飛田茂雄のレビュー一覧
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<翻訳文学試食会>で名前が出ていたので読んでみた。かなりの難物でした(^_^;)
第二次世界大戦中に、イタリアの近くのピアノーサ島に駐屯するアメリカ空軍部隊がある。
主人公はアッシリア系アメリカ人で爆撃助手のヨッサリアン。彼は「生き残る」ことを第一としていた。そのためには手段を選ばない!そもそも空軍を希望したのだって、長い長い訓練期間のうちに戦争が終わるだろうと思ったから。だって神様は俺達の味方らしいし、戦争はすぐに終わるんだろ。
でもヨッサリアンが前線に送られても戦争は続いている。
どんな物語か掴めず苦労した…(+_+;)
まず文章が回りくどい。
「彼のことを知っているのは、彼のことを -
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上巻は問答するやり取りやキャラクターの突飛な行動が面白く、ときには吹き出すくらいに笑えた。
下巻はどうなるのかと思ってたら、今度はとても怖い展開になっていく。
上巻で登場していた、前の章(とは言っても時間軸のズレはあるが)で生きていた人間たちが、呆気なく、理不尽に死んでいく。
戦場で死ぬのならまだ理解も追いつくが、なかには味方が自らの利益を生むために、その犠牲になって死んでしまう人間もいる。
上巻以上にその理不尽さは高まる。
ヨッサリアンは味方の死を伝えに行けば殴られ、蹴られ、殺されそうになったりしていて、ドタバタ感はあるものの常に死がついてくるような緊張感がある。
だが、意外な人物が最後に一 -
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第二次世界大戦中、地中海の小島にあるアメリカ軍の基地から爆撃に向かう航空兵士たち。
主人公のヨッサリアンは規定の飛行回数を過ぎたにも関わらず、上官の気分で規定の飛行回数が増やされる。その状況に、このままではいつか死んでしまうと思い生き延びようと、狂ったフリをする。
しかし、そのヨッサリアンの前に軍規であるキャッチ=22が立ちはだかる。
キャッチ=22は、本当に狂った人間は狂ってることを証明しようとしないで出撃するはずである。出撃を拒否することはつまり正気である、という不条理で実態のない軍規であった。
不条理な状況に晒されるヨッサリアンを可哀想だと思うのだが、多くの軍人たちとのやり取りもめちゃ -
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ネタバレ名作「日の名残り」と同じように、自分なりのポリシーを持って難しい時代を生きた老人の回想という形をとっている。
老人は戦時中に、愛国心を支えるような活動をしてきた画家。一時期は高い地位を得ていた(それも本人の記憶の中だけで、実際はどうだったのか、最後の方には現実と記憶の乖離も考えられるようになっているのが面白い)。
戦後、新しい価値観が広がる世の中で、自分のしてきたことに対する誇りや反省、保身、様々な感情が入り乱れる。娘や義理の息子たちにどう思われているかも気になるし、威厳は保ちたいし…。
「時代の変化」の中で、小さな一個人が翻弄される…というほど大げさな設定でもない(戦場に行くわけでもなく、戦 -
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ネタバレこういう感想文を投稿するのは初めてなのでご容赦ください。以下の感想は読み終わったばかりの勢いで書いています。
最初から最後まで、画家・小野の視点で描かれている。『価値観の変動』と『生き方』に焦点を当てた作品だと感じた。私がこの本から受け取ったメッセージを以下に示す。
《価値観は時代とともに移ろい行くものだから、誰しも後になって自らの過ちに気がつくかもしれない。しかし、『自分の信念に従って、全力で生きた』ならば、それの信念が間違いであったとしても後悔はしないであろう。》
また、この作品では、とかく何かを明言するのを避ける傾向にある。しかし、多数の場面を組み合わせて、人の心の動きを -
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具体的な神話について詳細が語られるような本ではなく、インタビュアーに応える対話形式。
この本を読もうと思ったのは、令和元年を迎えるにあたって、天皇家ってなんだ?という疑問から古事記の解説本を読んで、その本のコラムに、古事記と共通する他国の神話の話が幾つも紹介されていて世界の神話の共通性に興味が湧いたのと、並行で読んでいた西洋美術の本でも、神話画がヒエラルキーの頂点とか、人間の歴史の中に神話が欠かせないものなのかなぁと漠然と思ってたところにちょうど手に入った。
神話の共通性って、人間の形、男女の違いなどが影響してたりするのをみると、ホムンクルスじゃ無いけど、身体と脳の関係性が思考に影響して -
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2回目。いつも素晴らしい小説をありがとう。
初めて日の名残りを読んだ時はたまげたけど、テーマほんとうにそっくり。
日の名残りの方が華やかさと鮮やかな色彩感があって好きだけど、地味で淡々としていて暗いこちらも良い小説。
主人公のやるせなさや辛さも、周囲の気まずさや不満も、どちらも手に取るようにわかるから、読んでて少ししんどくなる部分すらあった。
今主人公を責める周りの人たち、すなわち二人の娘や素一や三宅家の人たちは、戦争中は何を考えてどう行動してたの?
主人公が先陣切ってやったことが戦後的価値観に照らし合わせれば良くない行いだとしても、当時彼ら周囲の人たちはそれを支持して尊敬したんじゃない -
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世界中に、インターネットなど情報を伝達する共通の科学的基盤が無い時代に、神話という形で世界各地に共通する要素を持つ物語が存在している。
そういった神話の人間への意味合いを、そこに存在する隠喩を繙くことで人間を導く力があるということを述べている。こどもから大人への転換、英雄物語、等人生のなかで生きる指針を与えてくれている。
また、それらを踏まえて、現在の世界には地球規模の神話が必要であると述べられている。
今後宇宙での生活を行う人間たちはどういった精神性を持つのだろうか、と途中から考えてしまっていた。国境や人種の隔たりや地面に縛られないなか、そういった環境で生まれた人間はどういう感覚を持つ -
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「ストーリー・ウォーズ」からのジョーゼフ・キャンベル。世界共通の神話母型があり「スターウォーズ」はそれに則っている、と知っているつもりだったが、ちゃんと書籍で読んだのは初めてでした。いま自分にとって必要な時に必要な本、というか必要な読書体験だったような気がしています。次は「千の顔を持つ英雄」に行くしかないかも。人が成長するためにどんな旅に飛び込まなくてはならないのか?巡り合わなければならないのか?とても沁みてくるものを感じます。聴き手のビル・モイヤーズも素晴らしい知性の持ち主で見事にキャンベルのビジョンを引き出しているのですが、微妙に自分だったらここ聴きたいのに!みたいな流れもあって、自分が直
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