あらすじ
神は死んだ(ニーチェもね)。いまや世界のありようを解明するのは科学である。万物は詰まるところ素粒子のダンスにすぎないのだ。こうした世界観のもとでは、哲学が得意げに語ってきたものたちが、そもそも本当に存在するのかさえ疑わしい。「ことばの意味とは何か」「私たちは自由意志をもつのか」「道徳は可能か」、そして「人生に意味はあるのか」…すべての哲学問題は、根底から問い直される必要がある!科学が明らかにした世界像のただなかで人間とは何かを探究する、最もラディカルにして普遍的な入門書。他に類を見ない傑作です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
哲学入門
著:戸田山 和久
出版社:筑摩書房
ちくま新書 1060
カバーの折り返しに、ニーチェの「神は死んだ」という言葉がかかげられている
北欧神話の神々は、「ニーベルングの指輪」の中で力を失い、キリスト世界の中枢であった、キリストは、ニーチェによって、死の宣告を受けた。神学的な哲学へのアプローチは近代、力を失っていく。
では、これからの世界はどうなるのか、という問いに、筆者は、科学哲学という新しい指標を提示している
科学哲学の根幹は3つです。
①唯物論
②発生的
③自然主義
ガリレオ・ガリレイ、デカルト、パスカル、ライプニッツらが、考察した、科学哲学的観念は、20世紀になって、大きく発展する。スチュアート・ミル、ポアンカレ、ヒルベルトらによって、これまで、自然科学の手法がもちいられてこなかった、社会科学にも及んでいます。
コンピュータ、ロボット、AI
筆者の選定した概念群 7つのテーマをどう選定したのか、ここはいまいちよくわかりませんでした。
システムが複雑化 ⇒ 機能、目的、意味 の考察
発生的観点から ⇒ 自由、表象、情報 の考察
科学哲学では取り扱えなさそうなもの ⇒ 目的、自由、道徳 の考察
結論はなく、科学哲学の入門書ということで拝見したのですが、よかったでしょうか。
気になったのは以下です。
・問いの始め方
小さくわけて、具体化する
それを徹底的に考える
そこで得た洞察を、一般化、抽象化する
・認知
どんなメカニズムに支えられて、どんな風にすすんでいくのかを研究する 認知科学
・目的論的意味論
①「本来の機能」という概念に注目し、表象間違いを分析する
②「本来の機能」を因果関係に還元(自然化)する
③本来の機能の自然化を意味の自然化に当てはめる
・通信システムの定義
①情報源
②送信機
③通信路
④雑音源
⑤受信機
⑥受信者
・自分にできるさまざまな行為の選択肢の帰結を考えて、いちばん目的に適ったものを選択する
こうした推論を、目的手段推論という
・自由意志はありえないという議論
①神学的決定論
②ニュートン力学⇒物理学的な決定論
③アルゴリズム⇒メカニズム決定論
決定論は、自己コントロールとしての自由と両立可能である
・他のようにもすることができた能力としての自由
⇒過去の間違いから学び、未来の行動を修正する能力
もつに値する自由と、もつに値しない自由がある
・いろんなものの進化がからみあって自由が進化した
協力の進化
表象の進化
自己の進化
自由の進化
・自分が自由だ と信じることが、自由であることの必要条件だ
・罰はどう正当化されるのか
①応報主義
②道徳教育論
③帰結主義的抑止論
④正当防衛論
・自由意志の概念があるかないかと、ディストピアになるかどうかは、無関係だ。
【目次】
序 これがホントの哲学だ
第1章 意味
第2章 機能
第3章 情報
第4章 表象
第5章 目的
第6章 自由
第7章 道徳
人生の意味―むすびにかえて
参照文献と読書案内
あとがきまたは謝辞または挑戦状
ISBN:9784480067685
出版社:筑摩書房
判型:新書
ページ数:448ページ
定価:1000円(本体)
2014年03月10日 第1刷発行
2014年05月20日 第4刷発行
Posted by ブクログ
神経科学の研究をしていて、自由意志の存在の有無の問題が哲学ではどのように捉えられているかを知りたくてこの本を読みました。
序盤の「意味」・「機能」・「目的」などの章は、自由意志と関連が薄く退屈かと予想していましたが、読み進めるにつれてこれらの言葉の定義についてきちんと考えたことがなかったことに気付き、学びになりました。また、これらの用語を哲学ではどのように定義しているのかを知れたのも面白かったです。
また、章立ての順番もきちんと意味があり、序盤の章で触れた内容を踏まえて後半の章が理解できるという構造になっていて、よく考えられているなと思いました。
自由や道徳、結びのメッセージも、決定論の世界の中での生き方のヒントになるような考え方が多く記載されており、心に留めておきたいなと感じました。
