小泉喜美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イギリスの作家「P・D・ジェイムズ」の長篇ミステリ作品『女には向かない職業(原題:An Unsuitable Job for a Woman)』を読みました。
「オリヴァー・ハリス」、「ジム・ケリー」に続き、イギリスのミステリ作品です。
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探偵稼業は女には向かない。
ましてや、22歳の世間知らずの娘には―誰もが言ったけれど、「コーデリア」の決意はかたかった。
自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、一人で探偵事務所を続けるのだ。
最初の依頼は、突然大学を中退しみずから命を断った青年の自殺の理由を調べてほしいというものだった。
「コーデリア」はさっそく調査にかかったが、やがて自殺の状況に不審な事実が浮かび上がってきた…可憐な女探偵「コーデリア・グレイ」登場。
イギリス女流本格派の第一人者が、ケンブリッジ郊外の田舎町を舞台に新米探偵のひたむきな活躍を描く。
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1972年(昭和47年)に発表された作品で、女私立探偵「コーデリア・グレイ」シリーズの第1作目にあたる作品です、、、
「コーデリア」と探偵事務所を共同経営していた「バーニイ・プライド」は、元スコットランド・ヤード犯罪捜査部の「アダム・ダルグリッシュ警視」の部下だったことや、本作品の終盤に「アダム・ダルグリッシュ警視」が登場することから、「アダム・ダルグリッシュ警視」シリーズのひとつ(番外編)とも言える作品ですね。
「コーデリア・グレイ」、22歳… 秘書として雇われた探偵事務所で所長の「バーニイ・プライド」の共同経営者となった矢先、「バーニイ」が癌を苦に自殺、、、
一人残された「コーデリア」は、誰からも「探偵は女には向かない」と言われながらも、故人の遺志を継ぎ、探偵の仕事を続けることを決意する… そんな彼女に舞い込んだのは、突然大学を辞め、自ら命を断った息子「マーク」の自殺の理由を調べてほしいという「ロナルド・カレンダー卿」からの依頼だった。
ケンブリッジに赴いた「コーデリア」は、「マーク」が自殺した現場を詳細に調べるうちに不自然さに気付き、他殺の疑いをもつ… ケンブリッジ大学在学中の友人への聞き込み等から、「マーク」の出生等に疑問を持ち、「ロナルド・カレンダー卿」や妻の「エヴリン」、「エヴリン」の乳母「ゴダード夫人」等の過去を調査する、、、
そして、幾つもの不可解な事実を突き止めるが、自身も何者かに古井戸に突き落とされる等、命の危険に晒されながら事件の渦中に巻き込まれてゆく… 他殺だったんじゃないかというのは中盤あたりで判るのですが、なぜ、誰が、どのように犯行に及んだのかについてが、なかなか判然とせず、「コーデリア」に感情移入して、一緒に推理を進める感じでしたね、、、
まさか、犯人が自殺に偽装した遺体を、別な人物がさらに偽装していたとは… そして、「マーク」の実母が犯人を殺害し、それを警察から隠そうとする流れですからね、なかなか予想できない展開でしたね。
でも、「アダム・ダルグリッシュ警視」は全てを知っていた… というオチ、、、
序盤はちょっともどかしい感じがありましたが、中盤以降は愉しめました… 探偵としては未熟な「コーデリア」が、健気にひたむきに探偵業に取り組む姿に共感できました。
以下、主な登場人物です。
「コーデリア・グレイ」
女私立探偵
「バーニイ・プライド」
探偵事務所の所長
「ロナルド・カレンダー卿」
科学者
「マーク」
ロナルドの息子
「エヴリン」
ロナルドの妻
「ジョージ・ボトレイ」
エヴリンの父
「ゴダード夫人」
エヴリンの乳母
「エリザベス・レミング」
ロナルドの秘書
「クリス・ルン」
