家系図と平行世界考察
家系図でこの8部の世界は7部で枝分かれしたいくつかの平行世界のうちの、1〜6部には“繋がらない”世界だという事が決定的に示された。
8部にはSBRが大きく絡むが、=7部とそのまま繋がるとは限らない。ただDIOは消滅しているっぽい。
6部最後で突如回天し承太郎が消失した世界にデス・スイーパーの時のような目眩を覚え、「荒木さん大丈夫かしら」などと心配をしたものだけれど、杞憂だった。
6部を終わらせる苦肉の?起死回生の奇策だった筈の平行世界を、次の7部で逆に無限に増やして普遍化する豪腕は「流石だわ〜」と思う。敗着の一手に見えた6部が甦った。将棋のすごい逆転劇みたい。
力技でもなんでも、「これがジョジョだ」という荒木さんの熱量に圧倒される。セリフに傍点のゴリ押しであっても、不思議と説得されてしまうのが荒木さんの魅力だ。
実はずっとパラレルワールドという考え方がニガテだった。
概念が難しいし、どこから分岐するのか可能性がありすぎて頭がゴチャゴチャするし、過去のエピソードのどこまで信じて良いのか分からなくなって地面がグラグラする。
物語を一度反故にして再構築するのだからある種禁じ手だろう。
今まで共有してきた過去のエピソードや育ったキャラクターが無かった事になってしまうのが寂しいし、どんなに過去と辻褄が合わなくてもOKで、似たような場面の焼き直しでも、世界が違うから新作でっせというズルさがある。
懐かしのエヴァンゲリオンでも平行世界が出てきたけれど、並の再構築では結局最初のキャラとエピソードを超えられずに、人気シリーズを延命させるための方便になり下がる。
でも荒木版平行世界は、平行世界が舞台装置として機能する。さすが並ではない。記憶喪失と既視感のある杜王町のズレが奇妙にマッチして読者が不安定な主人公になりきれるのだ。“平行世界の魅せ方”の発明とも言える。
承太郎と仗助・億泰・康一くんがいない杜王町に寂しさを感じながらも、今作の主人公がどうなるか目が離せない。ここは私たちの知らない杜王町なのだ。家系図で承太郎に当たる吉良吉影は川尻浩作似だし、ホリーさんは別人で病気も別。ジョセフなど未出同名キャラの登場も楽しみだ。過去との類似点や誰に当たるのか等に思いを馳せつつも、新しい冒険譚を楽しく読み進めたいと思う。