全体を通して普段馴染みのない語彙も多く、メモを取りながら本を読んでいたので読み終わるのに時間がかかりました。ただ、普段当たり前だと思っている「意味」や「機能」、「目的」、そして「自由」や「道徳」について考えさせられ、とても楽しめました。
Posted by ブクログ
ちくまセールでタイトル買いしたけど、よくみてみたら著者は同じ研究室棟にいる教授だった。
情報系の人が哲学やるんだ、と最初はびっくりしたけど読んでみたらすごいしっくり。元々哲学とかめっちゃ概念的で全くよくわからないというイメージだったけど、この本は噛み砕いて噛み砕いて超理論的に説明してくれるので(時々入るユーモアもあいまって) 読みやすかった。
ただ章と章のつながりが自分的にはそんなにスムーズにいかないので、スライドとかと一緒に授業で説明してほしい…授業受けてみればよかったな
Posted by ブクログ
「入門」とあるので、古今東西の哲学を紹介する本かと思ったら、いきなり今を生きる自分たちが抱える問題に関わる議論が展開されていた。序章からテンションがあがる上がる。
そして文体は、なぜか懐かしの「昭和軽薄体」を彷彿とさせる。軽いノリでガッツリ哲学的議論を展開できてしまうのがすごい。
最後までちゃんとついていけた(気がする)し、ワクワクしたし、共鳴する部分があり、脳味噌の栄養になった手応えがある。
✕ 「哲学は私の役に立つか」?
○ 「私は哲学が役立つような種類の人間か?」
Posted by ブクログ
最後まで読み終えて、感無量だ。
まず哲学観が変わった。西欧とか東洋とかそういう伝統を踏まえた議論ではなくて、神が死に、ニーチェも死んだ現代のための哲学だ。「にもかかわらず」「だからこそ」考える営みだ。
次に、力強い解放感を感じた。究極の目的なんてないんだと著者は説得力を持って結論する。破壊力満点だ。なにに今までとらわれてきたのだろう。専門的な問題意識だけではなく、ごくごく普通の人間が囚われている問題意識=悩みの虚構性を見破っている。
最後に、進化論を始めとする科学的妥当性が無視できない時代に、著者の言う概念工学としての哲学的思考スタイルは底知れぬ意義を持つだろう。
Posted by ブクログ
本作は科学的な唯物論を前提としつつ「意味」や「道徳」などこれまで哲学専門とされてきた「存在しなさそうでしてるもの」の問題について哲学的観点から考察する骨太な哲学入門書だ。
当たり前だけど哲学は死ぬほど難しい。実証的ではない故に答えがひとつに定まらないからだ。完璧に理解とか正直ムリゲー。
ただ、「哲学は問い方が大事」という著者の基本姿勢は普段の問題解決においても非常に重要であるように思う。つまり事象を様々な観点から分解し、極限まで具体化して問う。そして出た答えもこれまた極限まで抽象化、一般化する。このような思想家の高度な思考プロセスが疑似体験できるため学びはたくさんある。論理的思考力を鍛えたい方には非常におすすめの本。
Posted by ブクログ
哲学書というと堅くて、他の哲学者の理論を延々と説明する事が多いイメージがありますが、この本は通して口語で時に冗談めいた例えがあり、すっと理解できることが多かったです。無味乾燥で抽象的な言葉から、意味や自由、責任、道徳などが語られていてカッケーと思いました。
Posted by ブクログ
「意味」「機能」「目的」「道徳」…凡そ物理的世界から切り離され、「いわゆる哲学」の領分とみなされがちなこれらの抽象概念を、人間という特定の観察者の視点を排し、物理的・科学的に記述しようとする試み。各章の構成は「問題提起→次の章で検討→新たな問題出現」、とシンプルな直線構造で読み進めやすいが、何せ各章の内容がそれだけで独立した新書が一冊書けるんじゃないかと思えるほどに濃密で、安易な読み飛ばしを阻んでいる。議論が展開されるフィールドも記号論・情報論・進化論・認知論とまさに多岐にわたり、思わず見当識を失いそうになるが、程よい間隔で総括が挟み込まれ、読み進めるうちに自分のロケーションをすぐに取り戻せるよう配慮されている。読み易いのは筆者の軽妙な語り口の所為だけでは決してない。
基本の道筋としては第2章に典型的にみられるように、それぞれの概念の成立条件を検討(概念分析)するのではなく、「より利用度の高い知識を入手するには既存の概念の枠組みをどう改訂すればよいか(理論的定義)」を主眼として議論が進んでゆく。このところは素人目にご都合主義と思えなくもないが、新たな枠組みの元でその概念が唯物的世界にキレイにはめ込まれた時の美しさと爽快感には抗し難いものを感じた。
