筒井淳也のレビュー一覧

  • 仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

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    少し読みづらさはあるが、現在の働き方そのものが、働いていない人に仕事以外のこと(家事、育児)を任せることを前提にしている、ということは大発見だった。もっと注目されていい。

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    2024年01月27日
  • 社会を知るためには

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    人間は自分たちが作ったよくわからない社会の中で生きている。
    社会とは何かをわかりやすく説くが、やはり難しい。でも考える入口になりそう。
    新たな考え方や見え方を提示されるのを面白く感じる。それが楽しい。
    読書案内でより世界を広げてくれるのが嬉しい。

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    2023年06月18日
  • 数字のセンスを磨く~データの読み方・活かし方~

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    全体的に、同じ節の中で少し話があちこちに飛ぶ感じがして、筋道が腹にストンと落ちて来ず、論理展開を読み解くのにやや苦労しました。ただ、これまで「数字=万能」または「統計にはウソがある」の両極端な書籍が多かった中で、どちらにも与せず、かつ数式や初見で分からな理論に逃げずに、その曖昧さや複雑さを説明しようとされていたことに、とても感銘を受けました。

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    2023年05月04日
  • 社会を知るためには

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    社会学の考え方、捉え方を学べる一冊。
    目の前を走る車の部品さえよく知らないのに、比較できないほど複雑なこの社会のことなんて誰も全部はわからないよと説く。
    社会の「緩さ」について何度も言及されていましたが、それを覚えておくと、いい意味で気持ちの緩さも得られそうです。

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    2024年09月08日
  • 結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

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    理想的な「親密性」を個々が自由に持つためにはどうすればよいか、
    その解の1つとして共働き化が進んでいるけれど、
    それは格差の拡大を招きかねないし、当然ながら「ケア」の家事を誰がどうするのかという問題は発生する。
    北欧のように国のケアを手厚くするのか、アメリカのように格差を利用した家政婦を入れていくのか、、
    社会問題の話を掘り下げていくと、自分の立場の恵まれっぷりを痛感しますね

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    2022年07月24日
  • 社会を知るためには

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    社会の変化や現象は、誰かの意図に基づいていたり、原因があり結果がある、というようなものではなく、様々なことが時間や空間を越えて複雑に結びついているという。社会学的な物の見方や考え方が紹介されていて、物事を緩い繋がりの中で俯瞰する意義がよくわかる。自分の視野の狭さを痛感し、深く広く物事を知りたくなる。

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    2022年07月18日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    現代社会学を巡る3つの潮流である質的調査・量的調査・理論をそれぞれ代表する社会学者に、どちらかというと社会思想史の研究者としての色合いが濃い稲葉振一郎を加え、それぞれの鼎談によって構成された一冊。

    社会学に対して多少なりとも興味関心がある人でないと全く面白く感じない本だとは思うが、登場する社会学者はみな、現代の日本の社会学におけるトップクラスの論客たちであり、知的な刺激は大いに得られる。

    大きく印象に残ったのは2点。
    北田暁大氏については私が大学生だったときから既に若手論客として名を馳せており、何の本に収められた論考だったかは全く忘れてしまったのだが、「社会的な問題にコミットする」という姿勢を当時から明確にしていたその論考の異常なまでの熱さに、21-22くらいの私は多いに刺激を受けたものであった(2006年、集中講義にも来てくれて受講した記憶がある)。それから15年ほどが経つが、本書においても氏のスタンスは「社会学というのは、社会問題が存在するという点を前提とすべきだ」と変わっておらず、印象に残った。

    もう1点は統計データの分析等に基づく量的調査を得意とする筒井淳也氏の「開発経済学や行動経済学に代表されるような統計的因果推論はあまりにもブームになりすぎていて、過剰な期待を背負わされている」という指摘は非常に鋭いものだと感じた。確かに、人文社会科学においても経済学などをはじめとして統計的因果推論のバブルは異常なまでの熱気に達しているような気は薄々としていた。そういう点で、社会学における量的調査は、「Aを行えばBのような結果が得られる」という変化についての含意は全く扱わずに、そもそも「社会がAのような状況にあるのはなぜか」という論点を扱うわけであり、変化の前提となる現状把握として意味があるという指摘は、なるほどと実感した。

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    2021年06月20日
  • 社会を知るためには

