原武史のレビュー一覧

  • 日吉アカデミア一九七六

    Posted by ブクログ

    三色旗をモチーフにした表紙とタイトルからして、慶應に関する本であることは
    承知して読み始めたが、出だしから強烈に引き込まれた。
    著者は1975年、開成中学の受験に失敗し、慶應義塾普通部に入る。
    私はその一年前、同じく開成を落ち、中等部に入る。
    1年違い、日吉と三田の違いこそあれ、ほぼ同時代に同じ組織内にいたのだ。
    石原良純が2年生、とある。私にとっては同学年。
    塾歌が、中学の歌よりも印象に残る、ってのも一緒。
    あ、原洋服店で制服をあつらえた、ってのも一緒だった!
    「早慶戦」にも行っている。同じ試合を応援してたかも。ん?早慶戦?
    国鉄の「スト権スト」で休校になる。ロッキード事件発生。
    このあたり

    0
    2025年07月11日
  • 滝山コミューン一九七四

    Posted by ブクログ

    団地出身者として興味深く読んだ。

    70年代の教育現場の一事例かもしれないが、政治学者の分析によって全体主義的教育実践が論証されている。いわゆるサヨク教育と呼ばれるのかもしれない。

    少年の頃の違和感をずっと持ち続けて来た著者の救済にもなっているだろうと思う。

    小学校は良かれ悪しかれ担任教員の主義主張が子どもたちの人格形成に与える影響について考えてしまった。

    0
    2025年06月09日
  • 象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昭和天皇の開戦や終戦のときの意見だけではなく、皇太后との確執や吉田茂への意見、近衛や東条への人物評など多くのことが記載されていた。
     天皇についてなにか言及する論文を作成するためには必須のものとなるであろう。

    0
    2025年04月30日
  • 「松本清張」で読む昭和史

    Posted by ブクログ

    『点と線』以来、片っ端から読んできた松本清張の大ファンであり、『皇后考』で原武史さんに驚いてコツコツ読み、更にEテレ100分de名著も毎週欠かさず見ている私には、「100分de名著」 松本清張スペシャル(2018(平成30)年3月放映)はご褒美のような時間でした!
    本書は、番組ではやむなくカットされたであろう具体的な人名や参考文献などさまざまな情報てんこ盛り。本のために加筆された章もあり、「テツオの部屋」コラムも楽しい。松本清張を又読み直したくなった。

    0
    2025年04月20日
  • 天皇問答

    Posted by ブクログ

    原武史はいつの間にか、ただのお召し列車好きではなくなった。
    天皇の在り方の変遷の一つの見方が、この対談でまとまって把握できる

    0
    2025年03月31日
  • 天皇問答

    Posted by ブクログ

    譲れない反戦平和の意志を持つ自分が「天皇制」というものにずっと感じ続けている疑問を相当に解き明かしてくれた書であると思う。
    奥泉光さんの分厚くて重たい「虚史のリズム」を読み終えたとき感じたモヤモヤもかなり晴れた。
    奥泉、原の両氏のようにこれからも考え続けていこうと思う。

    0
    2025年03月07日
  • 象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む

    Posted by ブクログ

    昭和天皇の民間人への声かけにも滲み出る無責任な姿勢が思想として一貫したものであると認識できた。戦争は国民のものであると強調したことで反省の機会を失い、未だに深い議論が起こらないことの端緒となったことは残念である。

    0
    2024年12月03日
  • 滝山コミューン一九七四

    Posted by ブクログ

    1974 年私は高校生で、滝山団地のある東久留米の隣の小平市に住んでいた。クラスメートに滝山団地の住民もいた。コミューン教育の存在は知らなかったが、世の中の権力に対抗する姿勢(ストライキなど)は確かに今とはかなり違っていた。

    多摩地区では革新勢力は強く、一方で受験戦争も激化していた。ここに書かれている西武線沿線の雰囲気も(今も変わらない所も多いが)そのとおりだと思えて、一気に読んでしまった。

