小泉喜美子のレビュー一覧
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ネタバレコーデリア・グレイもの。全二作の二作目。『女には向かない職業』でひたむきな新米女探偵ぶりをドキドキしながら見守ったあとの二作目は孤島もの。
前作から今作までにコーデリアはパートタイムで人を雇ったり、迷い猫探しをしたり。経営は厳しく、それでも1人で探偵事務所をやりくりしている。
そんなところに持ち込まれた依頼が死を仄めかす脅迫状に怯える女優の身辺警護。コーデリアは古典劇が開かれる不気味な伝説のある孤島へ渡り、そこで女優は惨殺される…
80年代を舞台にしているとはとても思えないというか、舞台も事件もまさに黄金時代の趣。不気味な小道具、なにを考えてるかわからない使用人たち、聖書やシェイクスピアやらの古典戯曲からのたくさんの引用に、極め付けは孤島のお城で起きる殺人!
登場人物たち一人一人の背景をきっちり描写していてそれぞれの個性を完全に把握したところから事件が起こるので、翻訳物にありがちな「誰が誰やら?」みたいなことは起きない。このきっちりした描写がまだ『そして誰もいなくなった』を連想させて、現代の読者は時代がわからなくなる。。
島に渡るまで、渡ってからも人間関係の描写やちょっとした冒険を通した過去の出来事の共有などで事件発生までかなりページがあり、無駄ではないんだけど若干冗長さは感じてしまって、読むのに時間がかかった。ダルグリッシュはもう少し出てくるのかなと期待したけどその期待は空振りに終わり。
でも終盤解決に向けての盛り上がりと緊迫感はものすごく、読後の疲労感となんとも言えない脱力感は最高だった。巨大な悪へ立ち向かったコーデリア、結果はどうあれ読者はあなたを好きになるしかない。解決にある「無垢」な「修道女」的なコーデリア、『女には向かない職業』から時が経って擦れてしまったのではと思ったらとんでもない、頑ななピュアさを保ち続けている。コーデリアの物語をもっと読みたかったな。
そして古典戯曲や聖書にもっと詳しればなあと英米ミステリを読むたびに思うのだった。読むか…? -
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ネタバレ真ん中くらいまでコーデリアちゃんも登場人物の1人くらいの扱いでどうなるのかハラハラしていたら、後半は活躍してくれてよかった。今作もおしゃれでアンティークな雰囲気がよかった。シェイクスピアを始めとした古典や聖書を理解しているとより楽しめるんだろうなぁ。登場人物1人1人のキャラがしっかりしていたので途中までコーデリアちゃんが全然出てこなくても面白かった。
結末は全然想像できない展開で衝撃。ストレスがやばかった。今回もなんやかんや最後にはダルグリッシュさんが出てきて助けてくれたりするのかな、と思っていたら全然だったというのも残念というか悔しい。まあそんなに上手い話もないんだろうけど。
ミステリーだけど人間模様とか心理描写の方に重きが置かれている印象。
コーデリアちゃんに幸あれ! -
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イギリスの作家「P・D・ジェイムズ」の長篇ミステリ作品『皮膚の下の頭蓋骨(原題:The Skull Beneath the Skin)』を読みました。
「P・D・ジェイムズ」の作品は、今年1月に読んだ『女には向かない職業』以来なので約1年振りですね。
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二百年前の不気味な伝説が残る孤島コーシイ島。
そこの贅を凝らした壮麗な舞台で演じられる古典劇に招かれ、いま、数人の客が島を訪れていた。
主演女優「クラリッサ」の義理の息子、従姉妹、元愛人……女探偵「コーデリア・グレイ」もそのひとりだった。
頻々ととどく死を暗示する脅迫状におびえる「クラリッサ」の身辺警護のためである。
狷介な女優とそれぞれ思惑を胸に秘めた七人の男女??不吉な雰囲気の漂うなか、開演を目前に、自室で顔を叩き潰された「クラリッサ」の惨殺体が発見された!
