【感想・ネタバレ】仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのかのレビュー

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Posted by ブクログ

仕事と家庭の両立について、国際比較と歴史的背景の両面から詳細に調査し、日本がこれから選択するべき道筋をまとめた良書。ここで示された方向性が正解とは思わないが、平易な言葉で議論に必要な情報がまとめられているので、これをもとに今後を考えるのは有効だと感じた。

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2022年08月25日

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日本がなぜ働きづらく、産みにくい社会なのかについて書かれた本。当方のこの本からの学びは以下4点

①日本の労働環境は未だ男性、正社員が優位であること
②総合職制度、職能給が日本独自の働き方であること
③未婚化、晩婚化は経済的要因ではなく、女性の高学歴化による目指すキャリア像と家庭との両立に困難があること
④低福祉の代表国であるアメリカ、高福祉の代表国スウェーデンは共に日本より出生率が高い(1.9程度)

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2021年08月13日

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少子化や女性の労働問題などを扱っているひとたちには絶対読んでもらいたい本。

少子化問題を論じる本で提案される対策はどれもピントがずれているというか、表面上の解決方法しか提示されないことが多いけれど、この本で主張されていることはとてもすんなり受け入れることができた。
すなわち、少子化や女性の活躍を阻む根底にあるのは、日本特有の「長時間労働」や「無限定性」という主張である。
これらを見直していかない限り、いくら育児休業制度や保育所の充実を図ったとしても、根本的な解決にはならないのではないかと思った。

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2019年08月02日

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p93 1990年代に25歳から34歳までの女性の就業率が増加したのは女性の「未婚化」によるものである。大学を卒業して就職し、結婚相手を探したところ満足のいくパートナーが見つからなかった。続く2000年代における女性の就業率の増加は、既婚カップルにおいて、女性が男性の所得低下を補うべく非正規雇用に就くようになったものである。女性の高学歴化や経済不況が女性の未婚化と就業を促したものであり、「両立しやすい環境が整った」わけではない。制度的要因というよりは、構造的な容易によるものである。
P111 男女雇用機会均等法は基本的に「職種・勤務時間・勤務地について限定されない総合職正社員」の採用において女性を差別することを禁止している法律である。しかし、男性と女性がともに対等な立場で働くことができる環境の実現には、男女ともに日本のそうごうしょくてきな働き方を抑制する必要がある。
p120 転勤のない「限定総合職」は、女性労働力の活性化という観点では望ましい方向であるが、「転勤がない」という1点のみで総合職と同じ職務内容をしていても、昇格や昇給が制限される可能性がある。共働き社会のじつげんのためには、男性的な働き方の典型である総合職が変わることが重要である。
p171 家事負担の平等化はなぜ進まないのか。共働き家庭における男女格差は日本が突出している(週10時間以上)。
p180 女性には、たとえ苦手でも家事を覚えるべきだという社会的圧力があるが、男性にはない。そのため、男女間でおおきなスキル格差がある。フルタイムの共働きだと、妻の側が相当無理をして家事を担当する子kとになり、夫が家事をすることができないとなると、妻は働く時間を増やす気を失う。

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2018年06月25日

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<「結婚、共働き、子育て、家事分担、うまくいかないのはなぜ?」を各国比較の横糸と、歴史を辿る縦糸で編み描く>


タイトルから「仕事と家庭の両立」といったテーマを想像したが、内容はもっと幅広い。
その中でもメインの軸は、現在の日本社会において女性が置かれている労働参加の形に対する批判的な姿勢にある。

なぜ日本の女性は働きにくく、結婚、育児がしにくいのか?
これについて著者は、女性の労働参加を日本の男性的労働世界に引っ張り込むことによって成し遂げようとしているから、という指摘をしている。
つまり、旧来の男性的な働き方のほうを見直すべきではないか、という主張である。

著者は計量社会学を専門とする研究者だ。
「計量」、つまりデータを分析することによって社会を読み解いた結果、著者がそのような結論に至った流れを、本書を読み進めながら追うことになる。

