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ナイジェル・ストレンジウェイズ・シリーズ
息子マーティンをひき逃げで殺されたフィリクス・レイン。犯人を探すために接近した女リーナ・ロースン。彼女の義兄ジョージに疑いを持ったレイン。ジョージを殺すために計画を立てるレインの日記。次第にリーナに魅かれていくレイン。家庭の暴君ジョージに辛く当られる妻ヴァイオレット、息子フィル。家を守ろうとするジョージの母親ラタリー老婦人。船に乗せて溺死させようとするレインの計画。計画直前にジョージから日記を弁護士に送ったと告げられ計画を中止したレイン。中止した日にストリキニーネで毒殺されたジョージ。日記に隠された秘密。ナイジェルの捜査。
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すごい。
ミステリとしても出色の完成度だけど、文学としても十分鑑賞に値する。
主要テーマは物語中盤、食事時にかわされた会話にあると思う。
そのテーマをめぐるいろんな人のいろんな葛藤、そして最後のあまりに悲しい結末。
だけど結末が絶望的であったがゆえに、そこに残ったわずかな希望がより輝いて見えるような気がする。
読後感は、なんだか映画『トラフィック』を観た後の感じとよく似ていた。
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今年度読んだ中で一位。
まず読みやすい。展開が早いのにきちんとついていける
自分の息子が殺された恨みを晴らすために、息子を殺した男に近付く様子を手記形式で残す話で第一章。
第二章は探偵の捜査パートで、第一章の息子を殺した男が本当に死んでしまい、犯人を解き明かすもの。
あの手記によって犯人を第一容疑者から外すやり方が面白い。
最後の犯人と探偵のやりとりが実に気持ち良く、両人が善人であると感じた。被害者がくずすぎるw
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これは面白い。「頼子のために」がニコラス・ブレイク風って書いてあったと思ったけどこういうことだったのかと一人納得。最初に愛するものを失った者の日記があるんだけど、その生々しさというか滲み出てくる悲しさなんていうのがとてつもなくうまいと思う。またそのせいで感情移入しちゃって第三章からの仮説が飛び交う展開でこの人は絶対に犯人ではないと思ってしまう。いや、これはうまいね。見事にやられた。脱帽。
Posted by ブクログ
主人公の手記から始まる物語。
ひとり息子を轢き逃げされた男が、運転手への復讐を仄めかす。
手記で始まったため、最後まで手記で復讐をいかに遂げるのか、成功したのかしなかったのか、そういったことを綴っていくものだと思っていた。原因があり結果に至るまでを読ませる、よくある形だと思っていたら途中でスタイルが変わる。
復讐する人物が殺されてしまう。
あれれ、ミステリーだったのこれ。
突然グイッと方向転換をされ、戸惑いつつ読んでいく。
最後は誰が殺したかも明らかになり落ち着くところに落ち着く。
こういうのがハードボイルドというのだろうか。
物語の中で結構唐突な感じで“22の質問”が出てくる。
いくつか挙げると
オランダボウフウの味をよくしないためには、甘い言葉がどれだけ必要か?
〈ライオンの保母兼乳母〉とはだれのこと、あるいはなんのことか?
九英傑とはどういう意味か?
……ナンダコレ。
これが事件解決の鍵なのかと読んではみたものの、何言ってるんだかよくわからない質問ばかり。
結局この“22の質問”が物語にどう繋がったのかよくわからないまま終わってしまう。
この“22の質問”に関しては翻訳された永井淳さんもよくわからなかったらしく、巻末に原文と翻訳とを記しておられ、不明とかよくわからないといった考察のようなものが記されている。
翻訳されたかたがわからないことは勿論わたしにもわからないわけで、こっちの方がどんだけミステリーだよとツッコミを入れたくなる。
よくわからないこともあったりだったが、面白いというかこういう作品もあるのかというのが最も感じたこと。
本屋さんでこの本を棚に見つけたとき、『あっ、松田優作さんの映画の原作だ。』と手にとって、全く別の作品と気づいて、ひとりコッソリ笑ったのもいい思い出だ。
それにしてもこの作品のタイトルは江戸川乱歩がつけたらしい。
死ね、じゃなく、死ぬべし。こう表現するところに乱歩の並々ならぬ言葉のセンスの秀逸さを感じる。
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息子をひき逃げされたミステリ作家が復讐を誓い、犯人を捜して追いつめていく。日記形態の倒叙ものとして物語の幕は上がります。
少ない手がかりから犯人像を絞り込んでいき、次第に近づき犯行に及ぶプロセスにスリルあり。一人の人間を犯罪に駆り立ててゆく、細やかな心理描写も巧い。
読み進めていくうちに、これはあの有名作のアレみたいになるのか、それともあの人のアレか、と変なドキドキ感を味わいましたが、そこは一味違いました。
構成が面白い、古典の名作でした。
Posted by ブクログ
1938年の作品ということだが、さほど古臭いものではない。ミステリーの代表作のひとつとして、読んでみても損はないと思う。そんなに長くもないし。