黒田龍之助のレビュー一覧
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英語で挫折しているので、語学の達人と言われるような人の書く文章は敬遠してきたのだが、著者が外国語習得の良き案内役としていい文章を書くらしいとの評判を聞いていたので、ちょうど文庫化された本書を読んでみた。
外国語学習のことももちろん書かれているのだが、著者の方法は実に真っ当なもので、分からないなりに、その外国語の本を読んでみる、映像化されたものがあればそれを見てからでも良いし、順序はお好みで良い。著者は特に物語を読むことを推奨する。
本書はそのような各国語と各国語で書かれた小説や戯曲を素材にして、著者の経験や思いを平明な文章で綴っている。
あまりメジャーとは言えないスラブ語圏やアジ -
Posted by ブクログ
BookBar紹介本。90の言語を紹介するエッセイ。
世界は英語さえあればとりあえず会話はできるだろう。と思いながら読んだ。
まぁ、あるわあるわ。聞いたことすらない言葉たち。紹介されている90言語のうちの一割も知っている言葉はないのではなかろうか。
もちろん、英語、ロシア語、スペイン語、日本語は知っているが、それ以外の言葉が多い。特に日本人にはあまりなじみのないアフリカ地方での言葉の多様性に驚かされる。
この多様性が「世界は英語で通じる」によって駆逐されないか。一緒くたにされていいのか、そう感じた。
言葉の多様性を守ることと生物の多様性を守ることの大変さに、共通点がある。マイナーなものはいつで -
Posted by ブクログ
初めて言語学の本を読むなら「はじめての」がいいだろう、という安直な理由で購入。講談社新書だったのもあるけど。
言語学を学ぶ前に、という説明が最初に30ページほどあり、これが結構なわかりやすさで理解する準備が整えることができるので、自分のように言語学は初めてという人でも安心して読めるかと思います。
言語とは記号の体系、という説明もわかりやすく楽しくて読みやすい(各所に入る自虐ネタもおもしろい)。
期待としては、チョムスキーとか、デリダとか、レヴィ=ストロースとか、そういうのの延長というか基本としての知識教養だと勝手に考えて手に入れたのですが、だいぶ違ったようです。
ちょっと気になったのは、 -
Posted by ブクログ
外国語や言語学に関してたくさん書籍を出している著者の、外国語を学ぶ上で大切な言語学的な視点について。
と言うと、面白くなさそうに聞こえるが、エッセイ的な要素や独特の語り口も含めて、言語に対する興味を向けさせる内容が盛りだくさんだった。特にこの本は、著者が「ことばのシェフ」(p.187)として、どういうスタンスで日々言語を教えたり、本を書いたりしているかが結構あちこちに書かれている。端的に言ってしまえば、著者の好き嫌い、がはっきり書かれている本だなと思った。
冒頭の方に、「大学で教えていると、最近は拙著を読んで言語学を目指すことにしたということにしたという学生に出会うことが珍しくなくなった -
Posted by ブクログ
大学で第二外国語として履修してたロシア語。
離れて久しい今は、アルファベットが読めて「こんにちは」くらいしか言えないし、当時はなんかえらく難しくて挫折した、という印象だけが残っている。。
そんな状況で手に取った一冊。
じゃあ何が難しかったのか、本著を読んで理解した(思い出した)。
言葉の変化が鬼門だったのである(特に格変化!これが人称とかの変化と複合的になるともう絶望)。。。
人名含めた名詞も数字も形容詞も動詞も前置詞もとにかく変化しまくる。
何人称かで、時系列で、格で、男性か女性かでころころ変わり、覚えるべき決まりごとがたくさん。
まあ、なんのことはなく新しい外国語を覚えるには根気 -
Posted by ブクログ
私を言語多様性の世界へと誘ってくれたバイブル的な本といえば、大修館書店の『世界のことば小辞典』である。(その改訂版とでもいうべき、『事典 世界のことば141』というのもある。)各言語について、それぞれの専門家がコンパクトな解説を書いているので、マイナーな言語の概略を知りたければこちらに当たってみるのが良い。
それに対してこの本は、一人の著者がとにかく色んな言語について書いてみようと試みたものだ。90の言語について、2ページずつエッセイがしたためられている。言語学者とはいえ(いや、だからこそかもしれないが)、あらゆる言語を知っているわけではない。著者の造詣や思い入れの深さの違いを反映して、エッ