柳田国男のレビュー一覧

  • 遠野物語・山の人生
    取材して聞き書きした、短編。
    その取材感がそのまま出ているので、
    なかなかリアリティがあって、
    そのリアリティが感じさせる怖さが、魅力的。

    現地も訪れると、より世界観が広がります。
  • 遠野物語・山の人生
    前段の「遠野物語」はいつか読んだ。でも後段の「山の人生」と合わせて読むことで、改めて感心せざるを得ません。

    興味ポイントは2つあります。

    ひとつは、山に、実際に人がいたという事実。古くに渡来民族に追いやられたと思われる日本の先住民族ではないかという指摘です。彼らは顔赤く、背が高く、目が爛々と光る...続きを読む
  • 口語訳 遠野物語
    日本民俗学の祖といわれる柳田國男の最も有名な著作。東北の山間の遠野地方に伝わる噂、言い伝えを集める。(柳田の創作という意見も?)日本人の内奥にひそむ山や川などの自然や死者に対する畏敬と恐怖の念を伝える。
  • 遠野物語・山の人生
    中学校の修学旅行で岩手に行くことになり、事前に研究発表会が行われたとき
    発表内容に一部を調べるのに使ったのが遠野物語でした。
    様々なフィクションで、メタファーとして、目にしてはいましたが、きちんと通して読んだことがなかったので読んでみることに。

    民俗学としてはもちろん、単純に、物語としてもとても...続きを読む
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    なんぞRace系の本州土人を捜索せんとする柳田大先生の何はいいとしてだ。
     「願はくは、これを語りて平地人を戦慄せしめよ」
    とかもかっこいいとしてだ。
     東北のなんぞの化かし(Bewitchment!!)に、ネコミミウサミミおんにゃのこがあるのはなんといふか。しかもコンボで兄さんを襲ふ。
  • 海上の道
    日本人がどこから日本列島に渡ってきたのか、文字を使って残っているものでなく、主に沖縄での言葉や習慣と他との対比から新しい海上の道があったのでは、という仮説に基づく試論、だと思う。
    民俗学というのか、初めて足を踏み入れてみた。咀嚼するのにかなり時間がかかり、内容の何を理解したかというと何も理解出来てい...続きを読む
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    遠野に伝わる古来からの風俗や伝説、奇譚などを集めた本。読み辛かったが内容はとても面白かった。これ一冊紐解けば、怪談話や不思議な話がいくらでも書けそうだ。
  • 口語訳 遠野物語
    原文が難しい遠野物語を口語訳していただいたお陰で読みやすく、同じ日本の国の話なのに異国の昔話のような不思議な感覚に陥ります。注釈がわかりやすく、かつ原文や柳田氏の考え方を尊重しているため臨場感があります。かなり読みやすいので、これから遠野物語を読んでみたいという人にはおすすめです。どんどはれ!
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    この「遠野物語」は日本民俗学、開眼の書である。
    岩手県遠野出身の小説家・民話蒐集家の佐々木鏡石が語った民話を、柳田國男が筆記、編纂した。

    題目を見ると、山男・山女・河童・天狗・神女・姥神・仙人。家の神だと(オクナイサマ・オシラサマ・ザシキワラシ)等々。
    妖怪や怪談、伝説、村の行事と多岐である。
    ...続きを読む
  • 柳田国男 山人論集成
    柳田國男の山人論関連の文献を集めた本。
    確かにパブリックドメインになったとしても、
    本書のように一つのテーマに沿ってまとめてあると
    初学者には非常にありがたいと感じた。

    各所の地名に山岳民族としての日本人の名残が
    見られるのは興味深い。
  • 遠野物語・山の人生
    伝承文学の原石そのままの魅力を抜き出したような(しかし実際には意図的に漂白された)遠野物語も素晴らしいが、柳田自身の考察が前面に出ている山の人生が抜群に面白かった。日本各地の地方に伝わる神隠しの口頭伝承、それと同時に山の人(つまり、仙人だ)について語られた説話を結び付け、山の人とは日本民族が定住する...続きを読む
  • 毎日の言葉
    200ページ足らずの薄い本ではあるが物足りなさは感じない。

    本書では、いただきます、ありがとう、すみません、などのような、あまり深く意味を考えず習慣的に使ってしまいがちな言葉の成り立ちや元来の意味について、各地に残っている膨大な数の方言を手掛かりに考察している。

    結論の出し方はやや感覚的であいま...続きを読む
  • 火の昔
    若者というより子ども向けに書かれたらしく、宮本常一なみに平易な書物だ。ここでは柳田的文学趣味は開花せず、素朴な民俗学的知が開示されている。
    火といえば、レヴィ=ストロースの『神話論理』にあっては、自然そのものから分離しだした文明/文化を象徴する鍵概念である。
    柳田の論述は相変わらずどのくらいの時代の...続きを読む
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    【本の内容】
    かつての岩手県遠野は、山にかこまれた隔絶の小天地で、民間伝承の宝庫だった。

    柳田国男は、遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、怪異譚を丹念にまとめた。

    その幅広い調査は自然誌、生活誌でもあり、失われた昔の生活ぶりを今に伝える貴重な記録である。

    日本民俗学を開眼させることになった「...続きを読む
  • 日本の伝説
    各地方に伝わる庶民的な昔話を収集し
    内容ごとに整理して検証したもの。
    杖をついて湧き水お出す大師様の話は
    史実と関係なく全国的に広がっているという。
    その他目次を見ると
    咳止めのおババ様・片目の魚・機織り・お箸から大木
    地境・たもと石・石の背くらべ・神戦・伝説と児童と並ぶ
  • 遠野物語・山の人生
    100分de名著で「遠野物語」を読んでいる。その第二回について、こちらに書く。

    三人の女神が統べる遠野三山(早池峰山、石上山、六角牛山)は、女神の嫉妬を恐れて女性は登らない。反対に男性の成人儀礼の山となっている。

    面白いのは、他の山は男の神様が統べるようになっている。混沌とした神様の体系。ギリシ...続きを読む
  • 火の昔
    なぜ、便利なもの、必要なものほど、新しい手段ができるとすぐに忘れ去られてしまうのだろう。

    過去のこと、しかもそれが自分の生まれる前となると、人に聞くか、本を読むかで、手段は実に少ない。今なら映像に残せたりするのだろうけれど、一定以上の昔になるとそうもいかない。

    そして、火にまつわる文化は当然古い...続きを読む
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺
    おしらさま、座敷わらし、さむとの婆・・・大好きな遠野。曲がりやの主人の囲炉裏を囲んだ夏がよみがえります。学生時代、何回も遠野を訪れ、物話の場所をひとつひとつたずねました。やさしい暖かい方言・・。柳田さんの、この本は民俗学だけでなく、不思議な世界や、自然への畏敬がぎっしりつまっています。いつ読んでも、...続きを読む
  • 妹の力
    いつかは読もうと思っていた本。なかなか時間が掛かった。ある程度晦渋な本でも段々スピードが上がってくるものだが、この本は終始手こずった。
    言葉遣いが古いし、当時の常識や話題を当然と書かれていると、何のことやらと考えてしまう。
    フォークロアで収集した様々の説話の披露は多すぎて、興味を覚えつつも、この話は...続きを読む
  • 日本の祭
    日本人の生活に溶け込んでいる「祭」の原始的な姿とは何か?をひたすらに問い続けた一冊。
    現代に存在する祭式儀礼は、拝礼ひとつ取ってみてもすべて簡略化されたものだという指摘は驚き。
    本来の意味から語呂だけが抜け出して全く異なる祭礼になるパターンも面白かったな。