小林正弥のレビュー一覧
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神社で憲法改正のための署名を集める活動が問題になったことを切り口にして、神道と政治の問題を、著者が依拠する公共哲学の観点から考察している本です。
著者は、明治憲法下において神道が宗教ではなく国家祭祀とされたことが、現代にまで及ぼしている影響について比較的ていねいな解説をおこなっています。戦前の国家神道は、習俗的な道徳としての性格をもつことになりました。そして戦後になると、政教分離により宗教法人として扱われることになった神道は、私的道徳となりかねない状況に陥ってしまったと著者は指摘します。そのうえで、戦後における神道の最大のイデオローグとして活躍した葦津珍彦の議論を検討し、彼が神道に公共性を回 -
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-「私は誰かの息子か,娘であり,どこかの都市の市民であり,この一族,あの民族,この国民に属している」「したがって,私にとって善いことは,このような役割を生きるものにとって善いことであるはずだ。私は自分の家族,都市,民族,国民の過去から,様々な夫妻や遺産,期待や義務を受け継いでいる」
-「本当に有徳な人は、最も遠い他人を助けるためにも、友人に対するのと同様に迅速に駆けつける」「完全に有徳な人に、友人はいないだろう」
-すべての正義は差別を内包する
本全体があんまり一つの主張をしないのでちょっと強い感想を持ちにくいんだけど、個人的に残ったのはここら辺かな。人類皆に公平というか正義を持つなんてのは -
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-凄い昔に途中まで読んだことあったけど終わらず。実家帰った時に本棚にあったので持って帰ってきて読んでみた。
-授業のテンポとか、内容が難しくなりすぎたときのユーモアとか、議論の誘導の仕方とか「授業をする」ということに対して凄い技術をもったエンターテイナーだなーって思った。
-でも本としては凄く難しかった…理解するのに何度も読み直したw
-そういう意味で授業ついてってる学生凄い。ただきっとこれ授業のないところで相当な量の課題図書出されてるんだろうなー。その上でのこの授業だと考えると、ちょっと学生時代思い出してゾッとしたw
-ハーバードの学生の議論聞いた後の東大の学生のレベルの低さが凄い。これって -
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サンデルの正義論とジョン・ロールズの正義論の批判の理由
この本が出版された2010年12月までのサンデルの全出版書籍を取り上げ,その内容を解説しながら,サンデルの考えについて説明している。
サンデル自身の考えに焦点があてられており,「白熱教室」や「これからの正義の話をしよう」よりも,難しい内容となっている。自分としては,pp. 100-200あたりが特に複雑な内容で理解が難しかった。
書籍の構成としては,全6講となっている。
第1講で「白熱教室」や「これからの正義」で取り上げられた内容を順番にたどり,サンデルの考えや二つの書籍での違いなどについて触れている。これはおさらいとしてよかった。
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善・正・義・公・共……
ある場面において旧来の論理が通用しなくなると新しい概念を構築する必要に迫られる。
理論とはそういうものであり、また社会の指標たる理論はその正しさにおいて充分に説得的でなければならず、こうしたブラッシュアップは不可欠ではあるが、正義は善を含有したものでなくてはならないという主張は、批判においては具体性に富み説得力があるが、論理構築においてはいかにも頼りない。
普遍的であることを目指していないとこのことだけれど、どこかに一貫したものがなければ論理は完成しないのではないだろうか?
哲学だからそれでよいのもしれないけれど、どうにも消化不良感が残る読後となった。 -
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内容が難しいので読むのに凄く時間がかかった。
実際にNHKで放送されたものも見ていたけど、映像を観た後でこの本を読むと、サンデル教授の議論誘導の仕方の上手さを感じる。
映像では分からなかったけれど、文字になると、見当違いな話をしようとしている学生を上手くいなしたり、纏まっていない発言を短いセンテンスに集約したり、ということを頻繁に行っているということがよく分かる。
生徒がどういう発言をしてくるか分からない中で、きちんと目指した方向へ議論をみちびいていく手腕は本当に素晴らしい。
『正義』という議論しづらいものに真っ向から取り組んでいる授業内容自体も面白いけれど、サンデル教授の手腕が素晴らしくて -
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ネタバレサンデル教授の対話型講義の形式に倣って、小林教授が原発の存在について進めた講義録。
サンデル教授との違いとして、小林教授自身が明確な意見・考えを持っていることが前提にある。サンデル教授の場合、仮に自身の考えを持っていたとしても、講義の中では殆ど披露せず、受講者たちの議論の流れに委ねている。その姿勢は講義中ずっと続き、最後まで「結論はこちらだ」という纏め方はしない。議論が出来ることが何より重要なのだ、と。
一方、この本における小林教授は、明確に脱原発よりの考えを持っており、またそれを講義の中で示してもいる。
どちらが講義を行う中でよいのか、人それぞれの判断なのかもしれないが、哲学というそも