データというと難しく感じるかもしれないが、数式は登場せず、グラフなどむしろ見やすく直感的に分かりやすい。

データは、各国比較という横のデータと、各年代による縦のデータが用いられている。

各国比較の面では日本・アメリカ・スウェーデンを軸に展開される。
よくある「日本と欧米」という対立軸ではない。
それは、女性の労働参加と出生力の維持を、アメリカとスウェーデンが全く異なる、もっというと逆の方法で成し遂げているからだ。

具体的な内容は本書を読んでいただきたいが、簡単にまとめると以下のようになる。

アメリカは、市場原理主義であり、社会保障などの少ない「小さな政府」である。
その中で、女性は男性と差別されることなく、実力に応じて民間企業で管理職などに登用される。
そのような社会においては、男性も一定以上の範囲の労働は難しい。
少なくとも日本的な「残業あり、転勤あり、配置転換あり(ただし雇用は一定保障されている)」という働き方では家庭は成立しないだろう。
アメリカで女性が活躍できるのは、男性がジョブ型雇用であり、労働範囲はそのジョブに限定され、日本のように無制限な労働を強いられないという面が大きい。(その代わりに失業や格差といった問題を抱えているのは周知の通りである)

一方、スウェーデンというと高福祉で男女平等といったイメージがあるが、単純にそうとも言えない。
実はスウェーデンの女性の就労は特定分野に偏っている。
それは公務員だ。
スウェーデンは典型的な高税負担、高福祉の「大きな政府」であるが、それは政府が労働を生み出していることも意味する。
本書に掲載されているデータによれば、スウェーデンにおける「女性の公的雇用」の比率はなんと50%を超える。
逆に言えば、スウェーデンの女性は公的雇用以外の職業の選択肢が極めて少ないことになる。
一方、アメリカの女性の公的雇用の比率は20%程度であるが、日本はというと10%にも満たない。

実は男性でも、スウェーデンの公的雇用は30%、アメリカが20%程度なのに対し、日本は10%程度である。
日本は世界でもとりわけ公務員が少ない国なのだ。
市場主義で「小さな政府」の代表格ともいえるアメリカよりも少ないというのは驚きだ。
これについては前田健太郎『市民を雇わない国家』(東京大学出版会)という本がサントリー学芸賞を受賞するなど注目されている。

ちなみに以前、『世界の海賊大事典』の書評において北欧の平等主義について触れたが、本書のデータを踏まえれば、海賊に船長、航海士、船医、料理人などの役割があるように、北欧文化では男性には男性の、女性には女性の役割が充てられている、という見方のほうが正確かもしれない。

また、女性の就労と出産の関係についてもデータが示されている。
結論から言えば、各国比較において、女性の就労率が高いほど、出生率が高いという関係が明確に表れている。
これは日本における一般的な直感とは異なるのではないだろうか。
実際、日本、イタリア、ドイツといった国は女性の就労率は様々だが、出生率は一致して極めて低い。
例えばドイツはアメリカやスウェーデンと同程度の女性就労率でありながら、出生率は低い。
つまり女性の就労率が高くても、社会構造などなんらかの障害により出生率が上がらない場合があることを示唆している。
これについて詳しくは本書をお読みいただければと思う。

次に、縦のデータ、つまり時系列のデータについていくつか紹介すると、主にあらゆる先進国が経験した「工業化からサービス化への変化」に関連して述べられている。

実は、アメリカやスウェーデンは工業化に伴い出生率が低下し、サービス化に伴い出生率が向上している。
もっというと、工業化社会では女性の就労は出産にマイナスの影響を与えていたが、サービス化した社会ではプラスに働いていることがデータで示されている。
ところがやはり日本、イタリア、ドイツといった国はサービス化した社会でも女性の就労が出生率にプラスの効果を見せていない。

本書では、他にも正社員と非正規雇用、格差の再生産、同棲、移民政策、家事労働(各国の男女の分担状況)といった広い範囲に渡ってデータをもとに問題提起されている。

著者は、女性の就労や出生率増加のためにアメリカ型が良いかスウェーデン型が良いか、という結論は出していない。
というよりも、両国とも日本とは文化的価値観や社会構造が異なっているから、簡単にマネができるわけではない。

