河合祥一郎のレビュー一覧
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本書はシェイクスピアの生涯や喜劇、悲劇それぞれの特徴やポイントとなる部分を列挙する。シェイクスピアは数々の作品を生み出したたぐいまれの才能を持ったが、貴族出身でないことや本が希少だった時代に幅広いジャンルを扱ったことから、シェイクスピアの人物像は謎に包まれた。実際、依然として謎の部分はあるが、本書を読むと、ある程度の情報はつかめる。作品の背景知識については、シェイクスピア作品の出版に関わった友人のリチャード・フィールドが重要で、彼のつけで、過去の歴史に精通できたと著者は言う。また妻のアン・ハサウェイや友人の情報から、シェイクスピアは卓越した才能を持っており、複数人説を否定する。
またシェイクスピア作品では、タイムスリップが特徴、つまり、客観的な時間(クロノス)よりも主観的な時間(カイロス)を重視したことや舞台構造が日本の古典芸能と類似すること、さらに作品内のセリフの多くが韻文で構成されるなど、専門家ならではの知識が満載である。
喜劇と悲劇については、前者がアイデンティティの喪失が重要で、後者が人間の身の丈の大きさの認識がポイントだと解説する。ほかにも、道化の役割は登場人物の自身の愚かさを認識させるため、幅広い人間像を描けたのは哲学者ニコラウス・クザーヌスの影響があったためなど、既に作品に触れた読者にとっても刺激的な本である。 -
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ネタバレエドガー・アラン・ポーの「黒猫」は、ゴシック文学の中でも特に傑出した作品です。この物語は、酒に溺れた男が愛猫を殺害し、その後、罪悪感と恐怖に苛まれる様子を描いており、ポー特有の暗く、緊張感あふれる筆致が色濃く出ています。
物語はかつて優しかった男が酒乱となり、愛猫プルートに暴力を振るうところから始まります。彼の行動は次第にエスカレートし、最終的には猫を殺してしまいますが、その行為が彼の運命を狂わせることになります。新たに現れた黒猫は、前の猫とそっくりでありながら、一つ違いがありました。その猫は胸に白い斑点を持っていたのです。
この物語を読む際、私は、主人公の精神の崩壊を目の当たりにして、彼の心理に深く引き込まれてしまいました。彼の罪悪感と恐怖が、まるで自分自身のものであるかのように感じられます。ポーは、心理に巧みに訴えかけることで、恐怖を増幅させる術を見せつけます。そして、その恐怖はただの外的なものではなく、内面から湧き上がるものであることを教えてくれます。
本作の作風は、人間の心理を深く掘り下げ、罪と罰、そして自己欺瞞のテーマを探求しており、単なる恐怖小説以上のものです。ポーは主人公の行動を通じて、私たち自身の内面に潜む暗黒面に光を当てます。そして私たちがどのように自己正当化を図り、真実から目を背けるかを描いているのです。 -
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ネタバレ新訳下巻。今まではアヴォンリーの美しい自然のみが描かれていたが、未曾有の災害が起き、自然はただ美しいだけではなくこうした災害ももたらすものであると描かれた。上巻の時も書いたが双子の片割れのディヴィーは正直に言って、躾という以前の問題を孕んでいるような気がする。ある日、アンとダイアナは隠遁生活を送るミス・ラベンダーと出会う。ミス・ラベンダーも若い頃に好きな人と喧嘩別れしたというマリラと似たような身の上だが、二人にはほとんど交流がなったようだ。災害後、アヴォンリーでは様々な変化が起きる。隣人のハリソン氏の元には妻が住み、グリーンゲイブルズにはリンド夫人が住むことになった。昔の友人達にも結婚話が出てきて、ダイアナも婚約した。アンとギルバートも大学へ進学することになり、もうアヴォンリーは昔のままではいられない、アンだけではなく周囲の少年少女時代は終わったということだ。アンとギルバートの中は村の人々が噂をしているし、ダイアナですら二人の関係にヤキモキしている。アンにはその気はまだないようであるが…。
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本書は、時間を有効に活用する時間術についてのエッセイである。
正直、時間術について学ぼうと思えば、得られるものは少なかった。ネットや本で見たことある内容ばかりだったように感じた。
