Posted by ブクログ
2013年09月29日
荒木先生の出世作。
今となってはごちゃごちゃと感想を並べ立てなくても誰もが読んでいる人気作となりましたが、私は、荒木先生の独特の言語感覚というか、全然場にそぐわないたとえ話が突然挿入されたり、しつこいまでに説明的だったりする台詞回しの個性が好きだったりします。
第一部ではスピードワゴンという男が、ジ...続きを読むョジョたち波紋使いと呼ばれる特別な能力者とディオの死闘を逐一実況してくれます。
たとえば、ツェペリという波紋使いを殺された恨みでダイアーがディオに向かって行った場面では、
ダイアー「稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)!」
スピードワゴン「やった!ジョースターさんに試した時は、模倣ゆえか手刀を十字に組んでいなかった………したがってその欠点は頭突きやふくみ針などの攻撃に弱い!だが十字空烈刃はその欠点を補って攻守において完璧だ!」
ストレイツォ「これをやぶった格闘者は一人としていない!」
…場面としては、このストレイツォの台詞だけあれば何の問題もないはずなのに、きちんと模倣と本番の相違点を細かく説明しようという荒木先生に、私は感動を覚えざるを得ません。
それにしても、貧民街でしがないチンピラとして生きてきただけで波紋の修行などしたことがないはずのスピードワゴンの、この分析力の高さは一体…しかもダイアーの技については、例の「ジョースターさんに試した時」に一度見ただけなのに、弱点まで見抜いていたとは驚きです。この洞察力と冷静さを思えば、彼が後に石油王となった展開も充分納得できるというものです。