柳田国男のレビュー一覧

  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

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    この「遠野物語」は日本民俗学、開眼の書である。
    岩手県遠野出身の小説家・民話蒐集家の佐々木鏡石が語った民話を、柳田國男が筆記、編纂した。

    題目を見ると、山男・山女・河童・天狗・神女・姥神・仙人。家の神だと(オクナイサマ・オシラサマ・ザシキワラシ)等々。
    妖怪や怪談、伝説、村の行事と多岐である。
    佐々木鏡石が代々、土地で伝えられている話を直接聞いたり、中には近親者や友人の話、自身の体験とリアリティー溢れている。

    書店で購入した時には気付かなかったが、"遠野郷本書関係略図"なる地図が付いていた。

    地図で場所をチェックしてみると、実際この目で確かめてみたくなる。
    私は土淵村

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    2015年03月18日
  • 柳田国男 山人論集成

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    柳田國男の山人論関連の文献を集めた本。
    確かにパブリックドメインになったとしても、
    本書のように一つのテーマに沿ってまとめてあると
    初学者には非常にありがたいと感じた。

    各所の地名に山岳民族としての日本人の名残が
    見られるのは興味深い。

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    2015年02月08日
  • 遠野物語・山の人生

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    伝承文学の原石そのままの魅力を抜き出したような(しかし実際には意図的に漂白された)遠野物語も素晴らしいが、柳田自身の考察が前面に出ている山の人生が抜群に面白かった。日本各地の地方に伝わる神隠しの口頭伝承、それと同時に山の人(つまり、仙人だ)について語られた説話を結び付け、山の人とは日本民族が定住する前からこの地に住んでいた先住民の末裔ではないかと推測するその論はとても刺激的だ。「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い」という一言は、物語の起源に向き合い続けた者が持つ説得力がある。

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    2015年01月20日
  • 毎日の言葉

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    200ページ足らずの薄い本ではあるが物足りなさは感じない。

    本書では、いただきます、ありがとう、すみません、などのような、あまり深く意味を考えず習慣的に使ってしまいがちな言葉の成り立ちや元来の意味について、各地に残っている膨大な数の方言を手掛かりに考察している。

    結論の出し方はやや感覚的であいまいであり、もう少し明確化する余地があるようにも感じられるが、言葉を使う際は何も意識せずに周りを真似るのではなく、その意味をきちんと理解し、使うべきかどうか、使うならどういう場面で使うべきかを考えてほしい、という柳田の切なる願いはひしひしと伝わってくる。それは言葉に対する柳田の考察が真摯な態度と豊富な

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    2015年01月05日
  • 火の昔

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    若者というより子ども向けに書かれたらしく、宮本常一なみに平易な書物だ。ここでは柳田的文学趣味は開花せず、素朴な民俗学的知が開示されている。
    火といえば、レヴィ=ストロースの『神話論理』にあっては、自然そのものから分離しだした文明/文化を象徴する鍵概念である。
    柳田の論述は相変わらずどのくらいの時代のことを言っているのかわからないが、主に農村における、「火と扱うための道具」をどんどん掘り起こす。本書は戦時下において書かれたそうだが、当時既に日常生活の火は電気に取って代わられており、火の文化を忘れ去られないために、柳田はここに書き留めたらしい。
    確かに火は多くの場面で過去のものとなりはしたが、原発

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    2014年11月01日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

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    【本の内容】
    かつての岩手県遠野は、山にかこまれた隔絶の小天地で、民間伝承の宝庫だった。

    柳田国男は、遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、怪異譚を丹念にまとめた。

    その幅広い調査は自然誌、生活誌でもあり、失われた昔の生活ぶりを今に伝える貴重な記録である。

    日本民俗学を開眼させることになった「遠野物語」は、独特の文体で記録され、優れた文学作品ともなっている。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度

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    2014年08月23日
  • 日本の伝説

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    各地方に伝わる庶民的な昔話を収集し
    内容ごとに整理して検証したもの。
    杖をついて湧き水お出す大師様の話は
    史実と関係なく全国的に広がっているという。
    その他目次を見ると
    咳止めのおババ様・片目の魚・機織り・お箸から大木
    地境・たもと石・石の背くらべ・神戦・伝説と児童と並ぶ

