有永イネのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
うわぁ…めっちゃいい…
とても素敵な社会風刺漫画。
あっ、鬼さんどちらってそういうことか。
特殊な家庭環境や障害がある人や病を患っている人など、他にもそういった面で注目されがちな人に対する偏見や差別、もしくは過剰な待遇を本当に上手に描き表していた。
それによって恩恵を受けられる場面は勿論あるけれど、余計なお世話だよって思うこともあるし恩恵を受ける側にも悪人はいるし。
でも、そういう人が周囲にいないとどう接していいか不安になる気持ちも十分にわかる。
自分が自分とは違う人にどう接するのか、考えさせてくれる漫画でした。 -
Posted by ブクログ
私よりレベルが高い漫画読みの方になら理解してもらえると思いたいのだが、ホント、面白いを通り越した「何か」がある漫画を読むと、体が反応する
前作『鬼さん、どちら』を読んだ際は、あまりのクオリティの素晴らしさに鳥肌が立ったもんだが、この『ロボッとうさん』の「第1話>父、36.25cm」を読んだ刹那に、ドワッ(ブァッだったかな?)と全身の毛穴がブチ開く音が聞こえたほどだった
帯にもあるが、「ヒバナ」の読者アンケートで一位を獲得するのも納得できる。と言うか、この高品質で上位に食い込まない方がおかしい
「ヒバナ」をリアルタイムで読んでいる訳ではないので、適当な事は書けないのだが、少なくとも、『雪花の虎』を連載中の東村アキコ先生が看板作家である事は確かだろう
そんな東村先生の首元に届く長さ、隙を見せた瞬間に柔肌を裂ける鋭さがある牙を、有永先生は持っている(とは言え、まだ、『雪花の虎』(2)を読んでないので、読んだ後は評価は引っ繰り返る可能性は無きにしも非ず)!!
まだまだ、新人にゃ負けない気概を保っている東村先生ではあるが、そんな先生の影響を受け、ホントに力のある漫画家が育ってきているのは漫画読みとして嬉しい
人と少し違うだけの鬼の日常を描いた、『鬼さん、どちら』に震えた際も思ったが、有永先生は、良くも悪くも受け入れられている、万民の常識とも言い換えられる「普通」の存在から、やや逸れている存在の持つ視点から、生身の人間を描くのがホントに巧い
人間から見るロボット、ロボットから見る人間、どちらもリアルだ
この『ロボッとうさん』は、ロボットの父親、人間の息子って言う、親子の形を描いたストーリーはコメディの形式を取っちゃいるが、表紙から想像できないほどに深い。なまじ、お硬く真面目ぶっている漫画より、キャラクターの言動には納得できる部分が多い
ロボッとうさんのロボらしからぬ個性も勿論だが、やはり、この作品を支えているのは、根の良さでツッパりきれていない、蓮助の愛すべき馬鹿さ加減だろう。純粋すぎて、自分の尊敬している父親が、大嫌いなロボットである、そんな現実を受け入れられず、癇癪を起こす子供っぽさは呆れを通り越して、可愛いとすら思えてきてしまう
こんな蓮助を取り巻く友人(?)の二人も、これまた、個性的。同性のめぐむは、美少年らしく腹黒だが、実に友達思い。蓮助に友情を超えたキモチを持っているんじゃ、と疑ってしまうほど、距離が近い。異性の姫子は典型的な委員長キャラだが、それは仮の姿で、本性はロボに激しく萌える、自分に素直な美少女
人間らしさを持ったキャラクターばかり出てくる漫画だ、この『ロボッとうさん』は
極端な話、感情を有してしまったら、人間とロボットの線引きは難しくなるだろう。人間を人間と証明できる唯一のモノは、周囲の他者や環境からの影響を受けて、いくらでも変わっていく心だ。それを持てるのは人間だけ、そんな縋りつける過信があるから、人間はどうにか、やってこられている。感情を持ったロボットが反旗を翻しただとか、人間と禁断の恋に落ちた、そんな内容の作品が多いのも、ある意味、人間としての定義を守りたい、壊されたくないっていう防衛本能からなのかな?