    そしていま(2024年10月)NHKでは団地をテーマにしたドラマをBSでやっている。50代が「若手」扱いされる団地。ロケ地は滝山団地らしい。

    0
    2024年10月03日
  • 「線」の思考―鉄道と宗教と天皇と―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    所謂“紀行”というような分野の文章になるのであろうか?本書はなかなかに面白い!
    副題のように「鉄道と宗教と天皇と」というように掲げられている。鉄道沿線を動き回り、古いような新しいような、日本の歴史の中の様々な事柄を考えようという内容である。
    古い時代の出来事や、伝えられている話しに想いを巡らせながら、何処かを訪ねるということが在るであろう。特定の地点を取上げる「点」という考え方も、そういう「点」を幾つも含む「面」という捉え方も在る。これらに対して「線」という考え方を打ち出すのが本書の各篇である。
    「線」と言う場合、古くからの街道に沿った地域というようなことも在れば、それに概ね沿うように敷設され

    0
    2023年07月03日
  • 「松本清張」で読む昭和史

    Posted by ブクログ

    自分の生まれた昭和のことを何て知らないんだと認識しました。もっと知りたいです。昭和の頃の地方と東京の格差、226事件の背景となった当時の空気感、皇室に残る古代性、女性の存在の大きさ、これらを含めて松本清張作品にチャレンジしたいと思いました。巻末にありましたが、100分de名著も見ました。「神々の乱心」はその時も衝撃的だったのを覚えています。

    0
    2020年01月28日
  • 「松本清張」で読む昭和史

    Posted by ブクログ

    松本清張といえば、社会派推理小説というジャンルを確立。現実の社会問題とミステリーを両立した作品を発表した昭和を代表する大衆作家だ。

    その一方で、小説の枠を飛び越えて、「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」などの取材や調査研究をもとにしたノンフィクション作品も発表している。が、あまりにミステリー作家という面が強すぎるせいか、松本清張を学者として評価する声は小さい。本書はあえて、昭和の歴史学者としての松本清張の思想や研究について再評価する。

    本書で紹介されている小説「点と線」、「砂の器」、「神々の乱心」を分析すると、タブーともいえる宗教や社会身分、天皇制に松本清張は挑もうとしていたことがわかる。未完

    0
    2020年01月04日
  • 皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

    Posted by ブクログ

     政治学者であり,なおかつ鉄学者である原武史さんと,小説家の三浦しをんさんの対談。
     哲学じゃないですよ。鉄学です。鉄道オタクです。
     三浦しをんさんも,オタク気質のある方です。

     5回の対談ですが,2016年6月から2018年8月までの間に,イギリスのEU離脱が決まったり,天皇が「生前退位」の意向を示されたりと,大変歴史的な出来事がありました。

     特に「生前退位」に関しては,原さんの専門分野でもあり,微に入り細に入り話されているのがとても印象的でした。一般庶民にはわからないことを,歴史的なことや,皇室のしきたりなど,様々な角度から話されていたのが印象的です。

     原さんの膨大な知識量と,

    0
    2019年09月16日
  • 平成の終焉

    Posted by ブクログ

     天皇としてのアキヒトは、自らが「象徴としての務め」を果たすことが難しくなったから退位したい、と述べた。ならば、彼の言う「象徴としての務め」とはいかなるものだったのか? を、皇太子時代から長いスパンで追いかけた一冊。
     
     本書が指摘するポイントは3つ。①アキヒトは、皇太子時代からミチコのリードで福祉関連施設等への訪問を積み重ねる中で、クリスチャンでもあったミチコが実践してきた、膝をつき、目線を低くした「対話」という交流を積み重ねてきた。それは、「対話」それ自体に困難を抱えていた昭和天皇ヒロヒトとの差異を強く意識させるものだった。即位後の「祈りの旅」でのスタイルは、こうした皇太子時代からの経験