そして長い推論の果てに終章で投げつけられる「すべての人生に価値があるわけではない」「人生に意味などなくともよい」などの刺激的な言葉の数々。表面上否定的な色彩をまとうこれらのシニカルな言説も、この本を読み終えた後ならすんなりと、しかも驚くほどポジティブかつ挑発的な響きを伴いながら胸に浸み込んでくるはずだ。
Posted by ブクログ
何も下調べせずにタイトルを見て買ってしまいました 目には見えない触れもしない、けど存在はしている概念を物質しかない世界に書き込むにはどうしたらいいのか?という内容 面白いけどとても難しかった
Posted by ブクログ
入門とは…と思うほど難しいのですが、物事に哲学的にアプローチするというのはこういう手順で行うのだと示してくれている部分では確かに入門なのかもしれません。
学生から倫理が好きで、よく教科書を読み込んでいました。日々読書もしますが、それでもこの本は難しいです。
あまりに難しく一度積み本となり、引越しの際に出てきて今ならと思い頑張って読みましたが、語句を検索し、帰り読みを繰り返しながら読むのに1ヶ月はかかりました。それでも大枠くらいしか理解できていないと思います。
私は語彙がないので、適切な言語化ができませんが、感覚的にモヤモヤしていた部分が晴れた感覚があります。
意味とは?表象とは?情報とは?目的とは?人間の行いとは本能的なのか理性的なのか。
いままで私は二元的にかんがえてわけていましたが、唯物的に考えるとこの辺が腑に落ちる感覚があります。
しつこいくらいにいいますが、難しいです。
しかし、論理的思考の言語化プロセスを丁寧に書いてくれている本書は読んでいると不思議な気持ちよさがあります。
Posted by ブクログ
「唯物論的・発生的・自然主義的観点からの『哲学入門』」(原文ママ)の本です。
「プラトンもアリストテレスも、デカルトもヘーゲルも、ニーチェもフッサールもハイデガーも出てこない」(原文ママ)ので、それを求めていると面食らいます。
ただ、「科学が進んできた現在において、形而上のものを語ろうとするとこうなるよね」という腹落ち感はものすごくある本だと思います。現代人向けの哲学入門だと感じました。
Posted by ブクログ
いい意味でのタイトル詐欺。
普通の人が入門として想像するような哲学の本ではなかった。どちらかと言うと、一般的な哲学をアップデートして、より現代的な哲学をやっている。
現代は科学(特に脳科学/認知科学、あるいは生物科学や量子力学)が進歩したことで、精神的/観念的な従来の哲学の価値を侵食してきている。それに対して、それら科学の知見に哲学が接近/融合して、新しい価値を生み出そうという試みが本書の内容なのだろう。
正直、この種の議論に触れるのは初めてだったので、全てを理解できたわけではないが、議論の内容は興味深いものが多かった。いつかもう一度読み返したいなあ、と思わせる内容だった。
Posted by ブクログ
哲学入門と言っても有名な哲学者(プラトンやデカルトやハイデガーとか)は出てこない。中心的に扱われるのはミリカンなどの現代哲学者である。物理と精神を分ける二元論は現代においては成り立たず、科学が精神世界へ侵入してきている。二元論ではなく唯物論の立場に立って、そこで哲学に何ができるのかを解説しているのが本書だ。内容は簡単ではないが新たな物の見方を与えてくれることは間違いない。少し砕けた語り口も読みやすい。あとがきが素晴らしいので、ぜひとも頑張ってそこまで読み切ってほしい。
Posted by ブクログ
最近流行りの「認知科学の哲学」入門といえる。新書のわりには分厚いが、内容が盛りだくさんすぎて記述が荒いところもある。同じ著者による『知識の哲学』と併せて読むと互いの足りないところが補完されていい気がする。
Posted by ブクログ
すごい。労作。著者の意気込みがガシガシ伝わってくる内容。
「哲学入門」と聞いて普通にイメージする哲学史の振り返りではなく、著者自身の問題意識を一歩一歩、深く深く掘り下げたもの。
だいたい10頁に1か所くらいは「なるほど!そういう考えがあるか!」とゆかいな知的興奮に包まれる。
惜しむらくは、文章が多すぎたせいか、加えて、僕の頭の限界のせいか、全体像が完全に把握できたとは言えないこと。部分的にはかなり面白い議論があることは理解できたんだけど。
いつかまた、再読してみたいな。
そのときは全部理解して、星が一つ増えるかもしれない。
Posted by ブクログ
とても難しかった。所々わかったような気がするようなしないような。。。何度か読み返していつか理解できるようになればいいな。ただ最後のメッセージにはとても納得した。
Posted by ブクログ
前半難しくて読み飛ばしたけど、最後にかけてゆるゆるまとまってて心に残った!
