【感想・ネタバレ】哲学入門のレビュー

あらすじ

神は死んだ(ニーチェもね)。いまや世界のありようを解明するのは科学である。万物は詰まるところ素粒子のダンスにすぎないのだ。こうした世界観のもとでは、哲学が得意げに語ってきたものたちが、そもそも本当に存在するのかさえ疑わしい。「ことばの意味とは何か」「私たちは自由意志をもつのか」「道徳は可能か」、そして「人生に意味はあるのか」…すべての哲学問題は、根底から問い直される必要がある!科学が明らかにした世界像のただなかで人間とは何かを探究する、最もラディカルにして普遍的な入門書。他に類を見ない傑作です。

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Posted by ブクログ

神経科学の研究をしていて、自由意志の存在の有無の問題が哲学ではどのように捉えられているかを知りたくてこの本を読みました。
序盤の「意味」・「機能」・「目的」などの章は、自由意志と関連が薄く退屈かと予想していましたが、読み進めるにつれてこれらの言葉の定義についてきちんと考えたことがなかったことに気付き、学びになりました。また、これらの用語を哲学ではどのように定義しているのかを知れたのも面白かったです。
また、章立ての順番もきちんと意味があり、序盤の章で触れた内容を踏まえて後半の章が理解できるという構造になっていて、よく考えられているなと思いました。
自由や道徳、結びのメッセージも、決定論の世界の中での生き方のヒントになるような考え方が多く記載されており、心に留めておきたいなと感じました。
全体を通して普段馴染みのない語彙も多く、メモを取りながら本を読んでいたので読み終わるのに時間がかかりました。ただ、普段当たり前だと思っている「意味」や「機能」、「目的」、そして「自由」や「道徳」について考えさせられ、とても楽しめました。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

ちくまセールでタイトル買いしたけど、よくみてみたら著者は同じ研究室棟にいる教授だった。

情報系の人が哲学やるんだ、と最初はびっくりしたけど読んでみたらすごいしっくり。元々哲学とかめっちゃ概念的で全くよくわからないというイメージだったけど、この本は噛み砕いて噛み砕いて超理論的に説明してくれるので(時々入るユーモアもあいまって) 読みやすかった。

ただ章と章のつながりが自分的にはそんなにスムーズにいかないので、スライドとかと一緒に授業で説明してほしい…授業受けてみればよかったな

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2020年08月15日

Posted by ブクログ

「入門」とあるので、古今東西の哲学を紹介する本かと思ったら、いきなり今を生きる自分たちが抱える問題に関わる議論が展開されていた。序章からテンションがあがる上がる。
そして文体は、なぜか懐かしの「昭和軽薄体」を彷彿とさせる。軽いノリでガッツリ哲学的議論を展開できてしまうのがすごい。
最後までちゃんとついていけた(気がする)し、ワクワクしたし、共鳴する部分があり、脳味噌の栄養になった手応えがある。

✕ 「哲学は私の役に立つか」?
○ 「私は哲学が役立つような種類の人間か?」

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2018年10月10日

Posted by ブクログ

最後まで読み終えて、感無量だ。

まず哲学観が変わった。西欧とか東洋とかそういう伝統を踏まえた議論ではなくて、神が死に、ニーチェも死んだ現代のための哲学だ。「にもかかわらず」「だからこそ」考える営みだ。

次に、力強い解放感を感じた。究極の目的なんてないんだと著者は説得力を持って結論する。破壊力満点だ。なにに今までとらわれてきたのだろう。専門的な問題意識だけではなく、ごくごく普通の人間が囚われている問題意識=悩みの虚構性を見破っている。

最後に、進化論を始めとする科学的妥当性が無視できない時代に、著者の言う概念工学としての哲学的思考スタイルは底知れぬ意義を持つだろう。

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2018年06月19日

Posted by ブクログ

本作は科学的な唯物論を前提としつつ「意味」や「道徳」などこれまで哲学専門とされてきた「存在しなさそうでしてるもの」の問題について哲学的観点から考察する骨太な哲学入門書だ。
当たり前だけど哲学は死ぬほど難しい。実証的ではない故に答えがひとつに定まらないからだ。完璧に理解とか正直ムリゲー。
ただ、「哲学は問い方が大事」という著者の基本姿勢は普段の問題解決においても非常に重要であるように思う。つまり事象を様々な観点から分解し、極限まで具体化して問う。そして出た答えもこれまた極限まで抽象化、一般化する。このような思想家の高度な思考プロセスが疑似体験できるため学びはたくさんある。論理的思考力を鍛えたい方には非常におすすめの本。

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2018年05月22日

Posted by ブクログ

哲学書というと堅くて、他の哲学者の理論を延々と説明する事が多いイメージがありますが、この本は通して口語で時に冗談めいた例えがあり、すっと理解できることが多かったです。無味乾燥で抽象的な言葉から、意味や自由、責任、道徳などが語られていてカッケーと思いました。