これから、、ロボッとうさんは父として、蓮助は男として、どんな成長を遂げ、その変化が父子の繋がりに、どんな影響を齎すのか、楽しみだ
特異な設定で、親子の愛情を真っ向から描いた、この『ロボッとうさん』、確実に今年、クる青年漫画だ
どの話も有永先生の色が濃く出ているので、最も面白いのを決めるのは難しいが、個人的に涙腺を崩壊させかけられたのは、「第6話>>>>>>さようなら」だ。人と人、人と物、何であろうとも、時が来れば、別れは訪れる。その時、どんなに不器用な形であっても、自分を思ってくれた相手に「さようなら」でなく、「ありがとう」と言える出会いと経験を積みたいものだ
この台詞を引用に選んだのは、頭でなく、心に訴えかけられたので。『プリマックス』でも同じことを言っているが、やはり、かわいいは理屈じゃない。本能で感じ取るもんだろう -
Posted by ブクログ
文句なし、満足しての五つ星だ
ただ、こう言うのが正しいのか、有永先生の癇に障らないか、不安で胸がいっぱいになるんだが、オブラートに包んでも仕方ないから、ハッキリ言おう
じわじわ来るので注意
読んでいる時、読み終わってすぐは、そこまでじゃない
正直なトコ、面白かったけど、感想を書いて、他の漫画読みに薦め、魅力を話し合いたい作品じゃないかなぁ、と思っていた。ただ、妙なモヤモヤは心の中に残っていた
いつもなら、しばらくすれば消える類のモヤモヤなのだが、どうやら、この『鬼さんどちら』、私にどうあっても感想を書かせたいのか、三日してもモヤモヤは消えず、それどころか、感想を書かないのはマズいのかな、そんな焦燥感にすら駆られ出した
この感想を書くため、改めて、一度目より深く、作品の世界に潜って読んだが、やっぱ、作品の質が、一般的な青年漫画と比べて突出しているのだな、と肌で感じられる
二度目で、一度目より肌が粟立ったのは久しぶりだ
どんな内容なのか、それを説明するのは少し難しい
当たり前だが、読んだ人間によって、受ける印象は千差万別だからだ
少なくとも、私はこの『鬼さんどちら』を、骨太な人間ドラマとして受け止めた
友情、青春、失敗、挫折、絶望、希望、幸せ、強さ、弱さ、儚さ、楽しさ、人間誰もが持っているモノ全てが詰まってる作品を、私は人間ドラマ、としか表現できない
鬼、そんなファンタジー要素を前面に押し出してこそいるが、結局、向き合う「普通」の人間と「普通」の人間の話だ
誤解を恐れずにハッキリ言うが、現実問題、どうしたって解決できない、この世界の、純然たる善意が引き起こす、相手を無自覚で傷つける、無意識の差別に対して、有永先生は真っ向から挑んでいるのだと思う、この『鬼さんどちら』で
ホント、タイトル負けしていないストーリーだ
鬼ってのは、人を容赦なく傷つけ、虐げ、泣かせ、追い詰め、奪い去る象徴だが、いつでも、人に敵意を向けるのは人間だけだ。鬼は人の中にこそいるんです、なんて陳腐な感想すら、この『鬼さんどちら』を読んだら吹っ飛ぶな・・・・・・
正しい、間違っている、を決めつけず、自分だけの意見を持つのが大切、と言われているような気がしたのは、私だけじゃないだろう
艶っぽさすら感じる絵柄が、これまた、ストーリーに凄味を与えてるんだよなぁ
もし、有永先生の絵柄が少しでも違ってたら、私はここまで衝撃を受けなかった、と断言すらできる
ハッキリ言って、ここまで、胸がジクジクと膿むような痛みを読み手に与えられる漫画は、尾田栄一郎先生、鈴木央先生、藤田和日郎先生、羽海野チカ先生にだって描けないだろう。もちろん、有永イネ先生にだって、『ONE PIECE』、『七つの大罪』、『うしおととら』、そんで、『3月のライオン』は描けない
