永井淳のレビュー一覧
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「チャーリーとチョコレート工場」のロアルド・ダールが紡ぐ
第二次世界大戦を舞台にした飛行士たちのお話。
飛行士のプライドとか、かっこよさとか、
虚しさとか、絶望とか、使命感とか、ユーモアとか・・・
いろいろ混ざり合っている短編集でした。
彼らは、上からの命令ひとつで飛行機を飛ばし、
ドイツやイタリアと戦って自分が死んだり、
友人を亡くしたりします。
そうゆうことが、とてもあっさりと書かれています。
それがかえって不気味だったりもします。
短編のひとつ「彼らは年をとらない」は、
ジブリの「紅の豚」に出てくる雲の平原のエピソードに酷似。
こちらのほうが後味が苦い。 -
Posted by ブクログ
敬愛するロアルド・ダールの少年時代の自伝。
イングランドの学校、寄宿学校で横暴な教師や寮監、先輩らにひたすらに反抗する姿が描かれている。
気に入らない生徒を簡単に鞭で打ったりしてた時代のおはなし。最後まで権力に屈しないで疑問を持ち続けるダールが良い。
屈しないけどあからさまに反撃もせずにちゃっかり卒業してちゃっかりシェルの採用に受かる所は、要領良いけど。
この経験が彼の作品に大きく影響しているのは明らか。「マチルダは小さな大天才」とか。
正しい者が、痛快な方法で悪を打ち倒す物語。正直な者が最後には報われる物語。
「チョコレート工場の秘密」には権力者という意味での分かりやすい悪は出てこないけど、貧しいけれど正直なチャーリーが最後に残る、という所はやっぱり正直者が報われる筋書きになってると思う。
ワンカさんが善か悪かは何とも言えないけど……
子供からみれば善の化身だろうけど。
実はあまり好きになれないワンカさん。
あとダールが子供時代に通ったお菓子屋さんの描写が詳しくあってわくわくした。リコリス・ブートレースだとかシャーベット・サッカーだとか、いかにも体に悪そうだけどわくわくするお菓子。
言うまでもなくチョコレート工場のネタ元。
でもお菓子屋さんの描写だけなら、「こちらゆかいな窓拭き会社」の冒頭部の方がわくわくする!
窓拭き会社すきだー!
なぜハヤカワ・ミステリ文庫から出ているのかだけが謎。続き(就職してから作家になるまで)もあるみたいだから読みたいなあ。 -
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この話の後日譚を先に読んでしまったので、これはもう読まないと……そう考えて手に取った。本来は三部作の第一作で、第二作が私が先に読んでしまった『復讐の女神』第三作は作者であるアガサ・クリスティが亡くなったことで、世に出ることはなかったという……とても残念。
導入部を読んで既視感があり、『ああ、多分十代の頃に一度読んでるなあ』などと思った。案の定大部分が忘却の彼方なので、犯人は当てられなかったし真相もお察しという。新鮮な気持ちで読めたという利点はあれど、そうとう私の記憶力はポンコツだなあなどと感じて切なくなった。とはいえ、まだ『あ、読んだことある』と気づいただけマシだと考えてもいる。
導入部を読んだ十代の私は、ミス・マープルが人の話を随分と適当に聴いていた様子を見て、なんていい加減な人なんだろうと、ちょっとばかり嫌な気持ちになっていた。しかし、半世紀を生きて読み返すとむしろそれが礼儀で優しいように感じる。人の話を鵜呑みにしたり、真剣に100%の態度で聞き入るのは危険だし、ちっとも誠実ではない。相手のことを尊重するというのは、そういう行為ではない。
アガサ・クリスティはこの話を73歳くらいで書いたそうで、しみじみとすごい人だなあ感動してしまう。彼女の著作はまだまだ未読のものが多い、ゆっくりと楽しみたいと思う。 -
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人間の大地に続いて飛行機もの。
この本の存在を知ったとき、「ロアルド・ダール?え、あの…?」とすごく驚いた。
子供の頃、彼の書いた本が大好きだった。
『チョコレート工場の秘密』、『マチルダは小さな大天才』、『魔女がいっぱい』など、内容はうろ覚えだけどその当時の読んでいて楽しかった記憶は今でも明確に覚えてる。
