カントのレビュー一覧
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宇宙には理性が貫かれている。人間は宇宙の一部なので、人間も理性に従って生きるのが自然だ。欲望や快楽に心を乱されてはいけない。あらゆる人間には等しく理性が宿っている。なので人類はみな等しい。全ての人間は1つのコミュニティに属するべきだ。特定のポリスに閉じこもるな。私はコスモ(世界)の市民だ。▼キュニコス派。制度や文化は人為的なもの。動物の生き方が理想。虚飾は捨てよ。自足せよ。ディオゲネス
実践的な政治家は、国家の問題を考察するには経験が必要だと言い、私のような理論家をアカデミズムの世界の住人だといって見下す。しかし私が実現できそうもない理想を述べても、世間のことに通じている政治家にはなんの影響 -
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「超越論的な理想」で神の存在証明の不可能性を論じる第六分冊。超越論的な神学を扱う下りで、初めはカントがID(Intelligent Design)を信奉しているのかと思ったが、よく読むと絶対存在の想定が自然科学の探究のために〈実践的な〉意義を持つ、ということが語られており納得。例え理性が構築した虚構であっても道徳的理念を実践する上での実用的な意義(統制的原理)がある、とする点には目的論と自然科学の調和の必要性を謳ったカントの先見性が垣間見え、流石と思わせる。
本分冊の神の存在証明のポイントは、存在証明の3類型、すなわち自然神学的な証明、宇宙論的な証明、存在論的な証明のうち、前2者は結局の -
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ネタバレ1795年の本です。カントのこの考え方が、国際連合の元になったと言われています。
難しい命題ではありますが、薄い本で手に取りやすく、よくまとまっていて読みやすいです。
人が一緒に平和に生活するというのは自然ではなく、自然状態=戦争であり、だからこそ平和とは創設しなければならない
という考えが元であり、甘い理想論ではありません。
争いが起きる方が当たり前であり、「だから平和など意味がない」とするのではなく
「永遠平和」を実現するために漸次努力し近づけていくものという思考は、
闇雲に平和を叫ぶ現実的ではない平和主義者の思考よりも共感できました。
軍があるということは、他国を戦争の脅威に -
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興味深い作品ではありますが、如何にもモダンな進歩主義で自分の肌に合わなかったのでこの評価。あくまで古典であって、現役の思想ではないと感じました。
なお、自分にとって初のカント作品なので、理解が足りていない可能性は大いにあります。
国際的共同体が成立する必然性についての論証は、論理展開としては納得できるもので、瞠目します。
しかし、前提となる民衆の理性に対する期待が過度であること、社会と法の善性に期待しすぎている(付属における公表性の原則とか)ことから、論理的ではあっても現実的ではないのかなと考えます。(もちろん今後成立する可能性もなくはないですが)
この辺りは、絶対王政全盛期が終わり、フラン -
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とりあえず「人倫の形而上学の基礎づけ」を。カント難しいかなーと思ったけど、短いしすいすい読めた。短いだけじゃなくて、内容もちゃんと理解できる頭に入ってくる。なんだ、カント恐るるに足りず、だね。
と思ったら、いちど読んだやつだった。そりゃすいすい読めるよ。。。
「プロレゴーメナ」
『純粋理性批判』があまりに批判を受けたために書かれたという要約版。要約版と言えども、まあ難しい。最初の「いかにして純粋数学は可能か」はまだなんとか読み進められるが、次の「いかにして純粋自然学は可能か」で五里霧中、「いかにして一般に形而上学は可能か」でもうお手上げ。
こういうのは学生のうちに読んでおかなくちゃいかんよ、 -
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○6つの条項
1.将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条項は、決して平和条約とみなされてはならない。
2.独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない。
3.常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
4.国家の対外紛争に関しては、いかなる国債も発行されてはならない。
5.いかなる国家も、他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。
6.いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為 -
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第2巻では、感性ではなく、知性が扱われている。判断の種類やカテゴリー表が示され、これらの根底にある意識の統一が示されている。個人的には第2版より第1版の議論の方がわかりやすかった。把握・想像力・意識の統一と、時空・再生・概念による再認についてもよく分かる。しかし、カントの純粋理性批判では、人間の考え得ることが示されるはずなのだが、これはおかしな概念で他人をコントロールしようとする社会や権力への批判にもなっている。しかし、人間はフロイトのいうように無意識を抱えた存在だし、神とか三位一体とか不合理な概念を生み出して、自らそれに快を感じるところもある。そういう人間の性質はどう処理されるべきなのかなと
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読みやすい訳書である。序を後回しにしているのもよい。訳文は流れを意識していているので読みやすいのであろうが、カントの言っている内容じたいが抽象的なので、立ち止まって考えねばならない所もある。カントが純粋理性批判でやっていることは、人間に許される思考とは何かを明らかにすることで、物じたいは知り得ぬので、人間が知ることができるのは現象のみであるという観点が出発点になっているように思う。要するに現在の脳科学がやっているような人間の認識のフレームとか情報処理方法をさぐっているのである。第一巻では、感性が扱われ、空間と時間が人間の感性の先験的規則であることが示されている。