あらすじ
地道な社会調査の労苦と豊穣さ、学史・理論研究の凄み、そして研究者から見た現代社会の問題点とその理解経路について、侃々諤々の議論をそのまま一冊に収録した数年間におよぶ白熱の対話記録。社会学の到達点と展望を楽しみながら読み、考え、共有してほしい。
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Posted by ブクログ
現代社会学を巡る3つの潮流である質的調査・量的調査・理論をそれぞれ代表する社会学者に、どちらかというと社会思想史の研究者としての色合いが濃い稲葉振一郎を加え、それぞれの鼎談によって構成された一冊。
社会学に対して多少なりとも興味関心がある人でないと全く面白く感じない本だとは思うが、登場する社会学者はみな、現代の日本の社会学におけるトップクラスの論客たちであり、知的な刺激は大いに得られる。
大きく印象に残ったのは2点。
北田暁大氏については私が大学生だったときから既に若手論客として名を馳せており、何の本に収められた論考だったかは全く忘れてしまったのだが、「社会的な問題にコミットする」という姿勢を当時から明確にしていたその論考の異常なまでの熱さに、21-22くらいの私は多いに刺激を受けたものであった(2006年、集中講義にも来てくれて受講した記憶がある)。それから15年ほどが経つが、本書においても氏のスタンスは「社会学というのは、社会問題が存在するという点を前提とすべきだ」と変わっておらず、印象に残った。
もう1点は統計データの分析等に基づく量的調査を得意とする筒井淳也氏の「開発経済学や行動経済学に代表されるような統計的因果推論はあまりにもブームになりすぎていて、過剰な期待を背負わされている」という指摘は非常に鋭いものだと感じた。確かに、人文社会科学においても経済学などをはじめとして統計的因果推論のバブルは異常なまでの熱気に達しているような気は薄々としていた。そういう点で、社会学における量的調査は、「Aを行えばBのような結果が得られる」という変化についての含意は全く扱わずに、そもそも「社会がAのような状況にあるのはなぜか」という論点を扱うわけであり、変化の前提となる現状把握として意味があるという指摘は、なるほどと実感した。
Posted by ブクログ
凄いボリュームの本なので圧倒されてしまいますが、頑張って読んでみて欲しい本です。岸政彦さんの文章から感じるやさしさが好きで、それがいったいどこからきているのか少しわかった様な気がしました。
Posted by ブクログ
社会学を専攻していないとわからない”雰囲気”はあるものの,問題の骨子は刺激的。
たとえば,事例研究における代表性をどう考えるか?というトピックは社会学だけに留まらないであろう。
対話記録であるため,会話感覚で読めるのも本書の良いところ。サクサク読めてしまう。
しかし,内容の深みはあるので,しばらく知識をつけた後に読み返すと,また違った感想を抱くような気がする。
ちなみに,著者らの情報量(知識)がすごすぎて圧巻,もっと勉強しなければと思わされました。
Posted by ブクログ
社会学者4人がリレー形式で行った対談の記録。
理論、量、質という異なる領域の専門家が対談することで、ひとことで社会学といっても、研究の対象や手法などがかなり広く、どれか1つが正しいというものでもない、ということがよくわかる。
でも、こうした交流を通じ、より多角的な分析、理解に繋がるとよいと思う。
Posted by ブクログ
とても興味深く読ませていただきました。
社会学自体が馴染みがなかったが、4人の討論のわりにはよく纏まっているので、読んでいるうちに「社会学」の輪郭や直面している問題について理解ができるようになってきました。
社会学を専攻していない素人の方でも、楽しく、また気づきを得ることができる良書だと思います。
Posted by ブクログ
岸さん、北田さん、筒井さん、稲葉さんによるトークリレー本。社会学の知見がないと読み進めるのが苦しい。大学で学んでいた社会学を理解するために購入したが、より難解になった気がする。そのくらい普通の学問の深みはすごいと言うことなのかな。