ところがこの本は童話とは打って変わって戦争体験を書いた自伝。
訓練ないまま飛行機操縦させられて死にかけたりなど、なかなか大変な目には遭ってるにもかかわらずなぜか作中に悲壮感みたいなものは一切ない。
日本で「戦争もの」と言われると、個人的には大岡昇平の『俘虜記』や『野火』、最近のだと百田尚樹『永遠の0』とか重いのばっかが思い浮かぶので、結構新鮮だった。(戦争に勝った国と負けた国の違い!と言われたらそれまでなんだけど…)
読み終わって改めて、もう一回あの頃好きだったロアルド・ダール作品を読み返したくなった。当時と同じようにはもう読めないだろうけど、きっとそれはそれで面白いんじゃないかと思う。
彼の幼年期についての自伝『少年』も読んでみたい。
あと、解説は宮崎駿。これもとてもいいのでぜひ。
宮崎駿がこの作品を、というかロアルド・ダールを好きなの、解釈一致すぎて一人でうんうん頷いていた。笑 -
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療養のためセント・メアリ・ミード村を離れて遥か彼方の西インド諸島を訪れたミス・マープル。
そこは最早リゾートだからセント・メアリ・ミードのような人間関係は生じないかと思いきや、裕福な人間たちが限られた空間に集うわけだから根本的な人間模様は変わらない
つまり噂も憶測も飛び交うお喋りの坩堝と化すわけだ
ゴールデン・パーム・ホテルにてお喋りの代名詞となっている人物がパルグレイヴ少佐だね
ミステリにおいて、口が軽い人間が殺される率は高いものだけど、彼もその例に漏れず
ただ、この場合に厄介だったのは彼があまりにお喋りだったせいで皆が彼のお喋りを話半分にしか聞いていなかった事か
誰も彼もまともに聞いてないのに、パルグレイヴ少佐はお喋りのせいで殺されてしまった
マープルは人との会話からその人柄を読み取るのが得意なタイプだけど、肝心な人物の話が曖昧なものだから推理も上手く進まないという点が今回の事件の特徴かな
また、もう一つの特徴を上げるなら、マープルの助手役となった人物が風変わりと云うか驚きの人物であった点だろうか
マープルは療養に来るくらいには体の自由が効かない状態。おまけにポアロのように名探偵を名乗っているわけでもないから警察を自由に動かせもしない
だから彼女の代わりに動いたり、考えを補佐する人物が必要となるわけだけど、まさかあの人物がマープルの助けになるとは思わなんだ
マープルの推理力に感激し協力的になる人物は数あれど、あのような姿勢から協力的になった人物はかなり珍しいんじゃなかろうか?
あと、特徴と言える程のものではないけど、あとがきで言及されているように、本作はマープルの柔軟な姿勢が目立って居るね
ゴールデン・パーム・ホテルでは知り合いがいるわけでもなく、むしろ彼女と年の離れた人物ばかり。夕食時にはスチール・バンドが鳴り響くなど彼女向けの環境とは言い難い
それでもマープルはその環境を楽しもうと自分の言い分を他所において、全く異なる生き方をする人物の話に耳を傾けるし、スチール・バンドも好きになろうと努力する
そういった控えめな積極性が噂をかき集めなければ真実に到達できない事件の解決へ近づく助けとなっていると読み終わると判るね -
Posted by ブクログ
夏はホラーと意気込んで読み始めるものの、少し違うと下巻始まって直ぐに気になっていく。著書の世界観これも読書の醍醐味なのかと自分に言い聞かせながら読み進めるが、物語が進むにつれて「不完全燃焼」が溜まっていく。勿論自分の好み通りに進んでいくのが決して良いとは思わない!ある意味読書の醍醐味は自分の想いに対するある種の裏切り⁉︎「そうきたか!」とか「やっぱりこうなった!」という様なところに面白味が増してくる、それは必ずしも自分の想い通りにならないから楽しめる、(勿論これが全てでは無い)
しかし著書においては、意識的に不完全燃焼が溜まっていく構成?作風?なのかと最後は納得。物語での昔の大火災と終盤で起ころうとする大火災は、歴史は繰り返される、我々現代社会が迎えるかもしれな滅びの警鐘であるのか?と深読みしてしまうのも不完全燃焼のモヤモヤとした想いの蓄積?これはこれで有りなのだと自己完結する