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    2014年08月17日
  • 遠野物語・山の人生

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    100分de名著で「遠野物語」を読んでいる。その第二回について、こちらに書く。

    三人の女神が統べる遠野三山(早池峰山、石上山、六角牛山)は、女神の嫉妬を恐れて女性は登らない。反対に男性の成人儀礼の山となっている。

    面白いのは、他の山は男の神様が統べるようになっている。混沌とした神様の体系。ギリシャの神々ともまた、違う。恐ろしい部分と豊かな部分を見せる。まさに自然そのもの。

    里や家の中に神様がいる。
    オシラサマ、座敷童。
    家に福をもたらす神様。
    実際にあった豪農の盛衰を語る。孫左衛門の家のことが繰り返し語られる。

    柳田は神様は本当にいたと思っていたか。
    「不思議であることをそのまま認めて

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    2014年06月19日
  • 火の昔

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    なぜ、便利なもの、必要なものほど、新しい手段ができるとすぐに忘れ去られてしまうのだろう。

    過去のこと、しかもそれが自分の生まれる前となると、人に聞くか、本を読むかで、手段は実に少ない。今なら映像に残せたりするのだろうけれど、一定以上の昔になるとそうもいかない。

    そして、火にまつわる文化は当然古い。作者が語るように、新しい物が広がり忘れ去られてしまっているような事柄・物事も、限りないほどあるのだろうと思う。
    想像力さえあれば”不便さ”はわかるとはいえ、それを解決する”工夫”や”努力”は忘れ去られれば届かない。

    街灯から、家の明かり、かまど等々、多くの場所で使われてきた火の歴史からは、生きる

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    2014年05月06日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

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    おしらさま、座敷わらし、さむとの婆・・・大好きな遠野。曲がりやの主人の囲炉裏を囲んだ夏がよみがえります。学生時代、何回も遠野を訪れ、物話の場所をひとつひとつたずねました。やさしい暖かい方言・・。柳田さんの、この本は民俗学だけでなく、不思議な世界や、自然への畏敬がぎっしりつまっています。いつ読んでも、どのページをみても、感慨深い!日本の良さがここにあります。

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    2014年12月11日
  • 妹の力

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    いつかは読もうと思っていた本。なかなか時間が掛かった。ある程度晦渋な本でも段々スピードが上がってくるものだが、この本は終始手こずった。
    言葉遣いが古いし、当時の常識や話題を当然と書かれていると、何のことやらと考えてしまう。
    フォークロアで収集した様々の説話の披露は多すぎて、興味を覚えつつも、この話はいったいどういう趣旨になるのかと思う処も多かった。

    とは言いながら、最終的な論旨には正直驚いたことが多い。
    ・田植えは日神と水神の婚姻。稲の神の誕生の儀式。暮れる日を招き返す奇跡は田植えの日ならばこそ。
    ・タマヨリヒメの名は固有名詞ではなく、一般名称。
    ・田植えの日、食事を配る化粧した女性。ヨメと

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    2013年12月21日
  • 日本の祭

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    日本人の生活に溶け込んでいる「祭」の原始的な姿とは何か?をひたすらに問い続けた一冊。
    現代に存在する祭式儀礼は、拝礼ひとつ取ってみてもすべて簡略化されたものだという指摘は驚き。
    本来の意味から語呂だけが抜け出して全く異なる祭礼になるパターンも面白かったな。

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    2013年10月02日
  • 昔話と文学

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    先日読んだ『桃太郎の誕生』の続編のような位置にある本。やはり「昔話」を中心主題とし、それと「文学」=書かれたものとの接点を探る。
    冒頭扱われる「竹取物語」は、やはり当時既に広まっていった昔話を活用して書かれたものだ。柳田によるとこの物語の原型は全国に広まっている「羽衣談」の変形でもある。
    天上からやってきた天女が、地上の人間としばし過ごし、福をもたらしたのちに、再び天上へと去ってゆく。そういえば鶴の恩返しもそうである。しかもどうやら、この「天上」というのは富士山の山頂ではないかということが、この本ではほのめかされている。かぐや姫が生まれた「竹」自体が、富士山山頂にイメージされていたのではないか

