飛田茂雄のレビュー一覧
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ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22〔新版〕(下)』ハヤカワ文庫。
早川書房創立70周年を記念し、企画されたハヤカワ文庫補完計画、全70点の1冊。大好きな映画『BIG WEDNESDAY』にチラっと登場した小説で、当時から読んでみたいと思っていた。映画では主人公のジャックの母親がジャックたちの乱痴気騒ぎに眉をひそめながら読んでいたのだ。
戦争の馬鹿らしさを諷刺的に描いた一種の反戦小説なのだが、白々しさばかり感じた。アメリカは建国の歴史そのものが暴力と殺戮で血にまみれ、現代に於いても石油の利権や自国の経済成長のためならば他国に戦争を仕掛ける、とんでもない国だと思う。そんなアメリカの大統領と呼ばれる人物は、日本に交戦権を否定する憲法を押し付けたにも関わらず、日本が自前の軍事力を持たずにアメリカに頼るのはおかしいと言い出す始末。この程度の諷刺では蚊に刺されたくらいにしかならないのではなかろうか。
本体価格1,180円
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神話の冒険の構造と精神的な意味は、原始的な部族社会の思春期儀礼やイニシエーション儀礼に先取りされている。[5章265頁]
おとぎ話は子供のためのもので、大人の女性になりたくない女の子の話が多い。グリム童話は、あらゆる障害を乗り越えてやってきた王子様が、向こう側の世界もなかなかよさそうだと思わせてくれるまで待つ行き詰った女の子を描いている。龍退治や入口をまたぐ話は、行き詰まりの打開と関係している。[5章291頁]
大河の流域に文明が生まれたが、そこは女神の世界だった。BC4000年頃、羊飼いのセム族や牛飼いのインド=ヨーロッパ民族が侵略した。どちらも元はハンターで、殺すものがいるため、他の人々と抗争し、攻め入った地域を征服する。この侵略者たちがゼウスやヤハウェのような戦いの神、稲妻を投げる神などをもたらした。[6章360頁]
エーゲ海からインダス川まで、母なる女神が支配的な存在だった。その後、インド=ヨーロッパ民族が入ってきて、男性中心の神話が広がった。BC7世紀頃に女神が復活する。ウパニシャドでは、ヴェーダの神々に力と存在の究極的な基盤と源泉がどこにあるかを教える教師として、生命付与者たる女神にして形象の母という意味のマーヤ=シャクティ=デヴィが現れる。[6章381頁] -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代社会を神話という切り口から分析する。ジョーゼフ・キャンベルの膨大な知識を聞き手のビル・モイヤーズがうまく引き出す。観念的な話が多いので、さくさくは読めなかったが、難解でもなかった。ただキャンベルの主張はよく理解できない、納得できないところも多々あった。宗教の話題も多いので、価値観が合わないことは当然あるのだが、根拠が神話に依っているのが原因ではないか。
神話は確かに過去の人類から受け継がれた宝で、現代でも通じるものがたくさんあるだろう。しかし、相互に矛盾しているし同じテキストがまったく異なる意味に解釈されることもある。牽強付会とまでは言わないが、主張に合致するテキストのみを持ち出して反例は黙殺している嫌いがある。さらにキャンベルの主張も一つの解釈なので、それが全て正しいというものではない。神話というマテリアルから何を学べるのかはそれぞれ異なるため、自分の解釈を見つけて人生を考えるツールの一つにしたい。