ミステリの新女王が現代本格ミステリに新たな地平を拓いた大作。
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1982年(昭和57年)に発表された作品で、女私立探偵「コーデリア・グレイ」シリーズの第2作目にして最終作にあたる作品です、、、
前作の『女には向かない職業』は、1972年(昭和47年)に発表されているので、第1作と第2作の間には10年間のブランクがあるようですね。
■第一部 孤島への招待
■第二部 舞台稽古
■第三部 血はしぶきとなって舞い上がる
■第四部 プロフェッショナル
■第五部 月下の恐怖
■第六部 事件の終結
■解説 コーデリアの二つの貌 山口雅也
「アガサ・クリスティ」の名作『そして誰もいなくなった』を彷彿させる孤島モノ… 英国近海の架空の島・コーシイ島を舞台にした推理劇でした、、、
600ページを超える長篇で、最初の事件が発生するのが279ページ、次の事件は470ページですからね… 事件解決に至る終盤は一気読みでしたが、それまでが長い道のりでしたね。
「コーデリア・グレイ」に持ちこまれた依頼は、死を暗示する脅迫文に悩まされる女優「クラリッサ・ライル」を警護するというもの… 「コーデリア」は、「クラリッサ」と彼女の夫「ジョージ・ラルストン卿」、養子の「サイモン・レッシング」、付人の「ローズ・トルガース(トリイ)」、従姉妹の「ローマ・ライル」、元愛人で演劇評論家の「アイヴォ・ウィッティンガム」等、数名の客が滞在する孤島・コーシイ島へ赴く、、、
コーシイ島は不気味な伝説が残る孤島で、数々の歴史を秘めたヴィクトリア朝の美しい城館がたっており、そこには頭蓋骨を蒐集した教会の納骨堂等の珍奇なコレクションとともに、自己の美的世界にこもっている主「アンブローズ・ゴリンジ」が、執事の「ムンター」とその妻、そして雑用係の「オールドフィールド」とともに生活していた… コーシイ島に滞在してからも新たに脅迫文が届いたことから「コーデリア」は警戒するが、その努力にもかかわらず、「クラリッサ」は惨殺され、本土からやってきた警察が島内で犯人探しを始める。
そんな中、次の事件が… 泥酔して「ジョージ卿」を「人殺し!人殺し!人殺し!」と呼んだ「ムンター」が、翌朝、溺死体としてプールで発見されたのだ、、、
犯人は、この中にいる… 「コーデリア」は、「クラリッサ」が生前大切にしていた舞台の評論が掲載された新聞記事に秘密があると察し、その新聞記事を入手するため、本土のスパイマスへ向かう。
しかし、新聞社のバックナンバーは肝心な部分が切り取られており、万事休すかと思われたが… 偶然、個人で新聞記事を所蔵している人物の情報を得て、ようやく、その新聞記事を手に入れる、、、
そこに写っていたのは!? 「コーデリア」は、「クラリッサ」が記事を大切に保管していた理由… そして、それにより強請られていた人物がいたことに気付く。
「悪魔の湯沸かし」という気味の悪い名前のついた、海につながる城の地下の洞窟や、そこで行われた第二次世界大戦中の忌まわしいスパイの拷問・処刑事件… 印象深いエピソードを交えながら、物語は沸点に向かって加速する、、、
序盤はちょっともどかしい感じがありましたが、終盤の盛り上がりと、読み終えたあとのカタルシスが印象的な作品でした… 登場人物や、その相関関係、事件の背景を理解するために序盤の展開は必要なんでしょうが、もう少し軽くても良い感じがしますね。
以下、主な登場人物です。
「コーデリア・グレイ」
女私立探偵
「ベヴィス」
コーデリアの助手
「ミス・モーズリイ」
コーデリアの助手
「クラリッサ・ライル」
女優
「ジョージ・ラルストン卿」
クラリッサの夫
「サイモン・レッシング」
クラリッサの養子
「ローマ・ライル」
