カントのレビュー一覧

  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    難解といわれるカントの文章だけれど、光文社の新訳でとても読みやすくなった一冊。
    本書は、カントの政治哲学、歴史哲学に関する著作5編が収められている。それらを通じて語られるのは、人が自立し理性的であることの重要性。そしてそれを実現させるための自由が社会にあることの重要性。人間は本来、平穏で安楽な生活を営みたい本能がある一方で、社会を形成して生きていかざるを得ず、そのため他社との競争が必然的に生まれる。そのことこそが、人間の成長、そして長い目でみると人類の進歩につながる。
    これだけでカントの思想の全体像を語ることは到底できないだろうけど、単なる宗教を超え、かつ人類としての運命論的な宿命を超えて、個

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    2012年03月13日
  • 純粋理性批判 5

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    有名な「四つのアンチノミー(二律背反)」が載っている巻。
    あまりにも有名で、解説書の類にもよく書かれているが、再読してみて、さほど面白くなかった。定立、反定立ともに全部詭弁に見えてしょうがなく、退屈してしまった。
    なまじ解説書等で馴染んでしまったのでこう感じたのだろうか?
    この巻は何となくぼんやりと読み流してしまった。
    そろそろ疲れてきたかな・・・(笑)

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    2012年03月10日
  • 純粋理性批判 4

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    狭義の「理性」の領域へと話題は移り、いよいよこの著作の核心部分に入っていゆく。
    この巻で非常に興味深いのは<わたし>なるものについての考察である。この<わたし>は、人格とも「こころ」とも異なる、単なる「思考の主体」である。その上でカントはデカルトを論駁し、「我思う、故に我あり」という命題の論理的破綻を指摘、心身二元論をも批判する。
    だがカントの思考をたどってゆくと、「他者」なるものの確かさが危うくなる箇所がある。
    あの頑迷で尊大で、愚かな中島義道を独我論に導いたと思われる一節も見られる。
    「[思考する存在という]対象は、このわたしの自己意識を他の物に<移す>ことによって成立したにすぎない。」(

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    2012年03月05日
  • 純粋理性批判 3

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    この巻の前半に出てくる「図式」(シェーマ)という概念は、なかなか面白いと思った。
    その後に続く思索は、そろそろ難しくなってきており、厳密なあまり退屈を感じないでもない。
    「アプリオリ/アポステリオリ」という区別や、「感性/知性/理性」といった区分に関しては、当時のカントにとっては重大だったかもしれないが、現代の私たちにとっては、そんなに緻密に区別できるものでもないし、そうすることにさほどの意味も見いだせない。
    やはりカントもまた、時代の「言語」の内側にいて、別の言語空間から眺めると必然性・絶対性を欠いた思考遊戯をやっているように見えてしまう。
    「物自体」は人間には知り得ないし、感性をとおして対

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    2012年03月03日
  • 純粋理性批判 2

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     前巻で「感性」を扱ったので、この巻からテーマは「知性」(悟性)。
    「判断表」「カテゴリー表」なるものが出てくる。これらが「完全なもの」とはまったく思えないのだが、その後に続く思考が素晴らしい。
    「[現象において観察される]諸法則は、こうした現象そのもののうちに存在しているわけではない。たんに知性をそなえて[観察して]いる主体にたいして存在しているのであり、これらの現象はこの主体のうちに宿っているだけなのである。」(P.170)
     こうしたカントの認識論は、まっすぐ20世紀のメルロ=ポンティまでつながっていくものであり、実に重要である。
    「わたしたちは、いつかわたしたちの認識のうちに登場する可

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    2012年02月25日
  • 純粋理性批判 1

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    岩波文庫版で相当昔読んだカント、再読しようと思っていたら、岩波版の訳は誤訳だらけと誰かさん(というか、中島義道)が言っていたので、やむを得ず新訳文庫でそろえ直すことにした。
    こちらの訳者中山元さんは、私もこれまでいろんな翻訳を読んできたし、信頼している方だ。なるほど読みやすいが、「悟性」が「知性」になっていたり、昔の翻訳とはいろいろに変わっていて、ちょっと戸惑ってしまうかもしれない。
    岩波文庫では全3巻に収まっていた『純粋理性批判』が光文社古典新訳文庫ではいきなり全7巻になってしまったのは、活字が大きいのと、各巻に1冊の3分の1強くらいの分量の「解説」を入れたからだ。
    この「解説」は、きっと初

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    2012年02月17日
  • 永遠平和のために

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    講義の課題として読んだ。
    哲学に関しては素人であるため、内容には触れないレビューとする。

    たいしたページ数ではないとは言え、哲学書独特の言い回しは、やはり初学者の前に高く立ちはだかった。
    しかし、巻末の訳者解説が非常に分かりやすく、理解の助けになった。
    自分のような素人が読む順番としては、本文を分からないながらも一読し、解説を読み、納得した上で再度本文を読むことで、内容まで読み込めるのではないだろうか。

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    2011年09月06日
  • 永遠平和のために

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    カント本人が評している通り、哲学者の与太話なんだからいいだろ!的なスタンスで書かれたものではあるが、その内容が現代の国際法の根源をなす考えに与えている影響は大きい。

