あらすじ
台湾有事の焦点は、アメリカ大統領選挙にある。「第2次トランプ政権」が中国に対して強硬になっても緊張緩和に向かっても、台湾をめぐる現状は崩れ、日本は厳しい情勢に追い込まれる。2024年の「選挙イヤー」は、国際秩序を激変させるだろう。中でも第二次世界大戦後、80年近くにわたり奇跡的に平和を享受してきた日本が、最大の被害国になりかねない。その最大の引き金が、台湾有事なのだ。一切の楽観を排し、軍事マニアの戦争ゲームとも一線を画した、徹頭徹尾「習近平の目線」による驚異のシミュレーション。 〈目次より〉序章 台湾有事はもう始まっている――最重要ターゲットは日本 第1章 「台湾統一」は習近平の「宿命」――衝撃の有事シナリオ 第2章 中国はどのように台湾併合を目論んでいるのか――習近平の“戦略ブレーン”が考える「新型統一戦争」をシミュレーション 第3章 先鋭化する米中対立――東アジアの“火薬庫”はいつ爆発してもおかしくない 第4章 台湾有事で巻き込まれる日本――次々と浮かび上がる日本の課題 第5章 習近平の「情報戦」に立ち向かえ――周回遅れの日本
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Posted by ブクログ
安保三文書改訂などから漏れ落ちている点について、実際に行ったシミュレーションに基づいてよく指摘されている。
・遅々として進まぬシェルター整備
・紙に書いただけの国民保護
・自衛隊のロジスティクスを実際に担う民間業者の「協力」
・港湾・空港管理者である地方自治体への「要請」
・自衛官、民間人に発生する「遺体処理」
こういった問題を解決するために立法府と行政府が尽力しないと間に合わない危険があるというのに・・・
Posted by ブクログ
自分の国の置かれている状況として理解をしておくべき内容だと感じた。この先に起こるシナリオがその通りでないとしても、自分自身が相当に「平和ボケ」していることを感じさせられた。有事を深刻に捉えれば捉える程に、平時に取り組むべきことに力が入り難くなくなる特性( こんなことをしている場合ではないと考えてしまう ) から、どのレベルで何をするべきなのか答えを導くことは困難に思えた。無関心ではいられないことは間違いがないテーマ。
Posted by ブクログ
これは著者である峯村氏が監訳の『中国「軍事強国」への夢」の副読本として最適。
中国側からの視点である、劉明福氏の戦略的思考を読み解きながら、日本側の視点で捉えたものだ。
台湾有事のシナリオについては様々なところで論じられるようになってきているが、ここでのシミュレーションは防衛力(軍事力)での比較よりも政治的な判断によるもので、残念ながら現在の日本政府では、ここで書かれている通りに推移する可能性が高いと思われる。
また、本書の最も参考にすべきは第4章だろう。掛け声だけで、具体的には何も行動しない政治の結果として自衛隊員が、そして国民が大きなツケを払うことになるかもしれない。
Posted by ブクログ
高市首相の発言が論議を呼ぶ中、基本を抑えておこうと思って読んだ。台湾問題を巡る状況と日本への影響がコンパクトにまとめられており、全体像把握の役に立った。
Posted by ブクログ
台湾有事について勉強中。
軍事面だけではなく、広い視点で見られるので良かった。2024年1月時点の内容なので、アップデートされた最新情報を得られる手段があるといいかな。
Posted by ブクログ
台湾有事がまさに今年2024年に起きそうだと警鐘の1冊。危険な状況であることはよく理解できたけど、日本の自衛隊の課題も秀逸。自衛隊の課題、というか我々国民ひとりひとりに影響が及ぶ話なので、防衛費増やしたから大丈夫でしょ?でなく、法制度的にもその運用的にも、いますぐ議論を始めてもらいたいところ。
Posted by ブクログ
新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ地区戦闘など、この数年で世界のバランスが崩れる中、次に構えているリスクは「台湾有事」だと思う。今年は台湾総統とアメリカ大統領選挙があるので、台湾問題や習近平がどのような人物なのか知りたいと思い、手に取った。
台湾は東アジアの「弾薬庫」であり、中国•ロシア•北朝鮮がすぐ目の前にある日本が巻き込まれて、甚大な被害が出ることが予想されている。
台湾も日本も、ウクライナと異なり「島国」だが、海に囲まれているが故の、情報や物資補給ラインが脆弱であるという指摘は衝撃的である。
また本書後半では、中国が武力行使に出たときのシミュレーション(日本のインフラが徐々に破壊され、軍事攻撃を受ける)が描かれているが、政府の対応スピードの遅さ、各自治体との連携不足、自衛隊のリソース不足などがクローズアップされ、悲壮感が漂う。何故日本まで攻撃を受けるのか、普段新聞を真面目に読んでいないことを反省した。
本気で台湾問題に向き合ってきた安倍元総理の喪失は本当に痛い。。
最近はどの企業も、地震やサイバー攻撃に対するBCP対策を策定しているが、台湾有事は日本の国家レベルの有事であり、それに備える「究極のBCP」を本気で考える必要がある。もう、他国に移住するしか無いのだろうか。。
1つだけ本書に不満がある。中盤で「中国による新たな武力統一」が紹介されており、可能性が高いと述べられていた。もしこの新手法であれば、後半の武力行使シミュレーションは、ウクライナに対するロシアのような古い手法ではない。おそらく本書では、台湾有事への対策がなされていない日本の問題点を挙げることが目的なのだろう。欲を言えば「新たな武力統一」行使時のシミュレーション、そして世界情勢の未来予想図も知りたいところである。