有永先生は、自分にしか描けない、自分だから描ける、『鬼さんどちら』を描いた
だから、私は敬意を表したくて、この作品の感想を書いている
きっと、これから、もっと注目される作品の一つになるだろう
なので、私の書いている、この感想が却って迷惑になってしまわないか、不安になる
この『鬼さんどちら』を語る上で外せないのは、当然、第5話「手の鳴るほうへ」なのだが、私の琴線に触れたのは、第4話「手は鳴らさない」だった。何より、この話の主軸になっている、端場の“人間らしさ”は強烈だ。相手を嫌う理由を必死に考えて、態度を取り繕っていないと、彼らの心に寄り添いたくなってしまう、その「当たり前」を求める衝動を応援したくなってしまう自分になってしまう、それを拒もうとしつつも、結局、嫌いにはなりきれない、彼の心は割かし、普通なまともさがある
この台詞を引用に選んだのは、これがなかったら、星を一つ減らすどころか、即時、古本屋に売り飛ばしてたな、と思わせるほど、とんでもなく太く尖った楔を私の心に打ち込んだからだ
人より弱くて、人並みの事が出来ないから可哀相で、普通じゃないから人にチヤホヤされる一方で、ちょっと自分と違うだけで、迫害し、環から追い出し、酷い言葉をぶつける事で、自分が特別だと勘違いして優越感に浸る、それこそ、憐れな人間もいる。弱い事、可哀相な事、人と違う事がいけないか?
人間なんだから、他人より弱い所があって当然だし、逆に他人より勝ってる部分だって持っているんだ、その分。自分の弱さにコンプレックスを感じちゃっている人間をもっと弱くするのは、そんな相手を憐れむ人間の恩着せがましい、執拗なプレッシャーじゃないだろうか? まぁ、そう偉そうに言いつつも、私だって、ロクな人間じゃないってコトは自覚してるし、すぐには意識を改善できない、脆弱な人間だ・・・ただ、少なくとも、私は自分と違う人に向かって、「可哀想ですね」なんて言った事はないし、これからも言わないだろう。だって、そんな言葉を平然と口に出来る人間の方がよほど恥ずかしいし、可哀相な人間扱いされる、と知っているから
人に向ける同情と優しさは別物だし、持つべき強さ、正しさ、まともさは十人十色だ。弱さも強さも取っ払われて、個性に差がなくなって、人間全員が、「普通」になったら面白味がなくなるだろう、世界そのものから
強い人間も、弱い人間も、この世にいやしない。違い合う人間だけだ、いるのは
人間には、人間が人間らしく生きられる世界を作るのは、そう難しくないと思うんだけど、中々、そう簡単には行かないようだ。けど、だからこそ、徐々に変わっていく過程が面白いし、その努力にこそ、人間らしさが見出せる
長々と語ってしまったが、この『鬼さんどちら』、ホント、学生に読んでもらいたい青年漫画なので、是非、図書室に置いて欲しいし、道徳や倫理を担当する教師にこそ読んでいただきたい -
Posted by ブクログ
この『かみのすまうところ。』と言う漫画っつーか、有永イネ先生の漫画のどこが好きか、と聞かれたら、読み手の無駄に伸びている、高い鼻を容赦なくボッキリ折ってくれるトコだろう
もちろん、有永先生にそんな気持ちが無いのは承知している
折られた、と感じているのはあくまで、私だ
けど、この先生の漫画には読み手の物の考え方を変える力が十分にあって、他人、仕事、そんで、自分と真っ直ぐ向き合う事の難しさ、苦しさ、意義をじっくりと丹念に、力強く描いてくれているこの作品が、それが顕著だ