クラリッサの従姉妹
「ローズ・トルガース(トリイ)」
クラリッサの付人
「アイヴォ・ウィッティンガム」
演劇評論家
「アンブローズ・ゴリンジ」
コーシイ島の所有者
「ムンター」
アンブローズの執事
「オールドフィールド」
アンブローズの雑用係
「ロバート・バクリイ」
部長刑事
「グローガン」
主任警部 -
Posted by ブクログ
ネタバレコーデリア・グレイが登場するシリーズの第2作。しかし、シリーズといっても2作しかない。著者はすでに亡くなっており、今後このシリーズが追加されることはない。率直に言って、それはとても残念だと思った。
巻末の解説には、著者が来日した際の実際の言葉として、「その人の真の姿や人間性、人々が匿そうとしている本質をあばきたてる」ことに「興味がある」と述べている。これは著者の作品性を端的に物語るものだと、解説には述べられている。たしかにそのとおりであると感じた。著者本人が語っているように、本作は巧妙なトリックや、幾重にも伏線が張り巡らされ、それを解き明かす謎解きの醍醐味が味わえるというよりも、どちらかというと人間ドラマの方に重きが置かれている。謎解きのカタルシスよりも、島に集められた人々がそれぞれどういう背景を持って、被害者にどういう感情を抱いているのかをより丁寧に描いている印象だった。ほかのミステリーでは、犯人が分かり、どうしてその犯罪に手を染めたのか(どうして犯人が被害者に強く恨みを持ったのか)が、自白なりで明らかになる。もちろん、本作でもそれはそのとおりだし、解説にいうように、最終場面で明らかにされる「悪」の存在が強く印象付けられる作品ではあるが、犯行を実際に行った人物以外の登場人物たちも丹念に描かれていると感じた。(この点、1作目ではコーデリア・グレイ自身を掘り下げていた面が強かったように思った。1作目だからだろうけど…。)
また、被害者が死の直前にコーデリアと死の恐怖について語る場面が、特に印象的だった。被害者はどちらかというと自由奔放で理知的な振る舞いに欠けるように、他の登場人物たちが語っていたが、死の前のコーデリアとの会話は、被害者の繊細さを感じさせるものだったと思う。
これも解説にいうとおりだが、本作中にはいくつもシェイクスピアなどの文学作品(演劇作品)からの引用がある。あいにく詳しく分析する力量はないけれども、英国文学の詳しい知識があればきっと引用の部分ももっと深く味わえるのだと思う。それにしても、脅迫状に有用な、死をめぐる表現は、たくさんあるのだなと思った。作中に引用させるということは、あらためて調べたというよりも、著者がもともと愛好していた文学作品のなじみの表現を登場させたのではないかと、何となく想像する。それだけ著者が文学に愛着のあることが伝わってくるし、作品全体の格調高さにも貢献している。もちろん、引用が多くて、予備知識もなければ、著者においてけぼりにされているという感覚を持つ読者もいるのかもしれないが。
また感想が無駄に長くなってしまったが、このシリーズの最大の魅力はやはり私立探偵コーデリア自身にあると思う。コーデリアの、傷ついている人に対し、犯罪者かどうかも無関係に手を差し伸べようとする姿勢は、理想主義的かもしれないが、やはり魅力的に思う。また、前作でもそうだったかもしれないが、誰も他に目撃者がいなくて証明が難しいが、確かに彼女だけが真実を知っている、という状況になったとき、その真実を受け止めて対処しようとする態度を見せる。真実であっても、明らかにしない方がいい場合もある。前作では、自分の理解が正しければ、一部を隠し通した。今回は、結局彼女が知っている真実を主張するか、あきらめて沈黙するかの選択肢の前で、真実を語っていこうという強い意志を示して終わる、ということだと理解した。そのように、ふつう、ミステリでは犯人が分かって、それでおしまいとなるところ、このシリーズでは、そのあとも闘いがあるように感じる。それに立ち向かっていくコーデリアは、やはり魅力的に映る。
