長谷川卓のレビュー一覧
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歳を感じさせない捕り劇劇
南町奉行所の永尋掛り同心、二ツ森伝次郎。相変わらず捕り物にかけては年の功を感じさせ、事件の解決に邁進する腕の良い同心である。今回も悪人を取っ捕まえまくる。
過去に事件を起こした悪人たちの多さ。盗賊、火付け、殺し、誘拐等などの凶悪事件があった。
悪者が多すぎるとこぼす伝次郎。事件の直後に解決していれば、次の事件にも繋がらずに済んでいたと思う伝次郎である。
第四話、「鼻水太郎兵衛」は盗賊、斑蜘蛛の一味を捕らえる大捕物物語である。伝次郎と同じ同心の一ノ瀬八十郎は剣の遣い手である。その親友である同じ剣客の枝村収蔵が盗賊の用心棒になっていた。八十郎は枝村と対決して倒した。枝村がどこで悪の道に入ったのかと思わざるを得ないが、些細は判らない。捕り物前夜には八十郎は枝村と一緒に夜通し飲み明かした仲なのに、結末は意外であった。
それにしても伝次郎の仕事ぶりは鋭いが、何処かとんがりが消えて余裕すら出た姿を感じる。お宮入りの事件を扱うということは、事件当時は解決できなかったことであり、新しい事実が出てきた今それを解決しなければという思いが強い余り、その解決にのめり込むのであるが、しかし、今回は捕り物の話しばかりではなく、夕餉の支度やら買い物の時の様子や茶店でのおしゃべりなどが出てきて、読んでいて心を和ませる。そうならば、伝次郎の愚痴る様も理解できるが、汚いやり口も相変わらずでそれが彼の人柄なのだろう。
盗賊、斑蜘蛛を一網打尽にして事件解決となる。
捕り物の最中は伝次郎はピリピリしている。しかし、ほかの手下は勝手放題である。夕餉のけんちん汁を仕込む時の様子などが物語に出てくるが、江戸の生活も感じられて読む者の心を和ませる物語になっている。 -
ネタバレ 購入済み
江戸の治安を守る元気な元同心
元南町奉行所定回り同心二ツ森伝次郎は、家督を息子新治郎に譲り、隠居暮らし10年、気ままに過ごしていた。
25年前江戸を軽追放されたはずの弁天の常七の姿を目にした。伝次郎は事件の起こる予感がした。探索には人がいる。同じ元同心の染葉忠右衛門を誘った。第一話の「一番てがら」の始まりである。
このところ江戸では他国より流れ来て、住み着く者が多く、犯罪数も増えていた。奉行所では人手が足りなくなり、元同心などを集めて再出仕組という部署を立ち上げて、永尋ねになっている事件の探索に当たらせる永尋ね掛りを作ることにした。永尋ね掛りとは未解決事件で俗にお蔵入りの事件を再調査する役目である。
この臨時の部署に二ツ森伝次郎が選ばれた。
盗賊、夜烏の伊兵衛一味が狙うは元大坂町の白粉問屋「紅屋」であった。伝次郎は、嘗て岡っ引きをしていた寅吉、通称鍋寅を仲間として誘った。そこに鍋寅の手下の卯之介や孫娘隼が加わった。もちろん、息子の新治郎など二ツ森家の家族も伝次郎の周りに集まるのだが・・・
集まった者たちは、侍を除けば学問などに疎く、文字すら満足に読めないのだろうが、事が一旦捕り物となれば、上の者の指示命令を良く理解した。そして仲間で息を合わせて、一糸乱れぬ行動を取り、その役目を果たす高い能力の持ち主であった。
「五平」という居酒屋を住処とする盗賊一味。東海道を来て、日を追って続々と集まりっていた。その数15名に増えていた。盗み決行の日、一味が五平を発った。見張りを続けていた伝次郎たちはその後を追い、その道の途中で、盗賊一味を見事に捕らえたのである。
第二話の「いやな奴」、第三話の「何も聞かねえ」にも伝次郎の精力的な仕事ぶりと仲間の与えられた役目を果たす高い能力などが窺われ、読み応えがあると同時にある意味当時を伺える作品と感じた。 -
Posted by ブクログ
下巻も一気に読んでみました。こっちの方が物語に展開があっておもしろく、こうやって登場人物のつながりの蓄積で話はおもしろくなっていくのかなと思いました。それと、ハッとさせられたのは宴の理由のところ。「冬が終わった」「春がきた」そういう理由をつけて集まる方が、定期的に集まるにしたって義務感を感じずにできるのかなと思いました。むしろ、そんな理由で集まる方が楽しく飲める気もする。今度やってみようかな。物語自体は、当初は「嶽神」がどこで出て来るのかとか思っていたけど、なるほど、シリーズで読むほど楽しみが増えていくそのものたちへの敬意、という意味でいい名前だなと思いました。