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    2011年05月15日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    『啓蒙とは何か』。フリードリヒ大王(啓蒙専制君主と言われる)時代1784年に書かれた短い論文。フリードリヒ大王は国王に服従することを条件として議論の自由を許し、啓蒙主義的改革を実行したプロイセン国王である。カントによるこの文章は、啓蒙を「人間が、みずから招いた未成年の状態から抜け出ること」と定義し時代の空気を論じた文章ではないかと、私には感じられた。

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    2011年08月14日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    カントの入門書としてはお勧めです。
    ③批判書がちょっと…という方にもこの本であればカント思想のエッセンスを味わうことが出来ると思います。

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    2012年04月15日
  • 純粋理性批判 1

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    解説が豊富。訳も定訳に拘らず、大変わかりやすくなっている。それでも難解なのは仕様だし、書中の感想は省く。

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    2011年02月08日
  • 純粋理性批判 1

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    カントは天野貞祐訳で読んでそういうものかと思っていたので、この大胆な翻訳には関心もし感動もした。毀誉褒貶はあるだろうが、翻訳に新しい時代を切り開いたのだと私は感じている。

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    2010年10月28日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    個々の人間がいかにして国際的な連帯を築くことが可能なのか。この本に治められた一連の著作を通じて、カントの政治哲学と歴史哲学を一望することができる。「啓蒙」の持つ可能性に絶対的信頼を寄せているあたりに時代の雰囲気も感じるのだが、カントが決して楽観的に「永遠平和」を唱えているのではなく、人間性がかかえる「非社交的な社交性」を冷徹に見つめ、それを与えた「自然」によって人間達が国際的な連帯へと導かれていくと考えるロジックが面白かった。中山元の解説にも大いに助けられ、カント入門には良い一冊。カントってとても真摯に人間の限界と可能性を見つめ、現実に向き合い、その改良を目指した思想家なのだと好感を持った。

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    2010年10月03日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    第一に読みやすさを意図した本になっていて看板に偽りなしといったところ。「感性」に対して「悟性」(本書では「理性」)とか、基本概念をおさえておけばすいすい読め、その整理も、訳者が訳注でしてくれているので言うことないです。より深く正確な理解は、たくさん読んでからでもいいかなと思える。

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    2010年05月11日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    「啓蒙とは何か」は、明快に理性の自律を促す。他の章も、解説が丁寧で何とか読み進めることができた。「永遠平和のために」は、決して易しくはないが、いいたいことは伝わる。なるほど理想主義的な論文だが、空疎ではない。特に「国家」とか「戦争」を考える上で多くの示唆がある。理解を深めるために、何度か再読すべし。

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    2012年06月07日
  • 純粋理性批判 2

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    1巻と違い、こちらはざっと読み飛ばした。自分の浅い理解であるものの、本書では純粋知性概念について述べている。つまり、アプリオリな知性は何かということ。

    その際、カントが拠り所としたのは、論理学の判断表。例えば、量に関しては単称判断(このAはBである)、性質に関しては肯定判断(AはBである)など。

    これらの判断表は、人間がアポステリオリに作ったわけではなく、人間のアプリオリに備わる知性であるとカントは考えた。

    その正しさについて、ひたすら論じているものの、別にその正しさに関心はないため割愛。

    アプリオリな知性は何か?という問いに対して、論理学から判断形式を持ち出し、これこそがカテゴリーで

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    2025年06月12日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    読書会の課題本。国連やEUのバックボーンにあるものとして有名な表題作を含む短い論文をまとめたもの。巻末の解説もとても詳しいもので、カント入門としてふさわしい一冊であると思った。

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    2022年07月23日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    自立(自律)、公開性、道徳、自然の導き、SDGSのような、現代の潮流の源泉であるような考えがたくさん書いてある。
    よくもそんな時代にかけたなというよりそれだけカントの影響力が大きいんだろう。

    悪が無ければ人類に進歩はないとは恐れ入りました。

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    2022年01月31日
  • 純粋理性批判 3

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    人間が世界に触れる時、人の中では何が起きているのか。人が現実だと思っているものは、本当に現実なのだろうか。人は世界をありのままに捉えているのだろうか。おそらくそうではなくて、人はそれぞれ別の見方で世界を捉えていると思う。そして同じものを見ていても、人それぞれ捉え方が違うのだ。カントのこの本は非常に難解だ。もちろん読む価値はある。だからこそ読む価値があるとも言える。時間と空間を重要な要素として、現象とは何かについて考察する。

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    2021年12月31日
  • 純粋理性批判 2

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    非常に難しい。
    理解できたことはほんのわずかだった。

    カントは時間と空間をアプリオリなものとして前提しているが、この前提がまず納得できていな。人間はうまれたときから時間と空間を認識しているのだろうか。成長過程において認識するのではなかろうか。
    今回も書籍の半分程度を中山元による解説が占めている。
    これがなければ、理解は難しい。この解説があっても、ほとんど理解できないのだから。
    人間は、連続した時間を認識して生きている。過去と現在がつながっているものだと認識している。それがなければ、音楽は理解できない。今聴いた音が、次の瞬間には過去になる。その音を記憶したうえで、その次に来る音とのつながりを理

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    2021年12月18日