原武史のレビュー一覧

  • 「線」の思考―鉄道と宗教と天皇と―(新潮文庫)
    所謂“紀行”というような分野の文章になるのであろうか?本書はなかなかに面白い!
    副題のように「鉄道と宗教と天皇と」というように掲げられている。鉄道沿線を動き回り、古いような新しいような、日本の歴史の中の様々な事柄を考えようという内容である。
    古い時代の出来事や、伝えられている話しに想いを巡らせながら...続きを読む
  • 「松本清張」で読む昭和史
    自分の生まれた昭和のことを何て知らないんだと認識しました。もっと知りたいです。昭和の頃の地方と東京の格差、226事件の背景となった当時の空気感、皇室に残る古代性、女性の存在の大きさ、これらを含めて松本清張作品にチャレンジしたいと思いました。巻末にありましたが、100分de名著も見ました。「神々の乱心...続きを読む
  • 「松本清張」で読む昭和史
    松本清張といえば、社会派推理小説というジャンルを確立。現実の社会問題とミステリーを両立した作品を発表した昭和を代表する大衆作家だ。

    その一方で、小説の枠を飛び越えて、「日本の黒い霧」や「昭和史発掘」などの取材や調査研究をもとにしたノンフィクション作品も発表している。が、あまりにミステリー作家という...続きを読む
  • 皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。
     政治学者であり,なおかつ鉄学者である原武史さんと,小説家の三浦しをんさんの対談。
     哲学じゃないですよ。鉄学です。鉄道オタクです。
     三浦しをんさんも,オタク気質のある方です。

     5回の対談ですが,2016年6月から2018年8月までの間に,イギリスのEU離脱が決まったり,天皇が「生前退位」の意...続きを読む
  • 平成の終焉
     天皇としてのアキヒトは、自らが「象徴としての務め」を果たすことが難しくなったから退位したい、と述べた。ならば、彼の言う「象徴としての務め」とはいかなるものだったのか? を、皇太子時代から長いスパンで追いかけた一冊。
     
     本書が指摘するポイントは3つ。①アキヒトは、皇太子時代からミチコのリードで福...続きを読む
  • 皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。
    いったい何の本やろ?と開いてみると、タイトルそのままでした!東武ワールドスクエアとか餃子とか、よいなあ。
  • 平成の終焉
    原武史さんの本を読むのは『皇后考』に続き2冊目。
    私自身は皇太子と秋篠宮の間の年頃で今上天皇のことは長らく「皇太子」として認識していた世代。
    振り返ってみれば、天皇制のことについてなど深く考えたことはなかったな…と気付く。
    世間は明日で「平成最後の日」と、やたら感傷ムードだけど
    あんまり度が過ぎてい...続きを読む
  • 皇后考
    明治以降の皇后について、その役割の変遷を分析した一冊。これまで自分は皇室にまったく関心がなかったので、知らないことだらけ。

    本書によると、皇后は皇室外から嫁いでくるので、皇后としてのアイデンティティを新たに確立していくプレッシャーに晒される。そのときに参照されるのが過去の皇后、特に古代の神功皇后と...続きを読む
  • 滝山コミューン一九七四
    p.23 最後 滝山コミューンの定義
    p.179 最後 筆者の違和感