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2015年01月31日

Posted by ブクログ

「意味」「機能」「目的」「道徳」…凡そ物理的世界から切り離され、「いわゆる哲学」の領分とみなされがちなこれらの抽象概念を、人間という特定の観察者の視点を排し、物理的・科学的に記述しようとする試み。各章の構成は「問題提起→次の章で検討→新たな問題出現」、とシンプルな直線構造で読み進めやすいが、何せ各章の内容がそれだけで独立した新書が一冊書けるんじゃないかと思えるほどに濃密で、安易な読み飛ばしを阻んでいる。議論が展開されるフィールドも記号論・情報論・進化論・認知論とまさに多岐にわたり、思わず見当識を失いそうになるが、程よい間隔で総括が挟み込まれ、読み進めるうちに自分のロケーションをすぐに取り戻せるよう配慮されている。読み易いのは筆者の軽妙な語り口の所為だけでは決してない。

基本の道筋としては第2章に典型的にみられるように、それぞれの概念の成立条件を検討(概念分析)するのではなく、「より利用度の高い知識を入手するには既存の概念の枠組みをどう改訂すればよいか(理論的定義)」を主眼として議論が進んでゆく。このところは素人目にご都合主義と思えなくもないが、新たな枠組みの元でその概念が唯物的世界にキレイにはめ込まれた時の美しさと爽快感には抗し難いものを感じた。

そして長い推論の果てに終章で投げつけられる「すべての人生に価値があるわけではない」「人生に意味などなくともよい」などの刺激的な言葉の数々。表面上否定的な色彩をまとうこれらのシニカルな言説も、この本を読み終えた後ならすんなりと、しかも驚くほどポジティブかつ挑発的な響きを伴いながら胸に浸み込んでくるはずだ。

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2014年06月20日

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「唯物論的・発生的・自然主義的観点からの『哲学入門』」(原文ママ)の本です。

「プラトンもアリストテレスも、デカルトもヘーゲルも、ニーチェもフッサールもハイデガーも出てこない」(原文ママ)ので、それを求めていると面食らいます。

ただ、「科学が進んできた現在において、形而上のものを語ろうとするとこうなるよね」という腹落ち感はものすごくある本だと思います。現代人向けの哲学入門だと感じました。

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2025年08月31日

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いい意味でのタイトル詐欺。
普通の人が入門として想像するような哲学の本ではなかった。どちらかと言うと、一般的な哲学をアップデートして、より現代的な哲学をやっている。

現代は科学(特に脳科学/認知科学、あるいは生物科学や量子力学)が進歩したことで、精神的/観念的な従来の哲学の価値を侵食してきている。それに対して、それら科学の知見に哲学が接近/融合して、新しい価値を生み出そうという試みが本書の内容なのだろう。

正直、この種の議論に触れるのは初めてだったので、全てを理解できたわけではないが、議論の内容は興味深いものが多かった。いつかもう一度読み返したいなあ、と思わせる内容だった。

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2024年02月12日

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哲学入門と言っても有名な哲学者(プラトンやデカルトやハイデガーとか)は出てこない。中心的に扱われるのはミリカンなどの現代哲学者である。物理と精神を分ける二元論は現代においては成り立たず、科学が精神世界へ侵入してきている。二元論ではなく唯物論の立場に立って、そこで哲学に何ができるのかを解説しているのが本書だ。内容は簡単ではないが新たな物の見方を与えてくれることは間違いない。少し砕けた語り口も読みやすい。あとがきが素晴らしいので、ぜひとも頑張ってそこまで読み切ってほしい。

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2021年09月05日

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最近流行りの「認知科学の哲学」入門といえる。新書のわりには分厚いが、内容が盛りだくさんすぎて記述が荒いところもある。同じ著者による『知識の哲学』と併せて読むと互いの足りないところが補完されていい気がする。

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2017年01月30日

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すごい。労作。著者の意気込みがガシガシ伝わってくる内容。
「哲学入門」と聞いて普通にイメージする哲学史の振り返りではなく、著者自身の問題意識を一歩一歩、深く深く掘り下げたもの。
だいたい10頁に1か所くらいは「なるほど!そういう考えがあるか!」とゆかいな知的興奮に包まれる。

惜しむらくは、文章が多すぎたせいか、加えて、僕の頭の限界のせいか、全体像が完全に把握できたとは言えないこと。部分的にはかなり面白い議論があることは理解できたんだけど。

いつかまた、再読してみたいな。
そのときは全部理解して、星が一つ増えるかもしれない。

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2015年02月28日

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入門らしく、くだけた語りくちで進むが、論じている内容は割と難しく、ついて行けない部分がちらちら出てきて、結構読むのは大変です。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