安易に他国を真似るのではなく、日本の社会の特徴を把握した上で、日本ではどのような政策が有効かを丁寧に細かく見ていく、本書の表現を使えば「テクニカルな」対策の必要性を説いている。

今の日本の労働と家族、出産や社会保障などの状況を広く概観し、他国と比較しながら、超少子高齢化を迎える日本がどのような社会をつくっていくかについて、みんなで知恵を絞り合意形成することを本書は提言している。

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2015年12月18日

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高齢化社会、少子化、そして、労働人口の減少といった大きな課題を抱えている日本。 日本がこれからどのような「共働き社会」(など)といった労働環境を目指していくのかを考えさせられた。

小さな政府の代表例のアメリカ。
大きな政府の代表のスウェーデン。
ともに、女性の労働人口が増えているが、おなじように出生率も増えている。

つまり、単に、女性の社会進出が少子化を招いているということではないのがわかる。
それぞれの国において、女性が出産し、働きやすい労働環境が整っているのだ。

(日本とドイツは、女性の労働人口は増加すれども、少子化が進んでいる…)

日本の労働のありかたに、「(男性社会の)労働のあり方、職務内容の無限定性、勤務地の無限定性、労働時間の無限定性にある」という指摘に納得。


日本の労働環境を大胆に(同一労働堂賃金など)改革する必要があると思った。 筆者の説明がわかりやすく、今後の労働と家族のあり方を考えるためにも役に立つ良書だと思う。

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2015年08月12日

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新しい見方ができるようなデータが豊富で理解し易い。より良い社会を作るためには、とにかく働く、ということが大切。だから、どんな仕事にも意義を見出せる。

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2015年08月06日

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少し読みづらさはあるが、現在の働き方そのものが、働いていない人に仕事以外のこと(家事、育児)を任せることを前提にしている、ということは大発見だった。もっと注目されていい。

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2024年01月27日

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◯合計特殊出生率は上がることなく、むしろ下がりつつあり、一番重要な出生数は90万人を切るかもといった報道がされている現代日本においては、まさしく他国の真似ではない、実態に即した少子化対策が必要であると感じた。
◯また、今までの施策は、やはり海外の模倣であり、日本という社会に合っていない上に、場当たり的な施策が続いており、グランドデザインを描いた上で、速やかに対応する必要性を感じる。

◯本書では結婚に関する個々人の理由を詳細に分析し、働き方改革が声高に叫ばれる前から働き方に関する視点が盛り込まれ、家族内での家事分担に至るなど、着眼点が新しく、面白い。

◯最終章が、本書の要約として大変分かりやすい。議論の大筋を理解するために先に読んでもいいかもしれない。

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2020年01月28日

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ネタバレ

仕事をしお金を稼ぐことを利己的として家族への無償労働を利他的ととらえることが働きづらさと産みづらさ、さらには介護しづらさをつくっているという指摘は正しい。
ケアサービスの効率性との相性の悪さ、唯一のシステムとしての成功例としているスエーデンのケアワーカーの公的雇用が解になるのか?日本はしない気がする。正解がないんだから作るしかないは確かにそうだけれど。

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2017年05月13日

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タイトル以上に日本の問題点(少子高齢化、女性の社会進出)を深く掘り下げていた。晩婚については、男女のアンマッチが原因だと個人的に考えていたが、歴史的背景含め複数案が考えられており、興味深かった。アメリカ、スウェーデン、など国際比較しつつ日本について意識していけそう。

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2017年04月03日

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タイトル通りのテーマを豊富な統計データをもとに、丁寧に解きほぐす。答えのないものだから、それこそ他のパターンと比較したりしながら考えるのは有効な手法、というのは当たり前っちゃ当たり前なんですが、そうそう冷静に見れないテーマなだけに、面白い。五章は特に読み応えあり。

