永井淳のレビュー一覧

  • 野獣死すべし

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    今年度読んだ中で一位。

    まず読みやすい。展開が早いのにきちんとついていける

    自分の息子が殺された恨みを晴らすために、息子を殺した男に近付く様子を手記形式で残す話で第一章。

    第二章は探偵の捜査パートで、第一章の息子を殺した男が本当に死んでしまい、犯人を解き明かすもの。

    あの手記によって犯人を第一容疑者から外すやり方が面白い。
    最後の犯人と探偵のやりとりが実に気持ち良く、両人が善人であると感じた。被害者がくずすぎるw

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    2011年11月19日
  • フランクフルトへの乗客

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    話を読んでいると、「フランクフルトへの乗客」ではなく、
    「フランクフルトでの乗客」というのが妥当なように感じた。

    霧で着陸できなかった飛行機が、フランクフルトで乗り継ぐ。
    ドイツのルフトハンザのハブ空港はフランクフルトだ。

    飛行機の話題があって、アガサクリスティが生きている頃に、
    飛行機も利用されていたことが分かった。

    話の筋としては、政治的な事項、経済的な事項、旅行、貴族、芸術など、
    いろいろあるが、やや気になるのは政治的な事項だろう。

    時代を感じさせる物語の一つだ。

    解説の森薫さんが、漫画の解説にしているのは出色。

    ps.
    日本からのヨーロッパへのハブ空港

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    2011年08月14日
  • 単独飛行

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    ダールの作品の原点を確認することができました。

    「マチルダ」、「チョコレート工場の秘密」、「こちら愉快な窓拭き会社」の3つが、 同じ著者の作品だと知らずに、それぞれ読んでいました。

    単独飛行を呼んで、3つの本の共通点に気がつきました。

    極限の経験、人間に対する愛情、大人の権威に対する反発。
    この3つの視点が、作品ごとに、それぞれほどよく混ざっています。

    この本を読んで、ダールの本を安心して子供に勧めることができるようになりました。
    ますますダールのファンになってしまいました。

    ps.
    宮崎アニメの「紅の豚」の題材の一つだといわれているそうです。

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    2011年06月20日
  • 少年

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    ダールってこんな人だったの!という自伝。イングランドの寄宿学校の雰囲気が非常によく伝わってきます。鮮明な少年感情とか。両親がノルウェー人とは知らなかった…。

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    2011年04月03日
  • 少年

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    「チョコレート工場の秘密」の作者の自伝本。これを読んで「あなたに似た人」を書いた人と同一人物ということを知りました。びっくり。小さいときから就職先が決まるトコまでが書かれています。
    学生時代の体験が「チョコレート・・」の基になってるようですな。

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    2009年10月04日
  • 来訪者

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    叔父のオズワルドは巨万の富と漁色癖で一族の伝説的な存在であった。ある日、叔父のオズワルドから遺産として膨大な量の日記が送られてきた。そこには彼が送った優雅で刺激的な生活が記されていたのだった・・・

    4つの短編が叔父のオズワルドの日記形式で収録された小説。

    エロスでおかしい、そういった言葉がぴったりな作品。

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    2009年10月04日
  • 野獣死すべし

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    これは面白い。「頼子のために」がニコラス・ブレイク風って書いてあったと思ったけどこういうことだったのかと一人納得。最初に愛するものを失った者の日記があるんだけど、その生々しさというか滲み出てくる悲しさなんていうのがとてつもなくうまいと思う。またそのせいで感情移入しちゃって第三章からの仮説が飛び交う展開でこの人は絶対に犯人ではないと思ってしまう。いや、これはうまいね。見事にやられた。脱帽。

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    2009年10月04日
  • 来訪者

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    こりまさんのポストで知った作品。ロアルドダール初めて読んだけど結構面白かった!
    容姿に優れた男性の描写が秀逸

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    2025年11月15日
  • 呪われた町 上

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    初スティーブン・キング作品だった。情景描写が深く、読むのに苦労したが、闇の中に溶け込むように意識を集中すると繊細なイメージが浮かんできて、流石『ホラーの帝王』と呼ばれるだけあると感じた。ジェルーサレムズ・ロットに潜む闇が下巻でどう展開されるか非常に楽しみである。

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    2025年09月15日
  • 呪われた町 上

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     丘の上から屋敷が見下ろす町、セイラムズ・ロットに正体不明の恐怖が迫ってくるホラーで、閉鎖的な町に漂う不穏な空気と相次ぐ住民の不審死、多数の視点を通して徐々に怪異にに侵食され始める不気味さに支配された上巻で、下巻でどうなるのか楽しみ。

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    2025年09月14日
  • 呪われた町 上

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    キング初期の名作。長い小説で尚且つキング特有の序盤から中盤はあまり話しが進まない構成ですが、今読んでも楽しめる内容です。

