荒山徹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
朝鮮半島の動乱、白村江の戦いの裏でうごめく陰謀を描いた歴史物語。
自分が読んできた歴史小説の中で全く縁のなかった時代と舞台だったので、改めて自分の知らない歴史がまだまだあることを思い知らされました。
また、作者がお得意の伝奇物かと思いきや本格的な歴史小説だったので、作者の新たな魅力を感じました。
唐と朝鮮半島の三国と倭(日本)が当時から難しい関係であることがよくわかりました。
その中でそれぞれの国の王たちがあらゆる権謀術数を駆使していく展開がとても興味深かったです。
日本と朝鮮と中国がこれからもどのような関係になっていくのか、改めて考えさせられました。 -
Posted by ブクログ
16世紀末の朝鮮出兵の「幸州山城の戦い」をもとに、小西行長を中心とした日本軍と朝鮮の知略を生かした戦闘が描かれる。
伝奇色の強い作者には珍しく、その伝奇色をほとんど入れずに真っ向から戦いの歴史を描いた作品で、今までの作品とはまた違う面白さを感じました。
朝鮮軍を率いる主人公はいますが、小西行長を中心とした日本軍も描かれ、戦いを中心とした群像劇になっており、それぞれの人物像とその運命が劇的に描かれています。
また、一人一人の人物の変貌や成長なども描かれており、読み応えのある作品でした。
この後、あの「徳川家康トクチョンカガン」に繋がっていくのだと思うと、そこも楽しみめる要素にな -
Posted by ブクログ
「三銃士」のダルタニャンは盗賊団を追ってフランスからイングランド、スコットランドへと冒険する中、江戸から来た無敵の剣士が加勢する。二人は、世界を救うため大いなる敵に立ち向かうのだった。
「三銃士」も大好きな作品であり、そのダルタニャンが主役で、しかもタイトルからわかるとおり、あの柳生十兵衛が一緒に活躍するなんて、自分にとっては、まさに夢の競演のようでした。
作者にしては珍しく、朝鮮は一切封印されていますが、ヨーロッパの世界で剣術と冒険の旅が描かれ、作者得意とするところの伝奇の世界も十分に味わうことができました。
小説でも楽しむことができましたが、ぜひハリウッドで映像化してもらいた -
Posted by ブクログ
荒山徹 著「柳生大作戦(下)」を読みました。
百済再興を目論む魔人石田三成の陰謀を阻止するため、柳生一族が闘いを挑む。壬申の乱と関ヶ原の戦いの時空を超えた奇想天外な闘いが繰り広げられる。
今までほとんど知らなかった壬申の乱とあまりにも有名な関ヶ原の戦いに意外なほどに共通点があったことに、歴史を味わうダイナミックな喜びを感じました。
また、そこに魔力や怪物や果てにはタイムマシンまで登場するという奇想天外な荒山ワールドが展開していくストーリーは、ありえないと思いつつもこれもありなんじゃないかと思わわされてしまいました。
もちろん、関ヶ原の結末を知っているわけですから、そこに至るま -
Posted by ブクログ
荒山徹 著「柳生大作戦(上)」を読みました。
百済再興を賭け、魔神となった石田三成。これを阻まんと立ち上がるのは、剣客柳生石舟斎ら柳生一族。大和王朝の動乱から関ヶ原の戦いまでを大胆なな歴史解釈で描いた伝奇小説。
豊臣政権確立から関ヶ原に至るまでの朝鮮出兵など秀吉の不可解な行動を裏から魔神石田三成が操っていたという展開は実際はあり得ないと思いつつも、なるほどと思わされる辺りが作者の力量だと改めて感じさせられました。
また、時の政権豊臣に取りついた三成に対して、柳生宗矩が徳川に取り入れられ、三成に対抗していくという展開は、説得力が感じられました。
また、新たな歴史解釈だけでなく、 -
Posted by ブクログ
荒山徹 著「柳生大戦争」を読みました。
朝鮮の建国神話の謎を巡り、徳川幕府と朝鮮、中国の歴史の歯車が動き出していく。そこに柳生一族の運命もかかわっていく。はたして柳生十兵衛は、その運命を乗り越えていくことができるのか。
自分が大好きな柳生十兵衛が活躍するこの作品、読み進める楽しさと読み終えてしまう寂しさを感じながら、一気に読みました。
しかも今回の十兵衛の敵は、自分の弟である柳生友矩、まさに柳生一族の存亡をかけた闘いが展開し、読み応えがありました。
家光の治世が固まろうとしていた時代に、日本と朝鮮、中国の間に緊迫した関係が保たれていたという歴史は、とても興味深かったです -
Posted by ブクログ
天皇という身分を作り上げた意味というのは、どこにあったのか、これほど長い間続いてきたのは何故なのか。
疑問は深まるばかりです。
あまりにも混沌とし過ぎている南北朝時代。その時代に翻弄されながらも、自らの生き方を見つけようと懸命にもがいている姿が見えました。
和歌の編纂のくだりは、良く理解できなくて、中だるみしてしまいました。
しかしこの、長い戦いの中、生き抜いてきた人たちが、今につながっているかと思うと、良く生き抜いてくれたという気持ちになります。
生きるだけでも大変な時代に、「何かを成す」ということに人生を注げる、それは身分というものがあるからこそ、なのかなとも感じました。
普段、使わない漢 -
購入済み
新たな物語の方角へ…!!
デビュー当時から拘ってきた「お隣の国」からようやく御卒業に成られたようで、先ずは祝着至極。
彼の国は、現代においても「正常な国交関係」を結べているとは思えない為、いくら「伝奇小説だから…」「ホラ話だから…(失礼!)」と言われても、読んでいて「何とも表現の仕様がない不快さ」が拭えず、正直全ての作品を諸手を挙げて賛美する気持ちには成れませんでした。
でも、とは言え「嫌い」にも成れなかったのは、一重に著者の「山田風太郎テイスト」が何よりの大好物だったからに他成りません。
「でもまぁ、よくもこんなに沢山の作品が…」と半ば呆れ、半ば称賛してはいたのですが、流石に「読者も飽きてきた」と見たの -
Posted by ブクログ
著名作家のアンソロジー『足利の血脈』ですが、副題で、さくら一族の聖戦と付け加えたい。鎌倉公方〜古河公方・堀川公方の興亡と支える忍者の物語。読後としては足利の歴史よりさくら一族の伝奇。面白い企画かと思いますが、個人的には各作品の波が合わず、一人の作家の連作の方が読みやすかったのでは思います。しかし第七話は最終話にふさわしく感動しました。本作は二度目の方が良いかもしれません。
足利義輝弑逆から織田信長謀殺はもっと盛り上げて欲しいところです。しかし敵城に大胆に忍びこめる信長の忍びは、どうして光秀の京洛進入を安々と許したのか?疑問のままです。某歴史の専門家は本能寺の変に即応した秀吉は忍びを信長の