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    社会学ではなく、「社会」に関する本は珍しい。そしてその出発点は「社会は理解できる」ではなく、「社会は理解できない」であることも面白い。感じていたモヤモヤ感を吹っ飛ばしてくれるような本だった。「なぜ日本は〇〇なのか」「なぜ少子化は止まらないのか」と言った疑問の裏には、明確な意図があり、それを変えてしまえば解決するだろうという楽観的な考えがある。そしてそれは大抵裏切られ「なぜ変わらないんだ!」と喚かざるを得ない。
    そもそもの前提が間違っており、確かに人間が作ったのだけど、複雑化しすぎてもう誰にも理解できなくなっているというのが正しい。これを飲み込めたことはかなり大きな財産になっただろう。

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    2021年06月18日
  • 社会を知るためには

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    中高生レベルの読者をターゲットとしながら、大人でも十分に楽しめる本質をシンプルに突いた良書が楽しめるというのがちくまプリマー新書のイメージであるが、本書はそのイメージを体現するかのような良書である。

    気鋭の社会学者である著者が本書で伝えようとするメッセージは、「私たちは自分たちでもよくわからない世界の上で生きている。そして様々な出来事は相互に緩いつながりを持っており、その緩さゆえに、余計にわからなさを増す」というものである。

    第一の含意、「自分たちでもよくわからない世界」という点は、勧善懲悪・二元論・陰謀論のように、一見わかりやすいように見える叙述が実はデタラメである、ということを示すだろう。第二の含意、「社会の緩さ」という点は、局所的な事象のつながりだけを見ていても社会は明らかにはならず、様々な事象の相互関連性をホリスティックに眺めなければ、複雑化する我々の社会を説明することはできない、ということになる。

    これらは当然、現代の社会学における基本的な学問的態度といえるものだが、そうした理屈を抜きに、我々の社会というもののわからなさと緩さを説明する本書の教育的効果は極めて高く、中高生にこそ、ぜひ読んでほしいと思う。

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    2021年06月13日
  • 社会を知るためには

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    私たちが生きている「社会」は、合理性がなく、曖昧さを含有した「わからない」ものであるということをわかりやすく論じている。

    10代の頃、世の中のことがわからないのは自分に知識や教養がないからなんだと思っていた。そして大人になれば、世の中がわかるようになるのだろうとも思っていた。けれど現実は大人になってもわからないことだらけで・・・大人が読んでもためになるけど、社会に出る前に読んでおきたい本。

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    2021年05月23日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    社会学のイメージって、手広くやってるけど、実際学問として何やるの?くらいしか分かってなかった自分……。

    量的調査と質的調査の相いれなさと希望に何度か言及する所が印象に残ったかな。
    状況を捉えようと思えば、サンプルの量が必要で、そこからこうですよねって導き出すのが量的。
    けれど、そのサンプルがたとえば100集めてこうですって言ったとして、別の100集めたら別の結果や意味が生まれたとしたら。(そうならないようにされているんだけども)
    一人一人の感じてきたこと、考えてきたことは、同じ状況であっても違うんじゃないか。それなら、一人の語りを深く掘り下げることで、背景に見えてくるものがある、とするのが質的ということかな。

    進めていく中で、どちらも必要になってくることは分かりつつ、手を伸ばす時間と資源がない。
    お互いが生み出した蓄積を使いながら、違った角度から進めていきたいのだけど、そこで対象の広さの壁や、継続性から捨てられない壁が見えてくる。

    また、経済みたいな動きを見るものでも、臨床みたいに治療が目的になるものでもない、政策科学とは円の重なりがあってどう分けていくか、というのもなるほどーと思う。

    時々、○○学って何するものぞ?みたいに軽く扱ってしまうことがあるんだけど、その分野の人は自分たちのテリトリーについてすごく真剣に考えているんだよね……。

    最後に。
    他者を理解する、マイノリティとは何かという話も自分には大切な視点になった。
    研究対象ではあるんだけど、その人たちの立場を想像出来なければ、アンケートやるにしても、項目にズレが生じてしまう。
    かといって、密接になりすぎて、距離を取って書くことが出来なければ、あるいは踏み込めなければ、それは論として成り立たない。
    理解することの、暴力。
    でも、理解できることとは。

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    2020年11月08日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    凄いボリュームの本なので圧倒されてしまいますが、頑張って読んでみて欲しい本です。岸政彦さんの文章から感じるやさしさが好きで、それがいったいどこからきているのか少しわかった様な気がしました。

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    2020年03月24日
  • 仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

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    ◯合計特殊出生率は上がることなく、むしろ下がりつつあり、一番重要な出生数は90万人を切るかもといった報道がされている現代日本においては、まさしく他国の真似ではない、実態に即した少子化対策が必要であると感じた。
    ◯また、今までの施策は、やはり海外の模倣であり、日本という社会に合っていない上に、場当たり的な施策が続いており、グランドデザインを描いた上で、速やかに対応する必要性を感じる。

