小泉喜美子のレビュー一覧

  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    ネタバレ

    コーデリア・グレイもの。全二作の二作目。『女には向かない職業』でひたむきな新米女探偵ぶりをドキドキしながら見守ったあとの二作目は孤島もの。
    前作から今作までにコーデリアはパートタイムで人を雇ったり、迷い猫探しをしたり。経営は厳しく、それでも1人で探偵事務所をやりくりしている。
    そんなところに持ち込まれた依頼が死を仄めかす脅迫状に怯える女優の身辺警護。コーデリアは古典劇が開かれる不気味な伝説のある孤島へ渡り、そこで女優は惨殺される…

    80年代を舞台にしているとはとても思えないというか、舞台も事件もまさに黄金時代の趣。不気味な小道具、なにを考えてるかわからない使用人たち、聖書やシェイクスピアやら

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    2024年03月21日
  • 時の娘

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    ネタバレ

    アームチェアディテクティブならぬベッドディテクティブ。
    警官の(推理作家の)視点で歴史ミステリを解明していくお話の古典とも言える作品。
    これから読むとリチャード三世推しになり、シェイクスピアから入ると真逆になるという。
    映画『ロスト・キング 500年越しの運命』も見てみたいなぁ。
    映画のノベライズはなかったけど、『王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎 (ブルーバックス) 』も関連としてメモ。
    時の娘の作中作の『レイビィの薔薇』は架空の作品で残念。そうか、架空か…。

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    2025年05月28日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    ネタバレ

    真ん中くらいまでコーデリアちゃんも登場人物の1人くらいの扱いでどうなるのかハラハラしていたら、後半は活躍してくれてよかった。今作もおしゃれでアンティークな雰囲気がよかった。シェイクスピアを始めとした古典や聖書を理解しているとより楽しめるんだろうなぁ。登場人物1人1人のキャラがしっかりしていたので途中までコーデリアちゃんが全然出てこなくても面白かった。
    結末は全然想像できない展開で衝撃。ストレスがやばかった。今回もなんやかんや最後にはダルグリッシュさんが出てきて助けてくれたりするのかな、と思っていたら全然だったというのも残念というか悔しい。まあそんなに上手い話もないんだろうけど。
    ミステリーだけ

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    2023年08月09日
  • 女には向かない職業

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    描写が細かくのめり込むように読めた。一昔前のイギリスの雰囲気がおしゃれでよかった。
    コーデリアちゃんの幸が薄いけど逞しいところが好き。
    もっと活躍が見たいので『皮膚の下の頭蓋骨』も読みたい。

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    2023年07月07日
  • 女には向かない職業

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    1972年、イギリスの女性作家による作品であることを知ってから読むとより面白いかも。重厚な表現と作品当時の時代感が楽しかった。

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    2023年06月06日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    イギリスの作家「P・D・ジェイムズ」の長篇ミステリ作品『皮膚の下の頭蓋骨(原題:The Skull Beneath the Skin)』を読みました。

    「P・D・ジェイムズ」の作品は、今年1月に読んだ『女には向かない職業』以来なので約1年振りですね。

    -----story-------------
    二百年前の不気味な伝説が残る孤島コーシイ島。
    そこの贅を凝らした壮麗な舞台で演じられる古典劇に招かれ、いま、数人の客が島を訪れていた。
    主演女優「クラリッサ」の義理の息子、従姉妹、元愛人……女探偵「コーデリア・グレイ」もそのひとりだった。
    頻々ととどく死を暗示する脅迫状におびえる「クラリッサ」の

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    2023年04月01日
  • 時の娘

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    ミステリーの古典的な作品。負傷療養中のヤードの敏腕警部がベッド上で、リチャード3世の悪行と言われた数々を覆して行く、と言うもの。看護師や彼に代わり調べ事を請け負う青年など、リアル登場人物との会話も生き生きしていて、歴史上のモノ言わぬ人との対比も良かった。ロンドン塔で謀殺されたとされる金髪の美形の兄弟の話が有名なのでホッとした。肖像画見ながら読むのも楽しかった。

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    2022年11月14日
  • 時の娘

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    グラント刑事が入院中のベッドの中で悪名高いリチャード三世の素顔を歴史文献から推理していくベッド探偵小説。イギリス史を知らないので家系図とにらめっこしながらも面白いのだから、現地の人が読んだら本当に面白い小説なんだと思った。警察官の洞察力と事実に基づく考察やキャラダインの若くて勢いのあるところが心地よい作品で読んで良かった!

