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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「ハーバード白熱教室」での鮮やかな講義と、核心を衝く哲学の議論で、一大旋風を巻き起こした政治哲学者マイケル・サンデル。彼自身の思想と「コミュニタリアニズム」について、サンデルがもっとも信頼を寄せる著者が、その全貌を余すところなく記した。
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Posted by ブクログ
リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリズム。 ハーバーマスはリベラリズム。アメリカと欧州では、その文脈が異なることに注意。
これだけ読み応えがあるのに、より分かりやすく解説してあって、著者の力量の凄さがよく分かります。『これからの「正義」の話をしよう』を読んでいなくても、本書で十分です。 読むだけでも随分時間がかかりました…… 読んでいるときに思っちゃった事を書いてみます。 アリストテレスの適合性正議論は、得手不得手と...続きを読む好き嫌い、どちらを優先させるのでしょうか? サンデルによると、『最高のフルートは最高のフルート奏者が持つべき』と言っているので、得手不得手を優先させると思うのですが、好き嫌いよりもそちらを優先させるというのは、言ってみれば自分の感情を押し殺して充実感を犠牲にし、より良く生きようとする自分自身の目的を蔑ろにするのではないか?と言えます。 また、身近な例で言うと、中学生の部活動の問題があります。才能があるのに練習しない生徒と、彼より能力が劣るが真面目に練習に取り組む子がいて、より上位の試合に出場させるのはどちらが良いのか。これは部活動の根本目的を問いています。つまり部活動とは『能力至上主義』なのか『努力至上主義』なのかです。 中学生の部活動と考えるならば後者の方が教育的見地からしても妥当ですが、一方で『現実の厳しさを教えるべき』『練習に来なくても、高い実力を持った子を試合に出場させる方が大会実績を残せる可能性が高いし、そうなれば色々なところから練習の誘いが来て、結果的には全体のレベルアップに繋がるのでは?』『努力してもダメなものはダメだと今のうちから教えた方が後学のためになるのでは』と言われれば反論し辛いです。 だけど、『中学生は義務教育である。その一環である部活動は結果を求めるのではなく、仲間と連帯して一つの目標に向かって切磋琢磨するところだから、ちょっと実力が高いからといってレギュラーメンバーにするのはいかがなものか』『中学生に社会の現実を突き付けるのは酷な話だ』と再反論も出来ますが、こうなってくると、もはや部活動の目的に沿って考えるのは難しく、先生個人の考えがどちらに重きを置いているかによります。実際にこのジレンマで頭を悩ませている人は多いのではないでしょうか。 また、目的論的正義論になると、需給ミスマッチ問題が生じる恐れ(極端な話、全員が奴隷に向いていたらどうするのか?)があります。 サッカーを例にすると、フォワード向きが多すぎるとバランスが悪くなって試合になりません。『もっと外部から選手を勧誘して増やせれば、その中でキーパーが得意な人やディフェンダーが向いている人も出てくるはず』となれば、全体の定義が定まらず、得手不得手のバランスが整うまで永遠に適者を探さないといけなくなります。 共通善の構築は現実的ではないように思えます。だからこそ実際には多様な考え方があって、それを制度的に保証し、多様な中から自分に合ったものを選択できるようになれば良いと思うのです。 あとチラッと思ったのが、 公務員も民間並みに→民間も公務員並みに→ブラック企業の対策等、共通善を考えるとコミュニタリアニズムは今の時代に一定の成果が期待できるのでは? 『これからの『正義』の話をしよう』では、サンデルの思想の立ち位置がよくわからず、「で、サンデルは何主義者なのか?」と思いましたが、本書ではっきりと立場を明かしていてすっきりしました。なるほど(大雑把言うと)コミュニタリアニズムかぁ~。 個人的にはロールズの格差原理にある「恵まれた者は、恵まれない者の状況を改善するという条件でのみその幸運から便益を得ることが許される」というのが好きです。サンデルも言っているのですが、この思想から助け合いの精神みたいなのが見え隠れしていて、リベラリズムは決して個人主義ではないように思います。 功利主義、リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズム……色々と主義主張がありますが、僕自身は割とリベラリズムかなぁ~なんて思います。やっぱりしがらみに束縛されたくない(笑) 僕の評価はSにします。
NHKの白熱講義が流行った際、『これからの「正義」の話をしよう 』を読んだ直後に買って積読状態になってた本。サンデルとも交流があり白熱講義で解説をしていた著者が、サンデルの著書について、番組や『正義』で端折った部分も含めて、考え方のエッセンスと変遷を分かり易く解説しています。ロールズ批判は非常に説得...続きを読む力がありますし、英米法をかじった人間としてアメリカ建国史の部分は懐かしく読みましたが、なんといってもヘーゲル、カント、アリストテレスの問題意識は現代でも通じる所があるなと考えさせられました。立場や意見を支持するか別としても、ネットで蔓延する軽薄な床屋政談に惑わされないよう、これまで先人による問題意識の変遷を再確認するのに読んでおいて損のない一冊です。