ロナルドの研究助手
「ビューゴー・ティリング」
マークの友人
「ソフィア・ティリング」
マークの友人
「イザベル・ド・ラステリ」
マークの友人
「デイビィ・スティーヴンス」
マークの友人
「マークランド少佐」
退役軍人
「ミス・マークランド」
マークランドの妹
「グラドウィン」
医師
「マスケル」
部長刑事
「アダム・ダルグリッシュ」
犯罪捜査本部の警視 -
Posted by ブクログ
ピーター・ロビンスンを読んだら女性作家の推理小説を読みたくなって読んでみた。「女には向かない職業」というのにも興味がわいた。
22歳のコーデリア、雇い主の探偵が自殺し事務所はコーデリアに譲るとの遺言。そこに21歳の息子の自殺の真相を知りたいとのその父よりの依頼。
文体が修飾が多くてしばしば読み止まってしまう。が向こう見ずともいえるコーデリアの行動に目が離せない。
真相がこういうのありかなあとちょっと疑問。
瀬戸川猛資氏の解説がおもしろい。
どうして探偵が「女には向かない職業」で、小説でも女性探偵が少ないのか、という状況が生まれてしまう背景として、名探偵を主人公に据えたミステリが男性原理にのっとった小説だから、だとしている。男性ながらわかっている。
小説中、謎を追求すると危ない場所、汚い場面にでくわし、切ったり撃ったり、そういう行動をとらせるのは男性主人公こそがふさわしく、あえて女性主人公にやらせても、それは無理強いというものであり、”Unsuitable"不釣り合いな感じしか受けない。
男性主人公=ヒーロー=力のイメージ
女性主人公=ヒロイン=美のイメージ
という物語の法則をひっくり返したところで、一部には受けるが広くは受け入れられない、という。
このコーデリアに関しては、ダルグリッシュ警視は事件の真相を知っていて、コーデリアの隠蔽をも見破っている、そして「(かつて部下だったコーデリアの雇い主の)葬式にもこなかったじゃないの」と、ここでヒーローのダルグリッシュの登場で、今までヒーロー役を演じてきたコーデリアが、可憐なヒロインへと変貌する、一種の心理的ドンデン返しがある、という。
1972発表
1987.9.15初版 1999.12.15第18刷 -
Posted by ブクログ
骨折で入院した刑事グラントは、友人の女優マータが暇つぶしにとお見舞いに持ってきてくれた〈ミステリーを隠した肖像画〉カードのなかに、一際印象深い一人の男の顔を見つける。それは幼い甥たちを殺した残虐な王として知られるリチャード三世だった。肖像画がどうしても人殺しに見えないという刑事の勘から、ベッドの上で歴史の独自調査をはじめたグラント。やがてマータの紹介で知り合った大英博物館に入り浸りの青年キャラダインも加わり、歴史の裏に隠されたミステリーにのめり込んでいく。
リチャード三世の悪逆非道なイメージは、トマス・モアとそれを鵜呑みにしたシェイクスピアが作り上げた!とする歴史ミステリー。今ではわりとよく見る感じだが、一九五一年当時はこれが嚆矢だったのかな。訳者あとがきを読んで納得したのは、「歴史ミステリの生命は、“歴史をみつめる学者の眼をもってしてではなく、あくまで推理作家の眼をもって眺める”ところにあります」という点。たしかに推理小説の方法論が歴史学の方法と対比させることでくっきりとわかりやすくなっている。これはロンドン塔の二皇子殺害事件をホワイダニットで問い詰めていくと、リチャードではない真犯人が浮かび上がるはず、という小説なのだ。
前半はグラントの人となりが気に食わなくて(笑)入り込むのに時間がかかったけど、内気なアメリカ青年キャラダインが調査員として加わってから、グラントの印象もよくなった。二人が「トニイパンディ」という符号を共有し、バディとしての関係を深めていくあたりの会話は微笑ましい。
最終的に薔薇戦争の要点が掴めたのでありがたい。終盤にグラントが書くリチャード三世とヘンリー七世の比較メモすごいタメになる(笑)。これでわかった気になるのもトニイパンディだろうけど。歴史は勝者が語るものなんだなぁ。