    どこまでが事実で、どこからが自分の意見なのかということを明確に分けて書いているため、わかりやすい

    民主主義という名のもと、教師主体の権威主義が横行していた1974年の滝山団地を切り取り、筆者の問題意識を検証する形で進むノンフィ...続きを読む
  • 滝山コミューン一九七四
    個人的にも暴力機構に関しては敬してこれを遠ざけたいが、「ひのきみwて馬鹿だし」
     とか言ひかねない先生方が、ナチス・ドイツもやったやうな暴力機構補完の儀礼を行ふといふ、すごいものが展開してゐた学校での地獄の生活を振り返る。
     かの鬼のパンツ販売促進歌、も暴力機構補完のために使はれた、と言ふのは、なん...続きを読む
  • 鉄道旅へ行ってきます
    鉄道好きでない方も読んで楽しいと思います。まして鉄道好きの人ならば(^-^) 男2人と女1人の組合せによる鉄道旅行、共通点は列車に乗るのが好きなこと。そのお三方は、関川夏央、原武史、酒井順子諸氏です(^-^) とにかく面白いです。原さんの「大宮、鉄道博物館、総本山、伊勢神宮みたいなもの」は大宮に住ん...続きを読む
  • 沿線風景
    単行本持ってるんだけど、古本100円ってのと加筆ってのにひかれて買っちゃった。紀行+書評ってふれこみやけどまぁほぼ紀行かな。書評期待して読むとハズレやろうけど、紀行としてはおもしろい。マニアック過ぎず、高踏過ぎず、アカデミック過ぎず、スゴいいい線ついてきてると思うんだよね。
  • 大正天皇
    文庫になったんや、と思って買ってから選書版を本棚から発見。でも文庫読み進めても読んだ記憶なし。買うだけ買って積ん読やったんかな。
    明治、昭和の大帝の間で地味なのよね、大正天皇。在位期間も短いし、病気もあったし。遠眼鏡事件は聞いたことくらいはあったけど。しかし、人間味あふれるということと天皇であること...続きを読む
  • 滝山コミューン一九七四
    理想を目指すのはどのような社会にあっても必要なことなのですが、それが行き過ぎると第三者の眼には奇異に、ときには恐怖すら覚えることがある。また、集団行動は美しさの内に狂気を秘めているように見えることがある。
  • 鉄道ひとつばなし2
    ナゼか鉄道の本が読みたくなって、手にとった本。自称鉄道マニアではない人が、鉄道を通してみる歴史、まち、文学、人間について書いているので、とても興味深いです。最後に駅名索引が付いていたり、若干マニアックなところがありますが、たまに笑えます。
  • 滝山コミューン一九七四
     まず、装丁がすばらしい。
    カウンターが示す1974とその数字のズレは固まった過去ではなく、つながりと変化の印。むちゃくちゃにセンスがよかったから、アヴァンギャルドな内容を若い研究者が書いているのかと思ってたんですが、読んでみると大学教授が自叙伝的に記す戦後民主主義の話でした。読んでいる途中思わず背...続きを読む
  • 沿線風景
     週刊誌に連載していた書評エッセイをまとめたものが単行本化され、それが文庫本になったもの。書評の内容もあるのだが、その書評よりもメインはむしろ著者の日帰り電車紀行。書評を強引に旅の記録に結びつけているものがあるが、それは著者も言及している通りで、いろいろな所へ行ってみてそこで体験したり思ったことと、...続きを読む
  • 鉄道ひとつばなし
    鉄道に関するトリビアではなく、鉄道を通して見えてくる文化や風俗、歴史。
    日本人が「分」という時間の単位を意識するようになったきっかけ。そこから鉄道の普及と時計店の数の増え方から説明できるとかね。
    特急の名前から、富士山と桜が日本を代表する山と花になった背景とか。
    勝沼あたりから見る甲府盆地の美しさと...続きを読む
  • 滝山コミューン一九七四
     著者が生まれ育った東京都東久留米市にある滝山団地にあった、東久留米市立第七小学校(通称「七小」)を舞台に、当時の日本の社会や政治の時代の空気に反映された、著者が「味わった」出来事を綴った本である。
     当時の七小は団地に住む大人や当時の時流だった民主主義的教育を実践する教員たちの思想が如実に児童たち...続きを読む
  • 滝山コミューン一九七四
    中学生の時に体験した悪夢の一端が書かれている本。。時代はだいぶズレてるし、地域も違うんだけど、こういう強烈な集団主義教育の根底にどのような思想があったのかを知ることができた。「ボロ班」とかあったよなあ・・・。