飛田茂雄のレビュー一覧

  • 浮世の画家〔新版〕
    過去の過ちを認めたことと、マダム川上のバーがオフィスへと変わったときのタイミングが重なるのは、本作を象徴的に表している。現実と対峙するには、浮世(マダム川上のバー)から離れなくてはならない。
  • 浮世の画家〔新版〕
    「少なくともその時は、信念に基づいて行動していた」

    主人公の自尊心が強すぎる。こんな父親だったら面倒だと思ったけれど、昔の父親はこのような人が多かったのかな?
    以前、NHKでドラマをやっていた。主人公は渡辺謙、上の娘が広末涼子。少ししか見ていないけれど。
  • 浮世の画家〔新版〕
    画家の人生を通して、戦前から戦後の日本における価値観の変化を描いた作品。
    戦中から戦後の世情の空気の移ろいを察知した画家の、過去の自分の作品が世間に与えた影響と責任を認めつつも、時代を生きたという誇りは忘れない強さを感じる。
    同じような境遇で責任を感じて自ら命を絶った作曲家との対比なども印象的ではあ...続きを読む
  • キャッチ=22〔新版〕 下
    非常に面白いのになかなか読み進められない。こんなに不条理で猥雑で不可思議な小説がアメリカでは高校の課題図書リストに載ってるとは。
  • 浮世の画家〔新版〕
    戦前から戦後にかけて、主人公の意識の変化や、心情の揺れが丁寧に描かれていて、とても興味深かった。
    時代に翻弄される人々の様子もリアルに描かれていて、激動の時代に想いを馳せる事が出来た。
  • 浮世の画家〔新版〕
    ある一人の男の意識の流れ。この作品に漂う静けさ。ドラマを見たせいもあり、主人公の小野は、渡辺謙さんだった。
  • 浮世の画家〔新版〕
    夏目漱石の『それから』とか、太宰治の『斜陽』のように、破滅的な最後に向かっていくのかと思っていました。これはこれで好きです。

    翻訳版の文体のためか、今まで触れた同氏の作品と比べると、舞台がそうであるからという理由以上に、日本的な印象を強く受けました。

    一方、少し気になる点もいくつかありました。
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  • 神話の力
    世界の神話を比較して読み解く対談本。

    対談者がキリスト教徒ということもあり、必然的にキリスト教の話が多い。それでもこれだけ比較して話せる知識量がうらやましい。

    生まれた時から自分の信じる宗教が決まっているというのはどのようなものなのだろう。ニーチェは苦しんだあげくにそこから抜け出せず終わった。
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  • 神話の力
    人々を説得によって信仰に導こうとするからうまくいかない。むしろ自分自身の発見の輝きを示すべきだ。世界中で最善のものと認められ考えられている物事を知り、それをまた他者に知らせることによって真実のまた新鮮な思潮を創造すること。

    世界の神話に共通した要素を発見し、人間の心理の奥底には絶えず中心に近づきた...続きを読む
  • キャッチ=22〔新版〕 下
    時系列のせいで混乱してもたけど、読み切ると凄ぇ!ってならざるをえない。
    このレベルの読後感はなかなか味わえん。
  • 母なる夜
    ヴォネガットの著作では、自己の体験を強く反映しながらも、読み終わってから主人公がどんな人間だったか思い出せないことが多かったりするけれど、本作は妙に記憶に残る。
    それは、主人公が、自分のやってきたことをごまかそうとせず、そして最終的に自分の意志で選択をするからなのだろう。
  • 神話の力
     人々はよく、われわれは生きることの意味を探っていると言いますが、人間がほんとうに探求しているのは、たぶん生命の意味ではありません。人間がほんとうに求めているのは、<いま生きているという経験>だと思います。
    純粋に物理的な次元における生活体験が、自己の最も内面的な存在ないし実体に共鳴をもたらすことに...続きを読む
  • 神話の力
    神話の具体例と、そこから導かれるキャンベル師の人生訓の繰り返し。
    個人主義的な、あるひとつの時代の言説だなぁ、という印象。
    しかし大変前向きで励まされるところも多い。
  • 神話の力
    読んでいる時は神話についての話だと思っていたけれど、気になった箇所のメモを取ってみたら、これは神話を拠り所にした現代への教えの本なのだと気づいた。読み応えあり。
  • パームサンデー―自伝的コラージュ―
    ヴォネガットの再装丁・再販シリーズ。
    これでようやくだいたい揃ったかな。

    2009年2月購入。
  • 神話の力
    本文の「現代の若者は、ただ有名になりたいという人が増加している」みたいな文章から、現代の人には英雄の精神が不足していると感じた。英雄は、社会のために自己犠牲してこそ英雄になるわけで、「ただ有名になりたい」は自己犠牲せずに社会から称賛されたいというもの。
    フォロワーが何万人いてもなお、承認欲求に飢えて...続きを読む
  • 神話の力
    読み始めると著者らのバックボーンの違いか時代背景の違いなのか、本編と違うところが気になって集中出来なかった。
  • パームサンデー―自伝的コラージュ―
    氏の講演やエッセイを収めたものだが、驚くほど身辺のことを率直に語ったりしており、まさに「自伝的コラージュ」。しかし、仕事の種類が雑多でこんなに色んな講演の仕事受けてたのね、と。(その理由も後半で語られるのだけど)。
    前作のエッセー集が氏のユーモアやペーソスを滲ませながらも氏のフィクションより(個人的...続きを読む
  • 神話の力
    スターウォーズや鬼滅の刃など、現代でもヒットする作品は世界のあらゆる文化の中で生まれた宗教や神話を参照しながら作られていると言われている。「神話」と聞くと普段の生活に馴染みがないように思うけれども、意外と普段意識しないところまで浸透しているのかもしれない。

    世界各地の神話を比較して研究してきた著者...続きを読む
  • ヴォネガット、大いに語る
    スローターハウス5が1969年だから、それから5年後に出された本書は、もっとも初期のころのエッセイを集めたことになる。

    ヴォネガットは小説は面白いけれども、エッセイ集は面白くなかった。
    真面目さが前面に出過ぎているからだろうか。