過程が描かれている部分が一番緊張をしながら読めた。タイトルの『13億分の1の男』は、運も、実力も、類稀なものを持ち備えていることをよく現している、まさにこのタイトルがピタットくる。
中国という国の政争、覇権争いがテレビや新聞での表面的な伝えられ方とは違った、迫るものを感じさせられる。
それでも、この時代の巨大な国は、この類稀なリーダーによってさえ、まとめられることには多難な道が横たわっている。さらには、この実力のあるリーダー自身さえ、この巨大な権力を掌握してどの様に振舞っていくのか、けっして国際社会の全体像が良くなる方向とは限らなさそうなところが怖さを感じさせる。
そして、その怖さは今の日本に安住し、人類の歴史のダイナミズムから切り離された、我々日本人だから強く感じるものなのかもしれない。 -
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25歳以上も齢の離れた2人の中国研究者による対談。
手頃な分量で内容も平易だが、中身は濃く、本質を突く。
現在の習近平中国共産党政権が、世界史的にみてもいかに異質な存在か。
例えば、
「資本主義経済を軍事力によって制圧した集団が政府を樹立し、権力を握っている」
「中国共産党は世界最大の裏社会だ」(共産党幹部の発言)
「なぜ中国共産党は権力を持つのか、それは、中国共産党が権力を持つからだ」
共産党統治の正当性を支えた中国独立、経済発展が威力を失い、国力が衰退に向かう中、その正当性の保持は危うい。
習近平政権が台湾統一を目指しているとの観察は遠藤誉氏と同じだが、同氏が武力統一はないとしているのに対し、本書はそれを否定しない。
一方、人民解放軍か戦える軍隊なのかについては、内部腐敗などから疑問を呈する。
毛沢東、周恩来、鄧小平、江沢民、胡耀邦と習近平・習仲勲親子らの関係、評価は概ね遠藤氏と同じ。特に毛沢東、鄧小平に対する思いというか恨みつらみが習近平の治世の原動力となっていることはもっと認識されて良い。
集団指導体制という政権継承の仕掛けを自ら壊し、超一強体制となった現政権崩壊後に来るのは混乱、混沌でしかないのか。 -
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何年か前の本とは思うが勉強になる。最近の米露の関係性とトランプ大統領のウクライナに対する決断の意図がなんとなく想像できた気がした。ロシアは歴史的にアメリカに対する劣等感や敵対感が国全体にわたって刷り込まれていて、ウクライナ侵攻とその結果も今後の米露の関係に多大な影響を与える。アメリカ側としてはロシアとの溝を深めることは不本意で、今ここでウクライナという”小国”を見捨ててでもアメリカ国内の今後の平和のため、ウクライナに降伏を進めているのではないか。自分の認識している道理だけだと、ウクライナは侵攻されている側なので、静止するのであればロシア側だろと思うので。またロシアのウクライナ侵攻を中国は今後の台湾併合の参考として見ているという話にゾッとした…。
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ロシアによるウクライナ侵攻、また今後起こりうるといわれる台湾有事の予測など、昨今の国際情勢について、著者が複数名の専門家と対談する。本書は主にアメリカとロシア、中国の関係を中心に語っており、それによると、ロシアと中国は日本を半植民地と見なす、つまりアメリカと同盟国を結んでいることは完全な主権を確立していないと考えている。また日本のロシアに対する性善説は江戸時代末期からあり、実際に日露戦争の直前、桂太郎が英国と同盟を結ぶことに対し、伊藤博文は日露協商を唱えるという事例があった。さらに2022年のウクライナ侵攻時に、ロシアに経済制裁を実行したが、これは短期的に見ると効果は現れないが、相手のコストを上げるという利点があるので、制裁期間が長引くほど、ロシア側は戦争の継続が厳しくなり、そこから停戦交渉が行われると指摘する。
一方で台湾有事での中国の動向についてだが、これは明確な時期は不明であるが、中国人は周年を大事にする文化をふまえると、人民解放軍100年でかつ習近平国家主席3期目の終わりである2027年に注意すべきだという。また米ソの冷戦と異なり、アメリカと中国間には安定した対話の枠組みがないことが懸念される。それに加えて、もし台湾有事が起きた場合、日本はウクライナ侵攻におけるポーランドと同じ立ち位置になること、同時にロシアと北朝鮮の動向に注意すべきなど、他人事でないことがわかる。このように、今後の世界情勢はアメリカ一強の時代ではなく、18、19世紀のような帝国主義、多極的な世界へと変貌する。 -
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新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ地区戦闘など、この数年で世界のバランスが崩れる中、次に構えているリスクは「台湾有事」だと思う。今年は台湾総統とアメリカ大統領選挙があるので、台湾問題や習近平がどのような人物なのか知りたいと思い、手に取った。
台湾は東アジアの「弾薬庫」であり、中国•ロシア•北朝鮮がすぐ目の前にある日本が巻き込まれて、甚大な被害が出ることが予想されている。
台湾も日本も、ウクライナと異なり「島国」だが、海に囲まれているが故の、情報や物資補給ラインが脆弱であるという指摘は衝撃的である。
また本書後半では、中国が武力行使に出たときのシミュレーション(日本のインフラが徐々に破壊され、軍事攻撃を受ける)が描かれているが、政府の対応スピードの遅さ、各自治体との連携不足、自衛隊のリソース不足などがクローズアップされ、悲壮感が漂う。何故日本まで攻撃を受けるのか、普段新聞を真面目に読んでいないことを反省した。
本気で台湾問題に向き合ってきた安倍元総理の喪失は本当に痛い。。
最近はどの企業も、地震やサイバー攻撃に対するBCP対策を策定しているが、台湾有事は日本の国家レベルの有事であり、それに備える「究極のBCP」を本気で考える必要がある。もう、他国に移住するしか無いのだろうか。。
1つだけ本書に不満がある。中盤で「中国による新たな武力統一」が紹介されており、可能性が高いと述べられていた。もしこの新手法であれば、後半の武力行使シミュレーションは、ウクライナに対するロシアのような古い手法ではない。おそらく本書では、台湾有事への対策がなされていない日本の問題点を挙げることが目的なのだろう。欲を言えば「新たな武力統一」行使時のシミュレーション、そして世界情勢の未来予想図も知りたいところである。