(あと、彼女はしばしばアクション映画さながらのフィジカルにハードな場面にも遭遇する…ちょっとかわいそうな気もするが。。)
個人的には、これほどのキャラクターを創造したのに、著者が2作でやめてしまったのはなぜなのかを知りたいと思う。 -
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ネタバレ名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。
本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。
ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易に展開の面白さを追求しているというよりも、落ち着いた文学的な教養のある小説の要素も強いように感じた。
おそらく一般的に、本書はミステリーとしての評価もさることながら、コーデリア・グレイという若い女性がたった一人で探偵としての最初の仕事をひたむきにこなしていく姿を描いていることに、より着目されて語られることが多いのではないか。
そして確かに、率直に言って、コーデリアが悲運な状況にもめげずに、探偵という仕事を一人でこなそうと立ち向かっていく様子に好感を持った。一種の仕事小説のようにも読める。青山先生の灰原哀のイメージももしかしたらまさにコーデリアから取られている面もあるのではないかとも思った。
ただ、コーデリアの魅力だけではなく、謎が明らかになる過程や、密かに持った銃で犯人側と渡り合ったり、何とか窮地を脱出したりする場面など、細部も含めてスリリングで飽きさせない作品であると思った。
また、意外であったのは、一応の真相がすべてわかってから、コーデリアが亡きパートナーの仇とも言える警視と相対するまでの物語にも割と紙面が割かれていたこと。
こんなに魅力的な女性の探偵はなかなか出会えないように思った。ただ、残念に思ったのは、コーデリア・グレイのシリーズはたった2作しかないことである。そして第2長編も購入したので、いつか必ず読んでみたいと思う。 -
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薔薇戦争、ヘンリー6世、リチャード3世辺りを把握しているとイメージがひっくり返って面白い。(そこらへんの前提が無いと誰が誰だかわからなくて苦労する)
歴史は客観的に物事を見ることができる、という台詞は、対象となる歴史自体がここまで歪んでいるとするなら、とても皮肉。まぁ、本書出版から時が経っているし、教科書に書かれる内容も今では状況が違うのかもしれないけれど。
歴史は勝者によって作られるし、シェイクスピアは舞台だし、司馬遼太郎の小説が史実でもない。
シェイクスピアの表裏激しいリチャード3世は突き抜けてて単純に面白いと思うし、本書の家族愛に溢れた、甘い部分はあるものの誠実なリチャード3世も好きなので、それぞれ分けて楽しめばいい。
歴史はそういう物語性が好きだ。 -
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イギリスでは世紀の大悪人のように語られるリチャード三世。自身の玉座のために、幼い甥たちを殺害したとされる。彼は本当に悪人だったのか?本当に幼い王子たちを無惨に殺したのか?怪我で暇を持て余した刑事は、暇潰しがてら始めた歴史の考証にどんどん夢中になり…という内容。
日本でいえば、長らく低い評価をされてきた明智光秀の復権話に近いでしょうか??