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    2022年05月05日
  • 時の娘

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    史実は歴史書と違う場合がある
    史実を如何に読み解くか。歴史は勝者の物と言われるくらい勝者の史実として作っていることだ。イギリスの王位継承権での争いも「裏切り・利権・名誉」等において、次期王が前王に全ての悪名を被せ裏工作を淡々と成し遂げた「汚い」歴史だ。だが、この小説では史実を掘り下げだけではなく時代に登場する人物に「得する人間vs損する人間」を警察官の様に検視する目を持つ事だと感じた。

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    2022年04月17日
  • 皮膚の下の頭蓋骨

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    コーデリア・グレイが登場するシリーズの第2作。しかし、シリーズといっても2作しかない。著者はすでに亡くなっており、今後このシリーズが追加されることはない。率直に言って、それはとても残念だと思った。
     巻末の解説には、著者が来日した際の実際の言葉として、「その人の真の姿や人間性、人々が匿そうとしている本質をあばきたてる」ことに「興味がある」と述べている。これは著者の作品性を端的に物語るものだと、解説には述べられている。たしかにそのとおりであると感じた。著者本人が語っているように、本作は巧妙なトリックや、幾重にも伏線が張り巡らされ、それを解き明かす謎解きの醍醐味が味わえるというよりも、どちらかとい

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    2022年03月24日
  • 女には向かない職業

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    ネタバレ

    名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。
    本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。
    ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易

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    2021年12月18日
  • 死だけが私の贈り物

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    小泉喜美子は出来るだけ読もうと決めているので、読んだ。ここ数年復刊が続いているのは嬉しい。しかしこの表紙と口絵でだいぶ引いた。これ必要かな?読者のイメージを限定してしまうし、私に限って言えば、こういうイメージじゃないんだけど。申し訳ないが、興醒めした。『弁護側の証人』のキレには及ばないし、ツッコミどころもないではないが、タイトルも秀逸だし、女性ハードボイルドと言ってもいいクールさが、とてもいい。違う装丁で読みたかった。

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    2021年11月15日
  • 時の娘

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    薔薇戦争の頃のイギリス王室についてほとんど知らなかったため、勉強になった。リチャード3世は数々の物語の題材になる有名人なんだね。
    当時の人たちの認識と全然違う歴史書が捏造されて、真実として扱われる「トニイパンティ」。
    刑事の直感から始まり、だんだんリチャード3世の人柄を理解していくあたりは楽しめた。
    でもタイトルの「時の娘」は一体誰のことだったのか?読み終わった今もよくわからない。

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    2021年05月24日
  • 時の娘

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    薔薇戦争、ヘンリー6世、リチャード3世辺りを把握しているとイメージがひっくり返って面白い。(そこらへんの前提が無いと誰が誰だかわからなくて苦労する)

    歴史は客観的に物事を見ることができる、という台詞は、対象となる歴史自体がここまで歪んでいるとするなら、とても皮肉。まぁ、本書出版から時が経っているし、教科書に書かれる内容も今では状況が違うのかもしれないけれど。

    歴史は勝者によって作られるし、シェイクスピアは舞台だし、司馬遼太郎の小説が史実でもない。
    シェイクスピアの表裏激しいリチャード3世は突き抜けてて単純に面白いと思うし、本書の家族愛に溢れた、甘い部分はあるものの誠実なリチャード3世も好き

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    2021年05月05日
  • 時の娘

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    リチャード3世の汚名を晴らす歴史ミステリの名作。入院中のグラント警部は歴史書を読み漁り文献のみからリチャード3世の素顔を推理していく。安楽椅子探偵ものとしても有名だが英国史の本として面白い。歴史の常識を覆す面白さだ。もちろん文献から推理するのだから事実とは限らない。推測の上に推測を重ねている。その意味でお遊びだ。つまりパズルとしての面白さである。