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2015年07月26日

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仕事と家族。
働きづらく、産みづらい。

テーマとして、どちらも大きく人の人生に関わるものでもあり、そのどちらも「しづらい」状況にある今は、とても生きづらいのだろうか。

少子化の要因は、これまでの研究のなかでもいくつか分析されていて、主に以下の3つに分けられる。

・機会費用
・両立困難
・希望水

女性が出産育児にかかる際に、一時的なキャリア中断が起こることにより、所得が減少するなどの機会コストがかかるため、出産を躊躇する、という説。

共働きフルタイムでの出産育児において、女性が育児休業から復職するにあたって、育児と仕事との両立が困難である、あるいは困難であると予見できるから躊躇する、という説。

女性の高学歴化・総合職キャリアの獲得により、結婚時に男性に求める仕事のレベル・また生活能力(家事スキル)の水準が高まり、結果的に晩婚化が起きている、という説。

どれも、要因としてそれぞれの力は働いていると思われるが、著者はそのなかでも希望水準説が、特に強い要因であるとしている。


また、著者は男女雇用機会均等法と日本の無限定的な総合職的働き方のパラドックスを指摘する。

総合職キャリアの無限定性とは、時間・勤務地・職務内容のそれぞれにおいて限定しないことを総合職の暗黙の前提としており、この前提が女性や外国人等を基幹労働力から排除している、というものである。

一方で、男女雇用機会均等法のたてまえ上、女性の社会進出・総合職への転換が行われており、こうした状況の中でパートナーのうち、どちらかが(ほとんどの場合、女性が)そのキャリアプランを諦めざるをえない状況になっていると指摘している。


また、家事負担の軽減として、育児・家事の外部化(アウトソーシング)の可能性が考えられるが、外部化した先のケアワークの担い手のほとんどは女性であり、女性は自分のハウスワークをしない代わりに、他人のハウスワークを行う、という労働力の横流し、あるいは経済格差を利用した(移民の活用を含め)外部化にすぎない、という問題も提起している。


なんだか、結局、八方塞がりな現状を示してくれているが、何か救いは無いものか。

セカンドキャリアの活用、また総合職の無限定的な前提の見直し、などが考えられるが、どちらも民間企業の委ねられるものではある。
育児支援においては、保育サービスの充実は一定の効果がある、と統計的にも示されている、という。
ケアワークについては、課題が残る部分はあるが、雇用機会や所得をより増やすことのできる分野である、と感じる。


個人的に、本書を読んで気になったのは「通勤」して「オフィス」や「工場」で働く、という工業化・商業化後に一般化した働き方だ。

かつて、仕事は家あるいはその周辺で行うもので、男女問わず、家事の延長上にあるものとして、農業や手工業を行ってきた。
平川克美さんなども提唱している「小商い」という働き方は、最近注目されてきている。

自分が住んでいる「地域」を離れて、遠方の都心に通勤する働き盛りの世代は、子どもの教育に保護者として(PTA等の活動を通して)かかわる中で「地域」のシステムの旧態依然な部分や互助・善意によって成り立つ組織のあり方に驚く。

しかし、そもそも、都心に通勤する多くの会社員は、そうした地域自治を高齢者や一部の主婦に任せ、その地域に何の見返りもなく安全に住むことができている「フリーライダー」でもあるのだ、と思う。

長時間労働による弊害ばかりが、男性の育児参加・少子化・女性の社会進出の壁といった問題の中で、取り沙汰されるが、「通勤」して家・地域と職場が離れてしまっていることもまた、家の内と外の仕事を大きく隔ててしまっているようにも思う。

家の周縁としての地域・地域の中での仕事、そうしたところに若年者の雇用や育児世代のセカンドキャリアの活用のヒントが見出せないだろうか。

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2015年07月09日

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仕事と家族の関係性を各国の行政サービス、統計データから考察した書籍。

