カントのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みやすい訳書である。序を後回しにしているのもよい。訳文は流れを意識していているので読みやすいのであろうが、カントの言っている内容じたいが抽象的なので、立ち止まって考えねばならない所もある。カントが純粋理性批判でやっていることは、人間に許される思考とは何かを明らかにすることで、物じたいは知り得ぬので、人間が知ることができるのは現象のみであるという観点が出発点になっているように思う。要するに現在の脳科学がやっているような人間の認識のフレームとか情報処理方法をさぐっているのである。第一巻では、感性が扱われ、空間と時間が人間の感性の先験的規則であることが示されている。