しかし、格言にしたいフレーズはいくつか見つけることができた。
【集中力がなければ──言い換えれば、脳に何を考えるかを命じ、命じたとおりにさせる力がなければ──本当の意味で人生を生きることなど不可能だ。(7章より)】
集中力を生み出すための方法は、自身が集中できる所作や環境作りをすることだと思う。結局、これらの行為は自分の脳を操ることであり、ひいては自分が望む人生を生きることにつながることだと、再認識させられた。
【自分の時間を全活用しようという取り組みを始める際に、扱うのは自分の時間であって、他人の時間ではない(12章より)】
自分の時間を有効に活用しようとする過程で、まだ時間の重要性に気づけてない他人を見下すことに、筆者は危惧を抱いている。自分は自分。他人は他人。
ちなみに、本書は100pちょいで約900円。割高である。しかし、解説とセットで読むとしたら、余裕でお釣りが返ってくる。それぐらい、河合祥一郎氏の解説が良かった。
具体的には、筆者の思想の下地となっているストア派の哲学思想を解説している。そして、時間に関するシェークスピアの格言を載せている。
さらに、本文中に引用された未邦訳のハズリットの詩に関するエッセイを訳してくれている。
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6歳息子、そろそろファンタジーもイケるのでは……と思い、とりあえずナルニア。総ルビありがたい。
黙読してもらおう、と目論んでいたのだけど、「読み聞かせてほしい」と言われた。6日ほどかけて読み終える(7日目は休まれた)。
子供時代、父親から「ナルニアは面白いから読んで!お父さんは100回は読んだ!!」と言われて手に取ったものの、何が面白いのか真剣によく分からず(ゾロリのほうが面白かった)、1回読んでポイッとしていたナルニア。
今回読んでも、親的には「ストーリーの作りが雑」という思いが去来した(アスランの「古の魔法よりさらに古い魔法」の箇所でズコーしてしまった)。
が、息子は大興奮。読み終わって「ナルニアってシリーズなの知ってた?」と聞いたら「2巻早く買って!!!!」と言われてしまう。
でも考えてみると、ナルニアにはファンタジーの「ファンタジーらしさ」が全部詰め込まれているのかも。スターウォーズ観て「スターオペラあるあるしかないじゃん、つまんね〜」って思っちゃうのと同じかな。
そういえば絵本にはあんまり、ファンタジーらしいファンタジーってないのかも。そもそも絵本はジャガイモでもクマでも基本的にめちゃくちゃ喋ることが前提になっている世界観を共有しているからな。
白の魔女めちゃくちゃこえ〜! アスランつえ〜! 俺の部屋のクローゼットもナルニアにつながってたらいいのに〜! とニコニコする息子を見ながら、この人はめちゃくちゃピュアなんだなあと思った。このピュアさ、絶やしてはいけない…… -
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支離滅裂、でもなんだかクセになる
ユーモラスな言葉遊びと不思議な世界観に没入
--- この本を読んだ経緯 ---
・言わずと知れた名作であることは認知していつつも未履修だったので、教養のためにもと思い今更ながら一読しました。
--- 感想 ---
・アリスはあっけらかんとした性格だったから良かったですが、自分がこの世界に行ったら打ちのめされてしまうんじゃないかと思うくらい登場人物たちは優しくないです笑
・ただ、そんなおかしな世界でも、韻を踏んだリズミカルな詩があったり、ユーモア溢れる言い回しが多いので、ポップ感と不気味さが混ざりあったなんとも癖になる物語でした。
・台所では怒鳴り散らしていた公爵夫人に対してアリスが言った、
「たぶん、人がぴりぴりしてしまうのは、いつだってコショウのせいなのよ」
というセリフが好きでした。
一見おかしなことを言っているんだけど、なんだか笑えてくるような、日本の小説などではあまり味わうことの無い文章を体験できて新鮮でした。
・意味なんて深く考えずに、ただただ物語の流れに身を委ねて楽しむという読書の仕方もあるんだなと気づくことが出来ました。
・とはいえ、あとがきにあるように、登場する人物や動物たちは実在の人がモチーフになっていたりもするそうなので、それを踏まえて改めてもう一度読み直してみたいなと思いました。
・読む度に見えてくる世界が変わりそうな、そんな不思議な気持ちになる楽しい本でした。