人生に意味なんてなくて、宇宙の歴史と広大さに比べたら人間の人生なんてちっぽけだから
あんまり気負わず好きなことして生きたらいいんだよ〜という前向きなメッセージで終わりました◎
Posted by ブクログ
難しかったので、ふわっとしか理解できなかったけれど、哲学するとはこういうことかとその一端を教わった気がする。引っかかった箇所はマーカーを引いたので、少し時間をあけて再読したい。文体としては、わかりやすさを意識してか口語で書かれているのが、私としては逆にわかりづらく感じてしまった。冗長率が高すぎるというか…。
Posted by ブクログ
・そもそも人生の無意味さは解決を要する問題か ― 人生の無意味さこそがわれわれに関することがらのうちで最も人間的なものの一つ ― ときには一歩ひいて眺め「俺また実にくだらないことをやってるな」
・哲学とは概念を想像すること
・重要な問いは「哲学が私の役に立つか」ではない。「私は哲学が役に立つような種類の人間か」だ
・あなたには哲学を役立てるだけの知恵と力と勇気があるのか?
Posted by ブクログ
須原屋書店の「浦和高校課題図書」コーナーにあったので購入。このコーナー、いいんだよね。何冊か買ってるけど、本格的でしかも読みやすい。その中では、こいつはなかなかハードだったかな笑。
さてさて、本の中身だけど、第六章の「自由」に焦点を当てたい。みんな自分は、多かれ少なかれ、自由意志にもとづいて行動していると思っているはずだ。スーパーで「今日の晩ご飯はサンマにしようかサバにしようか」迷ったあげく、結局サバを選択した時、ボクには選ぶ「自由」があったというわけ。なるほど、「自由」の存在に、疑いはなさそうだ。
でも、ちょと待ってほしい。人間は所詮、原子の集合体でできているわけで、物理法則に従っているはず(量子力学の話はめんどうなので扱いません、本文を読んでね)。ということは、ボクがサバを選んだのは、ただ物理法則に従っただけ、とも捉えられるわけ。そうしたら、「自由意志」なんてないじゃない。物事は、決定論的に決まって行く。
「世の中に偶然はない あるのは必然だけ」これは、『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』の侑子さんのセリフですが、読んでた当時、子どもながらに違和感がありました(でも、この漫画はすげー好き)。そのくせツバサでは「選択」とか「意志」を大事にするんです。起こることが必然なら選択は必要じゃないんじゃ?全てが必然なら選択するのも必然だし、それじゃあその選択に自由意志が介在する余地があるのか…なんてね。
本書では、決定論と自由は(自由の定義次第では)両立しうる、と論を展開する。①理由によって行為する、②行為に先立って行為を検討することができる、③経験に基づいて自分を再プログラムできる、という自由を「自由」とすれば、決定論的な物理システムにおいても持ちうる。この「自由」は、我々が望ましいと受け入れることのできる自由だろう。と。
ふむふむ。決定論と自由。なかなか難しいもんだいだけれども、昔から気になっていた侑子さんのセリフは、もう少し真面目に考えてみる価値がありそうです。(結局どっちのレビューかわからなくなってしまった。すみませんorz)
Posted by ブクログ
哲学の基本を押さえたいと思い購入しました。
「哲学入門」というタイトルを目にすると、有名な哲学者の主要な考え方を説明してくれると期待してしまいますが、全然違います。
逆に少しマイナーな人の論が多く紹介されている。
まあ、それはそれでおもしろいのですが、正直説明がちょっとわかりづらいかな。
大学の先生の講義を延々のんびり聞いてるような気分になる本です。
つまり、あんまり情報がまとまってないというか、気分でどんどん話を進めている印象を受けます。
で、さすがにわかりづらいので、指摘を受けた部分に補足説明を加えた、そんなつぎはぎを感じさせます。
扱っているテーマ自体は興味深いのですが、最初から抽象的に攻めすぎというか、もうちょっと興味を引き出す実例の出し方がありそうかなと思います。
入門というだけあって、説明自体はとても丁寧だと思うので、量を気にせずちゃんと読めば、それなりに理解はできます。
ただ正直、根気が必要ではある。