サンデルの主著である『リベラリズムと正義の限界』『民主政の不満』『公共哲学』『完全な人間を目指さなくてもよい理由』『これからの〜』について解説する。 注意しなければならないのは、本書の中に現れる「負荷ありし自己」という用語は明らかに誤訳であるということ。過去形ではなく「負荷のある自己」と読み替えれば...続きを読む問題はないのだが、サンデルの思想の重要概念なので、そこはきちんと正しておきたい。「負荷ありし」と過去形にすると「今はない」というニュアンスが出てきて、本来意図された意味とは真逆に解釈されうるので。 さて、コミュニタリアニズム(共同体主義)というと、「共通善という概念をもち出して公の正義を振りかざし、個人の権利を侵害するようなイデオロギーではないのか」という批判にさらされる。私も実際そのような疑念をもっていた。「共通善とは何か」を共同体の伝統が決定するのであれば、結局のところただの相対主義じゃないか。と、思っていた。 でも違った。サンデルが目指しているのは、あくまで普遍的な善であり、正義の正当性はその目的の道徳的価値に基づくのだという(著者は、この意味ではサンデルの思想は“コミュニタリアニズム的”ではないという)。 ……ちょっと待てよ、では“コミュニティー”の概念はどこで登場するのか? 「自己をコミュニティーに埋め込まれた存在」「社会に対して責任を負う存在」として理解し、「社会から切り離された、ばらばらの個人」という人間観に反対する意味において、というのが先の問いに対する答えになる。 もう一つ重要だと感じたのは、「リベラル-コミュニタリアン論争」という言葉がミスリードするけど、サンデルはロールズらのリベラリズムの“思考過程”に異を唱えたのであり、リベラリズムが是とする福祉政策自体に反対を唱えるものではないということ。関数は異なるが解は同じ、といった感じかな。 コミュニタリアンの中にもウォルツァーのように「善は共同体の多数派が決定する」という相対主義者もいるらしい。このような思想に対しては明確に反対するという意味で、サンデルの思想はもはやコミュニタリアニズムというより、“サンデリアニズム”と言ってしまった方がいいような気がする。 というか、リベラリズムに接近している?? サンデルの議論は目的論的である。たとえばある制度の是非について議論するとき、まずその制度の目的が何であるかを明らかにし、その目的にその制度が合致しているかを論じるという手法。サンデルのこの論法は鮮やかで説得力があるのでお手本としたい。 『これからの正義の話をしよう』は大ブームとなったけど、それだけではコミュニタリアンの思想を理解するには明らかに不十分だ。『これからの~』だけ読んで済ませるのはもったいない! 多くの人が本書を読んでコミュニタリアニズムという思想に興味をもってほしいと思う。
サンデル教授の著書を通して、哲学、思想の流れを解説。なるほどと腑に落ちる点と、難解で少し時間をおいて読み返す必要がある点があったが、近現代の哲学史を解説してくれ、「これからの正義の話をしよう」の理解が深まった気がした。
功利主義からロールズの正義論によるリベラリズムが広まり、さらに自由を突き詰めたリバタリアニズムが全世界に広まった。 これを批判したのがサンデルであり、コミュニタリズムの必要性を説くサンデルの思想を解説する。 非常に難解だし、一度挫折してからの再読。「これから正義の話をしよう」を読んでいるか...続きを読む、白熱教室見てないとわからない。 しかしながら、このコミュニタリズムの考え方が今必要であると思う人が多いから、サンデルの本がベストセラーになったのだろうと思う。
マイケル・サンデルのこれまでの著書等をまとめることで、彼の理論、ひいてはこれまでの政治哲学の流れまでも総括できるような内容となっている。とても面白い。 マイケル・サンデルの主張(ロールズへの批判など)は、なかなか的を射たものだと思うのだけれど、説得力のある新たな正義論を打ち出しきれてないところが弱...続きを読むい。ここを解決できないと、歴史に名は刻めないかな、という。
マイケル・サンデルの主要著作を読み解き、彼の政治哲学の全体像を示している入門書です。 著者は、『正義論』におけるロールズのリベラリズムが「負荷なき自己」という考えに立脚していることを批判した、サンデルの『リベラリズムと正義の限界』の内容を解説している章で、この著作によってサンデルは「ロールズの魔術...続きを読むを解く」ことに成功したと述べています。ロールズの『正義論』は、功利主義的な政治・経済思想が社会に浸透しつつあった20世紀において、「善」と「正義」を切り離すことによって政治哲学を一挙に活性化させることに成功しました。ところがサンデルは、こうしたロールズの戦略の背景に目的論的な「善」がひそかに前提されていることを指摘しました。そのような観点からロールズの「無知のベール」の仮説をみなおしてみると、それは私たちのコミュニティにおいて当然あるべき「公正な正義」を認知し発見していくプロセスだったと考えることができると著者は言います。そして、このような見方を可能にしたサンデルのロールズ批判を、「ロールズの魔術を解く」ことに成功したと表現しています。 そのほか、『リベラリズムと正義の限界』におけるロールズの立場の変化に対応し、サンデルが『民主政への不満』において「負荷なき自己」に対する批判から、「善に対する正(ないし権利)の優位性」に対する批判へと焦点を変えていった経緯を説明しています。また、コミュニタリアニズムの代表的論客とされるサンデルの立場とは、ウォルツァーのように共同体の内部における基準を絶対的なものとみなすのではなく、「負荷ありし自己」の立場から目的論的な政治倫理をめざす立場だということを解説しています。 私自身は、現代アメリカの政治哲学ではローティのプラグマティズムにもっとも親近感を抱いているので、本書で紹介されている具体的な問題に対するサンデルの主張には違和感を覚えることも少なくなかったのですが、コミュニタリアニズムとして一括されるサンデルの思想の具体的な中身について知ることができたという意味では有益だったように思います。
ご存知サンデルの思想解説書。 勉強不足でサンデルはちゃんと読んだ事がないのですが、ポストモダンで育った世代としては、世の中との折り合いをつけるのに有効な思考が見つかるかも。 真理は過去にありというもの入ってきやすい。
前半部分難解です。何とか線を引き引き読み上げています。 でもわかってくるところは氷が解けるように分かるのが楽しいです。 いいほんです。小林さんは丁寧に解説されていると感じます。 がんばってよんでください。
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サンデルの政治哲学
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小林正弥
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