長谷川卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大山詣でで有名な大山出身の雨乞の左右吉は、
岡っ引きの手下である。
勘働きは親分を凌ぐ。
今回は幼馴染とでもいうのか、悪い時代を共に過ごした豊松が行方不明で、
事件を操作していても気掛かりであった。
一件が落着し、やっと豊松の行方を探せる。
いつまでも悪をやっていては命がないと
仲間の中で1番に抜けた豊松であったが、
店の金を盗んで行方不明という。
おかしいと探す左右吉。
大店の後妻と道で話す様子が目撃された。
調べると、悪い時代に通じる何かがあったらしい。
この小説、作者が存命なら名作シリーズとなったはず。
登場人物の描き分けが秀逸。
粋で情けが深く、用心深く。
たった2巻で -
ネタバレ 購入済み
伝次郎親子の連係で事件を解決
元御用聞きの多助は77歳の隠居の暮らしだが、嘗て捕り物の取り調べで無実の人を誤って島送りしたことを非常に悔いていた。流人船が出る船番所辺りに来ては腰を下ろして、海を眺めて罪滅ぼしの日々を過ごしていた。そんな折、家路に着く途中、子どもの拐かしを目撃し、犯人を追いかけたものの、年寄りの体には尾行すら辛い。そこにちょうど通り掛かったのが永尋掛りの二ツ森伝次郎たちである。
犯人の夫婦連れは逃がしてしまったが、子どもは取り戻してなんとか命を救った。
奉行所に連絡を入れて、担当を伝次郎の息子の新治郎に引き継いだ。
その翌日、伝次郎はいつものように町廻りを東海道大門方面へと始めるのだが、金杉橋近くの手 -
購入済み
布目屋お近の執念が実る
隠居をしていた二ツ森伝次郎は、以前仕えていた南町奉行所内に永尋掛りが新設された機会に、同心として再出仕していた。そしてすでにいくつかの手柄を挙げていた。伝次郎の長年の相棒、鍋寅やその孫娘・隼、そして手下の半六を従えて、日毎、江戸の町廻りをしていた。
伝次郎は捕り物が大好きなのだろう。伝次郎は町廻りで犯罪や事件に関係する事柄にすぐに目が行く。長年の経験の賜物であろう。
ある日、いつものように江戸の町廻りをしていて、橋のたもとで道を行き交う人の顔を食い入るように見つめている乞食とおぼしき老婆一人が座っているのを見つけた。
18年前、畳表問屋「布目屋」に盗賊・鬼火一味が押し入り、店の者たち11