日本で子育てする事が無理ゲーと言われて久しいが、その理由である①子育て費用の補助 ②共働きと子育ての両立 について他国の状況も知りたいと思い読書。

①子育て費用の補助は北欧・欧州が手厚く、手厚いほど出生率が高くなる傾向という想像通りの結果

②共働きと子育ての両立 は意外性あり、そもそも就業している職業が国により大きく異なっているそう。
②を示すデータとされる産後の就業率はアメリカ、北欧が高い。アメリカは育休期間が短く仕事に早期復帰+家政婦やベビーシッターの利用によりキャリアを途切れさせず仕事を続けている。
一方、北欧は女性が就いている職業の多くは公務員であり、長期で休暇取得後仕事に復帰している。高福祉国家なので介護や医療などの公務員自体が多く必要とされ、そのサービスの担い手に女性が多いという事だそう。
日本はアメリカに近いが家政婦やベビーシッターを使う事に抵抗感が強く、社会として両立が難しい状態が継続しているという事だった。
また、男性の家事育児時間が長いほど産後就業率は長い傾向。

以上踏まえた感想
子育てをする為にはお金、時間、人手といったリソースが不可欠で、出生率がある程度高い国は行政・民間いずれかがこれらを提供しているとわかった。その国の中でもパートナーの協力有無により仕事と家族を両立できるかは分かれており、現在は当たり前の核家族で子育てをするという事自体が非常に難しい事と感じた。

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2023年08月23日

Posted by ブクログ

膨大なデータをそれに基づいた論考が展開される、骨太な新書だ。
「企業経営にしろ政治にしろ、正解が見えない場合には、何らかの合意を作り上げ、そこにコミットするしかない。国として何を重視して、何をある程度壊していくのかについて、最低限の共通理解を構築することなしに、その場しのぎで応急処置を続けていく余裕は日本にはない。」

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

基礎知識がないだけに、理解するのに時間がかかった。たくさんのデータを使用していて、見方まで説明されていたので丁寧な論述であると感じた。日本の少子化や女性雇用問題について、国際比較や時代の流れによって考えられていたので構造的にはわかりやすかったと思う。時間をかけてもう一度じっくり読み直したい。

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2023年01月06日

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日本で専業主婦が多かったのは1970年代。それ以前は、農業など家業のため働く主婦が多かった。
スウェーデンでは、4人に一人が公務員。女性は二人に一人以上。その7割以上は介護、2割が保育。9割がケアワーカー。
アメリカのような小さな政府と北欧の大きな政府の国が、女性労働参加が多い。ドイツ、日本はどちらも入っていない。その結果少子化が進んでいる。
アメリカ、カナダは、育児休業制度が発達していないので、女性が高い地位につきやすい。
アメリカ、北欧の出生率が高い。両極端の国。日本、ドイツ、イタリアなど性別分譲が強い国は出生率は低い。

世界で変化し始めたのは、70年代のスタグフレーションのころから。北欧3国は、働き手を増やす政策=政府の女性雇用を増やした。
アメリカは、雇用の自由化。育児休業制度が発達していないため、女性の長期離脱が少ない。その結果、管理職も多くなる。
アメリカ、スウェーデンは、男性の所得が高くなくても、共働きで生活することを選んだ。
ドイツは、早期退職で若者の雇用を確保しようとした。雇用を縮小する方向でバランスさせた。
日本は労働時間や賃金を減らすことで対応。フレキシブルな日本的雇用の特徴を生かして失業を抑制。女性は非労働力化し、田舎に帰る、という手段で労働力を吸収。その結果、外部労働市場は、非正規が主流となった。

日本では、以前の子沢山から、1950年代に子供は二人または3人、が定着。

少子化の原因は、結婚しないか、結婚しても子供を作らないか。未婚化の要素のほうが大きい。しかしその理由は諸説ある。
未婚化の要因を、経済要因とするか、価値観の変化とするか。
女性の高学歴化、男性の所得低下。
女性は晩婚化、男性は非婚化が進んでいる。
身に着けたスキルを活かして仕事に打ち込みたい、は少数。そこまで積極的に仕事を選ぶわけではないが、女性が経済力を身に着けた結果、結婚に魅力を感じなくなった。
専業主婦になりたいと思っている人は相変わらず多い。
高学歴により収入があるため、結婚のハードルが上がり、男性所得の減少で理想と現実のギャップが拡大した結果、未婚または晩婚が増えた。

