柳田国男のレビュー一覧

  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    友達から贈ってもらった本です。
    デジタルでハイテクノロジーで、事実に基づいた正確な(もしくは正確にみえる)情報が、常識の大部分を占めている今では、全く考えられないような奇譚が詰まっていました。とっても面白かった…!
    山男・山女にしろ天狗や化けぎつねにしろ、人間ではない何かがこの世にいたとしか思えない物語ばかりだったけれど、今も遠野にいけば会えたりするのかな。
    実際に相対するのは怖いけれど、理屈じゃ片付かない現象と共に生きる世界は、孤独ではないじゃないかなぁと思ったり。
    成人年齢もそれなりに過ぎた今読むと、非現実的で幻想的なお話のようにも感じましたが、小学校のころなんかはこんな不思議な現象がもっ

    0
    2022年02月20日
  • 遠野物語・山の人生

    Posted by ブクログ

    1910年の『遠野物語』と1926年の『山の人生』を1冊にしたもの。

    桑原武夫が解説で指摘しているように、『遠野物語』はあくまでも「今日」や「近頃」の話として語られているのが、興味を惹かれる。実際、「西洋人」の風習や1896年の三陸大津波に関する話も収録されているし、マッチ工場も登場する。家産が傾く話も目立つが、これも明治期のことのように思われる。伝説や民話集としてだけではなく、幕末~明治期の急激な社会変動のなかでの人びとの記憶としても読める作品なのだろうと感じた。

    0
    2021年12月09日
  • 遠野物語・山の人生

    Posted by ブクログ

     柳田国男 (1875-1962) の『遠野物語』(1910, 明治43年) は、日本文学史上に長く残る逸品である。岩手県遠野郷に伝わる神、妖怪、世間話、習俗を簡古かつ気品ある文で書き留めた比類のない作品であり、興味深く魅力のある話の宝庫である。例えば、ザシキワラシについては、次のように記している。

    「橋のほとりにて見馴れざる二人のよき娘に逢えり。物思わしき様子にて此方へ来たる。お前たちはどこから来たと問えば、おら山口の孫左衛門がところからきたと答う。これから何処へ行くのかと聞けば、それの村の何某が家にと答う。その何某はやや離れたる村にて、今も立派に暮せる豪農なり。さては孫左衛門が世も末だな

    0
    2021年05月13日
  • 先祖の話

    Posted by ブクログ

     本書そのものが素晴らしいし、柳田も冴え渡っていて筆も乗っているのだけども、ただただ大塚英志の解説が素晴らしい。柳田の婉曲な反撥を喝破して解説できている。巻末解説ありなしでは本書の評価もずいぶん変わったのではあるまいか。
     柳田の思想の結集したような所もあるので、いきなりこれを読むのではなく、初期の頃の柳田の論文をある程度読んでから手にすればそう分かり難いものではない。
     加えて柳田の明晰な文章は、国内の研究者たちは手本にすべきものとして、殊に文章読本のように読んでも良いかもしれない。日本語とはこうやって書くものである。
     何もかもが良い。満点。

    0
    2021年05月08日
  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    学生時代に民俗学の講義を受けてからというもの、遠野物語や、各地に纏わる伝奇伝承を調べています。
    こういった民俗学のはしりとなったのが、この遠野物語です。
    もっといえば...
    子供の頃に「あこには行ってはいけないよ」とか「何時から何時のうちは、家から出てはいけないよ」とか、子供の頃親等から言われたことのない人は、いないと思います。
    そういった感じのものを集めたものがこの本です。
    何故そう言われるようになったのか、自分の地元のこと少し調べてみると、楽しいかもしれませんね。

    0
    2021年01月09日
  • 遠野物語・山の人生

    Posted by ブクログ

    遠野物語・山の人生
    (和書)2013年07月10日 21:47
    1976 岩波書店 柳田 国男


    人間という存在を吟味することへの一つの道筋であり、語られるエピソードの数々もよかったけれど国男さんの吟味されたコメントが面白いです。

    前から読んでみようと思っていましたがなんだか読みづらそうに思えて避けていましたが、この岩波文庫は凄く読みやすく創られていて感動しました。

    岩波文庫はいいですね。全集とかから持ってきて読みやすく配慮されていていいです。岩波文庫永遠なれ。

    0
    2020年09月27日
  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    知っている地名ばかり出てくるので遠野物語の時代から山は動かないんだなと思うと感動する。
    掲載されている話はよくある東北の昔話だから、地元民としては懐かしい感じ。
    鹿踊りのほめ唄はよく聞くアレなのか?とにかくもう一度読まなくては!

    0
    2020年07月03日
  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    原文では理解しにくい遠野物語を口語訳で内容をわかりやすくしているのはとてもありがたい。
    山男や天狗、狐、産鉄族、遠野に根付く神々にまつわる伝承が一つ一つ興味深く、「ありえないなんてことはない」という妖しげな浪漫に満ち溢れている。

    実際、東北の山々は人間が知り得ない未知の世界が広がっているのでは?と感じてしまうほど広大で深く、明治期という近代にあってもこのような話が起こることに違和感はない。死者の霊や妖怪のような存在、神々への畏怖が背景にはあるはずであり、そういった意味でやはり民俗学は面白い学問だと思う。

    遠野物語、イーハートーブ、吉里吉里人と独特の世界観を生み出してきたこの土地の摩訶不思議

    0
    2020年05月13日
  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    遠野物語を現代人でも分かりやすく、楽しく読めるようになっている。原文もいいがこのように親しみやすい口語訳も重要だ。

