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切れ者だが頑固で偏屈、そう揶揄されながらも六十八歳で同心に復帰した二ツ森伝次郎。ある日、彼を訪ねてきた老爺には、二十四年前に駆け落ちし失踪した娘がいた。ところが、浅茅ヶ原で見つかった白骨は自分だと、その娘が夢枕に立ったと言う。あまりに荒唐無稽な話だが、伝次郎は愚直に信じ探索を始めた。すると…。女剣士真夏も加わり、益々痛快、腕利き爺の事件帖第二弾!
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布目屋お近の執念が実る
隠居をしていた二ツ森伝次郎は、以前仕えていた南町奉行所内に永尋掛りが新設された機会に、同心として再出仕していた。そしてすでにいくつかの手柄を挙げていた。伝次郎の長年の相棒、鍋寅やその孫娘・隼、そして手下の半六を従えて、日毎、江戸の町廻りをしていた。 伝次郎は捕り物が大好きなのだろう。伝次郎は町廻り...続きを読むで犯罪や事件に関係する事柄にすぐに目が行く。長年の経験の賜物であろう。 ある日、いつものように江戸の町廻りをしていて、橋のたもとで道を行き交う人の顔を食い入るように見つめている乞食とおぼしき老婆一人が座っているのを見つけた。 18年前、畳表問屋「布目屋」に盗賊・鬼火一味が押し入り、店の者たち11人全員を殺した上に、有り金一千三百両を盗んで、まんまと逃げ果たしたという1件があった。その時の御内儀が一命を取り留め、奉公人の伝で府中で暮らしてきた。年老いて江戸を見ておきたいと願い、江戸に出た際に、両国広小路であの時の盗賊一人を見かけた。それ以来、その老婆が薬研堀の宇兵衛長屋に居を移して、日毎乞食姿で往来に座り続けて犯人を捜しているのである。この御内儀の名は「近」という。 伝次郎たちは、この御内儀を見守る必要があり、又同時に力になりたいと考えるのである。同じ長屋の空き店を借りて近の見張りを続けるのであった。 糸が不忍池の側の墓所で襲われたことで、この手がかりを伝次郎は逃さない。鬼火一味の中に侍らしい賊がいると判断し、しかも今も江戸で姿を変えて、お店の主に納まっているいるのではないかと推測した。 やがて、大店、但馬屋の主・利右衛門が犯人として浮かんできた。伝次郎はほどなく利右衛門を捕縛するのである。 伝次郎68歳。歳からして奉行所内でも何処でもかまわず、上下の隔てなく誰とも気軽に話しをする。江戸っ子丸出しの会話が気持ちいい。そして老練な推測と勘や足を使った精力的な仕事ぶりが、事件を快く解決に導いている。
#ハッピー #感動する
Posted by ブクログ
文句なしに面白かった第2巻。 人嫌いで偏屈、ただ剣の腕は名人級の同僚、一ノ瀬八十郎は、同心株を売り渡し多変人。その八十郎が捨て子を幼女として育てた、しかも剣の技も。名前を真夏という。 片田舎で暮らしていた真夏を人生のうちで、汚れたものも見なければという人生修行の名目で、伝次郎の元へ。 事件を追って...続きを読むいる途中で偶然遭遇し、そのあとは伝次郎を手伝うことに。 弱い人、忘れ去られた事件など、おううちに見えてくる人の心模様。 素敵なシリーズになっている。 伝法な語り口も魅力的。
どんどん事件を解決 だんだん仲間が集い ピカピカの詰め所が そうそうに出来上り わくわくする物語が まだまだ続くのだ!
戻り船同心シリーズの2作目 主人公は息子に役目を継いで、とっくに隠居していた68歳の伝次郎。 永尋ね事件(迷宮入り事件)を担当する同心としてカムバック。 かつての仲間達や、その子や孫と一緒に事件を探索する。 主人公の良い点: ・主人公が臍曲がりで偏屈だが弱者に優しい。 ・年取ったが故の癖はあるが、...続きを読むそれを認識している。 ・心変わりがあって、そこも面白い。 ・細かい金離れが良い。 ・そこそこ強いが手練れというほどではない。 そんなわけで周りを固める面々もユニーク。 いやいや、そんな上手く行くわけないだろ?都合良すぎないか?という点も有るが、そこは物語。 池波正太郎の「剣客商売」も実に面白かったが、これはこれで楽しい。 まだシリーズは続くみたいなので引き続き楽しませてもらう。
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長谷川卓
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