飛田茂雄のレビュー一覧
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『「浮世の画家」でいることを許さないのです』という小野の言葉。モリさんは歓楽(耽美主義)に美しさを見出し、「浮世」を描くが、時代が進むにつれて小野は師の「浮世」への考えに対して自分の考えを表す。ただ、小野の当時の作風について改めて考えると、小野が導き出した精神主義的な作風もまた、大きく見ると「浮世」だと言える。小野自身もまた時代に翻弄された「浮世」の画家なのでは。
小野に限らず、この作品の時代背景も、紀子の縁談も、一郎の好むヒーローも、時と共に流動的に変化している。浮世の中で人々は時代に合わせて生きている。
小野の語りからは、古風かつ独善的で自己を正当化しようとする性格が滲み出ている。当時を思 -
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スターウォーズや鬼滅の刃など、現代でもヒットする作品は世界のあらゆる文化の中で生まれた宗教や神話を参照しながら作られていると言われている。「神話」と聞くと普段の生活に馴染みがないように思うけれども、意外と普段意識しないところまで浸透しているのかもしれない。
世界各地の神話を比較して研究してきた著者が、「男女」「結婚」「生死」「英雄・冒険」など、重要なキーワードをもとに様々なエピソードを紹介。キリスト教やイスラム教、仏教などはもちろん、南米の山奥で根付いている宗教からアフリカの村に伝わっている神話など、世界の端から端まで網羅されていて、その情報量に圧倒された。国だけでなく、神話がユングなどの心 -
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ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22〔新版〕(下)』ハヤカワ文庫。
早川書房創立70周年を記念し、企画されたハヤカワ文庫補完計画、全70点の1冊。大好きな映画『BIG WEDNESDAY』にチラっと登場した小説で、当時から読んでみたいと思っていた。映画では主人公のジャックの母親がジャックたちの乱痴気騒ぎに眉をひそめながら読んでいたのだ。
戦争の馬鹿らしさを諷刺的に描いた一種の反戦小説なのだが、白々しさばかり感じた。アメリカは建国の歴史そのものが暴力と殺戮で血にまみれ、現代に於いても石油の利権や自国の経済成長のためならば他国に戦争を仕掛ける、とんでもない国だと思う。そんなアメリカの大統領と呼ば -
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神話の冒険の構造と精神的な意味は、原始的な部族社会の思春期儀礼やイニシエーション儀礼に先取りされている。[5章265頁]
おとぎ話は子供のためのもので、大人の女性になりたくない女の子の話が多い。グリム童話は、あらゆる障害を乗り越えてやってきた王子様が、向こう側の世界もなかなかよさそうだと思わせてくれるまで待つ行き詰った女の子を描いている。龍退治や入口をまたぐ話は、行き詰まりの打開と関係している。[5章291頁]
大河の流域に文明が生まれたが、そこは女神の世界だった。BC4000年頃、羊飼いのセム族や牛飼いのインド=ヨーロッパ民族が侵略した。どちらも元はハンターで、殺すものがいるため、他の人 -
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ネタバレ現代社会を神話という切り口から分析する。ジョーゼフ・キャンベルの膨大な知識を聞き手のビル・モイヤーズがうまく引き出す。観念的な話が多いので、さくさくは読めなかったが、難解でもなかった。ただキャンベルの主張はよく理解できない、納得できないところも多々あった。宗教の話題も多いので、価値観が合わないことは当然あるのだが、根拠が神話に依っているのが原因ではないか。
神話は確かに過去の人類から受け継がれた宝で、現代でも通じるものがたくさんあるだろう。しかし、相互に矛盾しているし同じテキストがまったく異なる意味に解釈されることもある。牽強付会とまでは言わないが、主張に合致するテキストのみを持ち出して反