三部けいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いやはや、全巻(と言っても8冊ですが)一気に新刊で購入、などという作品は初めてかもしれません。それほどまでに夢中になってしまいました。
先にアニメ版の方でハマったのですが、原作もやはり凄かった。結末を知っていてもなお、伏線に色めき立ち、展開にドキドキし、結末がすとんと心に染みる。練りに練られたストーリー運びは本当にお見事でした。
シナリオがそこまで緻密であるにもかかわらず、絵は正直粗く、勢いだけでグイグイ魅せていくのも本作の特長の一つだと思います。独特だよなあ…と思っていたのですが、何巻かのあとがきで師匠の名前が明かされて物凄く納得。そう来たかあ。
最終盤で失速した、という感想は時折耳に -
Posted by ブクログ
アニメの完結と原作コミックスの完結と、別物であるがどちらもこの物語の最終話に相応しい。あー、悟が雛月の母親が捨てたごみの中を目にして愕然となって吐いちゃう、と言う「嘔吐」の場面カットしてる…なんで嘔吐してしまったのかが大事なのに。アニメってこう言うとこぼかさないと駄目なんかなぁ、とか思ったが。朝起きて、お母さんが朝食を用意してくれてる悟にとっては当たり前の風景が加代にも「当たり前」である事なんだ、と知った時に流す加代の涙…ここで涙が出るうちは子供であろうと大人であろうと、傷ついていても立ち直れる気がする。
アニメの最終回見てる限り、八代の悟への感情は執着こじらせた熱愛に近い。心の穴を埋める存在 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「もしもあの時ああしていれば」が意図せず実現する、タイムリープ・サスペンス。
最初はどっかで聞いた事ある設定だな~と思って読み進めてたけど、ヒントがほとんどない中で過去をどう修正するか手探りするしかない緊張感、くじけそうになる主人公を勇気づける台詞づかいの味わい、狡猾で利己的な犯人と予想外に振り回される急展開が読み応え満載だった。
アイリとの再会、記憶の復活、忍びよる犯人との対決が次巻からのイベントになるんだろうなと思いつつ、小ぎれいにまとまらない、助手席ドボン級の衝撃がもう一回ないだろうかと期待してしまう。細かい事いうとおかしくないかという点もあるけど、懸命に運命を変えようとする主人公が -
Posted by ブクログ
ネタバレここまでがプロローグだった…だと?!
悟の本当の物語、本当の戦いはこれからだ―
正直な所、5巻の時点でほぼ決着はつき、6巻で完結と思っていたのですが、現実は遥かに斜め上。
まさか「再上映」「少年時代の改変」「変わった悟自身」…これらを真の本編ではなく、土台固め・舞台設定として用いる大胆さには恐れ入ります。
そして、だからこそ、積み上げられてきたからこそ熱く滾る、立ち上がろうとする悟の姿が本当にかっこいい。
…と思いきや、「全力で踏み込まなかった」。
脚本的にはこの事によって「謎」を残す事ができ、サスペンスとして話を進める事が出来ます。心情的には、踏み込むはずの悟があえて踏み込めなかったと