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    2025年08月11日
  • カリブ海の秘密

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     転地療養のためにインド諸島を訪れたマープルが宿泊したホテルで知り合った少佐が変死体で発見される事件に巻き込まれ独自で捜査するミステリーで、アガサ・クリスティー作品の持ち味である犯人当ての醍醐味と男女の仲を中心とする複雑な人間模様、旅先の鮮明な情景描写などミステリーだけでなく物語としての面白さもあった。

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    2025年08月09日
  • 単独飛行

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    やっぱり好き。

    ロアルド・ダール作品の根底にはいつも不条理があって、その中でいかに自分として生きるか、というのが書き方がなされている気がする。

    戦争も日常。

    飛行機から眺めた素晴らしい景色。

    母への愛。

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    2025年04月08日
  • カリブ海の秘密

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    マープルもの9作目。
    本書はクリスティー74歳の時の作品だそうですが、さすがの円熟ぶりといいますか、「あっぱれ!」な完成度でございました。祝日に一気読みです〜。

    転地療養のため、セント・メアリ・ミードを離れてカリブ海のリゾート地にやってきたマープル。
    歳を重ねて頑固になる人は多いですが、甥の親切なおせっかいをありがたく受け入れ、「ほんとうの意味の若さの精神を発揮して、それほどおもしろいものなら自分もなんとかそれを好きになろうと努力しよう」(p31)という姿勢にはとても感心しました。
    また、さまざまな人との会話の中で、時にかまをかけたり、ぐっと反論をこらえたり……次々繰り出される会話術にも脱帽

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    2025年03月21日
  • カリブ海の秘密

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    1964年の作品。
    ミス・マープルシリーズ9作目。

    ミス・マープルは療養のため、カリブ海の島サントノレに保養に来ていた。
    話好きなパルグレイブ少佐は、ミス・マープル相手に妻殺しの殺人犯の話をして、殺人犯の写真をみたいかとミス・マープルに尋ねる。しかし、そこに入ってきた人々の顔を見るやパルグレイブ少佐は顔色を変え、写真をしまい話題を変えてしまう。
    その翌日、パルグレイブ少佐は自室で死んでいた。持病の高血圧の薬が原因ではないかと医師は考えていたが、ミス・マープルはパルグレイブ少佐は高血圧ではなく、これは殺人ではないかと疑い始める。ミス・マープルは身体の不自由な大富豪で偏屈物のラフィール氏と協力し

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    2025年02月11日
  • 呪われた町 上

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    いやー、怖かった ただ吸血鬼だからいつ襲ってくるか分からない怖さなんじゃなくて、そいつらがセイラムズ・ロットの人々と関わっていく中で生まれる人間の怖さみたいなのが見えてゾッとした 善と悪の対立っていうのもキャッチーだけどちゃんと面白かった

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    2025年01月03日
  • カリブ海の秘密

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    【マープル】
    カリブ海のホテルで療養しているマープルは、「殺人犯の写真を持っている」という退役少佐の昔話につき合わされる。
    その直後その少佐は変わり果てた姿に…。

    クリスティー74歳の作品。

    クリスティーが歳をとったからなのか、この作品はおばあさんであるマープルと、介助なしでは歩けないおじいさんが大活躍する。

    クリスティーとマープルが同年代なので、もう私の中では完全に2人が同一人物だと思って読んでいる。

    マープルはいつもは現場に行かずに安楽椅子形式で推理して、登場するのは最後だけ。
    でもこの作品は違った。
    マープルの泊まっているホテル内で事件が起きるので、マープルも終始現場にいる。

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    2024年08月03日
  • 少年

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    この経験があってダールの作品があるのだなぁ…としみじみ思った。

    6〜20歳までの学校での経験はまさに虐待に次ぐ虐待。子ども時代の恨みを忘れなかったからこそ、あの的確で痛快な仕返し物語が書けたのですね。

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    2024年05月02日
  • カリブ海の秘密

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    甥夫婦の厚意で陽光降り注ぐカリブ海のゴールデン・パーム・ホテルに滞在することになったミス・マープル。そこには個性豊かな宿泊客が集まっていた。二組の夫婦、頑固者の大富豪とその世話係、そして退役軍人の老紳士・パルグレイブ少佐。マープルは、話半分にパルグレイブ少佐の長話を聞き流していたが、翌朝冷たくなった少佐が発見される。高齢者が突然死ぬことはよくあることと、事件性も疑われず処理されてしまうが、マープルは少佐が語っていた写真のことが気に掛かっていた。しかしその写真は少佐の持ち物から忽然と消えてしまっていたのである。
    少佐の死には何かあると踏んだマープルは、宿泊者たちを相手に捜査を進めていく。
    その最

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    2024年04月20日
  • カリブ海の秘密

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    「葬儀を終えて」や「ハロウィーン・パーティー」のように、"秘密を知る人が殺された"系ストーリー。マープルが立ち上がった時のワクワク感がすごい。ラフィール氏との相棒関係もまた良し。続き物らしいので次回作が楽しみ。

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    2024年02月03日