原武史のレビュー一覧
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三色旗をモチーフにした表紙とタイトルからして、慶應に関する本であることは
承知して読み始めたが、出だしから強烈に引き込まれた。
著者は1975年、開成中学の受験に失敗し、慶應義塾普通部に入る。
私はその一年前、同じく開成を落ち、中等部に入る。
1年違い、日吉と三田の違いこそあれ、ほぼ同時代に同じ組織内にいたのだ。
石原良純が2年生、とある。私にとっては同学年。
塾歌が、中学の歌よりも印象に残る、ってのも一緒。
あ、原洋服店で制服をあつらえた、ってのも一緒だった!
「早慶戦」にも行っている。同じ試合を応援してたかも。ん?早慶戦?
国鉄の「スト権スト」で休校になる。ロッキード事件発生。
このあたり -
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所謂“紀行”というような分野の文章になるのであろうか?本書はなかなかに面白い!
副題のように「鉄道と宗教と天皇と」というように掲げられている。鉄道沿線を動き回り、古いような新しいような、日本の歴史の中の様々な事柄を考えようという内容である。
古い時代の出来事や、伝えられている話しに想いを巡らせながら、何処かを訪ねるということが在るであろう。特定の地点を取上げる「点」という考え方も、そういう「点」を幾つも含む「面」という捉え方も在る。これらに対して「線」という考え方を打ち出すのが本書の各篇である。
「線」と言う場合、古くからの街道に沿った地域というようなことも在れば、それに概ね沿うように敷設され -
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松本清張といえば、社会派推理小説というジャンルを確立。現実の社会問題とミステリーを両立した作品を発表した昭和を代表する大衆作家だ。
その一方で、小説の枠を飛び越えて、「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」などの取材や調査研究をもとにしたノンフィクション作品も発表している。が、あまりにミステリー作家という面が強すぎるせいか、松本清張を学者として評価する声は小さい。本書はあえて、昭和の歴史学者としての松本清張の思想や研究について再評価する。
本書で紹介されている小説「点と線」、「砂の器」、「神々の乱心」を分析すると、タブーともいえる宗教や社会身分、天皇制に松本清張は挑もうとしていたことがわかる。未完 -
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政治学者であり,なおかつ鉄学者である原武史さんと,小説家の三浦しをんさんの対談。
哲学じゃないですよ。鉄学です。鉄道オタクです。
三浦しをんさんも,オタク気質のある方です。
5回の対談ですが,2016年6月から2018年8月までの間に,イギリスのEU離脱が決まったり,天皇が「生前退位」の意向を示されたりと,大変歴史的な出来事がありました。
特に「生前退位」に関しては,原さんの専門分野でもあり,微に入り細に入り話されているのがとても印象的でした。一般庶民にはわからないことを,歴史的なことや,皇室のしきたりなど,様々な角度から話されていたのが印象的です。
原さんの膨大な知識量と, -
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天皇としてのアキヒトは、自らが「象徴としての務め」を果たすことが難しくなったから退位したい、と述べた。ならば、彼の言う「象徴としての務め」とはいかなるものだったのか? を、皇太子時代から長いスパンで追いかけた一冊。
本書が指摘するポイントは3つ。①アキヒトは、皇太子時代からミチコのリードで福祉関連施設等への訪問を積み重ねる中で、クリスチャンでもあったミチコが実践してきた、膝をつき、目線を低くした「対話」という交流を積み重ねてきた。それは、「対話」それ自体に困難を抱えていた昭和天皇ヒロヒトとの差異を強く意識させるものだった。即位後の「祈りの旅」でのスタイルは、こうした皇太子時代からの経験 -
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明治以降の皇后について、その役割の変遷を分析した一冊。これまで自分は皇室にまったく関心がなかったので、知らないことだらけ。
本書によると、皇后は皇室外から嫁いでくるので、皇后としてのアイデンティティを新たに確立していくプレッシャーに晒される。そのときに参照されるのが過去の皇后、特に古代の神功皇后と奈良時代の光明皇后である。
天皇と皇后の役割として重要なのが「祭祀」。これは、明治に入って延喜式などを参考に再構成されたもので、国家の安寧や臣民について、アマテラスなどの皇祖に祈る。祭祀や行啓によって、皇后は過去の皇后と自分を同一化していく。一方、祭祀は、参加者の心身への負荷が大きい。また「血の穢 -
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p.23 最後 滝山コミューンの定義
p.179 最後 筆者の違和感
どこまでが事実で、どこからが自分の意見なのかということを明確に分けて書いているため、わかりやすい
民主主義という名のもと、教師主体の権威主義が横行していた1974年の滝山団地を切り取り、筆者の問題意識を検証する形で進むノンフィクション。圧倒的な資料をもとに一つ一つ丁寧にその時代を形作っていくプロセスは、研究として素晴らしいと言わざるを得ない。また、過去の事実の中でも特に自己の関心がある部分に焦点を当て、議論を進めることに客観性の欠如があることは認めながらも、まさに当時を生きた自分こそ社会であるとしたスタンスにも共感する。 -
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鉄道好きでない方も読んで楽しいと思います。まして鉄道好きの人ならば(^-^) 男2人と女1人の組合せによる鉄道旅行、共通点は列車に乗るのが好きなこと。そのお三方は、関川夏央、原武史、酒井順子諸氏です(^-^) とにかく面白いです。原さんの「大宮、鉄道博物館、総本山、伊勢神宮みたいなもの」は大宮に住んでる私、嬉しかったですw。酒井さん「かつては、ミカンとかゆで卵とかホームで売ってましたね」はい、懐かしいですw。駅そば談議も楽しいです。表紙は富山駅「立山そば(サバだし)」だそうです。
酒井さん「誰かと一緒に旅するということは、その人の人生を覗き見するようなもの。旅はその人の人生を凝縮したような時間