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    2021年04月26日
  • 時の娘

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    ネタバレ

    古典ミステリを読もう企画

    安楽椅子探偵が紐解く歴史ミステリ。
    歴史ミステリを全く読んだことなかったが、こういうのなの?!こんな書き方のジャンルがあるとは。

    史実を再考察して、謎を解いていく。

    イギリス史がよく分からず、名前も似すぎてて、誰が誰だかよくわからなくなる…が、それでもなんか面白いとページが進んだ。
    キャラクターが良いのかも。

    一方の説だけ考えるのは正しくないとは思うが、この小説を読むと歴史書より信憑性あるように感じちゃうよね〜

    主人公が入院してる理由がマンホールに落ちた、は出オチ感あった。

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    2021年03月05日
  • 時の娘

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    イギリスでは世紀の大悪人のように語られるリチャード三世。自身の玉座のために、幼い甥たちを殺害したとされる。彼は本当に悪人だったのか?本当に幼い王子たちを無惨に殺したのか?怪我で暇を持て余した刑事は、暇潰しがてら始めた歴史の考証にどんどん夢中になり…という内容。
    日本でいえば、長らく低い評価をされてきた明智光秀の復権話に近いでしょうか??
    読み終わった感想としては、とにかく薔薇戦争、リチャード三世の周辺についてある程度興味も知識もあるなら、そこそこ面白い。無ければチンプンカンプンって感じです。イギリス王室って同じ名前の人がとてもたくさんいて、親子だったり、親戚だったり、対立したり、協力したりとと

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    2024年02月29日
  • 時の娘

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    ひょんなきっかけで、ウェールズに関する本を読み漁っていた時に出会った本です。

    シェイクスピアなどの古典で、名前は聞いたことあるし、ひどいことした人なんだなぁ、というくらいのイメージしかありませんでしたが。。

    昔々の話ですし、この本に書いてあることが真実とも限りませんが、目から鱗のお話でした。

    歴史書ではなく小説なので、主人公が徐々に徐々に、真相(歴史上ほんとうにそうだったかは定かでないし、今となっては知るすべもないものの)に近づいていくという構成が、読者を飽きさせず、さらっと読めてしまう本です!

    この話が本当だったとしたならば、亡くなった後にまで丸裸にされて人目に晒されるなんて、なんて

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    2020年04月02日
  • 時の娘

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    犯罪が絡むわけでもなく、日常の中に不可思議なことが起こったわけでもない。それでも時に人は無や常識から疑問を見いだし、謎を設定し、そして真実を見つけようとする。研究なんかもそうですが、こうやって謎や疑問を自ら定め、そして自分の興味を第一の理由にそれに挑むのが、ある意味最も純粋な謎解きではないか、と思います。

    そんな謎解きに挑むのが、足を骨折し病院で暇を持て余すグラント警部。警部はふとしたきっかけから、歴史上では悪人と名高いリチャード三世に対し疑問を抱き、様々な文献をあたり、彼が本当に大悪人だったのか推理を始めます。

    推理の過程が非常に面白い! 史実に対し頼りになるのは、文献や当時の記録のみな

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    2019年12月07日
  • 時の娘

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     歴史ミステリーは、読んだ覚えがない。安部公房の『榎本武揚』は、世に知られた榎本を裏切者として見たものだったから、あれは歴史ミステリーなのかもしれない。でも他には覚えがない。ぼくには。

     戦後の出版。生まれる前の本。ハヤカワ文庫の初版が出たのが、42年前か。ぼくはその頃はドストエフスキーか山岳書ばかり読んでいた頃。ミステリには何の関心も持っていなかった。ハードボイルドにも。冒険小説にも。

     本書は、犯人追跡中にマンホールに落ちて怪我をした警部が、入院中の退屈さを凌ぐために歴史資料をひっくり返して、子供二人を殺させた悪人として知られるリチャード三世の素顔を探る。肖像画を見ているとどうも殺人者

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    2019年08月31日