荒山徹のレビュー一覧
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ネタバレ荒山徹の小説は初めて。
徳川家康の影武者を主人公とした小説と言えば、言わずもがなの時代小説傑作中の傑作、隆慶一郎「影武者徳川家康」を思い出すのだが、本作はあの名作に果敢に挑んいる本歌取り的作品。善悪の立場を反対にし、家康の影武者をまさかの文禄の役の捕虜とするという離れ業を放ってくる。
小説自体も、隆慶一郎だけでなく山田風太郎や山岡荘八いや読みようによっては吉川英治や司馬遼太郎までもカバーというかリビルドしているという貪欲さ。
ただその心意気はいいのだが、残念ながら仕上がりの粗さが気にかかる。真田十勇士の末路の乱雑さや、関ヶ原合戦までとそれ以降の秀光の個性の変わりよう…文自体も必要性がない -
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<目次>
序章 「史観」を語る前にすべきこと
第1章 「遺跡は人なり」と心得よ
第2章 秘伝・日本史収納整理術
第3章 古代史学派伝奇文学か
第4章 日本書紀を再評価せよ
第5章 史料は原文が面白い
第6章 超「仏教」入門(上)
第7章 超「仏教」入門(下)
第8章 遷都の裏に政教分離あり
第9章 藤原氏で知る系図の秘訣
第10章 時代の境目とはなにか
第11章 日本史上の二大画期
第12章 二つの中国とモンゴルの侵略
第13章 「皇統」とは誰が決めるのか
第14章 歴史は「応仁の乱」以後で十分か
第15章 歴史と地理は不可分なり
第16章 「太閤記もの」の -
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歴史の狭間にヒーローをおくファンタジー作品。シャクチめっちゃがたいよくて強いんだけど、それがオオヤマトの国から来てるってのがなかなかイメージしづらいけどね。西の国のビジュアルで読んだ。さらにヘビって色白の切れ長の目の知的なイメージだけどシャクチは獅子のような感じなのね。まあでも、贅沢ですよ。国が滅ぶ場面にたくさん立ち会うシャクチなんですが、プロットをあげる段階で秦の始皇帝と項羽と劉邦と漢の武帝と出会うことにするぐらいにしときゃいいのに、冒頓単于とか司馬遷とか出てくる出てくる有名人!!日中韓の歴史をさらりと知ってるぐらいの人にオススメ!捏造歴史小説とゆわれるのもしれないけれど、ファンタジーなんだ
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これまで未収録の短編を集めた補遺集といった塩梅で、各作品を貫くテーマ的なものは(朝鮮以外には)見当たらないものの、逆に作品のバラ付きが広く(2003~2013年!)、作家荒山徹のいい所も悪い所も盛りだくさんのバラエティ豊かな作品集となっております。
「金髪くノ一絶頂作戦」という狂った原題の「阿蘭陀くノ一渡海」。実はこの中では最もシリアスで、確かに改題やむなしといった感じでした。ここでは初期の忍者ものに見られた「権力者の理不尽な圧政と、それに立ち向かう者の相克」が描かれていてなかなか懐かしい思いに駆られました。しかしまぁ山田風太郎忍法ものの影響が強く感じられる部分もあったりしましたが。
「三 -
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相変わらずの朝鮮と日本の相克を描く短編集。今まで収録されなかったので短編集としてのまとめ感もなく、それぞれの作品の出来はお世辞にも良くはないが、自虐の歴史観の日本と自慰の歴史観の朝鮮という話と、朝鮮の過去の偉人と平安貴族との関係など、そのまま描けば、こういう関係も当然あるだろうなということで、いつものような作者の話の中では新鮮な話だった。ただし、この良い話も最後はやはり対立となり、どこをどう間違えば話がつながるのか全く分からないが巌流島の決闘となってしまうのは相変わらずの飛躍振り。それにしても、もう十兵衛ものは書かないと宣言していたとは思わなかった。
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幕末を舞台とした短篇集。登場人物が連投している作品もあるものの、基本的には連作という形にはなっていない。
しかし、その名前に、彼らの数奇な運命を寓意として託された者達の物語集、とも言える。有り体に言えば、殆ど"ダジャレ"ネタである。実はそういうネタは荒山先生を構成する一要素でもあったりするんですが、「柳生」「朝鮮」を差し置いて、それをメインに持ってきたのは今回がはじめて?
そのあまりの牽強付会っぷりに驚く作品もあれば、全く意図が読めないものがあったりもするんですが、それはこちらが不勉強なのか、先生の意図が遠大すぎて読者に読み取れないレベルのものなのか…それは今後なんらかの解 -
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ずっと朝鮮が敵役だった一連の伝奇時代小説はネタ切れか、最近ではキリシタンの謀略ものにシフトしてきている。本作では最初は柳生が敵役かと思わせ、また、筆者にしては比較的まともな話かと思いきや、黒幕としてのキリシタンが登場するやいなや、相変わらずのぶっ飛んだ展開。ただし、やや自制が働いたかどうかは分からないが、終わりはあっけない。柳生が脇役になっていると筆が鈍るか、弟はあっけなく殺したが十兵衛だけは生死不明で、これを超える適役として用意した二刀流もらしいと言えばらしい展開で遁走させてしまうのだから、あっけない。主人公が急に強くなったり奸智にたけた武将の様に戦うのも違和感が否めず、魅力に乏しいのが残念