    ◯本書では結婚に関する個々人の理由を詳細に分析し、働き方改革が声高に叫ばれる前から働き方に関する視点が盛り込まれ、家族内での家事分担に至るなど、着眼点が新しく、面白い。

    ◯最終章が、本書の要約として大変分かりやすい。議論の大筋を理解するために先に読んでもいいかもしれない。

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    2020年01月28日
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    社会学を専攻していないとわからない”雰囲気”はあるものの,問題の骨子は刺激的。

    たとえば,事例研究における代表性をどう考えるか?というトピックは社会学だけに留まらないであろう。

    対話記録であるため,会話感覚で読めるのも本書の良いところ。サクサク読めてしまう。

    しかし,内容の深みはあるので,しばらく知識をつけた後に読み返すと,また違った感想を抱くような気がする。

    ちなみに,著者らの情報量(知識)がすごすぎて圧巻,もっと勉強しなければと思わされました。

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    2019年04月17日
  • 結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

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    ネタバレ

    前半では、家族や結婚のかたちの歴史を公平な立場で紐解いていく。「男は仕事、女は家事」という性別分業は、伝統でもなんでもなく、経済環境によってたまたま形成されたものに過ぎないと知って驚いた。
    後半は共働き社会がもたらす問題点について提示する。共働き化が格差社会を助長するという話は俄かに信じがたかった。また、家族への過剰な依存は、セーフティネットとして家庭を維持しなければならないという「家庭の職場化」に繋がるとのことだった。逆に家族を必要としない社会でこそ、人々は家族を求めるという考えは斬新ながら説得力があった。

    最初は人生設計の指南本だと勘違いして本書を手に取ったのだが、実際には個人というより社会全体での家族の在り方を公平に提示してくれる教養本に近かった。結果的にとても勉強になったので、満足している。

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    2019年01月31日
  • 結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

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    社会学の専門家による家族についての本。結婚や家族について、歴史的な経緯をはじめ、海外との比較など詳細な分析が行われている。ただし、著者のリベラリスト的な主張は受け入れられない。政府等の力によって結婚や家族のあり方など、人間の本質に関わることをコントロールすることは困難であり、社会の流れに任せ、制約をすることなく自然に自由にさせることが大事だと考える。ダーウィンの考え方に人間といえども逆らうことは難しいと考える。
    「日本の古代社会の対偶婚は複婚に近く、結婚している男性が他の女性と関係を持つこと、また、結婚している女性が他の男性と関係を持つことが厳しく禁止されることはありませんでした」p22
    「古代の日本社会で意外にも男女が平等な結婚・家族のかたちが見られた」p56
    「資本主義の発達につれて、経済活動の拠点が家から会社に移っていき、それに応じて家制度の特徴である家長の決定権や家督の管理権が実質的に掘り崩されていった」p56
    「(職住分離)家での経済活動と、工場や会社での経済活動では、職住分離が異なる。自営業の時代には重なっていました。勤め人は、日中の多くの時間、家を不在にしますから、小さい子供がいる家庭にとっては誰かがその面倒を家で見なくてはなりません。女性の労働賃金は通常それはど高くありませんので、多くの女性にとっては外で働き続けることの経済合理性がありませんでした(専業主婦の時代)」p61
    「専業主婦化が最も顕著だったのは、欧米社会においてでした。たとえば戦後、フランスを始めとするヨーロッパ社会の女性の有償労働への参加率は3割程度でした。最も極端なのはオランダで、小さな子供を持つ妻のうち、有償労働をする人の割合は1割にも満たなかったのです」p62
    「歴史人口学的に見れば、1960~1970年代の、ほとんどの人が結婚していた社会(皆婚社会)こそが特殊なのです。家制度や家父長制が経済基盤を失い、「雇用された男性と家事をする女性」が1対1で結婚するようになってはじめて実現しました」p86
    「各国の経済成長期のように、ほぼすべての人たちが結婚・出産できた時代こそが、特殊な条件がそろったまれなケースです」p145
    「日本の婚外子の割合は2.1%ですが、アメリカでは生まれてくる子供の40.6%、フランスでは52.6%、スウェーデンでは54.7%が、出世時に親が結婚していない子供です」p146
    「親が資産家だと、おそらく子供の結婚はそれだけ不自由になる傾向がある」p217
    「一緒にいて楽しい相手は、同じような社会階層の人である可能性が高い」p219

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    2018年10月23日
  • 結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

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    なかなか勉強になる本だった。特に前半の家族の形態の移り変わりや、後半の男女平等社会がもたらすもの、についての分析、考察が面白い。