    0
    2020年04月23日
  • 山の人生

    Posted by ブクログ

    サンカとかもそうだと思うんだけど、山人というのが近現代まではいたらしい。そういった人たちの伝説とかを蒐集し分析し、結論としては先住民なのではないかという話。
    柳田國男さんの他の作品を読んでみたくなった。

    0
    2019年10月14日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    昨秋、花巻と合わせて遠野をようやく訪れることができた。
    そこから少し経ってしまったけど、柳田の『遠野物語』を再読。

    自分が見た遠野が、どれだけ柳田・佐々木の生きた時代の遠野と変わっていないのか、あるいは変わったのか。

    0
    2018年07月08日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    ほんの100年ほど前の出来事や習俗は、きれいさっぱりどう消えちゃったんだろう。ホントはまだすぐそばに人ならぬものは存在してるんじゃないか…と考えたくなる一冊でした。遠野まで行かなくても、身近な祠から親しみたいけど、不審者に見られそうでもじもじ。

    0
    2018年02月28日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    実際に読んでみると、座敷わらしや天狗を紹介しただけの本ではなくて、かの地で伝えられているお話をくまなく聴いて記したものでした。

    「迷信でしょ。」
    と、おそらく当時も避けて通るところを、聴いたそのまま記したのが「遠野物語」でありそのまま記すところに価値があるのだ、と、理解しました。

    また、この本が端緒となり、民俗学が成立したこともうなずくことができました。

    端的に感じたのは「昔の人」に分類された第八段の冒頭です。
    「黄昏に女や子供の家の外に出てゐる者はよく神隠しにあふことは他の国々と同じ。」
    これを読むと「神隠し」と郷の人が言っているのは誘拐のことだと理解出来ます。
    しかしながら、犯罪とし

    0
    2018年02月14日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    今、インスピレーションがピピッと来て、荒俣 宏の「帝都物語」という題名は、この「遠野物語」からきているのではないかと気づきました。
    違うかな?

    「遠野物語」を読むのは、2回目です。
    NHKで、「100分で名著」という番組があって、これが最近のお気に入りなんですが、それで取り上げられているのを見て、また読みたくなったのです。

    言葉的には、若干読みにくいのですが、読むたびにいろいろ想像が膨らみます。
    こういう話が伝わっていくシステムがどんどん失われていくのは、とても悲しいことだと思います。

    でも、今のネットの広がりは、「お話」がテキストとして半永久的に残っていくので、もしかしたら、ぼくらは、

    0
    2017年12月27日
  • 口語訳 遠野物語

    Posted by ブクログ

    さすがに原文をいきなりは厳しい。物語調の印象を崩さす、素朴な話が口語文で読める。とても読みやすいので読み通すには最適。脈絡があるようなないような不思議な話が多く面白かった。

    0
    2017年12月18日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    日本独特の昔からある怪談話にそそられて読んだ。
    地理的な背景も詳しく説明されているため情景を想像し易い。
    民俗性を重視しすぎているからか、ラフカディオハーンの怪談のより淡々としている気がした。
    個人的には上田秋成の雨月物語やラフカディオハーンの怪談の方が好き。

    0
    2016年06月18日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    内容はとても面白かったです。何回でも読み返したい本。遠野物語が読みにくい人は、拾遺から読んでもいいかと思います。遠野の地理の位置関係が分かり辛く、一生懸命調べたのですが、読み終わってから地図がついてることに気づきました…。これから読む人は是非活用してください。

    0
    2015年06月04日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    ・遠野の人々は、動物も人間のような感情を持つ畏敬すべき存在、だと考えていました。

    雌狼が子供を殺され復習にやってきた時、素手で応じる猟師の話があります。
    子供への愛情から襲ってくる狼に対し、武器を持って戦うのは卑怯だと考えて、猟師は自分のワッポロを脱いで腕に巻き狼と対峙しました。その後、狼も猟師も深い傷を負ってまもなく死んでしまいます。
    文明の利器である鉄砲で野生動物と向き合うのは、ある意味では卑怯で、
    狼も人間も野生動物で、只の動物だとなった時には、素手と素手で戦うのが、最も敬虔な勝負というふうになるのだろうと思いました。
    一方で、猟師であるならばより効率よく狩ればよく、鉄砲を使わず命まで

    0
    2014年07月02日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    日本民俗学の父と呼ばれる柳田國男先生。
    岩手県遠野の民間伝承を採集して
    まとめられた「遠野物語」。

    日本の原風景を牧歌的に語るのではなく、
    昔話のように教訓を含んだもの、
    風習や伝説とともに、とりとめのない
    世間話のようなものも含まれているのも
    口承たるリアルさで面白い。

    目に見えない世界が信じられ
    怪異が不思議としてではなく、
    人々の生活と地続きだった古き時代。

    自然への畏敬の念、人々の暮らし。
    時に閉塞感があり、時に温かみをもって
    周囲と繋がり、年中行事で四季を感じ、
    目に見えないものを想う心の豊かさ。

    現代に語り継がれた物語などの原点も
    たくさん含まれていて感慨深く面白かった。

    0
    2014年06月13日
  • 新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺

    Posted by ブクログ

    一応大学で民俗学を学んでいたので、絶対に一度は読まなくてはと思いつつ、文体を敬遠していました。
    妖怪話ばかりかと思っていましたが、遠野に住む人々の生活を書かれているので、全部が妖怪話ではありませんでした。
    また同じようなお話もまとめるのではなく、それぞれ書かれているのが、グリム童話初版に通じるものがあるなと思いました。

    0
    2014年04月11日