中村航のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無粋を承知で言うなら。
・今時の子達なら、さくらとつばめの一番列車がどこですれ違うかなんて、ネットでちょちょいと調べてしまいそうなもんだけど。
・ついでに言えば、そんなオイシいポイント、鉄オタがほっとかないんじゃない?
・あと新幹線は停車駅ごとに減速・再発進するし、駅と駅の距離もバラバラなんだから、上り列車と下り列車がきっちり真ん中ですれ違うとは限らないんじゃ…。
・そもそも九州新幹線の開通って、3月じゃなかったっけ?
…等々突っ込みどころは数あれど。
健気な子供って設定は、ズルい。
何だかんだ応援したくなってしまう。
しかも幼い兄弟が二人で困難乗り越えて…って、『はじめてのおつかい』シリーズに通じる鉄板のシチュエーション。
そして、子供達の冒険に力を貸してくれる大人達が、またいい。
ぶっちゃけ物語的にはかなりご都合主義な展開もあるけど、そういう理屈はどうでもいいやと思わせてしまう勢いがあった。
例えば自分が、もしくは大人になった主人公達が働いて稼いだお金で熊本に行ったとしても、それこそ馬刺を食べて熊本城を観光して、ついでに温泉でも入って終わりだろう。
子供達だけの秘密の旅、大人になったら意味を見いだせない目的の旅、というところが物語の肝なのだ。
そして子供達はよく走る。
大人に捕まれば万事休すというところでは勿論走る。
目的地に近付いて抑えきれない高揚感を走ることで表す。
そして、何も理由がなくても走り出す。
必死で走っているのに、みんなに追いつけない子がいる。
主人公達が走る姿は、在りし日の自分の姿だ。
こんな大冒険はしなくても、秘密基地を作って子供だけの秘密に高揚感を覚えた。
だから共感できる。
大人は走らない。
走っても意味がないと思うから。
てか疲れるし。変な人だと思われるし。
でもこの物語を読むと、自由に走ったり叫んだりできた子供時代にちょっぴり戻りたくなる。
(収入の範囲内でだけど)欲しい物を買ったり好きな場所に住んだり旅行に行ったり、着たい服を着たりとか、そういう自由と引替えに失った子供時代の自由。
そう言えば子供時代は『大人の自由』を早く手に入れたくて仕方なかったっけ。
とどのつまり、無いものねだりということか。 -
Posted by ブクログ
既発表の作品を集めた短編集。
初出が中高生向けの媒体だったものもあって、正直なところ物足りない感は否めない。
でもやっぱり、中村航さんの小説、好きだなぁ。
ほのぼのした恋人たちのやり取りとか、さりげないシュールな小ネタとか、「カルピコ」みたいなぜっっつみょーなネーミングとか。さりげなさすぎる故郷リスベクトとか。
本作に限らず、「さよなら」を描くのがほんとうに上手な作家さんだと思う。
さよならだけが人生なのかも知れないけど、さよならは悲しいだけじゃないでしょう。
だって「さよなら」の後には、「手をつなごう」がつづいているのだから。
そろそろ、長編の恋愛小説が読みたいです。 -
Posted by ブクログ
「サヨナラだけが人生だろ?」
と聞くと、ひどく悲しいことのように思えますが
中村航が紡ぐサヨナラたちは相変わらず優しくてあたたかです。
(だから宮尾和孝の表紙もいつもながらすごくピッタリなの)
「さよなら」をモチーフにした短編集。
とはいえ、さよならにもさまざまな色があるわけで、
悲しいブルーのさよならばかりではなく
虹色のさよならが詰まっています。
真っ白な新しい明日へ向かう「幻視画」
漆黒の宇宙にきらめく、
「インターナショナル・ウチュウ・グランプリ」
夕陽のオレンジと深緑のカエル「さよならマイル・ストーン」
懐かしい気持ちが甦るビビットカラーの「女子五編」
透き通ったブルーの「さよなら、ミネオ」
そして最後に可愛くてたまらない「ぱぐ ぐぐぐ」
サヨナラだけの人生でも、
それが虹色なら、悪くないかもしれません。