女性が活躍している国のほうが出生率が高い、という説と、少子化を食い止めるためには女性が家庭に戻るべき、という説が対立。
雇用労働に従事する女性が増えると出生率は下がったが、ある程度までいくとその効果が中和される。制度の充実で両立しやすくなった。しかし、労働市場に復帰しにくいことが、出生率の伸び悩みにつながっている。男性雇用の不安定化によって、少子化が加速。

両立支援と子育て支援。
その前に、未婚化を防ぐ必要がある。労働力不足を考えると、女性が家庭に回帰することは不可能。
アメリカとスウェーデンでは、女性が仕事と家庭を両立できる環境があり、男性雇用の不安定化があったことが、カップリングを促し、結果的に少子化を抑えられた。二歩では、結婚と仕事の両立が難しいので、それが見えるまで結婚をしない、つまり晩婚化、未婚化が進んだ。

U字型仮説=経済の発展段階で、女性の労働参加がU字型になる。工業社会では専業主婦化する。
日本で増えた女性労働者はパートアルバイト=130万円の壁。
1985年は、労働者派遣法と第三号被保険者制度が始まった。女性の労働抑制につながった。
雇用機会均等法は、女性を男性の立場に組み入れるもの。女性が総合職で採用されてもやめてしまう。均等法のパラドックス。

経済がうまくまわらないときに失業者を保証するのはコストがかかる。日本は、企業と家庭がその役割を担ってきた。職能給制度により配置転換が可能だった。
職務単位の働き方では、失業が増える傾向がある。

クォーター制(割当制)一定数の女性取締役を義務付けること。ノルウェーは40%を下回らないように義務付けた。北欧でもその必要性があるのは、女性は公務員、という区分けになっているから=性別職域分離。

ケアワーカーは、その場所で消費されるから、その場所に住んでいないとできない=賃金は下がらない。

夫婦の家事参加が均等にならない理由=仕事の時間が違う、収入が違う、最初は分け合っていても、女性の職場が同じようはならないため、だんだん性別分業に移行する。家事の希望水準の不一致=女性が自らやったほうが早い。
男性が長時間労働だと家事を行う時間がない。外で長時間働く男性の面倒を見ることは必然となっている。

台湾は儒教国だが、家事分担は日本よりも分業的。

性別分業の克服、真の共働き社会への移行が必要。

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2020年09月28日

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日本の「仕事と家族」の現在の居場所を国際比較・長期推移の視点で眺めると、大きな政府/小さな政府の対比は役立たない。性別分業の克服つまり共働き社会へ移行すべき。有償労働の担い手を増やすことで、税と社会保険を通じた助け合いのための余裕をつくり出す。

日本の働きづらさは、性別分業の無限定な働き方にある。シンプルかつ納得の結論です。

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2018年10月13日

Posted by ブクログ

20171221

ゼミとインターン絡みで。スウェーデンとアメリカがどうして共働きと育児の両立がうまくいっているのかの対比は面白かったけど、社会構造的に日本は参考にできないっぽい。
卒論は少子化と共働きかなぁ。

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2018年07月21日

Posted by ブクログ

対極の政策にあるスウェーデンとアメリカで出生率が回復している、それぞれの国で政策がとられ、日本は政府は特になんもせず企業で失業者を吸収した結果、ドイツは早めに退職勧奨、二人で働きやすくすることが、、、、データに基づいており偉いとおもうがデータを読む取るところが退屈で飛ばし読んでしまった。

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2016年05月08日

Posted by ブクログ

共働き社会という以上のビジョンが見えない。その方策も曖昧だ。

制度と構造に腑分けし、構造をより本質と見る捉え方には妥当性を感じるし、説得力もあった。

また、同時性と同場所性が要求される仕事、希望水準の不一致、お金を稼ぐことは利他的の3つはトピックとして面白かったが、深まることなく終わった。

れが学問的な帰結だとしても、全体的に国際比較に深い意味はないと思わせてしまったところが本書のつまらなさの元凶だろう。

雇用史の知識の整理には便利。

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2016年02月01日

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