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    2013年09月27日
  • 遠野物語・山の人生

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    昔の精神錯乱と今日の発狂との著しい相異は、実は本人に対する周囲の者の態度にある。我々の先祖たちは、むしろ怜悧にしてかつ空想の豊かなる児童が時々変になって、凡人の知らぬ世界を見てきてくれることを望んだのである。

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    2013年09月05日
  • 柳田国男 山人論集成

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    柳田国男は「山人」を、はじめ日本の先住民族の末裔と考えていたらしい。海をわたってきた倭人(大和民族?)が、先住民族を隅に追いやって、結果、先住民族が山に立てこもったということが、実際古代にあったと考えられないでもないが、冷静に考えて、彼らがほとんどそのまま江戸・明治付近まで、ずっと山に住み続けたというのは考えにくい。
    柳田国男もそう思ったのか、『山の人生』の頃にはこの考えを撤回したようだ。
    この本の編集者大塚英志氏の考えでは、もともとロマン主義的なパッションを秘めていた柳田が、結局そのような自己を抑制したということになる。
    ロマンというか、柳田国男がひどく文学者気質であることは間違いない。かれ

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    2013年08月26日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

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    日本民俗学の嚆矢とも言える作品とのことで、敷居の高さを感じて、今まで手が出せませんでしたが、案外すんなりと読めました。
    岩手県遠野地方の怪異譚、伝説、生活誌など今に伝えています。
    読んでいると、今は昔の日本の農村風景が目に浮かぶようです。

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    2013年07月22日
  • 日本の祭

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    柳田『日本の祭』は実は既に持っている本に入っていたので、改めて買う必要はなく、単に間違ったのである。しかし、ほとんど覚えていないこれをこうして読み返してみた体験は得難いものだった。
    たぶんこの書は柳田国男の代表作の一つと言ってよいだろう。比較的体系的に、日本の民俗的な祭について書かれており、いつもより散漫さが少ないし、読みやすく、民俗学入門書としてもわりといいのではないだろうか。
    一カ所印象的だったのは、近頃の日本人は正月の意味もわからずに「おめでとう」とばかり言っている、と柳田がぼやいているくだり。そういえば正月もまた神事であったかもしれない。しかし世は移ろうものであり、民俗的事象も、日本が

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    2013年06月29日
  • 海上の道

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    『近年まったく本ものの旅ができなくなったために、行って聴けば何でもないようなことを、知らずにいい加減な想像ですませようとしている問題が幾つかある。』これを七十七になって言えるかですよ。若手でもサボってる学者はここでドキッとさせられるのでは。私は学者でも何でもないが、ドキッとしました。

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    2013年06月19日
  • 毎日の言葉

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    この本に収められた文章は、どれも「言葉」をめぐる民俗学的検証である。だから見ようによっては、言語学がなすべきだったかもしれない仕事を、民俗学者柳田国男が博識を注入して、独特の視点でやってしまっているという奇妙さが感じられる。
    たとえば「ありがとう」「もったいない」といった、極めて日常的な言葉をとりあげ、歴史的な文献をもとに、それは「元はそういう意味ではなかった」という指摘を次々に繰り出してくる。
    柳田はここで、みんながそれぞれの日本語の由来をより深く学び、もっと美しい日本語を話して欲しい。という思いを打ち出している。しかし言語は通常、誰が規定するのでもなく、人々のあいだで自然に成長・変容してい

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    2013年03月23日
  • 新訂 妖怪談義

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    たぶんこれは、日本における「妖怪」に関する知の、黎明を告げる書物なのだろう。もちろん『雨月物語』など怪異譚はあったが、民俗現象として本書は「妖怪」を対象化し、各地のヴァージョンをまとめていくことにより、具体的な妖怪のイメージを提示した。そこから泉鏡花も、水木しげるもやってきたのに違いない。
    柳田国男の論理形式は相変わらず、首をかしげざるを得ないような飛躍を含んでいるが、全国各地の地誌を収集して「民俗学」という知のカテゴリへと上昇させた業績は大きい。

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    2013年02月26日