読み終わった感想としては、とにかく薔薇戦争、リチャード三世の周辺についてある程度興味も知識もあるなら、そこそこ面白い。無ければチンプンカンプンって感じです。イギリス王室って同じ名前の人がとてもたくさんいて、親子だったり、親戚だったり、対立したり、協力したりととてもややこしい。例えば『かのエリザベスが〜』とかの記述で、どのエリザベスになるのか、ある程度ヨーク家の家系図が入ってないとほんと分かんなくなります。
私はそもそも呼んだきっかけが漫画の「薔薇王の葬列」関連の話を読みたいという気持ちでした。漫画のおかげで、エドワード、ジョージ、リチャード、エリザベス等々ちゃんと顔が浮かんでくるのでとても区別しやすかったです。
漫画は架空の物語にせよ、モデルになったリチャード三世に少なからず好感を抱いてたので、個人的には満足するお話でした。
ただ、サラッと読みすぎたのか、読み終わった今でもタイトルの時の娘が何を指しているのかいまいち分からなかったです。 -
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ひょんなきっかけで、ウェールズに関する本を読み漁っていた時に出会った本です。
シェイクスピアなどの古典で、名前は聞いたことあるし、ひどいことした人なんだなぁ、というくらいのイメージしかありませんでしたが。。
昔々の話ですし、この本に書いてあることが真実とも限りませんが、目から鱗のお話でした。
歴史書ではなく小説なので、主人公が徐々に徐々に、真相(歴史上ほんとうにそうだったかは定かでないし、今となっては知るすべもないものの)に近づいていくという構成が、読者を飽きさせず、さらっと読めてしまう本です!
この話が本当だったとしたならば、亡くなった後にまで丸裸にされて人目に晒されるなんて、なんて惨いんだと思うと同時に、日本の戦国時代しかり、平和な時代に生まれてよかったと考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
犯罪が絡むわけでもなく、日常の中に不可思議なことが起こったわけでもない。それでも時に人は無や常識から疑問を見いだし、謎を設定し、そして真実を見つけようとする。研究なんかもそうですが、こうやって謎や疑問を自ら定め、そして自分の興味を第一の理由にそれに挑むのが、ある意味最も純粋な謎解きではないか、と思います。
そんな謎解きに挑むのが、足を骨折し病院で暇を持て余すグラント警部。警部はふとしたきっかけから、歴史上では悪人と名高いリチャード三世に対し疑問を抱き、様々な文献をあたり、彼が本当に大悪人だったのか推理を始めます。
推理の過程が非常に面白い! 史実に対し頼りになるのは、文献や当時の記録のみなのですが、グラント警部はその文献の記録の妥当性や公正性すらも考慮に入れます。例えば、その文献の著者は、当時の関係者なのかだとか、立場であるとか、伝聞のみで文章を書いたのではないか、だとか。
こうやって考えてみると、グラント警部は探偵としても優秀なんですが、情報リテラシーの鏡でもあるよなあ。ネットはもちろん、マスコミや新聞だって100パーセント中立はあり得ないわけで、必ず編集する側の意思は入ります。それも考慮して、日々の情報を読み解くことが大事なのですが、グラント警部はぜひニュースの解説員にもなってほしい(笑)
当時の歴史上の人物の行動と、その行動を取った意味と妥当性、そして利益。グラント警部はイメージに彩られた歴史の通説を排し、純粋にそうした観点のみで、歴史に思いを馳せ推理、考察していきます。この観点は非情に単純なのに、それだけで歴史の意味が変わってくるのは面白い!
そして、この本で何より楽しいのは、グラント警部と、話の途中から警部に協力する研究生のブレントが新たな発見や、推理を純粋に楽しみ興奮しているのが、伝わってくることでもあります。
上記したように、巻き込まれた・持ち込まれた謎ではなく、自ら謎を設定し、具体的な被害も無く、興味だけで推理を進めていく物語だから、より純粋に”謎”それ自体を楽しんでいる感覚が、伝わってくるような気がします。なのでリチャード三世もイギリス史も全く詳しくない自分も、彼らと同じように純粋な謎解きを楽しめたのだと思います。
小説の中で様々な文献の名前が出てくるのだけど、これもそれぞれ面白そうで、これが架空の作品なのか、実際の作品なのかも気になるなあ。そして、そうした文献に対するグラント警部の辛辣な評価(レビュー)も、なかなか面白い。
ニュースの解説員はさっき書いたけど、書評家にもなってほしい。でも流行小説に対する評価は手厳しいので、出版社からは煙たがられるかも(笑)
本編とは関係ないのですが、ブレントを”むくむく仔羊ちゃん”とたとえてるのも印象的。どんな見た目だったんだろう。