峯村健司のレビュー一覧
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共産党大会での胡錦濤退席。李克強の引退。江沢民の死去。そして、中国全土に広がるコロナ対策を契機にした民衆のデモ。異例の習近平3期続投。今、中国で何が起こっているのか。この本は、これらの事件より以前に書かれたものだから、直接的な解説にはならないが、そこに繋がる関係性がよく分かる。単なるゴシップ本ではなく、中国共産党の動きに対し、叡智を養うきっかけになる。
江沢民は引退後も共産党の重要事項は江沢民に報告すると言う内部規定を作り人事や重要政策に決定権を持っていた。そうすることで胡錦濤の権限を弱めるための仕掛けを作っていた。江沢民vs胡錦濤。胡錦濤から権力を受け継いだ習近平だが、共通の政敵を意識して -
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書店には習近平本が沢山並ぶようになった。中国はよく分からない。13億人もの国民がいて、爆買いで日本に押し寄せる。一方で、2015年9月に発表された中国のGDPは6.9%であり、予想より低い値となった。実際にはさらに低い値ではないかとの予測もあり、経済の減速が懸念される。ボクから見ると、一国共産主義で纏め上げるには、無理があるのではないかと感じる。そんな中国の今を知りたくて、この本を手にした。
習近平の娘はハーバード大学を卒業したという。この本のレポート時は4年生だった。もっとも、多くの中国人エリートにとって、米国ハーバードは憧れの大学であるらしい。共産党の権力者たちの子女がこぞって米国に留学 -
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朝日新聞記者が習近平が権力を掌握するまでの直近の中国共産党の活動を関係者への徹底的なインタビューと現地調査(中国のみならず、アメリカもその対象となる)により描き出した労作。
とにかく情報が生々しく、「権力闘争こそ中国共産党の活力」という著者の仮説を裏付けるように、主に江沢民・胡錦濤・習近平の直近3人の首席を中心に、彼らの権力闘争が暴かれる。習近平の首席就任以降、中国では共産党幹部の腐敗や汚職の摘発が精力的に行われており、有力者が失脚するニュースも相次いで報道されているが、その影にこの3者の様々な権謀がどのように渦巻いているかということが理解できる。現在の中国を知る上で、非常に有用な一冊では。 -
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「権力闘争こそ中国共産党の原動力」という仮説の下、江沢民、胡錦濤、習近平と続く中国最高指導者とそれぞれのシンパの間の権力闘争を綿密な取材から描いてみせた。その上で、習近平への権力一極集中が実現したことから、習の思うままに腐敗撲滅などの政策が実行できるようになるとともに、中国共産党の弱体化も予言する。それが当たるかどうかは、いずれ分かるだろうが、たしかに、派閥も派閥間の抗争も激しかった自民党が長期にわたって政権の座にあったこと、そして、小泉政権により派閥の力が弱まって、短命政権や政権交代が続いたことを思えば、あながち的外れとは言えない。
それはともかく、ここ10年余りの中国政治の概要が、新聞で言 -
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現在のウクライナ戦争、最近の米中対立と中国の台湾侵攻のリスクを中心に、国際政治的、軍事的、地政学的な観点で分析されている本
中長期的な課題として、プーチンロシアとウクライナ戦争の影響は大きいものの、日本•世界にとっての最大の脅威は中国だと指摘する。
中国は情報公開が不十分で得られるものは限られているとは言え、近年の軍拡は明らかで、台湾侵攻に関して説得力のある蓋然性が高いリスク分析がされている。
(なお、個人的にはウクライナ戦争はそのリスクを増大させるのではないかと思っていたが、ほとんどの中国政府や軍関係者は「ウクライナと台湾は別問題」と考えているとのことであった。)
また中国や欧米の強かさに -
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自分が中国の奥地をバックパッカーとして訪ねていたのはもう15年以上も前で、その頃はまだネットカフェに行ってようやくネットにつながるような時代であった。
もはや中国はその頃とは全く異なる環境になっているだろうし、本書でも述べられているように著者の取材時と比べても恐るべきスピードで変化しているのだろう。
異形の大国中国の戦略的影響は現在はアフリカ大陸など世界中におよび、局所では香港を破壊し、台湾、東〜東南アジアを狙い、ますます看過できない状況に至ってきている。
中国共産党の政治について中国人のMBAクラスメイトと議論した際に言っていたのだが、彼女は中国から出て欧州に住みたいし住もうと思っている -
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6年にもわたって中国への特派員として勤務したジャーナリストによる本。当局に拘束された回数は20回に及ぶ。
取材内容として本書に取り上げられているのは2011年の殲20、2010年サイバー攻撃の発信元である職業訓練校、2011年宇宙飛行士科学研究訓練センター、2011年スパイ活動、2009年空母島と呼ばれる上海の長興島、定点観測を続けた北朝鮮国境、2011年青島に入港したきりさめの取材、2011年海南島の軍事管理区域などなど。
そしてそれから数年を経て目覚ましい変化を遂げた中国国内についての話も。監視体制や雰囲気など。10年前に2週間ほど訪れた中国だが、今はきっと様子が全く違うのだろうな。 -
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中華人民共和国の成立から 長い期間が経っているが、
結局は 『毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平』
の 五人が 表舞台に立っている。
毛沢東の期間は長く 皇帝になった。
鄧小平によって 沈滞した中国を変革した。
その後 権力も才能もないと思われた 江沢民が
権力を握り 鄧小平が 死ぬことで、
大きな権力を握った。
賄賂と腐敗政治をつくったのは江沢民だった。
胡錦濤は 江沢民に頭が上がらず、
中国の経済成長の推進力になったが、
習近平に権力を渡さざるを得なかった。
控えめで、おとなしいと思われた 習近平が
核心的なリーダーとなった 背景を
朝日新聞の記者らしく 丁寧に書いている。
『権 -
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現在、中国で最高権力を握っている習近平の姿を、朝日新聞中国特派員であった著者が暴く。
といっても、いきなり米国にいる習近平の娘を一年間かけて追い求めるとか、米国に存在する政府高官や富豪の二号さんが暮らす町の取材とかで、いきなり出鼻をくじかれる。
その後も、丹念な取材?で群雄割拠の中国の中で、権力を握り続ける習金平を描いてはいるが、書いてある内容はなんとなく夕刊紙。逆に言えば、夕刊紙や週刊誌にかかれるような、どたばたで陰惨な劇が、中国権力層では繰り広げられているのだなと、取材を元に実感する思いがした。
いずれにせよ、中国の政治体制は人民のための共和国では決してなくて、一部権力者による絶対的な皇