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    2018年10月22日
  • 結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~

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    ファッション雑誌STORYでオススメされていたので読んでみました。
    社会学、特に家庭や結婚といった身近なテーマの歴史的変遷を知ったのは初めてだったし、現代の世界における様々な家庭の分析も興味深いことばかり。
    雇用・家事育児・所得格差なども社会学的な視点でみるとどうなのか、などとても勉強になりました。

    備忘録、たっぷり書いちゃいます☆
    まずは歴史から。

    古代日本の婚姻はゆる~いものだったそうです。
    というのも日本は農耕民族なので村落共同体に所属していれば特に夫に頼らなくても妻は食べていけるし、強いリーダーがいなくても労働力さえ確保できれば(子供が増えれば)村は栄えることが出来たからです。なので、女は実家に所属しながら比較的自由に結婚離婚を繰り返していました。

    ところが、封建制度成立以降は、強い血統・リーダーの血筋、といった特別な能力が必要となり、婚姻は厳しいものになっていきます。
    その後、家が経済的な単位となっていったため、家督を相続させる正当性の根拠として父を確定させる必要があり、家父長制度が定着していきます。
    家父長制度の特徴は、父、長男は家に縛られる一方で(事業を継ぐ)、次男以降は冷や飯食い扱いで結婚もままならない状況でした。
    有償労働も無償労働もあいまいにしか区別されていなく、具体的には家長(社長)を中心に、使用人も親族も家事も仕事もしている状態でした。

    産業革命と工業化は、このような家事の在り方に変化をもたらしていきます。
    工業化によって家庭と職場(仕事)が分離され、資本家と労働者の所得格差が広がっていきました。
    それは悪いことのようですが決してそれだけではなく、男性(特に次男以下)の「家」からの経済的自立を即し、結婚もしやすい環境になっていくのです。
    (その一方で、男は家族を養う重責を担い、女は専業主婦になり経済的に依存するというマイナス面もある)

    更に、経済成長が進むと労働階級の所得も上がっていき、既婚女性は専業主婦になって夫の稼ぎに依存するという性別分業が一般化していきます。
    家事はもっぱら妻によって、家電製品などの技術に助けられながら行われます。

    殆どの人が結婚してその中で子供をつくるという皆婚社会は、20世紀前半を中心に先進国に見られた例外的な現象です。
    高い経済成長率と大規模な戦争の欠如により、たまたま可能になった状態なのです。

    その後の現代社会は、雇用された男女のカップルによる「共働き」が先進国の中心です。

    実は、共稼ぎに同類婚(共通の社会的、肉体的、もしくは精神的特徴を持つ者同士が結婚すること。同じような環境で育った経済環境も似たカップル)が加わると、それは所得格差を拡大するように作用するのです。
    格差を無くすためには異類婚が効果的ですが、政治的にそれを調整することはできないので、ワークライフバランスや税制改革など別の角度から、格差を無くすための政策を国は模索しています。

    その他、共稼ぎ世帯が抱える家事分担の問題は単なる技術的な問題ではなく、移民や不法労働、ケア労働の再分配などの大きな問題であること示していました。
    簡単に言うとアメリカ社会で既に起きている問題ですが、子育てや介護のケア労働は家電製品などでは代用しにくく、共稼ぎ世帯はそれらの仕事を貧民層(移民ら)に低賃金で請け負わせます。多くは不法移民で、彼女自身の子供は祖国に送る給料で他人が面倒を見るという、皮肉な結果につながっているのです。

    こんな現代社会は、家に縛られることもなく階級差別もなく自由恋愛が優先されるのですが実際には同類婚が促進され所得格差のが広がる為、皮肉にも結婚しない(できない)人の増加、子供をつくる人の減少、といった脱家族化の増大、という問題に直面しているのです。

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    2018年07月10日
  • 仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

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    ネタバレ

    仕事をしお金を稼ぐことを利己的として家族への無償労働を利他的ととらえることが働きづらさと産みづらさ、さらには介護しづらさをつくっているという指摘は正しい。
    ケアサービスの効率性との相性の悪さ、唯一のシステムとしての成功例としているスエーデンのケアワーカーの公的雇用が解になるのか?日本はしない気がする。正解がないんだから作るしかないは確かにそうだけれど。

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    2017年05月13日
  • 仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

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    タイトル通りのテーマを豊富な統計データをもとに、丁寧に解きほぐす。答えのないものだから、それこそ他のパターンと比較したりしながら考えるのは有効な手法、というのは当たり前っちゃ当たり前なんですが、そうそう冷静に見れないテーマなだけに、面白い。五章は特に読み応えあり。

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    2015年07月26日