長谷川卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前巻のレビューでも記載したがタイトル変更の作品と気付かず、再読。本来はこういった話で特に長編は再読に堪えないものが多いのだが、物語の世界観にぐいぐいと引き込まれて結局、完読してしまった。圧倒的に敵が強い状況で、敵の強さを示すためのエピソードを前触りとして散々、語りながらも、あっけなくやられてしまう展開の3段攻めは、流石に出来過ぎだろうと突っ込みながらも、本来は手を組むものではない適役が味方になったり、女子供が意外な活躍をしたり、こういうこともあるかと結局は納得させてしまうあたりは作者の力量だろう。それにしても最強と恐れられた風魔が相対的に最も弱く描かれているのも、敵役こそ強くあらねばならないと
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Posted by ブクログ
ネタバレ新しい作品かと思って読みだしたら、前の作品のリメームだったが、なんだかんだで結局、引き込まれて再読してしまった。
前の作品の内容を忘れてしまっていたが、大筋は覚えているので、こういったアクション物は再読に堪えないかと思ったが、そんなことも無く、相変わらずの面白さで前篇を読み進み、その勢いで後編も読んでしまいそうだ。
戦国時代の話であっけないほど人の命が軽く、殺す方も軽く、殺される方もあきらめが早く、本筋に関係ない端役はどんどん死んでいく。そんな中で、主人公たちは本来、生き残れない状況に追い込まれながらも、生にしがみつき、圧倒的な生命力を発揮して状況を乗り越えていく。再読ではあるが、物語の世界観 -
ネタバレ 購入済み
孫を想う伝次郎
南町奉行所永尋掛り同心、二ツ森伝次郎は70歳に近い。
今回の捕り物は、口入れ屋久兵衛が起こす二つの殺しを追う物語である。
寮番として働く作兵衛。実の名前は懸巣の尚兵衛と言い、大坂や江戸で殺しを請け負って来た殺し屋である。しかし、67歳になった今は高齢で体が思うように動かなくなっていた。
これらの悪党たちが、江戸で暮らすには塒をいくつも代え、そして名前もいくつも使い分けて暮らさざる得ない。久兵衛は口入れ屋「鳶」と呼ばれる。
鳶が尚兵衛に最後の仕事として蝋燭問屋「石見屋」の大内儀の殺しを斡旋した。そして十日以内に殺すようにと命じた。
一ノ瀬真夏が八丁堀近くで、偶然に鳶の手下、蓑吉を見掛け -
ネタバレ 購入済み
犯人の捕獲に血眼になる伝次郎
永尋同心、通称戻り船同心二ツ森伝次郎。朝八時の出仕である。奉行所内の掛りの部屋でいつものように朝の茶をすすっていると、平右衛門町の空き地で顔を潰された死体が見つかった知らせを聞いた。伝次郎は市中を見廻るのも重要なお役目である故、死体が見つかった現場方面に見廻りに出た。
その現場に向かう途中、古物や盗品を商いにする倉吉を見つけて問ただした。そして、茅町にある倉吉の家を訪ねると骨董品など細々と置かれている中に、名人早野三郎助が彫った根付を見つけた。
十二年前、富沢町の薬種問屋「讃岐屋」に盗賊が入り、主夫婦、倅夫婦と住み込みの者六名が殺害されて一千両が盗まれた事件があったのだが、その時一緒に盗ま -
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戻り船同心シリーズの2作目
主人公は息子に役目を継いで、とっくに隠居していた68歳の伝次郎。
永尋ね事件(迷宮入り事件)を担当する同心としてカムバック。
かつての仲間達や、その子や孫と一緒に事件を探索する。
主人公の良い点:
・主人公が臍曲がりで偏屈だが弱者に優しい。
・年取ったが故の癖はあるが、それを認識している。
・心変わりがあって、そこも面白い。
・細かい金離れが良い。
・そこそこ強いが手練れというほどではない。
そんなわけで周りを固める面々もユニーク。
いやいや、そんな上手く行くわけないだろ?都合良すぎないか?という点も有るが、そこは物語。
池波正太郎の「剣客商売」も実に面白かった