飛田茂雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレレーベルはSFだけどSFではないんだよね…
ある種問題作かもしれません。
(まあ仮の人物としてがSFか?)
一人の二重スパイがこの状況にまで
至るまでのお話。
結局言ってしまえば、
戦争というものは様々な憎しみの種を植え付け
どこまでも暴走していくということ。
まあそれでもこのキャンベルは
うまく立ち回ったとは思うのよ。
じゃなきゃ最初につかまった時点で
とっくに絞首刑になっているので。
そして一時の幸せであろう生活までもが
途中で暗転してしまう恐ろしさ。
それが彼にとっての「報い」だったのかもしれません。
結局は彼は望んで
延長されていた罪を受けることになります。
そうなるとどん -
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Posted by ブクログ
第二次大戦前から画家として活躍してきた小野が、うまくいかない娘の縁談や周囲の態度から過去を回想していく。師匠の耽美主義を離れて精神主義に傾き、戦時のプロパガンダに加担し評価され、自信を深めるが、価値観が一変した戦後の日本社会で、そのアイデンティティをどう扱ったらいいか迷い悩む。
語りの中で、小野が自分の記憶の曖昧さを何度も確かめるように表現している。話の筋そのものにはあまり関係しないが、読み手としてなぜかそこにひっかかりを感じてひきこまれる。
人が過去を振り返るときの記憶の曖昧さこそが、人間らしさであり、だからこそ生きていけるのかもと思わせる。ここに焦点を当てる語りが、著者の技の一つかもしれな -
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Posted by ブクログ
これを30歳そこそこで書いたのか!とまずそこに驚く。たしかに日本人ぽくない言い回しや思考回路、やりとりはあちこちに見られる。特に、一郎。理路整然と喋りすぎ。けれど、主人公である小野は明治生まれの鼻もちならないじいさん。そんな作者自身からかけ離れた人間の自分語りを、その年齢でこのレベルの作品に仕上げるのがすごいと思う。いかに彼に祖父母の記憶があるとはいえ、カケラのようなものに過ぎないはず。そこからこのサイズの図を描きおこす筆力を、若くしてすでにもってたんだなぁ。
功罪という言葉があるけれど、功績の大きさを認めると罪の大きさも同時に認めざるを得なくて、そうすれば必然的に罰を受けていない今の自分を -
Posted by ブクログ
画家の人生を通して、戦前から戦後の日本における価値観の変化を描いた作品。
戦中から戦後の世情の空気の移ろいを察知した画家の、過去の自分の作品が世間に与えた影響と責任を認めつつも、時代を生きたという誇りは忘れない強さを感じる。
同じような境遇で責任を感じて自ら命を絶った作曲家との対比なども印象的ではあるが、この話から思い出されるのは藤田嗣治。
彼が戦後、この作家と同じような境遇に陥り、世間から大きなバッシングを浴び逃げるようにパリに移住したことは、時代と世論の変化の残酷さをつくづく感じさせる。
そして最近のSNSを通しての、諸々の炎上騒動についても同様に考えさせる。 -
Posted by ブクログ
夏目漱石の『それから』とか、太宰治の『斜陽』のように、破滅的な最後に向かっていくのかと思っていました。これはこれで好きです。
翻訳版の文体のためか、今まで触れた同氏の作品と比べると、舞台がそうであるからという理由以上に、日本的な印象を強く受けました。
一方、少し気になる点もいくつかありました。
語り手である小野さんの話がいちいち脇道に逸れるのは、もちろんそれが物語の肉付けとして重要なエピソードだからなんですが、「逸し方」っていうのはそう何パターンもあるわけではないので、「またか」と少し気が散る印象がありました。
それから、誰かの発言を思い出した直後に「本当にそういう表現をかの人が使ったか -
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Posted by ブクログ
人々を説得によって信仰に導こうとするからうまくいかない。むしろ自分自身の発見の輝きを示すべきだ。世界中で最善のものと認められ考えられている物事を知り、それをまた他者に知らせることによって真実のまた新鮮な思潮を創造すること。
世界の神話に共通した要素を発見し、人間の心理の奥底には絶えず中心に近づきたい、つまり深い原理に近づきたいという要求があることをしてきすること.
人生の意味の探求が必要なのではなく生きているという経験を求めること。
スペシャリストとジェネラリスト
自分自身の神話を見つけようと思ったらどういう社会に所属しているか知ることが大事。遊牧民族か、農耕民族か。
日本はまだ内面的には