みつきを初めとしたキャラの癖はあるが嫌いになれない人間性から出る、他のキャラだけでなく、読んでいる側にも届く台詞の威力の重さと言ったら随一だろう
読んでいて、個人としてでなく、社会人の心がボキンッと鳴ったのは久しぶりである
しかし、綺麗に折ってもらえると、すぐに回復できるものである
やっぱ、漫画は凄い
ホント、考え方は人それぞれでしょうけど、どんなモノにも神さまは宿ってると思います、私は。だって、いたら、ロマンがあるって意味で面白いですし、心強いじゃないですか -
Posted by ブクログ
一巻よりも、この漫画が好きになれた
優しさがパワーアップしてるってのは少し微妙な表現なんだが、今のところ、自分の中でそれがしっくり来ている
「温かい」でもなく、「幻想的」とも違う、単純に「優しい」の言葉で一括ってしまうのは乱暴だが、それでも、各キャラが持ってる形が違う「優しさ」が詰まっている、この『かみのすまうところ』は、心に染み入ってくる優しい漫画だ。誰の「優しさ」が正しいってのは決められないが、私が好きなのは、みつきの愚直さが光る真っ直ぐな優しさ
1巻は長男のみつきが主役だったが、2巻は表紙からも察せられるように、次男の光重朗の葛藤と懊悩、そして、成長がメイン
ただ、まぁ、彼以上にみつき、誰よりも頼光が美味しいトコを持って行っちゃってる感はありますが、やっぱり、メインは光重朗が自分の過去を無にするのを止め、現在を見据え、末来に繋ぐ道を組み出す感じ・・・の筈です
やっぱり、有永先生の漫画は画で癒し、ストーリーで心を震わせてくれるなぁ
ドラマ化して欲しい漫画の一本。私はあまり、俳優さんには詳しくないけど、みつきは向井理さん、光重朗は小栗旬さんに演じて欲しい。それこそ、彼らレベルの才があってこそ、この漫画の魅力を全く損なわないドラマが完成して、そこに神が住まうと思うので -
Posted by ブクログ
淡くも優しい画、ほんわかとしている一方で真面目さも醸している内容が持ち味(と私は勝手に思ってる)有永イネ先生の最新作
宮大工、と言う割りとマイナー(失礼かな?)な職種を主軸に置いて漫画を描くとは・・・改めて、この先生が好きになれました
みつきも、光重朗、ニキも癖が強くて、心に何らかの闇や痛みを抱えている。互いに互いを支え、時にはぶつかりあって、前に進んでいこう、としている点が、またゾクゾクさせられる
こういう人間(一人は木の神様だが)ドラマを描かせたら、この先生はホントに凄い
個人的にお気に入っているのは、ケヤキ(500)なのだが、相当な食わせ者である祖父・頼光は主役キャラが一歩ずつ成長していくのに、良くも悪くも必要なので嫌いじゃない -
Posted by ブクログ
「この世界で一番多いものってなーんだ?」
純文学作家である小川洋子先生が原作を書き下ろしたコミック
「死んだ生き物のレース屋」「義眼屋」「輪っか屋」「紙屋」「軟膏屋」etc
変わった商品ばかりを扱う店が立ち並ぶ不思議なアーケード
主人公はそのアーケードの大家の少女。
数年前に大火事が近くであったこのアーケードには死の雰囲気が潜んでる。
大家の仕事はこのアーケードに関わったすべての人を見届けること。
何かを失った人たちがこのアーケードで失ったものと向き合っていく物語です。
小川洋子先生の独特の生と死の曖昧な世界観をうまくマンガ世界に縫い止めた良作でした。小説版も欲しい -
購入済み
タイトルに見覚えがあるなと思ったら、まさかの小川洋子さんの最果てアーケードが原作でした。表紙の絵はライトノベル感がありますが、作中の絵はこの世のどこでもない世界といった雰囲気があって好きです。