戸田山和久のレビュー一覧
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本作は科学的な唯物論を前提としつつ「意味」や「道徳」などこれまで哲学専門とされてきた「存在しなさそうでしてるもの」の問題について哲学的観点から考察する骨太な哲学入門書だ。
当たり前だけど哲学は死ぬほど難しい。実証的ではない故に答えがひとつに定まらないからだ。完璧に理解とか正直ムリゲー。
ただ、「哲学は問い方が大事」という著者の基本姿勢は普段の問題解決においても非常に重要であるように思う。つまり事象を様々な観点から分解し、極限まで具体化して問う。そして出た答えもこれまた極限まで抽象化、一般化する。このような思想家の高度な思考プロセスが疑似体験できるため学びはたくさんある。論理的思考力を鍛えたい方 -
Posted by ブクログ
借りたもの。
ホラーを観る(楽しむ)ということ、そこにある「恐怖とは何か」を、哲学の表象として読み解いていく本。
目次を開いた地点で、文庫なのにその情報量の多さに驚愕……それだけ内容が濃い。
著者曰く「アラコワイキャー」という一連の流れ、“恐怖”が様々な感情の複合であることに始まり、その“本質”は何かを模索していく過程に、哲学史における表象の解釈の変化をも垣間見る。
心理学や生物学、脳科学の話にも触れ、哲学という抽象概念を扱っている分野からも少し離れつつ、それを丁寧に検証していく。
恐怖というものが、自身に迫った脅威の表象から、身体的な知覚表象を越え、実在しないものを恐れるようになる等、高 -
Posted by ブクログ
相変わらず面白い。恐怖、ホラーがメインテーマであることは間違いないのだが、さもすると陳腐な結論で終わりがちな、「人間とは何か」を問う書でもある。参照される思考体系の接続、一歩引いて考え直すタイミングなど改めて感心。小利口な文体と難解な単語で悦に浸っている輩はアホやなと思いながら読み終えたら、あとがきの最後で笑った。
「魂があるから、理性があるから、言語があるから、人間は特別なんだとハナから決めてかかるヘッポコ哲学者には、彼らの思惑に反して、人間のユニークさは決して理解できないだろう。そういう哲学者の首をチェンソーではねてまわりたい、と思う今日この頃。」
帯の意味不明だった絵はこれを描いてい -
Posted by ブクログ
「意味」「機能」「目的」「道徳」…凡そ物理的世界から切り離され、「いわゆる哲学」の領分とみなされがちなこれらの抽象概念を、人間という特定の観察者の視点を排し、物理的・科学的に記述しようとする試み。各章の構成は「問題提起→次の章で検討→新たな問題出現」、とシンプルな直線構造で読み進めやすいが、何せ各章の内容がそれだけで独立した新書が一冊書けるんじゃないかと思えるほどに濃密で、安易な読み飛ばしを阻んでいる。議論が展開されるフィールドも記号論・情報論・進化論・認知論とまさに多岐にわたり、思わず見当識を失いそうになるが、程よい間隔で総括が挟み込まれ、読み進めるうちに自分のロケーションをすぐに取り戻せる
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Posted by ブクログ
「教養」というワードに惹かれて読んでみた。
教養の意義とか高め方についてはわかっていたつもりではいたがやはり大いに参考になった。これに感化されて「トゥルーマンショー」も観てみたし「華氏451度」も読んで観てみようと思った。積読になっているシェークスピアとかいろんな古典もちゃんと読まないとと思った。
けど、読み終わって「教養」以上に印象に残ったのは「大学」の存在意義についてだった。
昨今は少子化で誰でも大学に入れるから学士や学歴の価値は相対的に下がっているしインターネットのおかげで学びたいことは必ずしも大学生とならずとも学ぶことができるよな、と最近思っているけど、これ読んでたしかに大学の存在意 -
Posted by ブクログ
教養というものに真正面から対峙する 大学生に向け、「教養とは何で、身に付けて欲しい理由、身に付けるためのアドバイス」を力説した著書である。学生時代に読めていたらきっと参考になったであろうが、年齢に関係なく興味深く読める内容でもある。
著者は教養とは「社会の担い手であることを自覚し、公共圏における議論を通じて未来へ向けて社会を改善し存続させようとする存在であるために必要な素養・能力(市民的器量)であり、また己に規矩を課すことによってそうした素養・能力を持つ人格へと自己形成するための過程も意味する。」(少し長いが、まとめると「人間らしさの維持」とおうこと)と定義。そしてそれを手に入れるための、多く -
Posted by ブクログ
いい意味でのタイトル詐欺。
普通の人が入門として想像するような哲学の本ではなかった。どちらかと言うと、一般的な哲学をアップデートして、より現代的な哲学をやっている。
現代は科学(特に脳科学/認知科学、あるいは生物科学や量子力学)が進歩したことで、精神的/観念的な従来の哲学の価値を侵食してきている。それに対して、それら科学の知見に哲学が接近/融合して、新しい価値を生み出そうという試みが本書の内容なのだろう。
正直、この種の議論に触れるのは初めてだったので、全てを理解できたわけではないが、議論の内容は興味深いものが多かった。いつかもう一度読み返したいなあ、と思わせる内容だった。 -
Posted by ブクログ
論理思考系の本は、必要に迫られて少しずつ読んでいるのですが、
この本は結構自分好みでよかったです。
ただし、結構なボリュームで、読み切るのにとんでもない時間がかかりました。
本の文体が口語体で、読みやすいっちゃ読みやすいんですが、
ちょっと冗長なところがあるのも事実。
それがすごいボリュームになっちゃってるんですが、
それでも内容自体はとても分かりやすくて、個人的にはおススメ。
単なるHowの話だけでなく、
「じょうずに考える」ことは、そもそもなぜ必要なのか?から
考えてくれていることもポイント高し。
ちょっと読むのが大変ですが、是非手に取ってもらいたい本です。