とても難しかった。所々わかったような気がするようなしないような。。。何度か読み返していつか理解できるようになればいいな。ただ最後のメッセージにはとても納得した。

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2022年02月23日

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前半難しくて読み飛ばしたけど、最後にかけてゆるゆるまとまってて心に残った!
人生に意味なんてなくて、宇宙の歴史と広大さに比べたら人間の人生なんてちっぽけだから
あんまり気負わず好きなことして生きたらいいんだよ〜という前向きなメッセージで終わりました◎

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2019年09月05日

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難しかったので、ふわっとしか理解できなかったけれど、哲学するとはこういうことかとその一端を教わった気がする。引っかかった箇所はマーカーを引いたので、少し時間をあけて再読したい。文体としては、わかりやすさを意識してか口語で書かれているのが、私としては逆にわかりづらく感じてしまった。冗長率が高すぎるというか…。

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2019年04月05日

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・そもそも人生の無意味さは解決を要する問題か ― 人生の無意味さこそがわれわれに関することがらのうちで最も人間的なものの一つ ― ときには一歩ひいて眺め「俺また実にくだらないことをやってるな」
・哲学とは概念を想像すること
・重要な問いは「哲学が私の役に立つか」ではない。「私は哲学が役に立つような種類の人間か」だ
・あなたには哲学を役立てるだけの知恵と力と勇気があるのか?

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2018年11月04日

Posted by ブクログ

須原屋書店の「浦和高校課題図書」コーナーにあったので購入。このコーナー、いいんだよね。何冊か買ってるけど、本格的でしかも読みやすい。その中では、こいつはなかなかハードだったかな笑。

さてさて、本の中身だけど、第六章の「自由」に焦点を当てたい。みんな自分は、多かれ少なかれ、自由意志にもとづいて行動していると思っているはずだ。スーパーで「今日の晩ご飯はサンマにしようかサバにしようか」迷ったあげく、結局サバを選択した時、ボクには選ぶ「自由」があったというわけ。なるほど、「自由」の存在に、疑いはなさそうだ。

でも、ちょと待ってほしい。人間は所詮、原子の集合体でできているわけで、物理法則に従っているはず(量子力学の話はめんどうなので扱いません、本文を読んでね)。ということは、ボクがサバを選んだのは、ただ物理法則に従っただけ、とも捉えられるわけ。そうしたら、「自由意志」なんてないじゃない。物事は、決定論的に決まって行く。

「世の中に偶然はない あるのは必然だけ」これは、『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』の侑子さんのセリフですが、読んでた当時、子どもながらに違和感がありました(でも、この漫画はすげー好き)。そのくせツバサでは「選択」とか「意志」を大事にするんです。起こることが必然なら選択は必要じゃないんじゃ?全てが必然なら選択するのも必然だし、それじゃあその選択に自由意志が介在する余地があるのか…なんてね。

本書では、決定論と自由は(自由の定義次第では)両立しうる、と論を展開する。①理由によって行為する、②行為に先立って行為を検討することができる、③経験に基づいて自分を再プログラムできる、という自由を「自由」とすれば、決定論的な物理システムにおいても持ちうる。この「自由」は、我々が望ましいと受け入れることのできる自由だろう。と。

ふむふむ。決定論と自由。なかなか難しいもんだいだけれども、昔から気になっていた侑子さんのセリフは、もう少し真面目に考えてみる価値がありそうです。(結局どっちのレビューかわからなくなってしまった。すみませんorz)

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2016年06月05日

Posted by ブクログ

戸田山流哲学入門。唯物論から哲学の役割を求めるとこういうことになるのかなぁ。。。正直,問いに共感できないのでよく分かりませんでした。

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2015年03月02日

Posted by ブクログ

哲学の基本を押さえたいと思い購入しました。

「哲学入門」というタイトルを目にすると、有名な哲学者の主要な考え方を説明してくれると期待してしまいますが、全然違います。

逆に少しマイナーな人の論が多く紹介されている。

まあ、それはそれでおもしろいのですが、正直説明がちょっとわかりづらいかな。

学の先生の講義を延々のんびり聞いてるような気分になる本です。
つまり、あんまり情報がまとまってないというか、気分でどんどん話を進めている印象を受けます。
で、さすがにわかりづらいので、指摘を受けた部分に補足説明を加えた、そんなつぎはぎを感じさせます。

扱っているテーマ自体は興味深いのですが、最初から抽象的に攻めすぎというか、もうちょっと興味を引き出す実例の出し方がありそうかなと思います。

入門というだけあって、説明自体はとても丁寧だと思うので、量を気にせずちゃんと読めば、それなりに理解はできます。

ただ正直、根気が必要ではある。

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2014年09月03日

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