    0
    2019年05月26日
  • 皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

    Posted by ブクログ

    いったい何の本やろ?と開いてみると、タイトルそのままでした!東武ワールドスクエアとか餃子とか、よいなあ。

    0
    2019年05月23日
  • 平成の終焉

    Posted by ブクログ

    原武史さんの本を読むのは『皇后考』に続き2冊目。
    私自身は皇太子と秋篠宮の間の年頃で今上天皇のことは長らく「皇太子」として認識していた世代。
    振り返ってみれば、天皇制のことについてなど深く考えたことはなかったな…と気付く。
    世間は明日で「平成最後の日」と、やたら感傷ムードだけど
    あんまり度が過ぎていてなんだか怖い。

    0
    2019年04月29日
  • 皇后考

    Posted by ブクログ

    明治以降の皇后について、その役割の変遷を分析した一冊。これまで自分は皇室にまったく関心がなかったので、知らないことだらけ。

    本書によると、皇后は皇室外から嫁いでくるので、皇后としてのアイデンティティを新たに確立していくプレッシャーに晒される。そのときに参照されるのが過去の皇后、特に古代の神功皇后と奈良時代の光明皇后である。

    天皇と皇后の役割として重要なのが「祭祀」。これは、明治に入って延喜式などを参考に再構成されたもので、国家の安寧や臣民について、アマテラスなどの皇祖に祈る。祭祀や行啓によって、皇后は過去の皇后と自分を同一化していく。一方、祭祀は、参加者の心身への負荷が大きい。また「血の穢

    0
    2018年07月19日
  • 滝山コミューン一九七四

    Posted by ブクログ

    p.23 最後 滝山コミューンの定義
    p.179 最後 筆者の違和感

    どこまでが事実で、どこからが自分の意見なのかということを明確に分けて書いているため、わかりやすい

    民主主義という名のもと、教師主体の権威主義が横行していた1974年の滝山団地を切り取り、筆者の問題意識を検証する形で進むノンフィクション。圧倒的な資料をもとに一つ一つ丁寧にその時代を形作っていくプロセスは、研究として素晴らしいと言わざるを得ない。また、過去の事実の中でも特に自己の関心がある部分に焦点を当て、議論を進めることに客観性の欠如があることは認めながらも、まさに当時を生きた自分こそ社会であるとしたスタンスにも共感する。

    0
    2018年06月21日
  • 滝山コミューン一九七四

    Posted by ブクログ

    個人的にも暴力機構に関しては敬してこれを遠ざけたいが、「ひのきみwて馬鹿だし」
     とか言ひかねない先生方が、ナチス・ドイツもやったやうな暴力機構補完の儀礼を行ふといふ、すごいものが展開してゐた学校での地獄の生活を振り返る。
     かの鬼のパンツ販売促進歌、も暴力機構補完のために使はれた、と言ふのは、なんつうか。
     最近遠山啓先生の本が本屋さんで売ってたようわぁといふか、当時の教育界で問題があるつうたら遠山先生くらゐなんだよなぁと言ふか。

    0
    2018年05月02日
  • 鉄道旅へ行ってきます

    Posted by ブクログ

    鉄道好きでない方も読んで楽しいと思います。まして鉄道好きの人ならば(^-^) 男2人と女1人の組合せによる鉄道旅行、共通点は列車に乗るのが好きなこと。そのお三方は、関川夏央、原武史、酒井順子諸氏です(^-^) とにかく面白いです。原さんの「大宮、鉄道博物館、総本山、伊勢神宮みたいなもの」は大宮に住んでる私、嬉しかったですw。酒井さん「かつては、ミカンとかゆで卵とかホームで売ってましたね」はい、懐かしいですw。駅そば談議も楽しいです。表紙は富山駅「立山そば(サバだし)」だそうです。
    酒井さん「誰かと一緒に旅するということは、その人の人生を覗き見するようなもの。旅はその人の人生を凝縮したような時間

    0
    2017年08月01日
  • 沿線風景

    Posted by ブクログ

    単行本持ってるんだけど、古本100円ってのと加筆ってのにひかれて買っちゃった。紀行+書評ってふれこみやけどまぁほぼ紀行かな。書評期待して読むとハズレやろうけど、紀行としてはおもしろい。マニアック過ぎず、高踏過ぎず、アカデミック過ぎず、スゴいいい線ついてきてると思うんだよね。

    0
    2016年10月01日